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反撃開始


結衣さんが命懸けで私を逃がして聖域に送り出して、第3の試練をクリアしてからどのくらいの時間が経ったのだろう


荒廃した大聖堂を目の当たりにし、激しい戦闘が繰り広げられた後はすぐにわかった


ステンドグラスは粉々に砕け散り、燭台も祭壇も荒れ果てて、

面影もないが、、、かろうじて見つけられた

マリア像の欠片から、ここが礼拝堂であったことが伺えた



何とか、瓦礫を抜いながらがむしゃらに下っていった先でようやく1階にたどり着いたことに少し安堵する


ここが、、正門の、はずだ

この先に、薔薇庭園が続いていた

なのに、咲き誇っていた薔薇園も、周辺の木々も全て根こそぎ消失し、更に地面に大穴が空いていた


この辺りは…教会長と結衣が闘っていた付近だ


「………」



そのあまりの壮絶さに言葉を失う


数百メートル先でシスターだろうか


「一般市民?!ここは立ち入り禁止です、一体どうやってー」


「待って下さい 私はーエクソシストです、」


私は銀のロザリオを掲げる



「まだ、生き残りが ・・」


「他のエクソシスト達は、何処へ行ったか知りませんか?」


2人は顔を見合わせて 言うべきか迷っているかのような表情を浮かべる


「始まりの悪魔

とその魔人が、地獄の門を開きました


教会長様方は、彼らを追って、地獄へ」




「なんですって?!」




私には、地獄に行く力なんてない


今から扉を開くことが出来るとしたら、それはー


最後の試練を受けて天啓を得るしかない




このまま、逃げてしまおうか


一瞬、麻薬のような誘惑が私を誘った


何もかも放棄して、私は普通の、学生になる

残された時間を、ただ普通の青春を送るためだけに費やすのも、悪くはないかと思う



……でも、結局、私はー


正門に背を向けて荒れ果てた教会へ踵を返す



フラフラと宛もなく、瓦礫をかき分けながら、

かろうじて破壊を免れていた吹き抜けの階段を登り、

バルコニーの一角、


柵を背に力なく項垂れている瀬野を見た


一体、何がー

声をかけようとした刹那、足元すぐに、手持ちサイズの拳銃が落ちている

よく見ると、ブロンズ色の長髪、顬から首にかけて赤黒く染まっていた


なんでー、


ふと足元近くに拳銃の他に小さな紙切れが落ちているのを見た


写真…?


それは、文化祭だろうか、色とりどりに飾り付けられた校門前で、メイド服と執事のような制服姿で笑っている柚と瀬野の写真だった

…………


写真の裏にはこう書かれていた


《ここは、地獄だ

現実こそが、


この何処にも居場所がない

家族も身寄りも誰1人いない

帰る場所がないこここそが、私の現実》


血が滲むほど強く拳を握り締める



「ばっか野郎がー!」


小さく吐き捨て、バルコニーを後にする



ー瀬野が柚のことが好きなのは気づいていた

ずっと前から


でも私は結衣を選んだ

本当は柚をフォローしなければならなかったのに


でも何故だろう

何故あの時、柚は結衣をあんなにも拒絶したんだった…?


この寮に、結衣を招いたとき、柚は結衣を見るなり取り乱して、めちゃくちゃに壊した


柚はずっと虐められていた 中学の頃、彼女に復讐という名の誘惑で

あの女生徒、、あの女は、



「あなたも私も、ただの被害者なのよ、ここにいる人は、皆ね」



「……もう、終わらせましょう。この馬鹿げた洗脳をー


過去を知っている人物ならここにいる!




不意に柚のあのときの悲痛な面持ちで呟いた言葉が脳裏によぎる


柚ー、、、


今なら、最後の試練をまだ見ていなくても、何となく、わかる気がする


どうしてだろう、それはほぼ確信に近い

感覚だ

心の奥深くで、そう思える



第3の試練を受け入れたから? 洗脳が、溶け始めている


それは、1番最悪の、予測

私は1番信じてはいけない人を盲信し、手を差し伸べてくれていた多くの友人を、家族を、切り捨てた


洗脳

ただそれだけの恐ろしさと、それだけでは許すことができないくらいの罪を

私は数え切れないくらい犯した


……何故だろう つい最近までは、怖くて仕方がなかった。


過去を知ること、向き合うことがー



依存とも執着とも違う、義務、 盲信に近いかもしれない

寮で暮らし始めてからも、私は知ろうとしなかった


なぜ多くのシスターが彼女に近づかないのか

なぜ彼女と話そうとしないのか

なぜそこまで彼女を悪く言うのか


柚や瀬野が、渾身の思いで引き止めてきた意味を、

私は何一つ知ろうとしなかった


私たちは絶対的な味方でなければならなかった

私にとっても、結衣にとっても


第3の試練が終わってから、冷静に頭が働く まるで、長い洗脳から溶けたような目覚め


柚たちは結衣に反逆しようとしている

結衣と手を組むことで、

2人ははルフィアを目指していた だが2人はおそらく場所を知らない だから魔人の結衣に協力したフリをしてはルフィアに連れて行ってもらうつもりだった?


それなら3人が地獄に行った理由も分かる

でも、、何のために…?

はルフィアの理想、はルフィアが目指す新世界


それには

エクソシスト協会を敵に回すということは政府をも敵になるということだ。世界中から追われるみに、反逆者となってでも、

やらなければならないことが、ある…?


私にできること、それはただ1つ、試練と向き合うことだ

そしてー



聖域は無事だった

まるで私が来るのを待っていたかのように、周囲とは隔絶された空間


……自然と足が止まり、前に進むことを躊躇っている


これさえ、終われば、私はまた闘えるようになる


知らなければならない

本物の過去を、



かつて通り過ぎた私の罪、


これが最後だ

私は私の意思で、決めるんだ



「待つんだ 斗真」



居るはずのない人物の姿に硬直し

肩が跳ねる


「これを見てはいけない 私の全てを話す

私の契約、私の過去、だから」


「葛城神父 ー」


振り返った暁、すぐに振り切るつもりだった

彼の静止のせいでもう何度となく 不意にされてきたから


だけど、

想像とそのあまりにもかけ離れた姿に目を疑い足が止まる


艶やかな漆黒の長髪は 焦げたかのように煤だらけで、見る影もなく乱れ、

全身をぐるぐる巻きに 無造作に巻いた 包帯、杖を支えに引きずるように歩いている

左足からは

赤黒く染まり今も滴り落ちて いる

目を背けたくなるような痛々しい姿だ


天使の気配は何処にもなく、

契約が切れているのがすぐにわかった

首に、禁忌の呪印が刻印されていたから

これは天啓を受けたエクソシストと、その契約天使が契約を違反したことにより天界を追放されたことを意味する

契約の違反は主に、交わされた契約を自らの意思で遂行不可能となる程の致命的な損傷を受けたか、

またはもう1つ、

堕天と言われる エクソシストの中では最大級の大罪

、殺人 に手をかけた どちらかしかない

そして、きっとそれは後者であることを物語っていた


「契約を、切ったのですね

私を止めるためだけに、


なんて馬鹿なことを


あなただってわかっているでしょう?!

柚が死にました 瀬野も、上のバルコニーで死んでいました


守れなかった、誰も、あなたのやり方では、誰も、何も救えなかった!」



「私は、君が生きてさえいればそれでいい」


ボロボロの身体で、

優しく微笑みかける


何で、そこまでー


喉まででかかった言葉を飲み込み、対峙する


もうわかっている。彼が何故そこまでして過去を隠そうとするのか、


この人は、知っているから

私の罪の全てを


そして、私が最後の試練を超えたとき、私がどうするか、その先の未来も、予想している、否、知っている のだ、見てきたから、

彼はきっと何度も経験してきただろう



「君にはー未来がある

そうだろ?

エクソシストでいられなくなったって、戦えなくなったって」


「先生ー


私は、彩香を見殺しにしたんじゃない 私が彩香を殺したんです」



「あのとき、柚に魔水晶を渡さなかったこと、先生だけが私の味方でいようとしてくれたこと、本当は、今でも少し嬉しい気持ちがあるんです

そこから全てがバラバラと音を立てて崩れていったのに


もう、やめにしましょう 夢を見るのは」


「やめろ、、」


「失敗した世界を、あなたはずっとこの目で、見てきたから、嫌というほどわかっているでしょう

何もしなくても私に未来がないって」


「それ以上、いうなー」


「そろそろ、目を覚まさないと

私のために、命をかけて戦ってくれている人のために、

だから、行ってきます、先生」



「どうしてー、大切な人は、皆去っていく

ルーエンも、君も、」


しゃがみこみまるで子供のように顔を覆い




「私なんかのことを、ここまで思ってくれて、ありがとうございます

でも、未来は絶対的な予定調和じゃない

世界線を移動なんて、大それたこと、した事ないから、やっぱり私には分かりません。先生たちイデアの使徒が、いくらパラレルワールドが存在していて、たくさんの私や皆を観測してきたと聞かされても、


本来なら、人間はいつか死ぬ生き物です

ドルジ神父たちだけが、神の領域に立ち入ってしまったから、見えなくなってしまっているだけで


死が確定していたって、覆せるかもしれないじゃないですか

ほら、この世界線の私だけ、奇跡的に生き残るかもしれない

未来は分からないからこそ、未来足り得るのです」



……………

呆気にとられたかのようにへたり混んだまま、の神父の頭をそっと撫でる


もう、自暴自棄になったりしない



「信じてください 葛城神父」


……2hour after……………………………………………




「遅くなってすまない

……終わったか?奴は?」



「現実世界に閉じ込めました 本物の、彼女がいるべき場所にー

戻ってももう彼女の精神は使い物にならないでしょう」


「俺は試練の間に斗真を迎えに行ってくる」


それは許されない

5キロ県内に計測未知数の脅威の天使の気配がある

教会長が蘇って

凄まじいスピードでこちらに向かっている

今すぐに最下層の魔窟からハルフィアまで飛ぶ必要がある」


「斗真を置いていけるわけないだろ

だから斗真を解放したんだろう?!」


「彼はどちらの味方でもない

だから神父たちに殺されることはない」



「約束したはずだ

何があっても斗真を守ると」


「彼は私たちに屈さないでしょう」


「あの天使の気配が近い

彼は3つの試練を超えた

今 最後の試練に向かう聖域のすぐそばにいる


もう彼を止められない

私たちができることはもうなにもない 」



「………そんな、、

馬鹿な、、」


「彼は最後の試練すらも乗り越えて、私たちの前に立ちはだかるでしょう


天啓が戻れば、もう死の運命に怯える必要はない」


「そんなものはどうでもいい、

いくら運命が覆せたって、


君はあれを、あれを全て知られても構わないと…?」



「私は諦めない 例え、見方が誰1人いなくなったとしても


もう契約は切れているのだから、あの青年に命をかける必要はないでしょう」



魔人にすらならずに、その苦痛は 計り知れないでしょう


私たちが導いてあげましょう

貴方の能力ならば

魔窟にはまだまだ協力な悪魔がいる

私が仲介者になりましょう」


「リヴァイアさんは堕天しても私に力を貸すことなく去っていった

それでも新たに悪魔と契約することなどできるのか?」


「あれは数百年、1度も天界から追放されたことがない上級智天使だった だから相性が悪かっただけ、貴方ほどの逸材は、ここで伽ラセルのは忍びない」


「……」



音もなく最下層は静寂に包まれていた

ただこの世のものとは思えないほどのおびただしい数の瘴気と悪魔の気配が蠢いている


最下層、魔窟を開くために 手を翳した彼女の掌から

淡い光が彼女を中心に広がっていく



「そうやって皆を洗脳してきたのか、 」


不意に葛城神父は声をかける



「強い悪魔ほど人間の負の感情を、欲します

精神をギリギリまで追い込む必要があります

あなたの全てを解放して下さい


教会長は復活しています

貴方を謀反と認めて各協会に声明が出されています

エクソシストはもう貴方を救わない


天使にも悪魔にも見限られたただの哀れな人間


イデアに見初められたとでも勘違いしていたのね

本当は、ただ穴埋め要因が欲しかっただけ なのに


そこに人間的な感情を殆ど持ち合わせないくらい

冷酷な貴方の性格をただ利用され、

住処と職を補償してあげる代わりに

契約を結んだ

そこに絆や愛など存在しなかった


今、貴方は誰からも見限られ、天啓を失い行き場のない怒りと無力さだけが執念のように貴方を突き動かす

封印されし者ども、今こそ、

この者に力を、ー

この者の精神は不屈の

魂を宿す 並大抵の人間にはない 能力を

宿している

かつてあの序列 リヴァイアサンと契約していた

イデアの使徒の一人であるー!



召喚の儀式ー、

幾何学的な紋様が、紫色に輝きを放ち出す

禍々しい気配が扉の向こうより 蠢きあいまるで彼の訪れを

手招きしているかのような紋様にさえ思える


儀式 唱え終わるかと思われた刹那、激しい爆発音と共に入口が瓦礫と共に完全に

瞬く間に足元の地面に亀裂が走り

足元が宙に浮く 浮遊感

支えを失い 真っ逆さまに

落ちていく


「ー無駄な悪あがきをー」


ボロボロに崩れた 瓦礫を軽く払い除け立ち上がると、地面に蹲る葛城神父に向かって大剣を振り上げる




「彼を殺すのは、、得策ではないと思うけど?」


刹那、第三者の知らない 声に振り向いた 彼女は



魔窟に転がっていた死体の1人か起き上がり尋常ではない力で腕を捻りあげている


すぐに気づく その上記を逸した能力と

煌々と輝く 背後の聖天使 に


彼女は振り上げていた大剣を怒りの滲んだ表情で無造作に放り捨てる



「やれやれ、、荒療治だなぁ」


うずくまっていた葛城が立ち上がり不敵な笑みを浮かべる


「納得いかないって顔だね 、説明してやるよ」


「ドルジ教会長は復活するまでの間は姿形を自由自在に変えられる

どんな小さな隙間も入り込める小さな蝶にも


君は恐ろしいほど気配に敏感だから、復活したと見せかけるために半径100キロ圏内のギリギリまで近づいて、

その後は人間と程遠い姿になり気配を消してここまで入り込ませた

しかしいくら気配を消せると言っても強力な磁場を歪ませるから

君にはバレてしまう

そこで更に強い邪気で上書きする必要があった。そこで魔窟だよ

利用できる人間を1人でも増やしたい君は、何の疑いもせずに私を魔窟へ連れて行った」



「この爆破は、説明がつかないはず」


「気になる?君でも興味を持ったりするんだね」


「魔窟の下にはね、巨大な穴があるのさ


魔人になれなかった哀れな人間 なり損ないの墓場だよ


そこに今回の戦いで命を落とした エクソシストや神父の死体を集めた

君が教会長と銭湯している間に、私と朔夜の2人がかりでね

朔夜は入れ物を破壊したことになっているから、今は転送陣で国会議事堂に向かってるところさ

はるフィアを

この爆破騒動、地方の協会の襲撃事件の全てを悪魔崇拝教団はるフィアと断定した、と突きつけるためにね


君たちは全国の指名手配者だ


エクソシスト協会の本部を破壊して、イデアを壊滅させるつもりだったんだろう?

あと一歩だったね

地方の協会を襲ったのは早計だった」



君がご高説を垂れているその間に、私が 密かに 魔窟に仕込んでいたダイナマイトを爆破させて

出来上がり

全てここまで君を誘導するため

君と押し問答している馬鹿げた時間も、無意味ではなかったってことだ

死体さえあればこの状況は直ぐに出来上がりってわけさ 」



「随分変わったね、葛城君」


「ええ、もう、過去には縋らないって決めたので」



「さあ、もう出口は何処にもない

地下100mでは 回線はもちろん、君の高性能小型通信機も流石に

応援も呼べないね

さあ、地獄の門を開いてもらおうか

魔人 リリア アドルナート

それとも、もう一度僕と闘うかな?」


「門を開けたとして、貴方たちでは決してリーダーには敵わない 理想の世はすぐそこまで来ている、今に政府なんてなんの力も持たなくなる」


「僕らだけでは 確かに彼には勝てないかもしれない でも、、イデアの使徒が集結したら、 そのために何十年もかけた計画を、一人の人間の人生を狂わせるほどに準備してきたのだろう?



「あの男は第4の試練に必ず失敗する そのために奴が孤立するように仕向けてきたのだから」


「人間を、甘く見るなよ 魔人 」



これは私の執念の闘いだ


ここからは、私の意思だ

















……………………………………………………………



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