一章:4,5
「おい、メリス!」
…サタナの声が聞こえてくる、けど何を言っているか聞こえない
うん、それもそうだ、だって
今私はこの人の血に夢中だから
いままでも色んな人の血を飲んできた、だから初めての血に嬉しくなったわけでもない
のに、この人の血はすごくおいしかった、ずっと飲んでいたいとも思えるほどだ
そう思っていたら、急に私とこの人の中で深いつながりができたような気がした
その瞬間私は正気を取り戻した
「メリス!何をやっている!死んじまうぞ、この人間」
「え…?」
上を見上げたらそこにはぐったりとしたあの人がいた
…とんでもないことをしてしまったのかもしれない
いくら無意識とはいえ私は罪もない人間を私の欲で殺してしまったのだろうか
…そんなの死んでも自分を許せないかもしれない
けど、彼は死んではいなかった
「…おいおい、メリス何をした?」
「何をって…わかんない」
「普通なら即死レベルで血を吸われているはずなのにこいつ…生きているぞ」
「死んで…ないの?」
「…あぁ、だがこれは…」
本当なら死んでいるはずが死んでいない
これが起こるということはひとつしかないとサタナはいった
この時は私はなんとも思っていなかったけどこの時から私は
彼のことを無意識に求めていたんだ