本当はー
…………………2week ago……………………………………
エクソシストですらない私が、このとてつもなく膨大な作戦に力を貸すことになって数日後、ドルジ神父は祭壇に呼び出し、この世界の成り立ちやエクソシストや悪魔の起源、歴史を教えてくれた
「イデアの使徒が、この日ノ本で、エクソシストが滅びないように、間違った道を歩まないように、また、悪魔結社が力をつけ過ぎないように、エクソシストを滅ぼさんとする悪の道に進むならば、
間違った歴史を歩まないように、未来を変えるために、過去へ、いくつもの枝分かれした世界線を旅して きたことは話したね?」
「イデアの使徒は全員で5人だ。私と朔夜、そして葛城、もう2人は今は現役ではないけれど、かつては円城寺君も使徒の1人だった、そして、もう1人、ルーエンという優れたエクソシストがいた 彼は闇に堕ちてしまったから…実質、活動している使徒は3人だけなのだけれど
特に、我々、僕と朔夜はね、イデアの使徒の中でも特殊な存在でね、この、いまここにいる僕ら-以外は存在しない
通常、1つの世界線には過去の、自分がいる。同じような性格で、似た境遇で、同じ 仕事をしていることがほとんどだ。
でも僕らだけはね、どの世界線にもいないんだ。」
「なぜなら、人間じゃないからね 正確には、死んだ身体を動かしている いわば屍
僕らは、遥昔、今から500年はど前、イデアしんより、人が間違った歴史を辿らないようにそれを阻止する要となる最重要人物として、魂を宿した
この肉体は、心臓に刃が貫通したとしても、
首を切り落としたり、身体がバラバラになったとしても、また別の人間だった器に魂が入る
僕の身体は500年前から変わっていないけれど、朔夜は1度、結社の魔人と刃を混じえたときに、肉体が滅び変わっているからね
いわば、僕らは不死身だ 精神体だけになったとしても、生まれ変わることを定められた、祝福された魂なのさ」
祝福…?
500年もの間、死ぬことも許されない運命で、
、?
私には、とてもそうは思えない…
「信じられないって顔だね
まあ、死にも上限がある 大抵は
数十程度 で肉体は滅び 精神体と切り離される
その後は新たな器に 入ってそれで終わり
僕らも完璧な 神にはなれないということだ」
薄らと淡い笑みを浮かべてなんでもないことのように話す教会長に
理解出来ないものに対する恐怖か臨場感か、
手足が震えるのを感じる
ここは非日常が当たり前の世界だ
悪魔や天使も本当に存在するしそれを生業にしてる人達、そして、わけも分からないこの傷一つ付かない身体、、
分かっていたはずなのに…
私は、この人たちを、
「僕らが…怖い?」
だから、そんなこと、効かないでほしいのに
「そう、ですね、
私の世界の常識からは、何もかもが逸脱している」
「まあ、君のいた世界では、考えられないだろうね」
「私のいた場所のことを、知ってるんですか?」
「ああ、君のいうエクソシストがいなくても平和な世界というものが気になってね、ちょっと思念体になって探してたんだ。
ざっと50万世界線は見た
そして見つけた 悪魔が存在しないさら、魔人も生まれない、エクソシストがいなくても平和な街がそこにあった
宗教という概念は根強く存在を残したままあらゆる人種が宗教観 をもち
自由にそこに存在できる
これはまさに理想だ
イデア神も、本当は君のいた世界のような にしたかったのだろうね」
「どうして、、私にこの話を⋯?」
「⋯君は、とても純真だ
どんなに取り繕った聖人のような人間でも、誰だって裏の 顔がある どんな善意も最後には己の欲望
が主柱になっているものさ
だが君は、どの世界線でも、どんな環境にあっても、根本的な部分は変わらない
君のような魂は、とても珍しい
この世界に産まれおちていたなら、確実に強力な天啓を受けたエクソシストになれただろう
斗真もそうだ、たまにいる、そういう人間は、本当に希少だ」
「私は、、そんな出来た人間じゃありません」
「自死は、、悪だと思うかね?」
!
「とある宗教では、 擁護している宗派もある
聖職者がこんなことを言っては咎められるかもしれないが、
僕はー
救いだと思う 自分を守るための、最期のね
君を責められる人はー誰もいない」
フラフラと後ずさり膝を着く
「長い眠りを妨げて、、悪かった」
この人は、本当にー
心のどこかでずっと引っかかっていた何かがスっとおちた気がした
………………………………………………………………………
柚ちゃん…どうしてー
モニタールームからかすかに見えたその姿を見たときから、
私は少し焦っていた。否、予想外だったことを認めるしかない
柚ちゃんを堕天させるなんてー
白百合寮の寮生には手を出さないと思っていた、葛城神父はもう、手段を選ばないつもりだ
だったら、私もー
散弾銃を片手に階段を駆け上がる
「ー天啓が使えないなら、武器庫で武器を回収しましょう 」
「ごめんなさい、結衣さん…」
「え?」
朔夜さんと作戦の最終確認を話し合いながら走り、
中央制御室まであと少しというところだった
一瞬の瞬きの内に天地がひっくり返るような浮遊感
そして、意識が混濁する
次に目を開けたとき、私は見覚えのある教会の正門前にいた
ここ、はー アトランティス教会…
瞬時に理解する
私、転送されたー?
朔夜さん、、どうしてー
彼は天啓を封じられている 教会長だっていないのにー
たった1人で 立ち向かえるわけがない
私なら闘えるのに…!
千葉の教会まで2時間以上かかる
1人で戻るのは現実的じゃない、だったら応援を呼ばなきゃ、1人でも多くの、
アトランティス教会には闘えるシスターが僅かながらいる
それに、ユナン神父と、瀬野さんの力があれば…!
正門を開き中庭を進むに連れて異様な気配が漂い始める
歩みを進める度に立ち込めるむせ返るような錆びた鉄のような、よく知る嫌な匂い、
花壇は荒れ果て噴水はなぎ倒され
銅像も 粉々に砕けている
襲撃があったことは明らかで、葛城神父たちだけが脅威だと
思い込んでいたわけではない だけど、こんなところ二まで、
協会には、手を出さないと思い込んでいた。
全く関係ない人達まで巻き込むとは思わなかった。
小走りで闘える人が1人でもいないか全ての扉を慎重に開いていく
綺麗に手入れされていた庭園は荒れ果て
敷き詰められていた白いタイルは赤黒く染まっている
紫色のローブを身につけた 仮面の人間が至る所に倒れている
あのときと同じだ、最初の、あのα世界線の記憶が蘇る
最悪の想像を振り切って階段を無我夢中で駆け上がる
まだ、実験は行われていない だから、この襲撃ははるフィアでないこと
でも、葛城神父1人でこの規模の謀反を起こしたというのかー
一体誰が敵で、誰が見方なのかすら分からない
点在する血痕の先、聖堂の 壇上に背を向け、等身大の刀を地につけて
立ち尽くす人影を見た
振り返った瞬間、
表情も分からないほど顔面のほとんどの部分を真っ赤な返り血で浴びたおぞましい姿に身体が硬直し動けなくなった
しかし彼は興味が無いかのように向き直ると、フラフラと血の通わない瞳で遺体の所持品を漁っている
その見覚えのある制服と、ブロンドの髪型を見るまで、それが瀬野さんであることに気づかなかった
「せ、瀬野さんー!」
震える足を奮い立たたせて彼の元へ駆け寄り、血に塗れた制服の裾を引っ張った
生気の抜けたような真っ暗な瞳で瞳だけを動かし
私をみる
この世界線の瀬野さんを私はまだ見た事が無かった。以前から、近寄りがたくて、私のことをずっと憎んでいた
だけど、仲間に対しては優しい人であることを私は知っている
今すぐにでも逃げ出したい気持ちを抑える
庭に倒れていた酷い有様の 黒いローブの魔人なのか人間なのかも分からない
数えるのも恐ろしいほど倒れている
瀬野さんが、1人で⋯?
ううん、今はー
「瀬野さん、聞いて、千葉の、本部に、強力な魔人と 悪魔が攻めてきてー
斗真さんと、
柚ちゃんがー、
と、捉えられてて、応援が必要なの
今すぐにでも!」
震える声でうまく発せられたかは分からない、けれど一つ一つ呼吸を整えるようにしてはっきりと伝えた
柚ちゃんという言葉に、一瞬だけ、表情が変わったような気がした
長い沈黙のあと、彼は血濡れた刀を鞘にしまうと、フラフラとおぼつかない足取りで、踵を返し
聖堂を出ていく
聞こえていたのか、助けに来てくれるのかも分からない
それでも、今は彼を頼るしかなかった。
それから、荒れ果てた修道院を組まなく探したけれど、誰一人生きている人には出会わなかった
私も向かわないとー
繋がらない無線機を片手に私は静まり返った聖堂を後にした
………………………………………………………………………
甲高い耳鳴りが脳を掻き毟り、自分の体内を巡る血の音が聞こえる気がした。
しかし、不思議なことに拍動は緩やかに、最初の興奮が嘘のように落ち着いている。
もう1人の私が、客観的に私を見ている
まだ垣間見てすらいないのに、感情が溢れ出して制御の出来ない
どす黒く煮詰めた憎悪は、胸中に汚れのようにこびりついて剥がれない。
両手に無数の杭を操りながら、、その胸に憎悪を、瞳に狂気を漲らせ、
凄い……天使とリンクしてたときと違って痛みも何にも感じない…!
私は無敵だ、、!
ふと激しい頭痛に膝をつき今初めて我に返ったような気分になる
見上げた先、両手に短剣を手にした知らない男が血塗れで私を睨みつけていた
誰…
アイツじゃない…
ふと、闘いの前の葛城神父の言葉を走馬灯のようによぎった
でもすぐに理性は消える
「殺す、殺す、殺してやる。絶対に、殺して、やる……っ」
軋るような囁きは、尽きることのない呪いの言葉だ。
今やこの殺戮衝動だけが私の行為を後押しする。
呟きながら、視界がぼやける。
私の道は、もう1本しか残されていないのだと、悟った
………………………………………………………………………
召喚して小①時間
激しい障害反動もようやく落ち着いて目眩と頭痛、
動悸はまだ収まる気配はない、だけど、
「もう大丈夫、ありがとうございます」
ずっと寄り添って肩を支えてくれていた 彼の静止をそっと振り切り立ち上がる
一瞬自分のものとは思えないほどの身体の重さ
そして全身の血を描き巡るまるで自分のものではないかのような悪寒、
腕や足には無数の引っかき傷のような 裂傷と、
胸には契約の証である
呪石が禍々しい光を放っている
少しでも気を抜けば、すぐにどす黒い負の感情に支配され
私の精神は闇に堕ちるだろう。
歯を食いしばって立ち上がったとき、
そして、奴は現れた
「久々よのう、我が主」
2つに結ばれた紫色の髪、中央には小さな角、つり上がった朱色の瞳と、紫色に近い肌の色、
リボンのついた黒い制服のような服を着て、まるで小学生くらいの小さな女の子のような外見、
知らない人が見れば、誰だって悪魔などとは気がつけばしないだろう
大悪魔、ダンタリオン
冥界に君臨する中で序列は第9位、召喚に成功し人間に力を貸した例のある悪魔の中では1番最初の最古の悪魔、そして最強の悪魔いわれる、いわば始まりの悪魔
この悪魔の特性は人間の感情と結びつきが強く特に怨恨や憎悪を 好み引き出せば引き出すほど強くなる
奴に拷問を受けた者で生きて帰れた者はいない
拷問の悪魔という異名を持つ
忽ち負の感情で多い尽くし
契約者の 精神を乗っ取り殺してしまうか、契約の代償に必ず求める殺戮衝動 に狩られ 自らを滅ぼしてしまう、
適合できる魔人は5万人に1人と言われる
「久々に我の拷問の鎖に 耐えうる人間を見つけたから遊んでやっていたのに、
つまらん ところに閉じ込めおって」
こいつは半年ほど前、エクソシスト教会、ここのエクソシスト達に封印された
地獄と現世の境となる悠久の狭間と呼ばれる異空間にー
優秀なエクソシストおよそ5名が犠牲になって、ようやく封印を施した
でも今、私はその封印を解いたー
「招かれざる客が来たようじゃの、閉じ込めておったのに、もう抜け出すとは、流石神に魅入られた化け物」
教会長、ドルジ神父のことだ、彼が中枢である核に入れば一瞬で要人だけ転送されて、また逃げられてしまう
それだけは避けなければ
「結衣、何処に行くのですか?私を、置いていかないで下さい…」
縋るように服を引っ張る隣の彼の存在に気づく
「闘いに行かないと、教会長を止められるのは、私たちしかいないから」
「なら、私も…!」
「ごめんなさい、狙いは斗真さんだから、貴方の居場所が分かれば、すぐにでも奪われてしまう、防護術を貼ったこの部屋の近辺はしばらくは見えないようになる
私たちが戻るまで、ここに隠れていてください、
大丈夫、心配しないで下さい」
何か言いかけたが振り返ることなくセクターを出る、
「教会長の居場所は何処」
「まだ森の中だ でも凄い速度だ 数分もしないうちに入口
を突破されるじゃろうな」
彼は思念体だ、身体を滅ぼせたとしてもまた次の身体に入り立ち塞がるだけ
500年器が入れ替わっていない化け物のような存在だ、
何度殺せばいいのか、とてつもなく長い闘いになる
それは確実に部が悪い
だから、ここは葛城神父のハッキングを待つしかない
情報を抜き取って最後にこの本部教会そのものを爆はする
体制を立て直すにはかなりの時間稼ぎになるだろう
………………………………………………………………………
結衣とおぞましい悪魔が部屋を出て行ってから、どのくらい経っただろうか
私の天啓を取り戻すための試練だったはず、それで、結衣を守りたかった
なのに、私は、なんの力にもなってない
守られているだけだ
わけも分からないまま連れ去られて、試練はめちゃくちゃになり、何故か戦闘が始まっている
もう何が何だか分からない
何のために生きてるの…?
命を懸けてまで守られる価値などないだろ?
!
「だ、誰だ…?!」
お前のせいで皆 犠牲になった
繭も、彩香も
!「意味がわからない、」
弱くて、無力で、他人の助けなしには生きられないただの人間
が、エクソシスト教会に身を置くなんて甚だ滑稽な話だ
幻覚?幻聴?
頭に直接語りかけるかのように耳を塞いでも聞こえてくる
お前の全盛期はもう終わったんだよ あのとき
後は死の運命を待つだけさ!
「五月蝿い、五月蝿い!」
大勢魔人を殺してきたくせに自分は死にたくないなんて、
傲慢すぎる
本当はわかっているんだろう?天啓などお前にはもう2度と
「止めろ止めろ止めろー!」
発狂したように叫び気がつけばセクタールームを飛び出して無我夢中で走っていた
誰もいない螺旋階段を上へ上へとひたすら無心で駆け上がり、
戦闘音が近くで鳴り響いて、ようやく我に返り立ち止まった
もう、幻聴は聞こえなかった
最上階の、
激しい銃声と刀がぶつかり合う音がしている
中を覗きやると、
全身を血濡れにし 壁に凭れかかるようにして今にも満身創痍といった状態の朔夜さんと、それを庇うかのように彼の前に短刀一つで立ち塞がる、黒いコートの女ー
あれはー
そして、
「斗真?!」
小声で囁かれ振り向くと葛城神父がたっていた
彼も裂傷を負ったのか腕から血を流して庇うようにしていた
強く腕をひかれ隣の小部屋に連れられる
モニターがあり隣で今まさに決死の攻防
が繰り広げられていた
「あの恐ろしい魔人は…?」
「あれは柚だ、ここは危ない
もうすぐセキュリティが解除できる ここを破壊すればエクソシスト教会の大元を切れる、もう少しなんだ、」
「あ、あれが柚…?! 」
「結衣はどうした なぜ一緒じゃない」
「教会長が、攻めてきたって、悪魔と2人で、正門の方に」
「ちっもう少し持ってくれよ…!!」
再びパソコンに向き直り 暗号化されたような大量の文字列を血走る目で見ながら拘束でキーボードを叩いている
その間にも、隣から漏れ聞こえてくる声がする
………………………………………………………………………
もう辞めて、柚ちゃん
契約するって、そういうことなんだよ
自分も他人も傷つけるだけ
………私が、憎いでしょ
私を、殺したいでしょう!?
?
あの女、ローブの女は、私の知る冷酷で容赦ない姿とは似ても似つかない声色で肩を掴みまるで止めようとしているようにさえ見える
私の悪魔の、ううん、私がしたことを考えれば、
でもこんなやり方、身を滅ぼすだけだよ…!
お願い、柚ちゃんのことを大切に思ってる人のこと、傷つけないで
…………………………………………………………………………
ごめんね、柚ちゃん
ー辞めて、謝らないでー
私のせいで、貴方の中学生活を壊してしまって
ー終わってしまうじゃないー
忘れようとしていたのに、立ち直ろうとしていたのに、
あなたの居場所に、踏み込んでしまって、そして、全てを忘れて、本当にごめんなさい
ーううん、違う、私は本当は、望んでた、ただ1つ、たった1つをー
黒いもやが少しづつ消えて、自分の手も足も、まるで砂になったかのようにボロボロと
崩れていく
本当は、分かってたんだ これは、不運が重なっただけの悲劇で、本当は誰も悪くなかったということ
でも、当時の私は、弱くて、ちっぽけで、嫉妬や復讐に狩られるしか、なかった
………………………………………………………………………
私は普通になりたかった
裕福でなくても構わないから、普通の家庭で、優しい両親に、囲まれて、でも、
隠れキリシタンのまつえとして産まれた私の家系は、仏教が栄えて、寺が権力を持つ小さな村の中では、異端で、余所者だった
街の教会まで毎週ミサやお祈りに訪れ、
閉塞的で、共同体に重きをおきたがる田舎の人間達には、当然、私たちは理解出来ない異端者で、
村の迫害に耐えきれずに、母は精神をヤンデ入院を余儀なくされ、都会に住む祖母の仕送りに頼り切り、父は会社に行かなくなった
メデューサで、悪魔の見えた私は、当然、当時はこの能力のことも悪魔のことも知らなかった私は、出会う度に恐怖におののき、逃げ回ったり、奇声を発したり、殺傷しようとしたりして、そんな私を気味悪がって、父はよく怒鳴って私を閉じ込めた
せめて、学校だけでは普通でいたかった
普通に友達を作って、笑って、
でも、田舎の小さな学校では噂も蔓延していて、学校中でも簡単に広まった
大人は陰険で、陰口 直接的な攻撃はなかったのに対して、
子供は、残酷で容赦がないというのは本当だと思う
陰口や無視は日常茶飯事、酷い
虐めを毎日毎日受けた
あるとき、私は担任の先生に相談をした
担任の先生なら、助けてくれるかもしれないという淡い期待があった
でも、面倒くさそうに一蹴され、私の生活態度と家のせいにされた挙句、私が相談にきた旨を私を虐めていた女の子たちに面白おかしく話して笑っていた
家にも学校にも居場所がない
全てが嫌になった私は、毎日毎日死ぬことばかり考えていた
そこに、突然彼女は現れた
虐められてるの?勿体ないよ
このまま逃げてしまうだけなんて
本当はどうしたいの?
復讐、したい、同じ目に、合わせてやりたい
あいつら、ううん、クラス全員ー
私が見せてあげる、死よりもずっと面白いものをー
そのまま眠るように意識が途切れた
次の日、彼女は私のクラスに転校してきた
派手で、金髪 いかにも異端で、矛先が彼女に変わらないか心配していたけれど、皆彼女にはどこか他人行儀で、不思議な子だった
相変わらず私への虐めは 続いていたけれど、彼女が間に入って止めると簡単に引き下がる
彼女の前では虐められなくなった
彼女が来てから1週間くらいたった頃だった
そろそろいーかな
え?彼女は独り言のように呟くと突然等身大以上もある斧のようななたのような武器を振り上げる
そこから先は地獄だった
彼女は、最後に私だけに死なない程度の傷を与えて、その悪魔は自分の存在の記憶を消し去って姿を消した
私の記憶は遺したまま
警察には全てを話しただけど、誰も信じてくれなくて、週刊誌が面白おかしくミステリー事件として取り上げて終わった
この事件を聞き付けた祖母、正確には祖母の住む教会から、私に連絡があった
そこで初めて、悪魔や、自分の能力の存在を知った
仕方なかったんだよ、あれは我々がかねてから行方をおっていた悪魔で、
命があっただけ感謝しなさい
あれに魅入られた人間は生きて帰れはしないものがほとんどだ。
皆慰めてくれた、私は悪くないと言った でも
私が復讐を願ったばかりに、30人もの人を
殺してしまったー
直接的には、関わってなかった何の罪もない生徒だっていたのに
寮に入ってからもずっと塞ぎ込んでいた
神父の言葉も先輩寮生の言葉も無視して、
ずっと閉じこもっていた
そんな日が数日たったある日、神父に呼ばれて執務室で簡単な雑務を行った
帰りに、私の部屋の前に仁王立ちしているブロンド色の長いポニーテールに、目つきの悪い男性がいた
ズカズカと歩み寄ってきて、突然私に平手打ちしてきた
「何で復讐なんて望んだんだ、お前にも責任がある、いつまでも被害者ずらするんじゃねえ」
あまりにも呆気に取られて、放心するしかなかった、
制服からして、ここの寮生で同い年くらいだろうが、何故名前も知らない人にいきなり殴られなければいけないのか、だんだん腹が立っていたのも事実だ
神父にどんな人なのか聞いて、さっきのことも話してやろうと思って、部屋を出たら目の前にさっきの人が救急箱と湿布を持って立ち尽くして、いかにも罰が悪そうな顔で
さっきは悪かったな
ほら、手当してやるから、見せろ
自分で殴っておいて、何を言ってるのかと思った
全く、神父は甘すぎるのだ ここはそんなに生易しい場所じゃないというのに
ブツブツと独り言をいいながら濡れタオルを当て湿布を貼ってくれる
俺はこの寮生の2年の瀬野だ、
私は桜田柚……
知っている
桜田、お前の巻き込まれた事件のことは俺は又聞き程度しか知らないし、お前が受けた痛みや苦しみも俺は理解できないだろう、
確かにお前は被害者だ、
でも、田舎だから どうせ変わらない
そんな思いから、何もしてこなかったのではないのか?
、、今こうやってお前を迎え入れようとしてくれている皆に、対する態度が、お前のやってきたことなのではないのか?
手を下したのは魔人かもしれない、だけど
現状を嘆くだけで変えようとせず安易に復讐を望んだ責任があると思う
復讐は、恨みや憎しみは、、また巡り巡って誰かの恨みを買う、復讐は連鎖する、憎しみしか生まれない
お前は痛みを知った 両方の痛みを
だから、お前は変われるよ、きっと
ハッとした、図星だった
私は、自分の異端であった家計に絶望して、自分の意見も伝えず、周りと分かり合おうとも、周りの考えを変えようともせず、ただ呪ってた
学校でも、そうだった 悲劇を嘆くばかりで、クラスの皆と、歩み寄ろうともしなかった
ここにはお前の仲間がたくさんいる、だから、もう閉じこもるな
お前はもう、俺たちの大切な仲間だ
さっきまで鋭い目つきで殴りかかってきた相手にこんなことを諭されたのが何だか面白かったのと、そして、何より、自分のためにここまでしてくれた人は初めてで、笑ってしまった
ほら、笑えるじゃないか、
そう言った彼の笑みは、とても優しかった
………………………………………………………………………
《キリシタンの末裔、桜田柚、貴方の願いは何ですか?あなたはどんな願いで、その純真な魂を輝かせるのでしょう》
私の願いはー
色々あった
辛いことばかりだった やり直したかった幼少期、生まれ、故郷、そして私の罪ー
あの事件を引き起こした魔人が、人間だったことを知ってから、ずっと考えてた
どうしてこんなことをしたんだろうって、本当の目的が知りたい、どうして私を利用したのか、聞きたいことは山ほどあるけれど、もし、ほんの少しでも、人間の感情が残っているのなら、私は、あの魔人に、、
謝ってほしい 例え、それが本心じゃなかったとしてもー
《それだけでいいのですか》
《復讐は復讐しかうまない、そう教えてくれた人がいるから》
崩れていくとき、とてもゆっくりに感じた
私は間違いに間違いを重ねてしまった
手を差し伸べてくれる人が、こんなにいたのに、私は負けてしまった
どうして、天啓を切ってしまったのだろう
いつから、復讐に目が眩んでしまったのだろう
最初は、前を向いていたはずなのに
私は貴方を、本当の名も知らない貴方を、最後まで許せないだろう
迫害され、虐められて、悪魔に利用されるだけされて、私の人生って一体何だったんだろう
だけど、私は幸せじゃなかった
なんて、言えるわけがない
こんな私を受け入れてくれて、私に居場所を、役割を与えてくれて、私のために怒って、立ち上がらせてくれた人たちに、出会えて、
私は幸せだった
これで終わっても、良いよね、、?もう、疲れた
疑いあうのも、復讐も
意識を失う直前、何故かいるはずもない瀬野の悲痛な声が聞こえた気がした
私、少しは変われたかな、、?瀬野
ありがとう、
さようなら




