ミーナとシンジの戦闘
ミーナが、M4モドキを構えて路地の影から大通りに飛び出す。そして、直ぐ様近くにいた帝国兵に銃弾を浴びせる。
ミーナの扱うM4モドキの銃弾は、火薬を使用しないものの形状は5.56x45mm NATO弾のソレに似せて作られている。小口径であり、高速射撃が可能なのだ。
それに、M4モドキは本物にはない『三点バースト』の機構が搭載されている。
これは、遊びでミーナが作った為、充実していない弾薬を節約する事を目的に追加したのだ。
無論、セミオート、フルオートの設定もある。
ミーナの銃弾が一度の射撃で三発発射され、帝国兵を捉える。
一発目は物理防御魔法に弾かれ、二発目は装備品の付属魔法に止められる。しかし、三発目は兵士の肉体を確実に捉える。
太ももを撃ち抜かれた、帝国兵の一人が倒れた。
後続の兵が、ミーナを見つけ、直ぐ様射撃を開始する為銃を構えた。
ミーナの表情は目出し帽で隠れて居るため、帝国兵達には解らなかったが、引きつった笑みを浮かべている。
帝国兵約五十名を前に、ミーナはたった一人だ。
シンジは潜伏スキルと、短い時間だが足が早くなるスキルを使い、コンパウンドボウを射る。
帝国兵が一人、また、一人と倒されるが、彼らはミーナから目が離せない。
これは、ミーナのスキルによるものだった。
一斉に射撃を開始する、帝国兵。
ミーナはアイテムボックスから、一本の剣を取り出して、地面に突き立てる。
剣の名は、『ディフェンダー』。
剣の中では、中位に位置する攻撃力を持っているが、もう一つの値として、物理防御も兼ね備えているのだ。
それを、盾としてミーナは、帝国兵の銃弾をから身を護る。
両手剣のディフェンダーは大きく、横幅もそれなりに広い。ミーナの体半分は隠してくれるほどだ。
帝国兵の銃弾がディフェンダーと、はみ出たミーナの半身を捉える。だが、その殆どは弾かれていしまう。
だが、数発は確実にミーナに当たるものの、負傷する程のダメージは無かった。
彼の装備している服やブーツには、特殊な繊維が織り込まれている。錬金術にて、金属を繊維状に加工して、生地の中に織り込まれているその金属の名は、『アダマンタイト』。
強度には絶対的な信頼の有るその金属繊維のおかげで、ミーナは銃弾をものともしない。だが、服を貫通して痛みが襲う。それはまるで、BB弾が当たった時の痛さに似ている。
「いたっ!? いたたっ!!」
肉体には届かない金属の弾だったが、衝撃は貫通するようで、痛みがミーナを襲う。たまらずミーナは、ディフェンダーを地面から抜くと、住宅の窓に飛び込む。
ガラスを割った時の痛みも負傷も負わずに、済んでホッと一息つくと、直ぐ様壁に背中を預ける。そして、直ぐ様M4モドキで応戦する。
帝国兵は、マジックアクティベーターを使い、魔法防御を固めると、ミーナにゆっくりと迫る。
「おい、アイツの武器、見たか?」
銃を構えながら、一人の帝国兵が口を開く。
「いや、よく見えなかったが……」
隣に居た仲間が答える。
「そうか。なんか黒くて、よく解らなかったが……。俺達が持つ物でも、ミーティアラ王国の連中が持つ、それとも違っていたな……」
「発射音が、三回に聞こえるから、三発一気に出てるみたいだな……」
ミーナに近づくにつれ、帝国兵達の声は小さくなっていき、次第にささやき声ほどまで小さくなった。
その後方から、一台の戦車が、路地を破壊して出てくる。
戦車を見たシンジはチャンスと見て、直ぐに戦車に向かう。
有る一定の距離近づくと、コンパウンドボウに爆発する鏃が付いた矢を番える。
戦車は、兵士達が近づく方向に砲身を向ける。そこは、シンジの正面だ。
コンパウンドボウを引き絞り、矢を射る。
命中力の『限界突破』をしているシンジの矢は、目標を確実に捉えた。
戦車が、ドボンと音を当てて、車体を飛び上がらせる。
「やったか!?」
シンジが戦闘開始から、初めて声を上げる。
この時、初めてシンジの存在が帝国兵に発見されてしまう。
ミーナはシンジに攻撃が集中しない様にする為、グレネードを一つ、帝国兵の集団に投げる。
危機を告げる帝国兵士の声が響き、次いで大きな爆発が、帝国兵の集団の真ん中付近で起きた。
シンジとミーナが、残存兵を無力化する為に行動を開始しようとした時だった――――。
後方から、大きなドンッという音が聞こえ、シンジは急激な爆風に吹き飛ばされる。
「シンジ君!?」
ミーナが大声を上げて、住宅から身を乗り出した時、更にドンッと音を聞いた。
耳元に風切り音を聞いた。
ミーナの後方から、爆発が起き、衝撃波がミーナの背中を強く押したのだった。




