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淡い緑の煌めく鱗  作者: 糸許 灯祈
小さな竜と幼い日
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何も、竜がそんなに珍しい訳じゃない。いや、世界的には珍しいけど、この国では年に1度の王宮一部開放日の王の挨拶の際にはこの国を見守る《一番古い竜》が姿をみせる。


5歳の当時には、ただ初めて見た竜という存在だからあんなに心に残ったのかもしれないと思った。


9つのとき、私はお父様の働く王宮が見てみたいと無理を言って──あぁ、ごめんなさいお父様。本当は竜騎士の竜が見られるかもしれないと期待したの。──王宮の正門からその先の春の庭と騎士団本部棟の解放日に、王都へ向かった。


広場に集まるたくさんの人。王宮のバルコニーから国王陛下がお姿を見せられて挨拶がなされた。「皆が楽しめばよい」たしか、そんなふうに──正直私の心は別のところに向かってしまっていた──言葉をきった陛下が、右手をすっと掲げ、また降ろすとそれは空からやって来る。


人々は皆バルコニーを見上げていたから、バルコニーのある建物のさらに向こうの白亜の塔を向こうから飛び越えて翼を広げて滑空してくる影に、歓声だか悲鳴だかよくわからない叫び声が一気に湧き上がった。


竜は私たちの方へと下降してきて、でも塔より手前にある騎士団本部の建物に差し掛かる前に身を翻して空へ戻っていってしまう。


私はその一部始終を、周囲の熱気に相反して妙に冷静に見ることが出来ていて。


───あの小さな竜はもっと綺麗だったのに。


そんな事ばかりが頭に浮かんだ。


たった今見た竜は、濃い緑というよりほとんど黒い体で、遠目に見たって大きくって──馬よりも大きい。馬車ほどの大きさと表現するのが適切なのかもしれない。──コウモリのような翼だって、体そのものよりもさらに大きくて立派。


それでも、やっぱり、記憶の中のあの竜は私にとって特別なんだ。
















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