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全身鎧を着た魔法使い  作者: 大和 改
二大国家戦争
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戦車戦の始まり

 ミーティアラ王国の王城は堀で囲まれている。

 王城へと入るには、堀にかけられた橋を渡らなければならない。そして、橋の前は大きく開けた場所に成っている。

 これは、式典などを行う際の会場として使われる場所であった。


 アレクシア帝国軍襲撃から一時間と少し過ぎた頃には、ミーティアラ王国兵とウンディエネの民兵はこの広場まで追い詰められていた。

 大きく開放された王城への門には、ウンディエネの住民が押し寄せている。

 ミーティアラ兵、ウンディエネの民兵は人々を守る盾となるべく、陣形を取る。だが、彼らは戦車砲に対しては無力だと知っている。

 それでも、『命に代えてでも守るのだ』と覚悟を決めていた。

 構えた盾に、防御魔法であるプロテクションを掛ける。

 更に前面には、『ヒュージ』の特性付与魔法を追加した、プロテクション・フィールドを展開させる。

 高さにして約2メートル幅2メートル程の大きさになった、魔法の壁が物理攻撃を防ぐもう一つの盾になる。


「各隊、マジックアクティベーター構え! 自分が最強と思う一撃を用意しろ!」


 指揮を取るのは、ミーティアラ王国にこの人ありと言われる剣聖ザイアン・ストーリス。

 ザイアンは、剣聖の証である特別な剣を掲げる。


「魔導銃部隊も、構えろ! 魔導車はいい、歩兵に攻撃を集中させろ!」


 ザイアンの指示に、兵達は大きな声を上げて返事をする。

 この場所を最終防衛ラインとして、帝国の侵攻を食い止める為に決死の覚悟をもって立っている者達。

 しかし、依然として住宅地にて戦闘するミーティアラ兵とウンディエネの民兵も居る。

 だが、戦況は確実に帝国に傾き、決して揺らぐことは無かった。


「まずいわね……」


 ザイアンの横には、リリーア・ニルス・ミーティアラが立っている。

 兵達は彼女を『旗印』として考えていた。だが、ザイアンは違う。

 彼女の『目』を当てにしていたのだ。

 リリーアは『色』で、敵が何処を攻撃しようとしているのか、見分けることが出来る。使える手は例え王族であろうと、使う、トーマス・ロッツ・アクリバル苦肉の策である。


 シンジ達は未だ、住宅の路地を息を潜めて進む。

 気が付けば、三十人以上の大所帯となっていた。その中には、負傷して置き去りにされた民兵や正規兵も居る。

 負傷していた兵士達は、的確に処置を受け、シンジ達と共に、民間人護衛につく。


「っかし、参ったね……。向こうはドカバカ戦車砲で壊しまくり……。こっちは、有益な対抗手段は無しと来たもんだ……」


 路地の影から、大通りを悠然と進む戦車3台を、シンジは睨みつける。


「ん~……、戦車砲の砲弾の構造が解ればなんとか成るかもしれないけど……」


 シンジの背後に居るミーナもまた、戦車を見つめていた。


「とは言え、補給を受ける様子も無いですからね……。と、なれば砲弾は戦車の中に潤沢に有ると見て間違いないでしょ」

「そうだね、一番良いのは無傷で一台確保出来れば……」

「まず、無理だね……。護衛の為か、歩兵がウロチョロしてるし……」

「だねぇ……」


 二人は大きく溜息を吐いた。


「打つ手無しですか……」


 二人の後ろには、アルフ・フォルン・アレクも居る。

 意気消沈した様な声を聞いた、ミーナは少し考えを巡らせる。


「無くも……無い……」

「ミーナさん、どういう事?」

「コイツを上手く使えば、戦車を破壊できるかもね……」


 ミーナは、シンジとアルフに腰から下げていた手榴弾を見せる。


「コイツで? どうやって? 魔法の爆発でしょ? 爆発魔法は、ここの人達が散々戦車に当ててましたけど……」


 シンジは怪訝そうな顔でミーナを見る。


「外側からなら、現実世界でもダメージを与えられるくらいで一個で破壊するのは不可能だね。でも、『握った爆竹』ならどうかな?」


 ミーナの最後の言葉に、シンジは驚きの表情を見せる。


「なるほど、内部で爆発させるって訳か!」

「そう、それなら、確実に破壊できるよ」

「でも、どうやって? 出入り口のハッチは開けそうに無いですよ?」

「何も、乗降ハッチを開けさせる必要は無いさ。主砲の砲身内部に突っ込めば……、あ!?」


 ミーナが上げた大きな声は、その場に居る全員に緊張を走らせた。


「どうしたの!?」

「シンジ君に渡すのがあったんだ……。遊びで作ってみた物なんだけど……」


 ミーナはアイテムボックスから、黒いコンテナを出した。

 コンテナの中から矢筒を出して、シンジに渡す。


「矢筒?」

「そう、その中には特殊な矢が何種類か入れてあるんだけど、その中に、刺さってから爆発する仕掛けを施した矢が5本入ってるんだよ」

「え……?」

「映画でそういうの見たから、魔法世界なら実現可能かな? って作ってみた。案の定、魔法は何でもありだね」


 ミーナはニコリと笑って見せた。


「ああ、つまり俺にヤレって話ですね……」

「レベル100狩人ハンターの腕の見せどころだね! まぁ、俺も陰ながら援護するよ」


 シンジはくたびれた表情で溜息を吐くと、矢筒を背負う。

 一本のを抜くと、コンパウンドボウに番える。

 ミーナも、M4モドキを構えた。


「アルフさん、俺とシンジ君二人で先行します。とりあえず、待機でお願いします」

「ちょ!? 二人でですか?」

「良いかい? ゲーム時のスキルを思い出して。俺とシンジ君ならなんとか、撹乱からの攻撃が出来るはずだよ。状況に呑まれちゃ駄目だ」


 ミーナの言葉に、シンジは背中を押された気分になる。

 アルフは、後ろに控える兵達と住民にミーナの意向を伝える。そして、ミーナに了解の意志を告げた。


 こうして、ミーナとシンジ二人の小規模戦闘が始まるのであった。


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