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第65話 作戦会議

 メディアとまずは臨時会議室へ顔を出した。

 そこには騎士団長であるローランが二人を待っていた。

「まずは現状報告ですが帝都の防衛線であるヘリオム砦は大地の魔女、アルチナのゴーレム軍団を筆頭に制圧されてしまいました。現在は周辺を我々騎士団と魔女様とで守りを固めています」

「劣勢だな。この帝都の防衛システムは正直に言って最低限のものしかない。これでは一気に攻め込まれたらひとたまりもないぞ」

「はい。言う通りでありますが我々はメディア様が信頼を置く軍師殿の命令にはどんなことでも従う所存です」

 そう、俺は各地を彷徨う軍師ということになっている。リルフィーたちは俺の付き添いとなっていて今は現地を確認していることだろう。

「それは良い心がけだ。こちらと敵側の戦力はどの程度いる」

「我々騎士団が500名、魔女様が30名となっています。敵側の戦力はいまだに判明していません」

 それもゴーレムは壊されてもいくらでも作れるからだ。しかし、アルチナ一人では作れる数は限られてくる。

「ゴーレム一体を倒すのに何人の騎士が必要だ」

「5人いれば確実です」

 となると単純計算で100体のゴーレムならば騎士団で対処できるか。何もなければの話だが。

「勝機があるとしたら隙をついて砦にいるアルチナとネクロマンサーを排除することか」

 長期戦になれば数に限りがあるこちらが不利だ。そうならない為には元を絶たなくては。

「それには攻め込んで来た時にこちらに意識を集中させなくてはですね。では私たちが頑張らなくては」

「我々も忘れてもらっては困ります」

「では砦に潜入する班と帝都を防衛する班とで分かれようか」

「では防衛は我々に任せてください。騎士としてこの帝都を必ずや守ってみせます」

「それは心強い。ならば防衛は騎士団に任せるとしよう。だが念の為に魔女を十数名残していくか」

「選定は僕がやるよ。ここにいる魔女のことなら君よりも詳しいから」

「頼む。では大まかな作戦について話そう」

「我々が耐え忍び、軍師殿が敵の大将首を取るですね」

「簡潔に言うとそうだ。しかしそれにはこの帝都に意識を集中させなくてはいけない」

「ならば我々がゴーレムを全滅させてみせましょう」

「その意気は良いがそれは難しいだろ。無理はせず守りに徹してくれ。隙を作るのは俺の仲間に任せる」

「我々には命令をしてくれないのですか?」

 何やら不服のようだが相手が相手だけに用心をするに越したことはない。

「俺のような新顔が命令を出しても不満があるだろうから団長が適当にやってくれ。こちらから指示を出すのは何か問題が生じた時のみだ」

「了解しました。では何か必要な物があったらお呼びください」

「ああ、では俺も現地を見てくるとするよ」

 会議はそれで終わり、リルフィーたちの急ぎ足で元へと足を進める。

「忠誠心が強いというのは逆に厄介だな。あれ程やる気だと正直対応に困る」

 人の上に立ち、指示をするなどほとんどしたことがない。それにあの真っ直ぐな目は俺には耐え難いものがある。

「彼は使えるよ。魔法も使えないのにヘタな魔女よりも強い。けど君もお察しの通り性格に難があってね。まあ、問題ないとは思う」

「そうか。しかし、あいつは連れてはいけないな。むしろここに置いていくことで奴は本領を発揮してくれる」

「何を企んでいるの」

「企んでいるとは人聞きが悪い。あれを欺くには仲間をも騙さなくては」

 特に前回のように裏切られないようにするにはそれが一番だ。

「では僕も騙されてあげるとしようか」

 とメディアは笑みを浮かべてみせた。

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