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第15.5話「Once to hit the angel, "die Drachen Freunde?"」

また長い…

<<フィールド:??????? 現在地:???????・???????>>


数こそ多いが親指ほどの小さな明かりのようなものが散りばめられた

仄暗い空間で円卓と思わしきモノを囲む人影達がいた。


「BGⅢは未だ動きを見せない」

天命主アウゴエイデス様。では我々は如何様に動きましょうか?!

とりあえずレイポイントの守護者どもを何体か消し去って来ましょうか!?」

幾黒ガンツシュヴァルツ。気、早い」

「五月蠅いですよ白天シエルブラン…貴方とてウズウズしているクセに!」

「………」

白銀アルジュンブランさんは何か喋っても良いのでは?」

「暗い所だと筆談が出来ないから嫌だってよ。

けっ…天命主の前だからって貞淑ぶりやがって…マジで気に入らねえぜ」

黒雷シュヴァルツドゥンナー、貴方は黙っていなさい」

「でもさー白金、白銅、黒紫、黒炎、白氷、黒風も黙ってるよね~~~~…何で?」


白炎フラムブラン大空天王ティヤウスの墓地へ向かうのだ」


「おおっ? また地上で遊んできて良いの?」

「…天命主様ぁ…何故私ではなくいつもいつも白炎ばかりぃ…」

「威力偵察にはもってこいなスキル持ちだもんなぁ? あぁそうか

だからさっきの六翼どもは黙ったまんまなのかあ?」

「黒雷。うるさい」

「けっ…わかったわかった…オイ白炎笑ってんじゃねえ!

行くならさっさと行けや!」

「ほいほーい! んじゃちょっと焚火してくるわ~」


仄暗い空間から一つ気配が消える。すると円卓を囲む者達の気配も

何故か一つ、また一つと気配を消していく。


第三天地サーディアース…我らが約束の地…BGⅢの意志に従うか否か…」


最初に言葉を発した存在の気配もここで消える。



<<フィールド:デヤウス地方 現在地:アラニヤ伯爵領・首都オンコット>>


前回の決闘騒ぎから数日…とりあえずAランク以上の実力は間違いないと認められたが

未だ記憶喪失中には変わりがないサドラスは、自分の不安定な立場も何のその。

一応はエリニュスに許可をもらって商店街をふらふらしていた。


「やあ、また会ったねサドラス君!」

「おや、ヴィシュヴァクさん。体調はよろしいのですか?」

「腐っても僕とてAランクチームのリーダーだ。見くびらないでもらいたいね!」


この間サドラスにワンパンKOされたヴィシュヴァクだったが、

ここで再会するまでの間に何度となくサドラスに再戦を挑み、

その都度ワンパンKOされている。流石に最後に戦ったときはツーパンKOだったのは

彼もサドラス並みの努力をこなした成果が出たということにしてあげよう。


「また再戦ですか…いい加減私も飽きてきたんですがねえ?」

「だから見くびらないでもらいたいんだがね! 今回は君の実力を見込んで

ちょっと頼みごとをしに来たんだ!」

「(これは疑似クエスト…ん? …そもそもクエストって何でしたっけねえ?)

頼み事…? 未だ住所不定無職の私にですか?」

「ああ。ここ最近オンコット周辺でレイド級の魔物が

たびたび見られるようになったのは知っているな?」

「いいえ、全く」


どこの芸人プロかと言いたくなるくらい美しくズッコケるヴィシュヴァク。


「君は記憶喪失だと聞いてはいたが、それならもう少し外の出来事にも

関心を向けるべきだろうに…! まあそれは置いておくよ…

流石に今回ばかりは僕たちAランクのハイランカーチームだけでは

如何にも心もとない出来事なんだ!」


いつの間にか出店で串焼きのようなものを何十本も買って頬張るサドラスに

時折突っ込みを入れながら語るヴィシュヴァクの話を纏めれば、

レイドモンスターの多くはどうやらオンコットに最も近いパンチャブータ山脈から

やってきているという事が判明し、その山脈に何か原因があるのではという事だ。

レイド級が一体や二体程度ならAランクチームを集めて掃討すれば

どうにかなりそうだが、流石に数が多すぎる。と言うことでヴィシュヴァクは

知り合いの単独ハイランカ―にも片っ端から声を掛けている真っ最中に

運よくサドラスに出会えたのでこれも何かの縁と声をかけた次第だとか。


「君の協力があればレイド級に出くわしても安心だ! どうだろうか?

僕たちと一緒についてきてくれるかな?」

「エリニュスさんも刺激が大事と言ってましたしねえ…」


口では塩対応っぽいが、内心は割と乗り気なサドラスは

爽やかにもほどがある笑顔を浮かべるヴィシュヴァクにほんのりイラッとしつつも

軽快な足取りで厄介になっている第三区教会へ戻っていった。



―?????の視点―


この地に根を下ろして早650年といったところだろうか…

生まれてすぐに父とも母ともつかぬ親方様達にこの地の龍脈を守護するように言われ、


「そのうち此処に攻めてくる冒険者エクスプローラーが来るだろうから遠慮なくぶっ飛ばして良いよ。

運が悪いと廃人みたいな連中に会うかもしれないけど…その時は勘弁ね?」


…と言われたものの、全く持ってそんな連中が現れた試しがない。

たまに来たかと思えば単に道に迷った魔物や間違えてやってきた人族くらいで、

冒険者なるものには結局ただの一度も出会ったことがなかった。


「暇だな…」


せっかく親方様達より「神々の言語」全てを介する能力を与えられ、

長き時を容易に生きれる長寿にして屈強な肉体と集団で襲い掛かる連中との

戦い方などを教わったというのに…全く使いどころがないではないか…。


「起きて、周囲を見て、たまに食事をして、眠って…」


繰り返し繰り返して数百年…退屈すぎて死にそうだ…

わっちの存在を嗅ぎ付けたのか腕試しを目論む人族もたまに現れるが、

鼻息一つで明後日の方向へ飛んで行ってしまうような雑魚ばかり…

親方様方曰く「冒険者は人族とは比べ物にならない強さを

持った連中がいるけど、まあキミなら大丈夫でしょ?」と申していたが…

出会ってみないことには何も分からんではありませんか。


「…むぅ?」


何かこちらに一匹飛んでくるな…やれやれ今度は忘れっぽい怪鳥か飛竜が

またわっちに戦いを吹っかけてきたのだろうか…?


「まあ良いわ…わっちの退屈しのぎに付き合ってくれるのだ、歓迎してやろう」


願わくばわっちの必殺ブレスを使わせてくれる程度の者であって欲しいわなぁ…



<<フィールド:デヤウス地方 現在地:パンチャブータ山脈・中腹>>


何時の間にか後ろにいたヴィシュヴァクらのパーティが、

忽然と見当たらないことにサドラスは首を傾げていた。


「おやあ…?」


なんとなく中腹に至るまでの経緯を思い返してみるサドラス。


「ええと…まず麓で魔法使い風コスプレ幼女なんかに付き添っていそうな、

何ともブチ殺したくなる印象の小動物を見つけたので指弾を打ったら当たらなくて…」


その小動物を追いかけているうちに『死滅魔法少女ジエンディア(Lv220)』

なるアンデッドモンスター数十匹の集団に取り囲まれていたので、

これはまずい(主にヴィシュヴァクのパーティが)と思い、

ジエンディアたちに一当てしてヘイトを自分に集中させてうまいこと

開けた場所まで誘い出してから飛んだり跳ねたりしつつ

一匹一匹ぶん殴って倒していたが埒が明かず、「武器とかが有ればなぁ」

などとぼやいていた時にストレージ内に大量の武器を持っていることを漸く思い出し、

しっくりくる銃剣と大斧の二刀流でサクッと蹴散らしたのは良かったのだが、


「ちょっと軽く空中戦でハッスルしすぎて降り立ったら中腹に…

ってどう考えても調子に乗った私のせいですねえwww」


誘い笑いをしても誰も(居るわけないので)突っ込んでくれない事に

一抹の空しさと寂しさを感じたサドラスは、とりあえず近くに

なんだか目立つ大岩の鳥居っぽいのがあったので、そこに

「とりあえず奥地に行ってきますので、

日暮れまでに戻らなかったらお帰りください。サドラス」

とメッセージを書き残して、頂上を目指してずんずんと進んでいった。


……。


…。


夕暮れの中、そのメッセージを読んで絶句している「アレフガルツ」のメンバー。


「隊長…? どうしましょうか…?」

「我々がここまで来るまでの間に約束の時刻になってしまっていますが…?」

「夜まで待つんだ! あの魔物少女どもを余裕であしらえるサドラス君のことだ!

単に道草を食っているだけに違いない!」

「しかし夜は超人エトランゼ級のモンスターも徘徊するようになりますが…?」

「………………………………………………………完全に日が沈みきるまで待つんだ」



<<フィールド:デヤウス地方 現在地:パンチャブータ山脈・頂上カルデラ湖>>


時間はヴィシュヴァクたちが絶句する前に遡る。太陽は中天ど真ん中、

ジャストランチタイムである。ということでサドラスは

出店で大量に買ったサモサとナンサンドにタンドリーチキン、

野菜たっぷりダールスープにデザートは印度風ドーナツのジャムナグルな

存外豪華なお昼ご飯を食らっていた。


「お茶くらい持って来れば良かったですかねえ」


油まみれな手を真紫のハンカチで拭きながら、サドラスは辺りを見回す。

ここはもう死火山なのだろう。本来噴火口になりえる部分には湖ができており、

周囲には森などの緑が茂り、付近に降り立ったらちょっとしたログハウスなんかを

建てれば結構な別荘地に早変わりしそうだ。


「はて…湖がやたらと波打っているような…?」


サドラスは自分でも無意識のうちにMAPウィンドウを展開した。

するとサドラスの現在位置からウィンドウの端っこギリギリのところに赤点が二つ。


「魔物同士の小競り合いですかねえ…REC…は私じゃなかった…んん?」


自分の言ったことに首を傾げながらサドラスは赤点二つの地点を目指して

湖目指して斜面を滑り降りていった。



<<フィールド:デヤウス地方 現在地:パンチャブータ山脈・頂上中央部>>


サドラスがおよそ500メートルほど近くまで接近したとき、

ようやくMAP上でやかましく動き回っていた二つの赤点の魔物を視認できた。


「Aw, you do end up with it? I am a very boring?」

「Verdammt! Sie fahren nicht in tune!」


ちょうど湖の真ん中にある島で、一匹の巨竜が異様なほどに

真っ白な天使のような人型に魔法で嬲られている光景が見える。


「さて…まず何語を喋っているのかを見当つけなきゃダメですねえ」


竜と天使の会話に耳を澄ませて聞き入るサドラス。


「ほらほらほらほら~♪ 生命力ヒットポイントがゴリゴリゴリゴリ削れてくよ~ぉ?」


そう言って天使は十三対もある真っ白な翼を羽ばたかせるや否や、

翼の先から極彩色のレーザーが幾本も飛び、竜の体表に尋常ではない火傷を負わせていく


「おのれええええええ! ならばこれでも喰らえやあああああ!」


叫んだ竜が思い切り息を吸って吐いたのは紫色の火炎放射、

直撃したにもかかわらず最初は涼しげな顔だった天使も


「あははは…涼しい涼しい……っておぉ!? ちょっと痛いなぁ!?

…あっコレ波動と炎の複合属性かぁっ!? それはダメだね反則反則~!」


多少は焦ったような口ぶりだが、天使のHPゲージはあまり削れていない。

どことなくダメージを受けたことをも楽しんでいるような節がある。


「化け物めえええええ!」

「いやいやいや~♪ 天使ぼくキミじゃあ化け物認定はそっちですから~♪」


天使が両手を交差させたと同時に今度は頭上の天使の輪が発光し、

夥しい量の巨大な水晶柱が発射される。竜は既に回避する余力が無いのか

水晶柱をその身に連続で受け続けるしかないようで、気が付けば竜のHPゲージは

残り三割を切っていた。


「ふむ…」


サドラスはその光景を見ながら、右手に大斧、左手に銃剣を無意識のうちに装備し、

軽く呼吸を整えたかと思ったらその場に残像を残して天使のほうへ一足で肉薄し、


「あん…? んぎゃっぷ!?!」


大斧で叩き落として間髪入れず銃剣から弾丸の雨を浴びせた。


「うがががががががががぎゃ?!」


今度は天使のHPゲージがゴリゴリゴリゴリメッキョメキョと削られていく。


「な…何が…起こっておるのだ…?」


満身創痍な巨竜が目を疑うのも無理はないだろう。

空を飛ぶための器官が何一つ見当たらない全身紫づくめの人が

自分を嬲っていた天使を蠅のように叩き落としたかと思えば

ゴミを踏みつぶすように鉛玉の雨を叩き込んだのだ。


「何なんだよぉお前ぇ!!」


ゲージが半分近くまで削られた天使はそこでどうにか弾丸の雨から脱出し、

お返しとばかりに背中から大量のホーミングレーザーを打ったのだが、

それをことごとくあさっての方向に弾き飛ばしまくるサドラス。


「は…? へ…?」

「おや? もうお仕舞なんですか? せっかく温まってきたというのにねえ」


整った顔立ちが歪むほどに歯ぎしりをした天使は忽然とサドラスの視界から消える。


「ほう…?」


サドラスが何かを関心したと思った様子を見せたが、

そのまま真上から灼熱の火炎旋風に包まれてしまう。


「なぜ避けぬ…!」


竜は息を呑むばかりで、真上にいる天使のほうは今度こそニヤリと笑って


「参りましたねえ。防具が煤だらけですよ」

「「!?」」


灼熱の柱からノロノロ出てきて防具の煤を払うサドラスの姿に絶句する。

当然だがサドラスのHPゲージはミリ単位でしか減っていない。


「ええと…? 天使っぽい…ああ貴方は白炎フラムブランのアシーエルって名前なんですねえ」

「ッ!? 馬鹿なっ…!?」

「な…んで僕の名前が素で見えるんだよぉお前はぁ!!」


天使ことアシーエルが天使というよりは悪魔の形相を浮かべながら

何かを素早く詠唱したかと思いきや、今度は四方八方からサドラスめがけて

紫電やら火炎弾やら重力波に現実世界のミサイルみたいなモノを何百発も叩き込む。


「ふむふむ…属性によっては急所以外でも軽く十万ダメージ食らっちゃうんですねえ」


普通なら絶望したくなるような多種多彩な波状攻撃も何のその、サドラスは

滑空を続けるアシーエルのもとにゆっくりゆっくり近づいていく。


「うわあああああああああああああああああ?! 来るな来るな来るなあ~~~ッ!!」

「やれやれ…」


半狂乱で思いつく限りの攻撃をするアシーエルの様相に白けたのか、

サドラスは先ほどまでのゆっくりはお遊びだったのかと思うくらいの

恐ろしい速度でアシーエルに接近し、


「おぶふぇッ?!」


腹パン一発。打たれた部分から背中に衝撃が走り、ソニックブームが発生。


「はぐ……グうぎュエあぁぁッ!?!」


腹パン一発でアシーエルの目とか鼻とかからヤバそうな色の汁が出てるのも構わず

胴体に銃剣を刺したかと思えばそこからゼロ距離バースト。


「や…やめt――ゲェエェエアアアアアア?!?!」


必死に懇願するのを無視しつつ心臓辺りに手を当てて

そこから波動砲みたいなエフェクトの黒魔法+3999

「グラビトロンミキサーキャノン」を一切合財遠慮なくぶっ放し、


「ではこれで終わりだ。ディストラクトルネード!」

「ウギャアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」


恐怖に歪むアシーエルを尻目に愛用の大斧から繰り出すドス黒い竜巻で吹き飛ばした。

竜巻から吹き飛ばされる際にアシーエルのHPゲージはまだ数ミリほど残っていたが、

すっかり興味を失ったサドラスはそんなことを気にはしていなかった。


「…さて、と」


サドラスはもう色々な意味で呆然としている竜を見た。


「ふ…ふははははははははは! そうか…わっち此処で死ぬのか!

いやはや幾世紀長いようで存外あっさりした人生であったわ!

だが悪戯に貴様に命を差し出そうなどとは思わぬぞ!

どうせならわっちの最大の必殺技くらい受けてモガガガ?!」

「さっきの天使より雑魚なあなたと戦っても何にもうれしくないですねえ」


自棄になっていた竜の口にエリクシルを何本も無理やり飲ませるサドラス。


「あのクソ天使程ではないが…ちいとばかし屈辱だ…」

「では全快と同時に首と胴体をご対面でもしますかねえ?」

「せっかく拾った命を捨てるほどわっちもバカじゃないから!」


竜は結構思いっきり左右に首を振った。あの天使をボコボコにしたサドラスは

冗談のつもりだったのだろうが、竜にはそうは思えなかっただろう。


「おんしは一体何者だ? 今更だがわっちはおんしの名前が見えん」

「ああ、私とりあえずこういうものです」


そう言ってサドラスは後ろを向いてステータスウィンドウを展開した。

竜は(・。・)みたいな顔のまま固まった。


「レベルだけでもわっちの軽く倍…ふ、ふふふ…世の中って、すごいなあ」

「まあそんな事は兎も角…ええと…水王鎧アクアモナークアルマグウェンダさん…? 

で、良かったですかねえ」

「良かったも何もわっちの真名じゃっちゅーに」


何だか色々スッキリしたのかカラカラと笑う竜ことグウェンダ。


「ちなみに私がここに来たのは色々と成り行きです。色々と忘れていることを

思い出すのに丁度いいかと思ったもので」

「あの戦いぶりを以ってそのセリフには色々嫌味が入っているように感じられるぞ?」

「まぁ私ステータス見ても自分の事にピンとこないって言うか記憶喪失者らしいので」

「サラッと怖い事を言うわwじゃあ全部思い出したら

おんしはどんなバケモノになるのかww」

「さあwww」


グウェンダに合わせて笑ってみるサドラス。


「何とも何ともwいやいや…おんしのお蔭で良い経験になったわ。

命も救われて、久々に大笑いできて…自分の身の程も知れた…

しかしなぁ…わっちはおんしに出来る礼はあるが形あるものではないのだが…

はてさてどうしたものか…」

「じゃあ折角なので記憶喪失らしい私の最初の友達にでもなってください」


そう言うとサドラスはウィンドウを展開し、何回かタッチする。

するとグウェンダの顔の前にウィンドウが展開される。


「うん…? …?! お、おんし…わっちを友として迎えてくれるのか?!

おんしから見て明らかな格下のわっちを同格の友と…?!」

「いやいや…友達に戦力は関係ないでしょうに」

「良いのか…? ホントに良いのか?」

「とか言ってもうYes押してるじゃないですか」

「ばれたか」


実はフレンド登録の誘いだと分かった時点で

是非もなくYesをタッチしてたグウェンダ。

守護者として何百年も生きているのだから、

丁度外にお出かけしたいお年頃だったのかもしれない。


「はてさて…これだけでは礼をした気には全然ならんな…」

「まあ良いじゃないですか…おっと…そろそろ日が傾きかけてきましたねえ」


じゃあ、そういうことで…と言い残して颯爽と帰ろうとしたサドラスの肩を

鷲掴みにして引き留めるグウェンダ。


「待て待てサ…サドラス…よ。おんし帰るところがあるのだな?」

「ええまあ一応厄介になってる街がありますけど」

「ならばわっちに送らせろ」

「え、いや別にいいですよ飛んで帰れないわけじゃないですし」

「もらいっぱなしはダメージ以外でも好かん。というわけでわっちの背に乗れ

急ぎ飛び帰るよりもまったり飛んで帰った方が良いだろう?」

「はあ…じゃあ折角なのでドラゴンの背に初乗り? してみましょうかねえ」


実は本当に初乗りなのだが、これもやはり記憶喪失なのでどうしようもない。

そしてグウェンダが何気にドラゴンっぽくなく照れてるような反応を見せているが、

こっちは記憶喪失云々の問題ですらないサドラスの人としての根本的な問題なので

やっぱりこれもすごくマジ的にどうしようもない。



<<フィールド:デヤウス地方 現在地:アラニヤ伯爵領・首都オンコット>>


夜の色に染まり、最も賑やかな時間帯のオンコットが

一転して大パニックになったのは言うまでもない。

なにしろ名前が????????なドラゴンが

街のど真ん中にドズゥウウンと降りてきたのだ。


「うわあああああもうこの町はダメだぁ!!」

「逃げろおおおおおおお!」

「ママー!? パパー?! どこぉー?!」

「伯爵様の軍隊は何してんだよぉ!!」

「ヒィィ!? 目が合っちゃったぁあああ!?」


何事かといち早く駆けつけたエリニュスはドラゴンの頭上の名前が見えない事を

確認し、「あぁコレはもう駄目だ」と気持ちが折れそうになったところを

ドラゴンから降りてきたサドラスを見て踏みとどまる。


「ただいま戻りました」

「お、おかえり…なさい…? って素直に言えるわけないでしょーが!」


スパコーンとサドラスの頭を杖でぶん殴るエリニュス。

勿論サドラスが痛くも痒くもないと分かっているが故の行動だ。


「わが友の頭を殴打するとは中々に肝の座った小娘よ」

「ひゃあああああ!? しゃ、喋ったーッ!!」

「サ…ドラス…? この小娘焼いて良いか?」

「やめてくださいw 彼女が私の恩人なんですよ?」


眼が点になっているエリニュスを余所に談笑を始めたサドラスが、

遠くから「うおおおおおお!」とか言いながら走ってくる見知った連中に気付く。


「やあヴィシュヴァクさん。何だかんだで私のほうが早く帰っちゃいましたねえ」

「僕たちが居る限りこの街で勝手な真似h…ってサドラス君?!」


圧倒的なレベル差をモノともしないのは勇気か蛮勇かはさて置いて

戦う気満々で武器を構えようとする『アレフガルツ』のメンバーだったが、

騒ぎの原因であるドラゴンと普通に仲良さそうにするサドラスを前にしたら

一気に毒抜きされたかのように静まり返った。


「聞く必要があるかどうか分からないんだが…そのドラゴンはもしや…」

「ああ、はい。私の最初の友人になってくれた巨鎧竜ギガントドラゴンのグウェンダさんです」

「ギ…ギガ…?!」


『アレフガルツ』のメンバーを含め、冒険者たちは絶句する。

それもそのはずで、ギガントドラゴンはレイド級モンスターのなかでも

上から数えた方が早いほどのモンスターである。

名前の通り生半可な物理では一切傷つかないので魔法攻撃を主体とした非物理で

戦わねばならないような存在だ。ただこの種は人里付近を好まないので

会おうと思っても会えるものでもない。まぁそんなレベルの

「モンスターと友人関係を構築する」時点以前からサドラスはどうかしているのだが。


「何気にわっちの種族も看破とか、わっちのプライベートもクソもないなw」

「レベル差という絶対法則の前でしょうから我慢してくださいよ」

「まあおんし以外には何も知られるどころかまともに理解される事も無いから良いがな」


笑いあうサドラスとグウェンダ。


「あぁ…もー頭が痛くてしょーがないです」

「気持ちはわかるよ神官エリニュス殿…しかし僕たちがこうでは街の皆に示しが…」

「隊長、伯爵閣下からの依頼はどう処理しましょうか…?」

「理由を添えて”作戦終了”って言っておくしかないだろう…?

どうせ前金も無いし被害も無いから向こうも文句を言う事は無いだろうし」

「あのー…私が危惧しているのはサドラスさんが

アラニヤ伯爵様に目を付けられる件なんですがー…?」

「Oh…」


何だか無性にポーション類をがぶ飲みしたい衝動に駆られたエリニュスの元に

渦中のサドラスがやって来る。グウェンダも注視するというオマケ付で。


「エリニュスさん。ここまでで結構色々な事を思い出せたのは良いんですが

相変らず私名前以外は自分が何処の誰なのかが見当つかないんですけど、

今度は何をしてみれば良いでしょうかねえ?」

「うぅー…今日はもう勘弁してくださいよぉー…!」



<<フィールド:デヤウス地方 現在地:アラニヤ伯爵領・アビケンの砂浜>>


あれから後日、これ以上サドラスを外に出しても

何か色々な問題しか出てこない気がしたので、サドラスが流れ着いた件の浜辺で

手がかりを探してしばらく引っ込もうと考えたエリニュスとサドラスだったが、


「あっはっは…! 何と何と何と…ついに私…! 記憶が…!」

「………!」


息を呑むエリニュス。


「結局戻りませんでした♪」


綺麗にズッコケるエリニュス。サドラスの傍らでは

「別に(記憶戻らなくても)良いんじゃないのか?」といった風なグウェンダ。


「個人的にはー…是が非でも取り戻して故郷にお帰り願いたいのですがー?」

「狼の娘よ、焦らずにまったりで良いだろうが」

「流石にもう困るんですよー?! 私がいくら教会の人間だからって

伯爵様方を何時までも抑えておけると思ったら大間違いなんですからねー!?」

「よし、じゃあその伯爵とやらをわっちが一族郎党焼き殺してしまえば…

…この先ずっとサドラスと友達いや親友でいられるしな…」

「そーいうのは普通にやめてくださいッ!!」


エリニュスとグウェンダの漫談っぽいやり取りをニヤニヤと薄ら不気味微笑ましく

眺めていたサドラスの目の前に、古い形式のウィンドウが展開される。


<ずっと見守ってたんだけどさ、サドラッさん>

「え? もしかして私に話しかけてます?」

<やはり明主様には火急的速やかに解決が必要な問題発生也>

「ん?」

<ご主人たま?! あたちを忘えたのー?!>

「んん?」

<ここのポイントは大失点にも程があるね>

「んんん?」

<愚直に的外れな事ばっか言ってねぇで普通に出てこようやお前ら!>

<遺憾だがイノスの言う通りだ>

<修様ッ!!>


その言葉を皮切りに

革新皇帝剣イノセント+3289、魔改造アリサカライフル『七天圧倒』+987

殺戮拳銃ヴァリアントSfzx+658、次元斬破鎌ルリエニエル+785

魔王処刑剣アルシエル+1210、大烈風妖刀『瞬起弾指マタタキダンシ』+3854

無間波動刀「爪弾刹那ツマビキセツナ」+6530が続々と人化して現れる。

これにはエリニュスはもといグウェンダも大いに驚く。


「ええと…貴方達は一体何者ですかねえ?」

「正直オレとしては今のお前のほうがゲス成分控えめで良いんだが…

刹那ちゃんがガチで泣きそうなのは見るに堪えられねえ!」

「私も同感です。というかもう姉さん涙と鼻水が…!」

「嫌゛あああああああ私゛の修゛様゛がああああああああああ!!」


美人台無しな刹那の泣き顔にいろいろな意味で困惑するサドラス。


「重要なポイントを挙げれば、明主様に一言進言します。

"今すぐフレンドリストのメンバー全員にチャットメールを送ってください"」

「そえでご主人たまは元通りになうの?」

「さ~ね~♪ サドラッさんの今までを見てみたけどさ~♪ 分の悪い賭けじゃね~?

いっそ原始的な方法として頭に強いショックとか与えたほうが早いんじゃね~?」


ぎゃあぎゃあと騒ぎ立てるサドラスのインテルウェポンたち。

そんな中サドラスは言われた通り馬鹿丁寧にリストのメンバー全員にメールを送った。


「とりあえずメールを一斉送信したので、返事待ちをする間何か話でもしませんか?

皆さんとの話でも私が何者なのかを解決する糸口になりそうなのでねえ」

「なん…だと…?」


イノスは「我、真理を得たり」と思わせるような表情を浮かべ、嬉々として

サドラスにあることないこと吹き込もうとして弾指にボッコボコにされる。


「まだ…何も…言って…ないじゃん」

「黙れ外道。私たちが兄さんの命令には絶対遵守なことを良い事に

よからぬことを企てていたのが普通にわかったぞ?」

「弾指、今ならHP0からの完全破壊をしても後で誤魔化せそうだわ」

「ごめんなさい! 許してください! 超怖い刹那ちゃんもやっぱ超かわいい!」


イノスの空中三回転半からのスライディング土下座に技術点を何点あげるべきか、

とか変な事を考えそうになっていたサドラスの眼前に大量のウィンドウが展開される。


「おや、お返事ですねえ」


メールの内容は大体が「お前の言動が究極に変だ」とか「ここに来てその対応は失笑ものです」

だの「とにかく現在地を言え」という内容ばかりなのだが、

馬鹿丁寧にまた全員に「実は私、記憶喪失者というものになったらしいんです」と

いう言葉を枕詞にしてクソ丁寧にコピペせずに手打ちで返信した。


「あの…グウェンダ…さん? サドラスさんがー何をしているかとか――」

「細かいことはわっちも知らん、だがわっちは友を信じるのみだ」

「ですよねー…そんな反応ですよねー」


………。


……。


…。


最後のKATUMIの「絶対そこを動くな! 最悪丸一日は動くな!」

と言われたのでサドラスは本当にそこから一歩も動かず待ち続けた。

エリニュスは正直サドラスを放置して平和な日常に戻りたかったのだが、

ドラゴンのグウェンダがどっしり腰を据えて事の成り行きを見守っているということや、

神職者としての務めを完遂するという義務感も手伝って何気に肌寒い潮風を

受けながら、サドラスがインテルウェポンたちと繰り広げている

頓珍漢な質疑応答っていうかもう漫談みたいなやり取りを黙って見つめていたら

不意にグウェンダが水平線の向こう側を注視したのだ。


「大きな船が大量に向かってくるようだな」

「え」


エリニュスは愛用の魔法のポーチから望遠鏡を取り出してグウェンダと同じ方向を見た。

水平線の向こう側からはサドラスと同じ色合いの真紫をシンボルカラーにしてるとしか

言いようのない戦艦の艦隊が二回り以上は大きな黒金の戦艦に率いられるかのようにして

尋常ではないスピードで向かってくるのが見て取れた。


「くぅーん…嫌な予感しかしないです…」

「艦隊の上空には一隻の飛行戦艦も見えるな」

「ふぅっ――もががッ?!」


気絶しそうなエリニュスを抱きかかえて

口に完全生命薬フルポーションを突っ込んだサドラス。


「エリニュスさんって気絶するの好きなんですかねえ?」

「誰のせーだと思ってんですかッ! 誰のッ!」


やがて艦隊が整然と浜辺に接岸し、飛行戦艦がサドラスたちの真上に浮かんだまま停泊。

真紫の艦隊の旗艦らしき戦艦、黒金の戦艦、そして飛行戦艦から相次いで

たくさんの人がサドラスのもとに我先にと押し寄せてくる。

インテルウェポンたちはそれを見て安心したのかサドラスのストレージ内に戻り、

刹那は刀の姿に戻ってサドラスの腰に帯刀した。


「先輩ッ! 無事…ではあるみたいですね…良かったです」

「一番先に着いたのはなんかすっごい美少女ですねー」

「ぼ、僕は男ですッ!」

「ほう、一部の親方様たち好みの"男の娘"というやつだろうか」

「ひゃあああっ?! ドドドドドドドドドドドラゴンンンンンッ!?!?!?!」

「ロティ殿落ち着いて! ちゃんと人語喋ってますから!」


まず外見云々を即座にエリニュスに突っ込まれるスイゲツと

キュクルに宥められながら「アレハドラゴンジャナイ」を唱え出すロティたちを

不思議そうに眺めていたサドラスの体が、超ダッシュしてきたハンドレッド、ユスタリシア、ララリリル、

メドラ、クリシュネーア達の体当たりじみた抱きつきで「く」の字に曲がる。


「ゲフォ?!」

「シュウ! 無事?! …よかった…!」

「殺しても死にはせんと思っておったが…流石に今回は肝をつぶしたのじゃぞ?!

敵のラストアタックでそのまま波に飲まれるなどシュウらしくないではないかぇッ?!」

「我が君がこの世を去るなど在り得なしに~ッ!(ドサクサに紛れて抱きつけたりッ!)」

「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛マ゛ズダー御無事でじだがあ゛ぁ゛あ゛ぁア゛!!」

「あの五百年間のような想いはもう絶対嫌ですわッ! ああ、サドラス様ぁッ!!」

「うぐ、ちょ、皆さん苦し…ぬおぉぉぉを?!」


言うまでも無いことだが、今現在サドラスは全身を女の子にガッチリホールドされている。

そして顔面には三人分ほどの双丘が押し付けられている…そのまま窒息すればいいのに。


「おっwww 記憶喪失も何のその~♪ サドラスさんやってることは相変わらずの巻~♪」

「たまにはブレても何も言わないでやりたかったろうが…」

「また新たなる仲間的な面子を加えたっぽいようなのだな」

「しかも犬耳っ娘にドラゴンかよ…マジで爆発してくんねぇかな」


相変らずサドラスをRECすることに余念の無いしえりゃんに、

RECする方とされる方を交互に見つつ何か痛烈なツッコミを入れたそうなアリカ、

やれやれだぜと肩を竦めるKATUMIにちょっと不機嫌に葉巻を吹かす厳蔵も

サドラスの周りに集った。ちなみにエリニュスには全員の名前が?表記なので

色々と考えるのをやめている。というかもう眼が死んでる。


「ぶはっ!? 何だか私本当にすごい人物っぽいみたいですねえエリニュスさん?」

「こっちに振らないでくださいー! 何かさっきから突き刺さる視線が続々とぉー?!」

「シュウ…誰?」

「シュウよ。ということで説明してもらおうか」

「我が君の下僕志願者ですねわかりまする」

「また新しい従僕を得たのですねマスター?」

「そういう意味であれば歓迎いたしますわ。ようこそ神の御膝元へ」


各々がにこやかな笑顔。しかし目は確実に笑っていないのだ。

エリニュスは意識を手放したかった。


「ふむ、サドラスよ。おんしは後宮持ちだったのか」

「いやあのグウェンダさん。まだそうと決まったわけでは」


サドラスが何かを言おうと思った矢先、グウェンダが全身を発光させる。

するとグウェンダが居たところにプラチナブロンドの少女が現れる。

存外驚く反応が少ないのはここに居る面子が

そもそも常軌を逸しているせいかもしれない。


「わっちは別に構わぬ。最初は友から…ということだな?」

「え、ちょ、な――!?」

「さどらすサン。少シオ話デモ致シマセンカ?」

「ぬわぁっ!?」


笑顔こそ菩薩級で女神クラス、だがうっすら歯を見せている段階で

間違いなく一見すると笑顔だが原始的な意味では怒りでもある表情のロティが

サドラスの背後に立っていた。気付けばもうサドラスの周りには他に誰もいない。

皆本能的に避けたのだろう。


「ちょっと待って下さいここは冷静に話し合―

「歯ぁ食いしばって下さいッ!!」―オウフッ!?」


ロティの特製バトルメイス「ドラゴン殺し+129」がフルスイングでサドラスの脳天に命中した。

素人目には見えないが、実は十六発ほど連続で叩き込まれている。

その結果サドラスは砂浜に上半身を見事にめり込ませた。

これは流石に死んだかもしれないと思ったが、

サドラスのHPゲージは2ミリくらいしか減ってないようだ。


「サドラスさんの…ばかぁ…!」


大泣きよりも静かに泣かれる方が色々と気まずいのは此方でも同じなのだろうか、

その場が静寂に包まれた。


「……………………………………………………………………………………………………………………………………………………

素通しで俺に10万近いダメージを与えられるようになったのか…

ロティ。またSTRを強化させたのだな」

「あ」

「戻った! 先輩が元に戻ったッ!」

「シュウ。おかえり」

「ようやく雰囲気がいつものシュウじゃな。ふむ、記憶喪失は本当だったようじゃの」

「しっかし戻り方がテンプレ過ぎてちょっとツマンネwww」

「アンタはそろそろ自重するべきだろうが」


雰囲気が一気に和んだ。

エリニュスも自分のポーションをがぶ飲みしてどうにか落ち着いた。


………。


……。


…。


ということでサドラスはルーンテール帝国の帰路につくわけなのだが、


「おっと…おいエリニュス」

「はいッ?! 何でしょうかルーンテールの最大侯爵アークマルキスさま?!」

「サドラスで良い。侯爵なら帝国には後七人もいるんだ」

「いやそういう問題じゃー無いのでは!?」


軽くため息をつきつつサドラスはアイテムストレージからスクロールを取り出し、


「使えるかどうか知らんが、とりあえず礼代わりにやる」


とエリニュスに軽く放り投げた。慌ててキャッチするエリニュス。


「えー…と? これは…『クォークショック』…のスキル伝承スクロール!?

ちょ…!? これ波動魔法XCIX(Lv99)…!?」


エリニュスがサドラスを呼びとめようと思った時には既に艦隊は水平線の向こう側。

コレが本当に現実なのかどうなのかわからなくなったエリニュスは数日間

抜け殻のようになるのだが、後日ルーンテールの使者がわざわざ自分を

訪ねてくることでどうしようもなくガチもんの現実だと知って色々と苦悩するのは別の話だ。



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数こそ多いが親指ほどの小さな明かりのようなものが散りばめられた

仄暗い空間で円卓と思わしきモノを囲む人影達がいた。

人影達は以前よりも動揺の色が出ている。


「白炎が…?」

「んだよ、もう死にやがったのか? 所詮強襲特化だからなあwwwwwwwwww」

「黒雷、五月蠅い。というか白炎死んでない」

「”理由を聞こうにも、紫、紫と譫言うわごとを溢すばかりです、天命主様”」

「白銀が筆談を…? いやそれは兎も角今度は是非とも私に行かせてください天命主様!」

「恐れながら天命主様…」

「どうした、白金」

「もぉぉおお何で私の事ばかり無視するのぉ天命主様あああ!?」

「黙れ。幾黒。あと純白ホワイト・ワン、さっきから笑い過ぎ」

「あ、バレてる…!! 暗がりだから大丈夫だと思ってたのに…!!」

「白炎が譫言で言っていた紫…もしかすると私が危惧する”天命主様の敵”かもしれませぬ」

「敵か、私にとっての敵か…良いだろう白金。次はお前と…黒雷…汝が行け」

「っしゃオラァ! ようやくオレサマの出番だぜぇ!! 

首を洗って待ってろよクソ廃人マグナウス共ぉ! 今度こそ皆殺しにしてやんよぉ!!」

「天命主様ぁ…黒雷に行かせるなら私にぃ…」

「幾黒。我慢して、腐ってもあなたが左席でわたしは右席」


今回は若干の喧騒を交えながら気配がまた一つ、二つと消え…天命主と呼ばれた者の気配が


「敵…私にとって敵と値する存在…BG-Ⅲ…この高揚感は如何に…?」


そう呟いて消えたのを聞いた者はこの空間には誰一人いなかった。


第16話に続く。

タイトル和訳「天使を殴る(英→和)、″ドラゴンが友達(独→和)″」

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