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ビーストハンター 第1話 「狩猟免許と言う名の殺人許可証」 (2)

 イェーガーたちが迷っている内に、ビーストは怯えている女の子を引き摺りながら出口のドアに寄っていった。

 その手には、どんよりと濁った濃緑色の模造拳銃が握られていた。

「ハッカー(ヒジリのあだ名)よ。ヤツの持っているチャカは本物か?…オモチャじゃねぇのか?」

「大方、3Dプリンターで製造した模造銃でっしゃろ」ツクモの問いに、ヒジリがそつなく答えた。

「撃てるのかい?」

「実弾が入ってりゃぁ撃てまっせ。殺傷力もありま」

「まいったなぁ、そりゃぁ…おい、お前」ツクモはビーストに呼び掛けた。

「何だっ?」ビーストからは、怒鳴るような返事が返って来た。

「あのな~…どの道逃げられっこないんだ。たかがドラッグの密売ぐらいで寿命縮めるこたぁねぇだろう」

「うるせ~っ!」

「悪いこたぁ言わん…その子を離して大人しく投降すりゃぁ、ブタ小屋(刑務所)送りで済むんだからよぅ」

「やかましいっ!俺は知ってるぞ…一度ブタ小屋に入ったら、二度と出て来られねぇ事ぐらいなぁ」

「そんなこたぁないよ。俺が刑事の時に逮捕した奴らは、みんな刑期を終えてシャバに出て来た」

「いや、とっつあん。ヤツの言ってる事は本当だ。俺が捕まえたヤツらは一人もムショから出て来ていない」

 事もなげにそう言ったジョーの言葉を聞いて、ツクモはいささか慌てて彼を見た。

「おぃ、おぃ、ソルジャー(ジョーのあだ名)よ。そんな事言ったらヤツが余計に恐がるじゃぁねぇか」

「いや、嘘は言えない「ビースト法」に、虚偽を述べてはならないって条文があるからな」

「そんなおめぇ、何もこんな所で堅い事を言わなくったってよぅ」

「何をゴチャゴチャ言ってやがる!銃をこっちに投げてよこせ!」

 ツクモたちのやりとりにイラついたビーストが、喚くように武装解除を要求して来た。

「あぁ言ってまっせ。どないします?」ヒジリが困り顔をしているツクモに聞いた。

「しゃぁねぇな~…人質に何かあったら、俺たちゃぁ狩猟免許取り消しだからな」

「そうだな…ここはヤツの言う事を聞くしか手がなさそうだ」ジョーも言った。

 仕方なく三人のイェーガーは、手にしていた拳銃を下ろしてビーストの方に投げた。


 腰を屈めたビーストは、用心しながら床に落ちた拳銃を拾い集めた。

 そして、拾い上げた銃身の長いジョーのモーゼルC-96を構えて、三人のイェーガーをにらみ付けた。

「よ~し!そのまま犬を連れて出てけっ!」勝ち誇ったようにビーストは言った。

「はいよ、はいよ」

 ヒジリはそう言って、サムソンのリードを引いてドアの外に出た。他の二人もシャルクとともに外に追い出された。

 すぐさま、中からガチャリとドアの鍵が掛かる音がして、万事窮すの事態になってしまった。


~続く~

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