一章:3
「いたた…どこここ…?」
まさか目の前にターゲットが現れるとは思わなかったが
今はそれどころじゃない、いわば敵が三人に増えたのだ
ラッキーではなくアンラッキーだろう
「おいおい、いきなり落下するんじゃねぇよ…となんだ馬鹿悪魔三人衆がいるじゃないか」
吸血鬼が落ちてきたそのあと、小さなコウモリみたいなものが降りてきた
弱そうな見た目だが何故か悪魔にケンカを売っている
「これはこれはド間抜け吸血鬼のおまけさんじゃないですか、どうした?また魔力切れで落ちたかそちらの姫様は」
「はっはー!こいつはおまぬけさんだなあいかわらず!」
「…おい、今はあんたにかまってる暇はない、さっさと失せろサタナ」
「あん?…ってなんだお前らまだ人間狩りなんてやってんのか…物好きな連中だ」
「うるせー!てめぇのお姫様が人間を狩りなさすぎなんだよ!これが普通なんだよ!」
「…というわけだ、おいメリスずらかるぞ」
「え、なになに?どういう状況なのこれ?」
きょろきょろとあたりを見回すしぐさも人間とそんなに変わらない
だが好都合だ、一体でも減ってくれた方がまだ勝機はある
が、吸血鬼は立ち上がると俺の方に向かってきた
…やはり4体を相手にしなければいけないのか…が、その吸血鬼は俺に敵意を向けるどころかこちらをまっすぐな瞳で見つめてきた
「…人間さん、だよね?迷ったの?」
「あ、ああ…」
俺は半ば混乱していた、なんせディガイズが普通に会話をしてきているのだ
しかも敵意も何もなしで
俺が返事をすると吸血鬼は少し考えそしてとんでもないことを言いだした
「…うん、わかった。町まで案内してあげる」
「はい?」
「おいメリス何言ってんだ」
「と、いうわけで悪魔さんたちはそこをどいてくれないかな?」
「話を聞けメリス!そいつは人間だぞ!」
コウモリの言うとおりだ
俺は人間、敵だ。なのになぜかこの吸血鬼は助けようとしてくれている
何故そんなことをするかわからなかった
が、悪魔たちは道を開けるはずもなくむしろ敵意をむき出しにしていた
「…お姫様よぉ、そんなわけにはいかないんだよなぁ?」
「いきなり横入りされて獲物までとるとかなめてんのか!ああん!?」
「…というわけだ、ここを通す気はない」
「…そっか、じゃあ」
その時だった
強大な魔力がそこらじゅうに立ち込めた
「おい、メリス何をする気だ!」
「どいてくれないなら力ずくだよ!」
「やめろ!俺もお前もほとんど魔力が残ってないんだぞ、その状態で攻撃魔法なんて撃ったら…」
コウモリが何か言い切る前に周囲に立ち込めた魔力は吸血鬼へと集まりそしてその魔力は巨大な火の玉となっていた
「燃えちゃえええええええ!!!!」
「「「なんだってぇえええええええええええ!」」」
放たれた火の玉は悪魔たちに直撃した
煙の中には悪魔たちはいなかった、炭となったのだろうか…とにかく助かった
と思った瞬間だった
「メリス!」
吸血鬼がいきなり倒れたのだ
コウモリらしきものはすぐに駆け寄り安否を確認していた
「…魔力枯渇か、まずいな…」
「お、おい…大丈夫なのか?」
「んなわけあるか!」
俺も恐る恐る近づいて声をかけたがコウモリらしきものに怒られてしまった
…俺のためにこうなったのか?
わざわざ敵のためにこうなるとは、馬鹿なのかどうなのか…
「おい、ぼーっとしてねぇで貴様も手伝え!ここからなら小屋はそう遠くない、さっさと運ぶぞ!」
「は?…ああ」
俺は言われるまま吸血鬼を抱き上げコウモリの言う小屋へと運ぶことにした
その吸血鬼からは人間と変わらない女の子の柔らかさといい匂いがした、変態のような発言に聞こえるがつまり言いたいのは
その子はディガイズなのに人間と変わらない気がした