一章:4
「おら、さっさとベットに寝かせろ、ぐずぐずするな人間!」
そこはしっかりとした木造の小屋だった
一家族ぐらいは満足に暮らせるようなけっこう大きめの一軒家のような小屋だ
中に入ると二階へ行くようにコウモリに言われ吸血鬼の部屋らしき所へ運びベットへと寝かせた
吸血鬼は苦しそうに短い呼吸を繰り返している
「な、なあ」
「あん?なんだよくされ人間」
「その…なぜ彼女はこんな状態に」
「…てめぇのせいだよチンカスごるぁ!」
「ひぃっ」
単純に何故こういう状態になってしまったかの原因を知りたかったのだが、コウモリに怒られてしまった
…俺を助ける?ために使ったあの魔法のせいなのだろうか
「魔力枯渇だよ」
「…枯渇?」
「ああ、もう気づいてるかもしれないがこいつは吸血鬼と呼ばれるディガイズだ。吸血鬼は魔力が強いディガイズだから枯渇すると死んじまうんだよ」
「…ということはこのままだと」
「…ったく、こいつは後さき考えず行動しやがって…こんなくそみたいな人間ほおってよけばいいものを…」
「助かる方法は?」
「あぁん?教えたところでてめぇに何ができるってんだ」
「…内容によってはな」
「じゃあ血をよこせと言ったらお前は頷けるか?」
やはりそうか
弱らせた人間の血を吸い尽くすって言うのはガセっぽいけど血が必要なのは変わらないらしい
…この子は俺を助けようとしてくれた、だから助けてあげたい
が、俺が金持ちになるにはこの子を殺すしかない
そうだ、いわばこれはチャンスなのだ、弱っているこの子を殺して首を持っていけば俺は一瞬でいままでの生活から抜け出せる
俺はこの変な優しさのせいでこんな貧乏になってしまったんだ
優しさで飯が食えたらこんな気苦労はいらない、さっさと殺してしまって町へ帰ろう
帰る道はどうとでもなるし、最悪このコウモリに案内させればいいのだから
…けど俺は
「…血でいいんだな?」
「あぁ?」
「飲ませたらいいのか?」
「あぁ…じゃなくてだな!お前分かってるのか?てめえが血を飲ませたらこいつは助かるんだぞ?お前は敵を助けるって言うのか?」
「こいつだって同じだろう、敵の俺を助けてくれた。なら俺も同じことをして何が悪い」
「…何が目的だ」
「さあな」
何を言っても信じてくれなさそうなので腰に下げていた剣で自分の腕を軽く切った
裂かれた皮膚からは血があふれてきた、結構痛かったがまあ仕方ないだろう
「どうだ、これでいいんだろう?」
「…ちっ、まあいい。メリスが助かってからだてめぇを問い詰めるのは」
俺はコウモリの言うとおりに吸血鬼の口の前に腕を差し出した
「こうしときゃ血のにおいに気付いて勝手になめるだろうよ」
「そういうものなのか?」
「黙って腕出しとけ」
するとコウモリの言った通りに吸血鬼は俺の腕の血に気付いたようだ
吸血鬼は俺の方を不思議そうな目で見てきた
「…え?」
「お、本当に気付いたのか。ならさっさと舐めちまってくれ」
「…いいの?私…」
「あんたも俺を助けようとしてくれただろう、だからその借りを返そうとしているだけだ」
「…私、ディガイズなんだよ?人間じゃないんだよ?」
「…あんた見てたら人間だろうがディガイズだろうが銅でもいい気がしてきてな、それに…」
すごく気恥ずかしかったがこれは本当に思ったことだ
ディガイズだろうが人間だろうが関係ない、ただ俺の目の前にいるこの子がただ純粋に…
「あんたみたいなかわいい子見殺しなんかできないだろうが」
「…かわ…い…い?」
「ああ」
「…ありがとう」
そしてペロッと血を舐めてくれた、そして先ほどの苦しそうな息遣いが消え落ち着いたようだった
これで一件落着だろうと思ったその時
「え…?」
血を飲んで元気になったのか勢いよく起き上がりそして
俺の首筋に牙を立てていた
痛みを感じたのは数秒で、そのあとは気持ちいいと感じる心地よい感覚だった
そのあとの記憶は
ない