ある猫のお話
どうぞ見てやってくださあああい!!
いつもの朝。
いつもの商店街
その商店街の片隅には、ぽつん…と一匹の猫
猫「ニャア」
その猫の声は人々の声や音によってかき消された。
猫『誰か、食べ物を私にください。』
(私が親元から離れて3年…なんとか貯めていた食料も尽き、人間様から食料を貰えるようこの3日間ここでずっと頼んでいた。)
(でも…)
猫『どうして誰も気づいてくれないの?』
(私の事が見えないの?)
猫『誰か…』
猫「にゃあ…」
?「そんなところで何をしているんだい?」
1人の女性が猫に声をかけてきた。
猫「にゃぁ…」『あの…』
猫『どうか私にご飯を恵んでくれませんか』
(お願いします……どうか…)
すると、
女「…こんなに痩せて、可哀想に……」
スッ…
女「…私の家に来るかい?」
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〜女の家〜
あの後、猫は女の家まで付いて行った。
シャーー…
猫『返事も言わずについて来ちゃったけど良かったのかな?』
猫『少し、怖いよ…』
猫が不安になって悩んでいると
女「…こっちおいで」ガチャ
女がどこからか帰ってきた
猫「にゃあ?」『なんですか?』
猫が女の足元まできた
その時!
がしぃっ!
猫「ニャア!?」『ふぇっ!?』
女が猫を掴み
女「よし、捕獲!!」
ガラララッ
……お風呂場まで猫を連れてきた
(な、なに!?いきなりなに!!?)
猫「に、にゃあ?」『あ、あの?』
女「少し我慢してね?」
女はにっこりと笑い猫に言った…
猫「にゃ」『なん』
なんで?と猫が聞こうとした瞬間
ジャァァァァ
猫「に''ゃぁぁぁぁあああ!!!」
暖かいお水をかけられた
(わぁぁぁぁ!!!お水やだぁぁぁ!!)
バシャバシャバシャ!!
女「わっ!あ、暴れないでっ!」
ずるっ
女「あっ」
ドテンッ
女が滑ってこけた
猫「にゃあ!」『今のうちにっっ!』
がしっ
(へっ?)
女「に、逃がさないっ」
猫「に''ゃぁぁ!!」『きゃあああ!!』
家の中が猫の声で響き渡った。
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猫「にゃぁぁ……」『うぅ…ぐすんっ』
(お水嫌い……)
と、猫が泣いていると
女「ごめんね…よく頑張ったねぇ」ナデナデ
猫「にゃあ!」『もう!本当に怖かったんですからね!?』ペシペシっ
女「あははっ!可愛いっ!」
猫「にゃあ!」『笑いごとじゃないです!』
女「よしよし、いい子いい子」ナデナデ
猫「ゴロゴロ…」『きもちいぃ…』
猫『はっ!』
(な、ながされてる!)
猫「にゃ…」『むぅ…』
女「ふふっ♪」ナデナデ
女「……よし、決めた」
猫「にゃ?」『え?』
(決めたって何をだろ?)
女「ネコちゃん…私、あなたを飼うよ」
猫「にゃあ」『飼うって』
女「ネコちゃんの帰る場所、これからは私の家になるよ」
(帰る…場所?)
猫「にゃあ?」『いいのですか?』
女「いやじゃなきゃ頷いて?」
猫「…にゃぁ」『いやじゃないです』コクリ
女「っ!わ、私の言葉が通じた……」
猫『何を言ってるのですか人間様?』
猫『そりゃ通じますよー』
女「そっか…そっかぁ!嬉しい……」
ギュッ
女「ふふっ♪ふわふわぁ!」
猫『……』
猫『なんか恥ずかしいですね///』
猫「に、にゃぁ///」『こ、これからよろしくお願いします///』
女「よろしくねぇ」
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〜家〜
猫『あれからもう半年ですかぁ』
(早いですねぇ……)
あれから半年で猫はあの女の事を調べた。
猫『名前は神崎 遥様
黒くてサラサラの髪…黒目…あれは絶対に異性からの好意が沢山あるかと思われます。
性格は…おっとりですね。いや、マイペースというべきでしょうか。
年齢は20歳、大学生という職業…』
猫『…今まで見てきた人間様より神様的存在ですね。』
猫『何故…あの時、私を拾ってくれたのでしょうか……』
猫『私は疑問でしょうがないです。』
ガチャ
遥「ただいまー」
猫「にゃあ」『おかえりなさいです。遥様』
遥「マコ〜♪」ぎゅー
猫『は、遥様ぁ…ぐ、くるじい』バタバタ
どうやら猫の名前はマコらしい。
マコ「にゃあ」『お疲れ様でした』
遥「ん♪ありがとう♪」
マコ『っ!』
(…たまに…いや、いつも遥様と会話が成立することがある)
(前の私は人間様には言葉が通じると思っていましたが、そういうのはないと気付きました。逆に人間様もそうです。)
(でも……遥様は別…)
遥「さぁて!お風呂はいろ〜♪」
マコ「にゃ!?」『え!?』
がしっ
遥「マコもだよ?」
マコ「にゃぁぁぁ!!」
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〜お風呂場〜
マコ「に、にゃ」『お風呂は…慣れましたが……その…』
遥「〜♪〜♪〜」
マコ『は、遥様とのお風呂が恥ずかしいです……な、なんででしょうか///』
バシャ
遥「ん?どーしたの?」
マコ『ど、どーしたもこーしたも!恥ずかしいんですよぉ!///』ペシペシっ
むにっ
遥「ひゃっ///」
マコ『む、むにっ!?///ご、ごめんなさい!あわわわ////』
遥「も、もう〜、びっくりしたじゃんっ」
マコ「にゃあ///」『私もですよぅ///』
マコ『あんな声…聞いたことないですよ///』
ピコーンッ
マコ『…日頃の仕返し……ですっ!』
ペシペシペシペシっ
遥「ひゃっ///ちょ、ちょっとマコ!?////」
マコ「にゃ!」ペシっ
遥「ぁっ//」
マコ「にゃ!にゃ!」ペシっペシっ
遥「んっ…ひゃぁっ…///」
マコ「に、にゃ…///」ぺたぺた
遥「はぁ…はぁっ…マコぉ…///」
マコを抱きしめる遥の顔はまさに女の顔をしていました。
いつも明るい顔の遥がこんな一面を持っているなんて。
そんな遥に対し猫は…
マコ『や、やりすぎました。』
結構動揺していました。
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〜部屋〜
遥「ふーっ、さっぱりしたぁ」
マコ『そ、そうですねぇ』
(あのお風呂場で見せたお顔が…脳裏に焼きついて……ぅぅ///)
遥「さ、寝ようか?」
マコ『ちょ!遥様っ!!?』
マコ「にゃあ!」『髪を乾かしてくださいっ!』
マコ「にゃにゃ!」『風邪を引きますよ!』
遥「ん〜?どうしたの〜?」
(あぁ、もう、こういう時にっ)
(通じないんだからっ!)
シュッ
トテトテトテ
ベシッベシッ
ドライヤー《いたいよおお》
マコ『髪!乾かしてくださいっ!遥様が風邪引いちゃいますっ!』
マコ「にゃあ!」『気づいてっ』
遥「……」
遥「ありがとう…マコ。風邪引かないように乾かせって言ってるんだね?」
マコ『っ!』
遥「マコ…」ぎゅっ
マコ『ふぇっ!?』びくっ
遥「…ありがとう」すりすり
きゅん
この時、マコに知らない感情が芽生えました。
胸がきゅう…と苦しくなって、マコは戸惑いました。
マコ『なに…これ……苦しい』
マコ『私どうかしちゃったのかな』
(でも…わかるような気がします。)
(これは……)
マコ『恋…』
遥「…」すりすり
マコ『……遥様、私』
マコ『好きになってはならない貴方を、好いてしまいました。』
マコ『これだけはどうか気づかないでください。』
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➖次の日➖
遥「いってきま〜す!」
マコ「にゃあ!」『いってらっしゃいませ!』
(……はぁ)
(なんで私は猫に生まれたのだろう……人間様に…生まれたかった……)
マコ『私は一体どうしたら…』
?【お困りのようですね】
マコ『っ!?誰!!』
フシャーッ!
?【まあまあ、そんな警戒せず】
マコの前に現れた謎の人物。
フードをかぶっていて顔がよく見えない。
ただ見えるのは女性みたいなぷっくりとした唇。すらっとした鼻。
男か女かわからない声。
これを警戒せずにいられるわけがない。
マコ『貴方は一体…』
?【神様。だよ】
マコ『神様?』
?【お前の願いを叶えてやろうと思ってね】
マコ『なっ』
マコ『騙されませんよ!そんな嘘!!』
フシャーッ!
?【あ、あれれ?】
?【まあ、いいや、信じてくれなくても】
?【でも、君の願いは叶えるからね】
?【次の日が楽しみだ♪ それじゃね〜】
ヒュンッ!
マコ『き、消えた!?』
ズキンッ
マコ『うっ!』
か、体がいたっ
遥様っ!!
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〜家〜
遥「ただいまー」
しーん
遥「…あれ?」
バイトから帰ってきた遥。
ただいまと言うと必ず返ってくるマコの鳴き声。
それがいつまでたっても聞こえない。
遥「マコ?」
いてもたってもいられず部屋に行くと
「……」
白くて長い髪…幼い顔の少女が倒れていました。
遥「…え?えーー!?」
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〜部屋〜
遥「急いで連れてきたのはいいものの…」
少女「…すぅ……」
遥(この状況はいったいぃ!?)
遥「…マコいないな……」
遥「マコ……」
遥(マコは私にとってとても大切な存在。)
遥(はじめてマコに出会ってから日々が楽しくて……なのに…どこ行ったのかな…)
少女「すぅ……」
遥「綺麗な髪…」
遥(マコと同じ白い色)
遥「……まさか、ね。」
少女「んぅ…」
ぱちっ
遥「あっ、目が覚めた?」
がばっ
少女「にゃ!……あれ?遥様?」
ドキンッ
遥「うそ…まさか……」
遥「マコ?」
マコ?「は、はい。マコです。あの…これは一体どういうことで」
マコ「しょ」
遥「マコおおおおお!!」ダキィッ
マコ「わっわぁ!!?」
どさっ
マコ「は、遥様!まず、ご説明を」
遥「そんなのどうでもいい!」
マコ「へっ」
遥「よかった!マコがどっか行ったのかと思った!!」
マコ「そんな!私は遥様を置いてどこかになど行きません!」
きゅうん
遥「マコ……大好き」
マコ「私もですよ」
遥(その好きは…きっと主人としてかな)
遥「ねえ、マコ」
遥(だったら……もっとわかるように!)
マコ「はい?」
遥「愛してる」チュ
遥(わっ!おでこにキスしちゃった///)
マコ「っ!///」
遥(気持ち悪かったかな?)
マコ「はるか様ぁっ///」
遥「え?マコどうしーーんっ!?」
チュ
マコ「私も遥様の事を…愛しています。」
その時のマコは…とても幸せそうな顔でした。
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神様ありがとうございました。
おかげで、遥様と両思いになれた……
果たしてそれが良かったのかは、定かではありませんが…
今はこの人を幸せにしたい。一生この人の元で生きていくことを誓います。
この先どんなに大変だろうと。
愛しい人、愛する人と一緒なら……
END
見ていただきありがとうございましたああああ!!