表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/42

想いの強さ


「柚……!!」


扉を勢いよく開けて乱入してきた人物に目を疑った


結衣と一緒に階下にいるはずの斗真さんだ


塵とも砂とも取れないものに 制服だけを強く握りしめている


「どうして、ここにー」


そう言いかけた刹那、おぞましいほど背後で殺気を感じた

悪魔の瘴気とも魔人の気配とのどれとも違う感じたことのない


フードを深く被り表情は読めない だけど、その制服と、髪型、そのどれもが数時間前に会って助けを求めた瀬野さん、張本人だということが嫌というほど分かってしまった


バン…!


轟音と共にそれはあの人に向けられたものだと気がつくのに数秒かかった

私は彼が加勢に来てくれたとばかり思い込んでいた


掠めた銃弾が彼の頬の血が伝うのを目の当たりにするまではー


「…せいだ、」



「お前のせいだ、、」



猟銃のような散弾銃のような巨大な銃が再び振りかぶられた刹那、私は咄嗟に足が動いていた


そして斗真さんの背中を突き飛ばしたのは、ほぼ同時だった


「瀬野さんー!止めて下さい!

柚ちゃんは、、自分からこの結末を分かってて、契約したんです…!」


それに今斗真さんを狙うのはおかしい

彼は寧ろ被害者だ


「悠真、騙されるな、この女が故意に桜田も斗真も連れてきた 悪魔と契約させることを前提に、

こいつは ドルジやあの狂った側近の仲間だ!」


ー!


葛城神父…!どうして、、そこまでして、、

向こうの世界で、居場所に馴染めなかった私に何度もアドバイスをくれて、優しくしてくれた

一瞬だけ唐突に抑えきれない感情が湧き上がって

俯く



「散々な言い草ですね、葛城神父、」


顔を上げると純白の光り輝く翼を左右に、光沢を放ちながら歩いてくる

朔夜さんを見た


「私は狂信者ですか、まあ、良いでしょう、」




「まさか、天啓が、なぜ…!」



「あなたが瀬野さんを連れて戻ってきた、そしてその戦闘の間に、時間を作ってくれた間に、ようやく召喚を封じている元凶がわかりました」


「元凶…?」


私の質問には目もくれずにキッと葛城神父を睨み付ける


「ずっと騙されていました

あなたはイデアの使徒の中でも異質で、記憶だけしか共有できない普通の人間だったはず

だから我々はあなたの生死に関係なく見届けることもなく次の世界に渡りその世界での葛城に我々の情報と記憶を与えていた



まさか時間跳躍の能力をもつ悪魔と打点して我々と同じように飛んでいたとは、、まだ完全な悪魔ではない半堕天使、瘴気もない聖水もきかない、だからこうやってエクソシストの目も眩ませる


そして、何も知らないもう1人の自分を、我々が接触する前に、しまつしていた 違いますか?」



「…!始末って、、」


…………………………………………………………………………


何なんだこの異空間は

まるで別の世界に迷い込んたかのようだ


こいつは味方だ、こいつは敵だと罵りあい、数十秒後には

砂のように跡形もなく消えていった柚の名前1つ呼ばずに、全然関係のない話をしている


地獄だ

人間が1番、

狂ってる、皆、全員ー


闘いのゴタゴタに紛れ、柚の制服のリボンだけを手に取り部屋を後にする


警察と警備隊が防護線を貼っていて

入口に強大な瘴気の固まりを放つ悪魔とそれを操る魔人と、人間離れした動きで 迎え撃っている小さな少年がいる


ああ、あれが協会長か


《ああ、君はー精霊か

本線には不向きだね 残念だけど待機してくれ》


《柚は、柚は本当に大丈夫なんですよね?!》


《ああ、より天啓の能力を引き出すための、短い訓練期間だとでも思ってくれ、分かってくれるね?》



…………………


ユナン神父と葛城神父は、俺の道標のような人だった。

迷ったときや、困難に立たされたとき、いつも2人が俺に正しい答えを導いてくれた。

それに、俺の命の恩人だった。



多くのエクソシストが身の安全のために、もう為す術はないと治療を放棄した。

だけど、アトランティス教会のエクソシストだけは俺を見捨てなかった。



あのとき、俺の中で希望の光がさした。

最初は、命の恩人である彼らに恩返しがしたい、それだけの理由でエクソシストになった。

だけど、だんだん彼らを尊敬するようになった。どんなに傷だらけになっても、決して怯まず立ち向かう強さに、

感謝の声よりも非難の声の方が大きかった。

それでも、彼らは決して諦めなかった。だから俺も、闘おうと思えた。


生きる意味など湧かなかった


そう言ったら引っぱたいた後、手を握って一緒に泣いてくれた



確かに誠のエクソシストだった。

なのに、誠のエクソシストであるはずの彼らが犯罪行為に手を染め、神に身を捧げ、強い信仰心で結ばれたはずの天啓すら俺はもう信じられない。

分からなくなった。



《悠ちゃん!!》


《シスター、、いきなり、知らない黒仮面の人達が、

襲いかかって、はるフィアの手先でしょうか?》


《違う、これは、研究所のーいいえ、葛城神父様の

裏切り》


《どういうことですか?!》


俺は聞き逃さなかった


エクソシスト病という病についてアンプル開発のために病院や協会の地下に研究所が作られたこと、

実際は

発症患者のを閉じ込めて地下に研究所を作って人体実験や解剖をしていたこと

犯罪者や出所後の犯罪者を狙って全く関係のない人々も巻き込んでいたこと


そしてそこのトップが、、、



だけど、円城寺を必死に庇うあの女をみて、殺気も怒りも何もかも消えていってしまった


守りたいと思える人が出来た

ずっと傍にいたかった


仏頂面で、何1つ気の利いたことすら言えずに、いたくせに、

笑えるだろ?


柚のために、出来なかった虚しさと自己嫌悪だけが胸に蟠りのように残っている





1発だけ残っているポケットに入れていたハンドガン


俺はいつもそうだ

肝心なときに強さも器量も、何もかもが中途半端だ。


ごめん、柚ー

守れなくて、ごめん



ーーーーーーーー


《君の契約内容がわかった 結衣君》


そうどこか疲れた表情で私に告げたのはこの日のわずか前日のことだった


《ずっと過去の世界線をたどってた

いつ、どこでかけられたのか、大体予測はついたから、時期だけ絞って枝分かれした5万世界戦ほどをね


君がかけられた破れぬ誓いの代償は、、その誓いは、、

彼だ、まさに、円成寺君、

彼が死ねば君の呪いは溶ける、そして、彼だけが君を、傷つけ、殺すことも


……

そしてその誓いを立てたのは、、》


《ドルジ神父?》


《いや、何でもない、とにかく、彼だけには接触させてはいけない 多分、物理的な接触で記憶が流れ込む

可能性が高い、そして、君は今とても異質な存在だ。知られるのは契約だけじゃないかもしれない 数多の世界線の記憶や情報が大量に彼に 精神はもたないだろう

彼に弱点を知られては、敵であるうちは、絶対に避けなければならない》


………………





頭を抱えたままうめき声をあげてしゃがみこんだままだった彼がフラフラと覚束無い足取りでたち上がる

表情は読めない


計画の失敗を意味していた

逃げなければ

頭では司令を出しているのに手も足も硬直したように動けない


朔夜さんと葛城神父が激しい攻防を繰り広げている


葛城神父が斗真さんに向かって何かを叫んでいる


ああ、そうか、彼もこの条件を知っていた、そして、



幾許かのち、呼吸を整えたのか彼はくるりと振り向きその見た事もない狂気的な瞳に寒気と悪寒が走る


ゆっくりと 覆い被さるように 短刀が振り上げられていくのをスローモーションで見ていた

ただ、見ていた



触れれば終わりだ った

でもどうしてだろう、今、この瞬間、私はあの決断を後悔していない自分がいる


なぜか走馬灯のように私のちっぽけな人生が頭をよぎる

知らない人間に、知らない世界に連れてこられて、他人のフリをさせられて、記憶も消されて、思い出して、何もかもを呪って、絶望して、


何度も終わらせようと思った



だけど、


私はこの、どうしようもなく精神が弱くて、自己犠牲ばかりで、手を差し伸べてくれていた人たちを皆を振り払って、助けも、求めずに、勝手に1人不幸になっているこんな、

過去に囚われて、記憶を改ざんさせても、それでも自分を追い詰め続けて、こんな人は見たことがない


でも私は、こんな、どうしようもなく弱いこの人を、私はー

放っておけない、笑って欲しい、幸せになって欲しい、そんなことばかり考えるようになった



キツく目を瞑り、どのくらい経っただろうか、

いつまでもやって来ない衝撃にうっすらと目を開ける

振りかざしていた刀は消え、少し離れた位置で俯き座っていた


…?


せない…


え?


………………………………………………………………………



「君は殺せない 」


早口で吐き捨てるように呟き立ち上がり目を背ける



彼女は呆気にとられたかのように放心している


私しか彼女の契約を溶けない

私にしか彼女を解放させることが出来ない



なんなんだ、この契約はー

馬鹿げている、性根が悪すぎる

一体誰が、こんなー

そんなことは、今は考えている余裕はない


それよりもこの人が全く無関係なただの被害者であるということー


結衣と同じ顔で、同じ声で、とても別人だなどと考えられなかっただろう、だけど、

連れられた経緯、封印され入れ替わった魂、

彼女の記憶を垣間見たおかげで、本物の結衣のことが少しだけわかった


ようやく、第4の、最後の試練が、彼女も葛城神父も頑なに隠そうとしていた最後の現実の全容が見えてきた気がした。


それは私が、心の底から拒絶していた最大の最愛の人からの裏切りにほかならない

だけど何故だろう、今は冷静に頭が働く



「斗真、何をしている、その女は敵だ、声も、顔も結衣にそっくりかもしれない、だがそいつは散々君を騙し、結衣を殺そうとし、柚までも、、


斗真、、!」


「中枢は完全には破壊されていません

試練の間の聖域のプロテクトだけは教会長でないと解除出来ない、つまり、本部が爆はされて塵になろうとも!まだ、試練は終わっていません


結衣さん!彼を、連れて行ってください

貴方にしか、出来ない」


「朔夜さん…

必ず、必ず帰ってきます」


あの男に投げ渡された何かを受け取ると強く手を引かれ目に止まらぬ速さで何か円陣を描く


数秒の後に強い線香が辺りに霧散して、


目を開けると、そこは先程までの場所と全く違う、照明は消え、瓦礫が散らばっている

だが私たちが走ってきた場所よりは比較的被害の少なく、それは以前にも見た事のある廊下だった


破壊された 瓦礫をすり抜けて

たどり着く、


クリスタルをちりばめられた 自然が作り出した巨大な石造りの壁に、


ここは、聖域ー

私が最初の試練を受け、そして失敗したー


上階の喧騒が嘘のように静まり返っており、水の滴る小さな反響音だけが児玉している



「あなたが途中で失敗した、第2の試練から、また始まります」


彼女がパネルを操作し巨大な扉が開く

中は青く薄い光を放っている


「もう助けは来ません

分かっていますね、


後ろは私が守ります、絶対に、ここを通さないと約束します」


……


「何故、あなたは、、私に、そこまでするのですか?」


これは、単純な疑問だった

入れ替わりを見抜けずに、連れてきたのは私だ でも、

私は気づいた後、散々酷い態度だった それは今の自分では無くて、記憶で垣間見た以前の世界線の私、

彼女のいた世界の私だ

だけど、きっと、私も同じ態度をとっただろう



「罪滅ぼしのつもりですか?私があなたを殺さなかったのは、ただの情だとでも?」


彼女は是とも非ともとれない感情の読めない表情で何も発さない


その余裕さが今の私には惨めさを際立たせて焦りか不安か、よく分からない感情がごちゃごちゃになっていく


「第3の試練が、彩香に関することだと、分かってはいます。何度も夢を見るからー

彩香の悲痛な叫び、憎しみ、怒り、



あなたが、なぜここまでして私に過去を受け入れることを強いるのか分からない!


全部知っていると聞きました

私の改ざんした全てを、、、




第1の試練も、第2の試練も、別に珍しくもない、よくある不幸な話なのに、こんなことで、こんな小さなことで、、

何度も現実逃避して、男のくせに

情けないと思うでしょう!?」


。「知りたいと思った

一矢報いて受け入れて、

復讐 してやろうと思った


だけど、本当はー

恐いんです

彩香や、結衣や、私にとって誰よりも大切だった

人達が、皆、私の都合のいい妄想で生み出した関係だったらって


みっともないって、こんな人間、関わるのもごめんだって、思うでしょう!?」



「……分かりませんか?私が貴方に力を貸す理由」


「え?」


ううん、自分よりも、他の誰よりも、 私はあなたを守りたい、助けたい、死なせはしない 」


……


一方的に感情が溢れ出した。こんなこと、こんな弱音をはいたって、自分の立場を悪くするだけなのに、、

それなのに、真剣そのものの表情で、私に

そんなことを言う




「何で、肯定しないんですか……

私が生きていたところで、あなたに何のメリットも

ない、あなたは、私を恨む権利がある 憎んだって、殺したいほどに憎んでも仕方がないことを私たちはしてきた、それなのに、どうして、、」)




「私はずっと、穢れや欲望を切り離して、一心にいのり続ければ、エクソシストとして、地道に人助けを続けていけば、私の祈りは聞き届けられると信じてきました。


私の天啓が切れたのは、彩香を見殺しにしてしまったから、それだけだって、ずっと、聞かされてきました、だから、何度も何度も後悔し、懺悔してきた、

でも、そんな祈りも、何もかも無意味だって、わかったんです。


私は彩香だけじゃなくて、多くの人間を欺き、記憶を自分の都合のいいように改ざんしてきた、何人も、騙して、能力を、悪用してー

私自信が、1番、穢れた人間ですー

だから、」


「穢れかいるかどうかなんて、一体誰が決めるんですか?誰かが、あなたにそう言ったんですか?」


「え?」


葛城神父は、あなたの罪を全て知っていました、態度が変わりましたか?あなたを遠ざけたりしましたか?あなたを、あなたがこれ以上傷つかないように、守ろうとしてくれている、全てを敵に回してでも、私とやり方は正反対だけれど、歪んだ愛情かもしれない、それでも、あの人の行動の全ては、愛情です。瀬野さんも、柚ちゃんも、フィオナさんだって、、

私は知っています。ここに、あなたをそんなふうに言う人はただの1人だっていない、


結衣だけが希望なのだとしたら、本心をぶつければいいじゃないですか、あの子に


ーえ?でも、結衣は、おそらく


敵とか見方だとか、生い立ちとか、人とか悪魔とか細かいこと関係なく、自分の気持ちを伝える、

本当に、愛していたのなら、、

簡単でしょう?



轟音が鳴り響く

それは 瓦礫で封じた入口が破壊されたことを意味していた


「さぁ、早くー」


「ま、待って下さい!試練に、失敗したら、私は、


「何度でも立ち上がればいい そうして強くなっていくのですから、」



「最後に、終わったら、あなたのことを、教えてくれますか?」


ーーえぇ、


振り返りざまに深刻そうに呟いた彼に笑みを返す

大丈夫、貴方はもう、怯える必要などない、


……………


「歪んだ愛とは、、随分失礼なことを言ってくれるものだな、」


「葛城神父、、」


額の至る所から血を流し、肩で息をしながら 長刀一本で支えながら 脚を引きずるようにして現れる

今にも満身創痍だ


「!朔夜さんは、、まさか」


「入れ物は破壊させてもらった 飛んだ超人だから、長くはもたないだろうが」


「…そんな、、同胞に、

そこまでして、、全エクソシストを敵に回してまで、何故、、私は破壊できませんよ、葛城神父、たとえ私の契約が暴かれようとも、

もうすぐ援軍が到達するでしょう

階下で戦っているドルジ神父も合流すれば、あなたは終わりです。」


「そうだな、俺も君が破壊できるなんて考えていないさ

斗真は必ず失敗する、だから、そのときまで時間稼ぎだよ 」


「斗真さんは全ての試練を終えて天啓を取り戻して

貴方の前に立ち塞がるだけ、あなたの野望は叶わない」


「例え世界中から追われる身になろうとも、斗真に試練など受けさせはしない」


その子供の意地のようにそれだけは強く言い切る葛城神父に、私は違和感を覚える



「葛城神父、最初あなたのことを敵だと、はるフィアの理想に通じている と、思い込んでいました

そして私やもう1人の結衣を心底憎んでいるとも


だけど、あなたはこの世界の結衣を殺す素振りもみせず、今、苦境にたたされているあの子の加勢にも行かず、自分の天啓を剥奪してまで使徒殺しをしてまで、私を止めに来た


そこまでして、彼の偽りの脚色された世界を守りたいですか」


「ああ、そうだ 」


やはり、そうか、


「彼がこの先も試練を受け入れられないと、あなたは未来を見てきたとでもいいのですか!?」


この人の行動原理は、全てー


「彼は弱い 弱くて、支えなしには生きられない脆い存在だ。

私は知っている ずっとこの目で見てきた 第2の試練までは何とかなるかもしれない、だがそこまでだ、次も、その次も彼は立ち上がればしない 」


「このままだと死の運命通り死んでしまうんですよ!?」


「死の運命などまやかしだ、人間が決めた不確かな証拠もない伝承」


「まやかしなんかじゃ、ないのを、あなたは誰よりもよく知っているはず、、どうして逃げるんですか?

「逃げる、、私が?」


「楽な方へ逃げるのは簡単です 虚飾の世界に閉じこもるのも

死の運命で彼が死を迎える度に、あなたはまた次の世界線で会える、そんなふうに考えてしまうようになってしまった 根本的な解決を、置き去りにして」



「人は簡単には変わらない生き物だ、私はそれを誰よりもよく知っている

どこの誰ともしれないお前などに、斗真のことを語るな!

彼は決して乗り越えられはしない、失敗し、今度は本当に、心に消えない傷を残すだけだ、廃人とかし、またあの時のように、」


「あの時?」


頑なに口を閉ざす 酷く悲しそうな表情をしたのを見逃さなかった


……………

この人も愛しているんだ、

やっぱり、信じられないような、やり方で



「大切なら、それほど大切に思っているなら、どうして信じてあげないんですか?」




「信じるのは容易い だが信じるだけでは神頼みだ、そうだな、信じるだけで願いが叶えば、こんな世界になどなっていなかっただろう」


「彼は成長した、確実に、前よりも強くなっています

救えなかったあの世界で、私は遺書を貰いました

改ざんしてしまった過去を暴いてほしいと、引っ張たいてでも目を覚まさせてほしいと、そして、私たちにはそれをする力がある、」



「それはただの思い込みだ、人間関係、環境、お金、地位、名声

取り巻く環境がどれほど移りゆこうとも、人の根本的な性格や、性分は簡単には変わらないものだ

考え方や価値観が変わるとしたら、それはー

もう本人ではない、別の生き物だ」


「葛城神父、、

人の性格も価値観も変わりゆくものです

斗真さんは、聖書の教えを頑なに守る人でした、どんなに辛いことがあっても、祈りは欠かさずに行ってました、

だから、

あの日、殺伐とするホームで、何があったのか、何を考え、どうして身を投げてしまったのか、本当のことは本人しか分かりません

でも、人は成長します、悩んだり、傷ついたりしながら、間違えることだってたくさんあります。でもそうやって、少しづつ変化していくものです」。


「あれは幻覚が見せた悪夢だ 自我などあるはずがない、あってたまるものか、、」


「私だって、思いたくないです!でも、私たちには止めることができる、変えることができる

もう同じ末路を、二度と歩ませません、私は、彼は必ず乗り越えてみせる、弱いままの、昔の斗真さんしか、あなたは見ていない!」


「……違う、君は何も分かっていない

紫苑寺斗真という人間の根本的な部分を何も理解していない!」



彼は試練の間に攻撃をしかける


勝てないと分かっているのにー、試練の間に入る資格などないのに、

相応の代償は計り知れない苦痛のはずー


なのに、何度打ちのめされても、何度拒絶され身を飛ばされても、

彼は歯を食いしばって立ち上がってくる


なんなんだ、この人はー、



「君こそ何者なんだ、」



思考を読んだのか立ち上がった葛城神父はぎロリといるような瞳で私を見る


「君が松永結衣に連れてこられたただの他人であることは最初から分かっている

別世界の彼女かと思ったがどうやらそれも違う この世界の結衣の容姿に君は最初に作り替えられたのだろう

イデアの使徒の典型を持ってしつも君の素性が分からなかった 」


諦めたのか、壁際に座り込み、

冷静に、抑揚のない声で独り言のように呟く


モニたーから小さな音と文字が


第3の試練 突破


たしかにそう書かれていた


「馬鹿な、あの彩香君の事件の真相を、受け入れた、だとー、そんな、馬鹿な、馬鹿な馬鹿な馬鹿なー!」


急激に立ち上がり独り言のように繰り返した後、フラフラと後ずさり座り込む


「君が正直ここまでやるとは思わなかった、ただの人間で、契約すら出来ない人間に、、ただの運で、ここまで、、」


「運……そうですね、結社のあの人が私を助けてくれたのも、ドルジ神父や、朔夜さんの仲間になれたのも、もしかしたら偶然でしょう。

私はあのとき生を諦めました、現実から目を背けて、逃げて閉じこもって、、それが私の最大の過ちです」


「でもあの人はそれを許さなかった この契約は、呪いです、私が簡単に諦めたりしないように、、でも、命を懸けて、託してくれた人がいる、朔夜さんも、ドルジ神父も、利害の一致はあるけれど、リすくを置いながらも私に協力してくれている、何より、頼まれましたから、斗真さんに、だから、これは運なんかじゃない想いの強さです、あなたは17年一緒にいて、わかったつもりになっているだけ、彼は必ず戻ってきますよ、葛城神父、そして、天啓を取り戻して、戻ってきたとき、笑ってイデアの使徒に迎え入れる、それが、私たちに出来る最初のことです!」



………………………………………………………………………







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ