表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/42

エクソシストの運命

丑三つ時、懺悔室でうたた寝をしていたころ、精神のシオンに語りかけてきた天使の啓示で私は飛び起きた。夜中の1時を回ったところだった。


私は天啓を剥奪された身だ。だから、こうして語りかけてくることなど、滅多に無かった


八王子山岳で殺されかけていたあの日にも、同じ警告があった。そのときと同じ、彼女の生死に大きく関わる暗示ー

なぜ今でも私に教えてくれるのか、私にも分かっていない部分が大きい だけど、彼女を守ることが、今度こそ彼女を守りきることができたならば、

無くした天啓を取り戻す1歩に繋がると、私は信じていた。

だから、

「結衣が危ない…」


分かるのは、それだけ。嫌な感覚、警告に近い啓示だった。

、このままでは結衣の身が危険なことは確かだ。

一刻も早く指し示した場所に向かおうとするも、そこは今この場所とほとんど変わらない近所だった


教会を出て狭い住宅地をかすかな悪魔の気配を辿ってたどり着いた場所は、あの地下、、隠し地下通路の入り口だった。

なぜ結衣がこんなところに?この場所を知るはずが…いや、以前、自殺未遂に及んだときに使った睡眠薬はここのものかもしれないと言っていた、結衣、君は一体、何を考えているんだ?まさか、記憶が…?ここで自問自答しても無駄だ。とにかく

あそこに、結衣はいる。。息を飲み込んだ。




ユナン神父も、葛城神父も、天啓を受けた現役祓魔師だ、2人の力は桁違いだ、こんな優秀な聖天子以上の加護を受けた司祭が2人も同じ協会にいることは、滅多にない奇跡、いつ、本部に引き抜かれてもおかしくない。

柚は、色々あって、心を閉ざしてしまっているけれど、彼女は先祖代々祓魔師の家系で、オリフィエルという強力な加護を得て、自分も周りの環境も変えられるだけの大きな力がある。迫害された故郷ですら、皆を許し協会を建てて最近はそこで司祭と一緒に

。瀬野は、生まれは過酷で、想像も絶するほどの苦痛と痛みを受けた 不幸な被害者だった彼は、自ら己の弱さを克服するために祓魔師になる険しい道のりを選び、遺伝ですらないメデューサですらなかった彼の不利を見事に覆しその強い執念と努力の果てに、精霊ではあるけれど、天啓を得て、戦う術を身につけた

皆、成長している


なら、私は…?


自室のサーベルを腰に刺し、夜の帳の降りた街中を1人駆け抜ける

司祭に相談するという考えが浮かばなかったわけじゃない

でも、真っ先に浮かんだのは2人の残酷な一面だった。

もし、最悪の場合を考えたら、2人と結衣を接触させるわけにはいかない。それに、結衣1人であの場所に立ち入れるわけがない、誰か手引きしたやつがいる。おそらく、この施設を知っているのは昔からのマザーを含めた数人のシスター、と、そして2人だけだから



例え誰を敵にまわそうと、結衣だけは守らなければならない。

自分にしかできないことがある。

やり遂げなければ、必ず、何を犠牲にしてでもー



辿り着いたのは街中の小さな診療所 八王子内科

神経外科だった

私はこの病院が表向きはただの街の診療所だが、その裏の姿をよく知っている


もちろん診療時間が過ぎているから正面から入るつもりはない。


震える足をいきり立たせて踏み出す。


あのおぞましい地下室へとー。

セキュリティーキーのパスワードはあのときと同じだった。



怖いほど真っ白な単調な廊下を進む。上の階にはこの先エデンの薗とかかれた案内板がある。だけど今ここにようはない。


エレベーターで1番最下層B7階まで降りる。

そう、この病院には地下施設のように張り巡らされている。


開いた途端、うってかわって薄暗くむせ返るような血の匂いと獣のような唸り声の響く地下牢へと出る。何人もの囚人、いや、かつて魔人だったもの、悪魔祓いをしても更生できなかったものたちが、閉じ込められている監獄ー、


数年前までここで、正確にはここのB1階から1階のエリアで、数人の医者と研究者で、エクソシスト病を発症した患者を視察したり、サンプルを得て提供していた。私がまだ、天啓を受けていたとき、日本エクソシスト協会の幹部と共に


医者といっても実際には免許のない闇医者ばかりだが。

ここはそう、祓魔師病の研究施設だ。

エクソシスト病を発症した子たちは皆ここに運び込まれた。1ヶ月、長くても3ヶ月、誰も助からなかった。皆ここで死んだ。エクソシストたちに病気のことは伏せて、悪魔祓いに失敗したとか、地方に異動になっただとか、結社と戦ったときはそれにより戦死だとか、なんだかんだ本部は嘘をつき続けていたな。

信じていたからだ。エクソシスト病はかなら解明される。必ずウイルスに打ち勝つワクチンを開発できる、と。


でも、私の天啓が切れてからは、1度もきていない、出来るなら、

もうこの場所には二度と踏み入れたくなどなかったのに。

至る所に蜘蛛の巣が貼り、血痕はそのままにされ 刑務所よりも酷い、あのときより劣悪な環境になっていた。

足がすくみ、目を逸らしたくなる景色だ。だが諦めるわけにはいかない。竦む足を奮い立たせ、早足で進む。

途中廊下の向こうから研究員らしい白衣を来た男が歩いてきた。

ポケットのパレットナイフに手をかけながら少しづつ距離をつめる。こんな場所の人間だ、相手がどんな手段を使ってきてもおかしくない。


「何者だ!」


「お待ちください、私はそこのアトランティス教会の祓魔師です。ここで行方不明になって、とある人物を坂しています」


私は手を挙げて無防備なフリをする


「教会のだと…?って、あなたは、、円城寺様じゃないですか!」


「君は…まさか…湯島か?」


「はい!ご無沙汰です、円城寺様!あなたが急にお辞めになったと聞いたときは驚きましたが、今も教会にいらっしゃるのですか?」


彼はこの病院の研究者で、よく私や本部の幹部らに患者のカルテや

ごまをするのが得意な気味の悪い男だ。


「ああ。お前こそ、まだこんな所にいたなんてな。」


「僕にはもうエクソシストは無理だと諦めてました。でも、ここでなら、エクソシストに関わることができる、断罪人担当になっちゃったのはあれですけどね。

あの途方に暮れていたころより、ずっと生きがいです。」


こんな所が生きがいだなんて…



「もう会えないかと思ってました、、その、ユナン神父から、学業に専念されるために、天啓を切ったと聞いたので…


ああ、そんなふうに聞かされているのか、まあ、罪を犯して天啓を剥奪されたなどと知れば、皆掌を返して糾弾するだろうしな


「まぁ、な。別にここに戻るために来た訳では無いし、今日は私一人だ」


「そう、ですよね。確かさがしびとがいるとか?」


「ああ。この監獄一体は君の管轄なのか?」


「B7の階は、はい。私です。」


「ここに松永結衣という見た目高校生ぐらいの女の子が収容されなかったか?」


「あ、その子なら、数時間前までいました。でも先程、処刑人が断罪部屋に連れていきましたよ。」


「何だって!?それはいつの話だ!」


「つ、ついさっきです、あなたと出会ったほんの数刻前だと。」



踵を返して早足で非常階段を伝い断罪部屋まで走った。まさか、こんな早くに…!?

断罪部屋には1人の看守だけだった。大きなモニターの前で

ガラスの向こうには手足を縛られた結衣が今まさにこの世のものとは思えないような電動鋸で処刑されようとしていた。



「その処刑は中止だ!」


飛び出して処刑人に叫ぶ。


「あなたは、、、 命令権限はありません、よって命令は受け付けません」


その女性看守は単調に告げ表情ひとつ変えない。


「いいから中止だ!その機械を止めろ!」


「認証できません。識別番号を確認します。」


「はあ?いいからこの機械を止めろ!!」


「現在、処刑人の断罪実行中、停止まで、残り1分34秒、かかります。」


「何ふざけたことを言っているんだ、今すぐ止めろと言ったんだ!

この場所もアトランティス教会の命で提供しているはず、私はかつて天啓を受けたエクソシストだ、いいからすぐに従うんだ!」


「この人間は囚人番号7番、元魔人多くの殺人の前科がある大罪人です。

現在、この者の処刑中止及び延期の命令は確認できません。」



「もういい!話にならない!!」


こいつと話ても無駄だと判断した私は、とにかくそのロボットのように繰り返す気味の悪い女を無理やり押しのけ、適当にそれらしき機械のスイッチを押す。

すると数秒後、鋸の刃の回転が止まった。


「はぁ………。何とか、止まった…。」


ひとまず、第1の危機は去ったことに、ホッと胸をなでおろす。


「結衣、おい、結衣!」


窓越しに話しかけるも反応がない。

気を失っているようだった。とにかくこの場所から離さなくては…。

私は縄を解き結衣を抱えて部屋の外に出た。



「エラー、エラー、予期せぬエラーが発生しました。修復、します」


先程の看守が壊れたロボットのようにブツブツ言っている


だがその女は血の通った人間に違いなかった。


「おい、君は関わったこともないよく知らない人間を人に言われたから簡単に殺そうとするような奴なのか…?」


片言を独り言のように呟き続ける彼女の肩を揺らして強く問い詰める。


「私は、、断罪人です、罪人を裁くのが私の仕事。。」


「彼女は、罪人じゃないしそんな仕事は存在しない!

君も、こんな施設なんかにいる必要なんてないんだ、なぜこんなことをしているんだ?」


「私は、、、ユナン様の部下です、ユナン様を裏切ることだけはしません。」


少しだけ蒼色の瞳が私を写し揺れ動いた。けれどもすぐに無機質な何も映さない暗闇のような瞳に代わり、あるボタンを押す。すると瞬くに警報音が大音量であたりに鳴り響いた。


「何をしたんだ。」


「警告を鳴らしました。侵入者が来た場合の措置です。私はあなたがたを報告します、、」


「一体どんな洗脳をしたんだ!あいつらは…!」



それ以上何を言っても無駄だと判断し、その女性をおいて結衣を担いで俺たちはエレベーターへ向かう。

やはり、読みは、ユナンか

あれは上辺だけはまともそうに見えるが、ただ祓魔師に心酔している狂人だ。

何処で知ったのかは分からないが、あの男をもっと警戒するべきだったー

こんな直球の行動に出るなんてー

きっと私も結衣も許さないだろう。

いや、あの地下施設の人間の中にはユナンを信じるやつが山ほどいる、湯島に会えたのは運が良かっただけ、


ユナンは、自分が間違っているとは決して思わない、自分が正しいと思った正義はどんな形かあれ貫こうとする。それがいくら非人道的であろうと。

それに、あの女、ユナンに心酔している彼女も、危険だ。結衣の近くにいすぎた。彼女は信頼しているみたいだが、彼女の闇は深い。





「はぁ…っはぁ……っ」


結衣を抱えて非常階段をかけ登る。処刑人の処刑が中止になったことはもう下には知れ渡っているだろう。私を知らない新しい人間なんかは、私を謎の怪しい侵入者として追うだろう。

いくら天啓が使えた元幹部とはいえ今は破門されたただの生身の人間、


薄暗く異様な匂いを放つ下水道を歩き続け、気の遠くなるほどに長いハシゴを登り、マンホールから外に出た。

秋霖学園の裏にある裏山だ。

ここまでこれば、ひとまず大丈夫だろう。少なくとも、今夜は、だが。


なんでこんなことにー、、、


これから結衣は人間にも魔人にも悪魔にも追われる生活になる。


教会に戻るわけにも行かなかった私は、近くのビジネスホテルの一室に結衣を連れてくると、ソファに結衣を寝かせ、すぐに葛城神父を呼び出した。


…………………………………………………………………


「なんだって!?結衣が……そんな、、」


明らかに動揺し、肩を震わせ認めたくないといった表情だった。


「本当に、ユナン神父の指示、なんだな」


「はい、研究員たちは皆そう言ってました」



「でも、閉じ込める、とかじゃなくて、い、いきなりそんな処刑しようだなんて…」



「葛城神父、ユナンはそういう人間です。あなたも本部にいたなら、知っていたでしょう。

彼は自分の信念は絶対に曲げない。悪魔と悪魔使いは彼の中で裁かれるべき悪でしかない。」


「これ以上ここに留まるのは危険です、シスターや寮の人間は皆結衣を嫌っているし、今あなたが逃げ出してからあの施設はユナンが1人で仕切っています。

地下施設の人間が一斉に せめてこれば結衣を守ることは不可能だし、最悪私たちまで罪人として収容されるかもしれない。それで、今後の結衣の処遇なのですが、

しばらく駅前のビジネスホテルを手配したから、そこで暮らしてもらおうと思います。学園もしばらく休学させてください。」



「匿うことは不可能だ、俺は仕事もあるし家庭もある、彼女の身の安全は補償出来ない、それでも、いいのか?」


「……はい、結衣を守る方法は、もう思いつかないんです。私に力があれば、いくらでも出来る、でも、私はただの無力です。

葛城神父や、皆に迷惑はかけません。費用も、私が全て、貯金からー、ただ、結衣が納得してくれるかは、分かりませんがー、そう、祈るしか…!もう、これしかないんです、先生ー、まだ教会の外の方が安全です。」







…………………………………………………………



今日一晩だけ、彼女が起きるのを見届けて事情を説明する、その付き添いのために残った俺は、すっかりソファで眠った斗真の傍らから起き上がり、


ベッドに眠る彼女に目を向ける。

その瞳は、侮蔑と憎悪に満ちていた。



あいつ、1人であの病院に乗り込んだのか……


祓魔師病…それほど、俺の人生を狂わせた病はない。

あれのせいでー、俺は……


エクソシスト病のことを知ったのは、エクソシストを始めて、エクソシストの講師になり、3年後のことだった。

その当時は、白百合寮には多くのエクソシストがいた。寮生はざっと30人近くだろうか、斗真たちがまだ小学生に上がる前の頃のことだ。

修道院のシスターも今よりずっと人数が多く、孤児院の子どもたちもたくさんいて、それは毎日賑やかだった。悪魔祓いは確かに過酷なものだった。失敗すれば命を落とす。それは変わらない、だけど、それぞれが皆、エクソシストを誇りに思い、覚悟の上戦っていた。


でも、俺の信念が揺らぎ始めたのは、天啓を受けていた教え子のエクソシストの1人が、告げたあの話が、発端だった。

懺悔室にやってきた彼は、俺に自分が罰を受けているといった。でも何が罪だったかは分からない、分かるのは自分が罪を犯したということだけ。

彼の背中には、見たこともないような炎症の仕方だった。、何の、どこの骨かはわからないが、数本もの白い骨が皮膚を突き破り付近の皮膚は血と爛れで痛々しい程に赤く染まっていた、そしてその突出した骨の左右から羽毛のような、羽としかいいようのない白い羽が生えていたのである。その羽は根元に深く食い込み侵食していて、固く、簡単には離れないものだった。

本部にすぐさま報告した。そして、本部はこれを知っていた。何年も研究していた。

でも、医師たちにも分からない、原因不明の病、だった。おそらくエクソシストたちにのみかかる特殊なエクソシズムの副作用だと言った。俺はただ運が良かったのか、身体の遺伝子によるものなのかは分からないが、エクソシスト病にかかる気配はなかった。協会長や、ルーエン神父も同じだった。

そういう者も希にいた。だが教え子で天啓を得たものの中で、エクソシスト病にかからないものはいないほどそれは発症率の高い病だった。エクソシスト病は最初、背中の炎症から始まり、やがてそれは肩から腕にも広がる。その後、立ち上がり歩くことが出来なくなった。その羽は、骨と共に突き破り肥大化し、やがて内蔵に達し、、、八割の人間が1年経たない間にこの世を去った。

地方の教会のエクソシストたちにも同じような病気にかかっている人が多いと聞いた。このままではエクソシストが滅びてしまう。

協会長にどれだけ詰問しても、研究中の一点張りで、何も進展しない

エクソシストの危機を感じた俺は、日本よりエクソシストの理解の高く、エクソシストの最先端技術を誇る国、イギリスに行き、治療方法がないか調べた。でも、そこで絶望的な真実を目の当たりにした。

それは日本にだけ流行る風土病のようなもの、日本人が持つ特有の遺伝子と環境から来るもの、イギリスのエクソシストたちでも治療法は分からない、というお手上げな現実だった。


なすすべもなく途方に暮れてイギリスから帰国した。たった半年だった。だが帰ったとき、既にたたかえる教会のエクソシストの数は半数以下になっていた。それから、おぞましい事件が起きた。北九州市で起きた大悪魔カロン召喚実験である。多くのメデューサの子供が生贄にされ、北九州のエクソシストたちは壊滅し、俺たちの教会にも要請が来た。白百合寮からも、天啓を受けた優秀なエクソシスト3人と、恩師のルーエン神父と俺が出払った。そのときは、思いもしなかった。悪魔結社がここまで強大な組織に発展していたことに。召喚実験は止められず、子供たちは1人も救えず、一般人1名の被害者を出し、エクソシストたちはというと、斗真の天啓が剥奪されて、残りの祓魔師は皆無残にも死んだ。

悪魔にじゃない、ハルフィアの魔人に殺された。さらに師匠のように崇めていたルーエンが寝返ってしまい、圧倒的なハルフィアの勝利で終わった。

現実から目を背けたくなるような不幸が重なりすぎた。俺だけ無傷で生き残り教会に帰ったとき、どれほど多くのシスターに、クリスチャンたちに責められただろう。そのあと俺はエクソシストから手を引いた。

もうエクソシストたちを見るのも、戦うのも嫌だった。教会を出て本業の教師に戻ろうとした。でも、心のこりだった、今孤児院で暮らし、いずれは白百合寮に入りエクソシストになる予定の子供たち、どうしても。

それに後に入ってきたユナンという神父が信用できずにいた。彼は歪んだ正義を持った大罪人だったから。天使の啓示ですぐに彼の歪んだ過去を知った。エクソシストにかける激しい熱情も。新しく入ってきたおなじ教育係のユナンに全てを話した。

だがユナンは全て知っていた。知っていながら

黙認していた。さらにエクソシスト病を研究していた教会の地下施設をエクソシスト病を発症したエクソシストたちの入院施設と称して閉じ込めた。

そのさらに地下に魔人を断罪する拷問部屋や監獄を作り職員まで雇い働かせていた。

知らぬ間にそんな訳の分からない施設をつくり、勝手に神の如き裁きを行っていたことを、私は責めた。私たちはただの人間だ。神じゃない。私たちに人を断罪する権利があるのは、決して私たちではないと。

私は、1人、必死でエクソシストたちに打ち明けた。ユナンたちの目論み、エクソシストの行く末を、でも 数年で驚く程に力をつけたユナンに、従う者は数しれず、ほとんど誰も、私の言葉には耳を貸さなかった。



私は間違っていた。私は無力だった。私も5年前のあの日、死んでおくべきだった。

そう、私はもう決めたんだ。エクソシストにはもう今後一切関わらない、ユナンたちの方針にも一切口出ししない、私は二度と、エクソシズムをしない、

でも、私には長年の修行で悪魔が見える、気配だって感じる。助けを求める声を全て無視しろだなんて、、そんな酷な約束が守りきれるだろうか?


私にはできなかった。 だから、私は1人、ひっそりと、悪魔祓いを影で行ってきた。自分になぜいつまでも天啓があるのかわからなかった。普通なら20歳には消えてしまうはずの天啓。私はもう三十路を過ぎている上、学園の教師、それが本業な私に、なぜなのか。年を重ねるに連れ、天使の啓示は少なくなり、召喚時も言葉が理解できなくなっていった。

それでも私は、1人、戦い続けた。

そんな時だった。結衣が、再び私の前に現れたのは。


この女に俺の守りたかったものは全て奪われた

この女だけは、許さない 例え、斗真と刃をまじえることになったとしても、

必ず、やり遂げなければならないことがある。この命に、変えてでもー。


…………………side other……………………………


「罪の、告白をしてもよろしいですか?」


「柚、、珍しいですね、あなたが懺悔室に訪れるなんて、

告白なさい あなたが正直に罪を認め心から悔い改めれば、その祈りはきっと神に聞き届けられるでしょう。」


「自分が、どんな罪を犯したのか、詳しいことはわからないんです。

ただ、分かっているのは、私は罰を受けているということ。

ユナン神父に、見てほしいものが、あるんです。」


「…!それは…!」


「オリフィエルに尋ねても教えてはくれなかった。ユナン神父なら、何か知ってるんじゃないかって…」


「それは、いつから…?」


「背中の不調を感じたのは、もう半年以上前です。寝る前や、朝起きるとき、なぜか背中が痛くなるときがあって、ただの、疲れだと思っていたんですが、、皮膚が炎症を起こし始めたのは、最近で…私は、何かの病気なんでしょうか?私の身に、何が起きているんでしょうか?

それに、最近、朝起きると足が中々動いてくれないんです、痺れたようになって、しばらく起き上がれないんです。」


「柚……落ち着いて、聞いて下さい。それは、天啓を得た若いエクソシストのおおくに現れる、エクソシスト病という病です。

いつか、訪れるだろうと懸念していましたが、まさかこんなに早く…

天使の力を使えば使うほど、かかりやすくなります。元々柚は力のコントロールが難しく

エクソシスト病は、日本でしか確認されていない現象で、進行を抑える薬ならありますが、まだはっきりした治療法がないんです。病状が進行すると、歩くことが出来なくなります。背中に映え始めているその羽は、骨を突き破り肥大化し、やがて内蔵に達します。」



「……じゃあ、私はもうすぐ死ぬんですね。」


「…かつてのエクソシストたちの8割が同じ病気で若くしてこの世を去りました。

柚、、教会の地下に、千代の同じエクソシスト病の患者たちの病室があります。優秀な研究員に医師がいます。ですから柚には、そこで天使に生まれ変わる準備を行いましょう。」


「天使に生まれ変わる、準備?」


「一般の終末治療と似たようなものです。聖書を読んだり、し雑念を祓うことです。」


……


「治る見込みは、ないんですか?」


「薬で痛みを和らげることはできますが

……


「ユナン神父は、ずっとそのことを知っていたんですか?知っていて、戦わせていたんですか?


エクソシズムを続ければさらにしきを早めてしまいます。



「…そう、ですか…いつか、こんな日が来ると思っていました。ユナン神父、私はきっと楽園には行けません。天使にはなれない、私が行くのは地獄だけです」


「なにを言っているのですか、柚、あなたは天啓を与えられた偉大なエクソシストです。心配しなくても、地獄に落ちたりなんてしませんよ」


「いいえ、私、分かってるんです。」


「え?」


「私は2年前、私を虐めていた生徒たちに、復讐するために魔人の力を借りました。」


「何ですって?」


「それが結衣です。私は、結衣の悪魔の力を借りて、酷い目に合わせました。全治何ヶ月もの怪我を負わせたり、万引き犯に仕立てあげて、停学に追い込んだり、拉致して、酷いこともしました。」


「………」


「先生、結衣は魔人でしたよ、知らなかったのは、先生だけ。」


この世で、最も憎むべき存在を受け入れた貴方の目は、節穴です。でも、1つだけ感謝してるんです。復讐相手を連れてきてくれたこと、

でも先生、ただ魔人であるというだけで、勝手に殺そうとするのは辞めてください、あの女は、あれは、私の獲物です、あいつに記憶を戻させて、罪を思い出させて、あいつの持ち物を全部奪ったあとに、最後に殺すんです、これ、あの日の夜の録音テーブです、とある協力者がくれました、あの日、結衣を殺すために指示した色んな情報が詰まってます」


だから、もう私の邪魔、しないでくださいね、

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ