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第43話 再び洞窟へ

 密会はしたものの結果は変わらず、ダハーカ側は洞窟内に押し込まれる形となった。

 やはり戦力差があり過ぎて策だけではそれを埋めきれない。だが問題はこれからだ。

 洞窟の外では勝ち目がないのは火を見るより明らかだ。なのでここは勝ちを譲り、次に備える事が最優先となる。

 あの終焉に導く竜とやらを目覚めさせずに全滅させる為にも洞窟内での戦闘で追わせなくては。

「さてここで俺は失礼する。監視の方は任せた」

 これ以上、こいつらと一緒にいても意味はない。リルフィーを離れ離れになるのは少し不安なのでコッソリと分身へ見晴らせるとしよう。

「ちょ、ちょっと!」

 何を言われようと止まる気はない。

 追いかけられては困るので急ぎ足でその場から去り、ある男と合流する。

「来たか。つけられてはいないな」

 そこにはゲオルは岩陰に隠れ待っていた。

「そんなヘマはしておらん。案内を頼む」

 ここからは洞窟内での戦闘となる。

 人型ならばその力は大幅に衰えており、元々の力を出せる俺とゲオルが鍵となってくるだろう。

「一つ聞きたい事がある。何故、ドラゴンをそれ程までに憎んでいるのだ」

 感情的になっては勝てるものも勝てなくなる。

「誤解をしているようだな。別に俺は全てのドラゴンを憎んでいるのではない。むしろ憎んでいるのは人間の方だ。心配せずとも自分の任務は全うする」

 裏切られ、大事なもの奪われたが彼には剣が残っている。その剣でこれ以上何も失わないように戦うのみ。

「そうか。ではこれならダハーカは何をしようとしているか教えてはくれないか?」

「まずは戦力を分散させ、俺はヨルムをロスはラドンをダハーカはファフナーをそしてお前が相手をするという手筈だ」

「ふむ、それでどうやって分散させるつもりだ」

「ロスが言うには未来は大きくは変動していない。それなら奴らは自ら分散する」

 あの時、ファフナーは軍を三つに分散させた。そして俺は何処に誰が進んだのかを知っている。

 先回りする事は簡単だ。

「では後は決行するだけか」

「問題はどうやってあの終焉に導く竜を討ち滅ぼす事だ。あれはこの剣でも殺せない」

「その件については心配せずとも、大丈夫だ。それよりも自分の心配をしていろ」

 ヨルムは見かけによらず恐ろしい能力を持っている。いくら竜殺しでもあのブレスに当たってしまってはひとたまりもない。

「言われなくとも分かっている。お前の持ち場はこの先だ」

「案内感謝する」

 では未来を変えてくるとしよう。


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