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第86話 死神との決戦を

「何故、お前がこんなところに⁉︎」

「久し振りの再会だというのにそれはないだろ。それと説明は苦手でな。長い付き合いなんだからお前自身が良く知っているはずだが」

「そうだったな。では誰が説明してくれるというんだ?」

「私ですよ師匠。カインさんに代わって説明するのはこの死神、アズリエですよ」

 鎌と空いた片手に見覚えのある本を持ったアズリエが来た道から現れた。

 彼女はセリエと一緒に行動していたはずだ。ここにいるということは天使も片付けたに違いないが、協力をしに来たというわけではなさそうだ。

「アズ……リエ? どういうことだ? 話がまるで見えてこないぞ」

「師匠が動揺するのも無理はないですね。まあ、師匠に気づかれないように色々と大変でしたからそのくらい驚いてもらえた方が頑張った甲斐があったというものですけど」

「御託は良い。どうしてその本を持っている? それはセリエだけが使えるものだろ」

「本だけではありませんよ。フラガラッハも私が回収しました。私の夢の実現には必要不可欠なものですから」

「夢……だと? だがお前が持っていても宝の持ち腐れになるだけだ」

「それはそうはならないんですよ師匠。何せ私は死神。そしてこういった物は魂に反応してますからその人を魂を奪ってしまえば使えてしまうんです。どうしですか? 納得していただけましたか?」

 本を閉じ、それを懐に入れると桃色と水色の光を出してみせた。きっとそれがリルフィーとセリエの魂なのだろう。

「二人を殺したのか?」

「それだけではありません。ベルさんとベルさんが対峙していた天使も刈り取られていただきました。まさかベルさんがあそこまで成長するとは予想外でしたが私の敵ではありませんでしたね」

「本気を出さないと思っていたら、機を伺っていたということか。そこまでしてお前が成そうとしていることは何だ?」

「よくぞ聞いてくれました。師匠はとっっても気に入ってくれると思います。実は全ての生命に平等に死を与えようとしているんですよ。師匠のような不死身の方にも」

 それは転生屋に来た当初ならとても素晴らしいことに聞こえたろうが、二人の魂を見せられたせいか今はむしろ理不尽な理由で自分のテリトリーを荒らされた気分だ。

「この老いぼれはそこの嬢ちゃんに唆されてその夢を叶えてやろうと思ってこうして遠路はるばるやって来たのさ」

「カインさんは不死殺しとして有名でしたし、ルインさんのことを良く知っているということで協力をしてもらいました。早急にセリエさんと天使を殺して彼を説得するのは大変でしたよ」

「ふん。嬢ちゃんなら俺がいなくてもやってのけそうだが、自分の息子の死に様くらい見てやろうかと思ってな」

「今更父親面をするな。それとアズリエ、随分と詳しく話してくれるが俺がそれを黙って受け入れるとでも?」

「いいえ。最近の師匠は他の方に影響されて変わっていたので抵抗してくるだろうと思ったからこそカインさんを呼んだんですよ。『不死殺し』の異名を持つカインさんを」

 先手を打ったのはそのカインだった。

 腕を横に振り、爪を剥がした部分から血を弾丸のように飛ばす。その血の弾丸は着弾するより前に形を変え、針のように細くなり血管に潜入した。

 吸血鬼は総じて血を武器にする。

 特にカインは威力は低いが血の操作は吸血鬼の中でもトップクラスで個人的な怨恨で同族をその力で殺し続けていたという過去がある。吸血鬼退治にこれほど適した者はいない。

 そしてその熟練された技でルインは動けなくされていた。

「お前にはそこでお嬢ちゃんの勇姿を見ているんだな」

 身体に入ったのはたった数滴。だがそのたった数滴にはカインが独自に開発した毒が混入されており、それがルインを蝕んでいる。

「忘れたのか? 俺は諦めが悪いんだ」

 血が潜入した場所は把握している。全身にそれに含まれた毒が流れる前にその部分を切断してその怪我を瞬時に再生して動けるようにして見せた。

「血の化身か。それをその身に三体も宿したせいで完全なら不死身の存在になったというのに懲りずに使っているのか。そいつらを使えば使うほどお前は更なる怪物へと変貌させるぞ」

「ああ、承知の上だ。けど利用できる物は何でも利用する。それを教えてくれたのは他でもないあんたなんだぜ」

「そうかい。忘れちまったな。しかし自慢の針が効かないとなるとこちらとしてはお手上げだ。ということでバトンタッチをさせてもらおうか」

 背後からとてつもない殺気を感知して咄嗟に腕を盾にしたが、それは包丁で豆腐を切るかのごとく用意に分離されてその神々しくも禍々しい鎌はルインの心臓に突き刺さる。

「さあ、師匠。準備は整いました。お望み通り、殺してあげますからね」

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