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ビーストハンター 第1話 「狩猟免許と言う名の殺人許可証」 (3)

「どないしまひょ?とっつあん…ヤツは裏口から逃げてしまいまっせ」ヒジリがツクモに問うた。

「心配ない。裏口にゃぁ、ネトゲ(シュンのあだ名)とウズメねえさんが張っている」そうツクモは答えた。

「ネトゲが裏口に?…そりゃぁ余計に危なっかしそうだ」肩をすくめながらジョーが言った。

「そうだな…よしっ!すぐに追うぞ」

 ツクモにそう促されて、三人は入り口のドアを足で蹴った。

「かってぇドアだな~」ツクモはドアを破るのに手こずった。

「ハジキさえありゃぁ、一発でノブが破れまんのにな」ヒジリも閉口したように言った。

「ドン!ド~ン!」堅く閉まったドアを何度か蹴って、ようやく入り口のドアが破れた。

 だが、ツクモたちがシャルクを連れて部屋の中に跳び込んだ時には、もうすでにビーストと女の子の姿はなかった。

「くそっ!やっぱり裏口の方に逃げたか」ツクモはいまいましそうに言った。

「こっちのドアも鍵が掛かってまっせ」出口のドアノブに手を掛けたヒジリが言った。

 イェーガーたちは、もう一度出口に通じる部屋のドアを蹴破らなければならなかった。

 だが、そうこうしている間に時間はどんどん過ぎていくばかりだった。


 一方、嫌がる女の子の手を乱暴に引きずっていったビーストは、裏口の玄関ドアを開けて外に踊り出た。

 その瞬間、雨に煙る屋外の一角から、真っ黒な影が躍りだして来て、矢のようにビーストと女の子に跳び掛かった。

「バ~ンッ!」不意を突かれたビーストは、思わずジョーから奪ったモーゼルC-96の引き金を引いた。

 だが、逆に襲い掛かった黒い影に一撃を浴びて拳銃を落とし、女の子の手も離してしまった。

 ドゥッ!と、雨に濡れた地べたにしりもちをついたビーストは、慌てて落とした拳銃を探した。

 その時、す~っと上から黒い傘がビーストの頭上に差し掛けられた。

「探し物はこれかい?」

 上半身を起したビーストの前に、右手にモーゼルC-96を差し出しながら、笑みを浮かべた若い男が立っていた。

「あぁ、ありがとう」

「どういたしまして」

 ビーストが反射的に礼を言った途端に、若い男の左手に握られていた拳銃が火を噴いた。

「ズド~ンッ!」至近距離からの一撃だった。

 正面からまともに額に弾丸を喰らったビーストは、ドッ!と弾かれたように地べたに倒れた。

 44口径の鉛弾に貫かれた後頭部から噴き出した血が、降りしきる雨に混じって流れていった。

「ゲーム・オーバー…だな」

 左利きの萱野シュンはニヤリと笑いながら言って、デザートイーグル44マグナムを腰のガンベルトに収めた。

 煙る雨に紛れてビーストに跳び掛かったのは、シュンのシャルクであるドーベルマン犬の「カイザー」だった。

 銃声を聞いて、慌てて駈け付けたツクモたち三人の足元には、無残に頭を撃ち抜かれた犯罪者の死体が転がっていた。


~続く~

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