第52話 調査
部屋に着いたがやはり須藤 隼人の姿はない。少し散らかってはいるがそれはロニがしたもの。
「やっぱりまずはアリバイの確認ね。じゃあ、私から話すけど自室で仕事をしていたわ。それがひと段落してから寝て、そしたら朝に大きな音がしたからそこに行くとアズリエがいたわ」
「つまりアズリエが一番に現場に到着していた訳か」
「はい。でも扉は開けてないから私は何もしてませんよ師匠!」
「別に疑っている訳ではないさ。リルフィーが言った様にこれはただの確認だ」
第一目撃者が疑われる傾向にあるが流石に死神が殺人を犯すなどとは思えない。
いや、彼女が死神でなくとも殺しをするような奴ではないと信じている。
「次に到着したのは私です。資料を整理していたら大きな音が聞こえたのでそちらへ向かったんです。ついでに言いますと部屋に案内された時は部屋にもお客様自体にも異常は見られませんでした」
ベルも他の皆と同じような内容だった。音がしたから来たらルイン以外が集まっていた、と。
「それであんたはどうなのよ。部屋に来た時には誰もいなかったって言ってたけど」
「このロニ様が嘘を言う訳ないだろ。いなかったもんはいない」
「では転移魔法に巻き込まれという可能性はないのか?」
「ないとは思うが確信はない!」
ないのに力強い一言だ。一体何処からその自信が出てくるのやら。
「確信がないという事は転移魔法が完璧ではなかったという事だな」
「転移出来た時点で褒めて欲しいものだな。まあ、このロニ様に不可能などないがね」
「完璧ではないのだな。では他の世界へ飛ばれた可能性も考慮しなくてはいけなくなるな」
これは少し面倒な事になってきた。やはり魔女は周囲に迷惑をかける天才らしい。
「ではそちらは私にお任せを。ロニさん、貴方の世界について教えてくれますか? 飛ばれたとなると貴方の世界である可能性が高いので」
そこからはセリエが情報収集に入り、他の面々はする事がなくなってしまう。
「ねえ、あんたって気配とかを読めるんでしょ。それで見つけらんないの」
「それならさっきからしているが見つからない。この店にはいないのだろうな」
「じゃあ、セリエが見つけてくれるのを待つしかないわね。それでも見つからなかったらあの魔女が犯人という事になるけど」
「どうだろうな。どちらにせよ面倒な事になるのは間違いないだろうさ」
何せ彼女は魔女なのだから。




