第13話「廃人プレイヤーと伝説化したNPC達」
<<フィールド:フェンリル地方 現在地:隠遁の村アルトマニア>>
フェンリル地方にあるというNPC…古人の集落というのは、
他ならぬアドミニストレータ天譴騎士団こと、
『アドミニストレータ騎士団』が開いた村だった。
「クランド…!? おいおいお前さんあの決戦を生き延びてたのかよ?!」
「…随分な言い様ではないか厳蔵…というか、
お主七百年も会わぬ間に随分と言動が様変わりしたな」
「あ、こっちが俺の素なんだわ」
当たり前だが村人は皆古人で、驚いたことに「C✝B✝E」メンバーの
かつての知り合いである者達もいたのだ。
「や~や~皆さんお久しぶりですね~♪ ちょっと見ないうちに
皆ナイスミドルに成長しててお姉さんちょっと興奮してきましたよ~♪」
「あ、あぁ…」
「しえ姉…しえりゃん殿は全く変わっていないのだな…流石は鬼人種…」
「突発情自重しろ、元ショタエルフきゅ…エルフ達が色々と動揺を
隠しきれていないだろうが」
「アリカ姉さまもお変わり無いようで何よりです」
「ふひゃ?! ちょ、近い近い!///////」
「どうしたのですか? 七百年前とはいえ、以前は
“遠慮なく抱き着いて良いだろうが”って―――」
「うぎゃー! やめろー! アタシの黒歴史だろうがー!」
ゆえに色々と話が弾む者たちもいたのだ。
「時が経っても尚相変わらずの高レベルだなサドラスよ」
「とうとう圧倒的なレベル差が付いてしまったが、お前も相変わらずだな。
タスクブレイクダウン団長」
全身紫尽くめの男と白黒縞々メッシュ長髪の男こと
アドミニストレータ騎士団長シグン=サイン・タスクブレイクダウンは
含み笑いを浮かべながらもとりあえず握手を交わした。
ちなみに先ほどまでサドラスと激戦を繰り広げていたアールヴの(見た目)少女こと
リコ・アドミニストは何人かの騎士団員に簀巻きにされて椅子に拘束されていた。
「はーなーせーぇー! あの紫は放置してはダメなんだぎゃー!」
「………こ、この方が…私の太祖…なのですね…」
「キュクルさん…」
まさか自分の太祖と会えるなど夢にも思わなかっただろうキュクルだが、
イメージとのギャップにどうしても戸惑いを隠せない。
それでも年相応に狼狽えないだけ立派といえば立派である。
「畜生…! 神々の地へ行く手がかりが見つからないだけならまだしも…
クソ紫を目の前にして何もできぬなど…! 末代までの屈辱だみゃあ!」
「あの、先輩…リコさんと昔何かありました?」
「いや別に何も無い(棒)」
「サドラスさんよ。今の絶対嘘だろ」
「…チッ」
ちなみに現実世界に帰る手がかりを知る者はおろか、何故結果的にこうなったのかすら
未だにアドミニストレータ騎士団ですらつかめていないそうだ。
「………あまり頼りたくはないのだが…攻略組の廃人達とも再会できればな…」
「ヤリコミグミ? ねぇサドラスさん。攻略組というのは…?」
「…あぁ? …あぁ、あいつ等か」
「おい待てサドラスさんよ。お前さんまさか連中とも知り合いなのかよ?」
「知り合いも何もレベル四桁成りたて時代は俺も連中のギルメンだったからな」
「「「?!」」」
サドラスの何気ない発言にスイゲツ、百、しえりゃん、アリカ以下
アドミニストレータ騎士団さえもが驚いて言葉を失う。
「まぁ俺が連中と行動を共にしていたのはデスゲーム化する前の
Ver.2.17までの話だがな」
「それはそれで余計に動揺を誘うだろうが?!」
「うひ~wサドラスさんマジ笑えねぇ超廃人ですな~ww」
「シュウ、やっぱり凄い」
「というか先輩は何時ごろからレベル四ケタだったんですか!?」
「あぁ、それは――」
「ヤメヤメヤメ! それ聞いたらもうドン引きも出来ねぇから!
KATUMIの野郎がゲシュタルト崩壊起こすって! 今ここにいねぇけどさ!」
せっかく乗ってきたのに水を差されたが、サドラスも一応
『C✝B✝E』メンバーに付き合っているわけなので
本来の目的とは関係のない方向への脱線は自重することにした。
「で、結局現実世界に帰る手立ては今のところどうしようもないと言うことで
終わっていいんだな?」
「Attendez!(待てコラ!) だからまとめるの早ぇし
色々と切ねぇからその切り上げ方は!」
「とはいえ、サドラス殿の言うことは事実だ。否定は出来ん」
「紫に言われるのは甚だ遺憾だが、事実は事実だがんねぇ」
ため息をつくシグンと解放されて大人しくお茶を啜るリコも
サドラスの言葉を否定することは無かった。
「………はぁああぁあぁあぁぁぁぁ…」
ステータス異常にでもかかったのかと見まがうほどにガックリするスイゲツ。
「随分な落ち込み様だみゃあ少j…年? 私と戦ってた時とはえろう違いだぎゃ」
「……貴女も一瞬間違えるんですね…」
「……おいクソ紫。何でこの少年はここまで落ち込むんだぎゃ?」
「チッ…仕方ない、教えてやる」
…。
サドラスの話を聞いて「あぁ…成程」と納得するアドミニストレータ騎士団の面々。
「マネジアズの方々の中にも
そういった倒錯したご趣味をお持ちの方がいらっしゃったなぁ…」
「そう言えばそのお方は吸血鬼系の闇の眷属をお持ちだった気がするよ」
「その話詳しく。リアルに帰ったら見敵必殺したいので」
「落ち着けスイゲツ」
怒気マシマシで身を乗り出しそうになったスイゲツを制止するサドラス。
「今は何処で何をしておられるのか…」
「…我らが故郷でもある神々の地にさえ行ければなぁ…」
「天空要塞にすら行けぬ我らの未熟さが情けない…!」
「………」
何となく厳蔵はサドラスを見た。
「自力では行けん。何度か試したが外壁に触る手前で弾かれるのだ」
「やったことあんのかよ!?」
「先輩でも無理か………………はぁああぁあぁあぁぁぁぁ…」
「ゲツくん。HPが減ってないのに死にそう」
伝説のボクサーの如く今にも燃えつきそうな感じのスイゲツ。
「…まぁ、手ぶらというのも不憫だな…どうだろうか団長?
ここは彼らに我々が編み出したユニークスキルを伝授してやるというのは?」
今まで静観を続けていた見た目がどう見ても等身大のゴジrゲフンフゲフン…
日本生まれの怪獣王そっくりな竜人族の男
アルダム・デリーパーがシグンにそう言った途端。
「それは是非とも火急に詳しく知りたいな」
「顔面にまで迫るのをやめてくれサドラス殿。
思わず『ドラゴンブレス』をブチかましそうになる」
「ユニークスキル…!? え?! 伝授?! 伝授できるのですか?!
スクロールが存在するレベルとかじゃないユニークスキルが可能なのですよね?!」
「キュクルさん落ち着いて落ち着いて(^_^;)」
サドラスはともかくキュクルの食いつきがすごかった。
「これはあくまで神々の力の残滓でしかないが…我々はマネジアズ様方程ではないが
多種多様なスキルの伝授や合成が可能なのだ」
「成程…だから拘束スキル7777レベル等というクソふざけたスキルも使えるのか」
「いや、そのスキルは神々から与えられたモノだが…まぁともかくコレを見てくれ」
そう言ってシグンはサドラスたちに一本のショートソードらしきものを見せてきた。
「何の変哲もないショートソードだな」
「鑑定スキルⅠの『ファストサーチ』で普通に鑑定できました」
「隠蔽されてるのかもしれませんが…」
「いや、これはサドラス殿が言うとおり間違いなくただのショートソードだ」
シグンはショートソードに何やらバフ系スキルをかけた。すると
そのショートソードが突然浮き上がり、所狭しと飛び回る。
「うわ!?」
「え…? どうしてただのショートソードが勝手に飛び回るんです…?!」
サドラスは飛び回るショートソードを注視して『アナライズ』を発動させた。
――<詳細ステータス>――
名前:無銘「名無し」
種族:知的聖魔武器・兵級
段位【最大Lv】:1
攻撃力【STR】:12
耐久力【VIT】:22
精神力【MAG】:8
抵抗力【RES】:11
敏捷性【AGL】:4
ダメージ修正【ALT】:3
属性耐性:物理10
異常耐性:毒100 眠20 混30 痺100 凍80 石100 死100
――<閉じる>――
「素晴らしい! インテリジェンスウェポン化させられるのか!」
「マジで?! ……あ、マジだわ! 良い意味でヤベェぞコレ!?」
「こいつぁすげ~や~! 夢が広がりまくりんぐ~♪」
「是非とも伝承させていただきたいですわ団長様!!」
他にも各々衝撃を受けつつも素直に感動している面々を見て、
ついついにやけてしまうリコ以外シグン以下のアドミニストレータ騎士団。
「早速頂こう」
「待て待て…一応使用条件はレベル400以上必要…だったが要らぬ説明だな…」
「一番レベルの低いロティでもレベルは447だからな」
「何だか色々と複雑な気分になっちゃいますねぇ」
なにはともあれ、シグンはサドラスを皮切りに「C✝B✝E」メンバー以下に
固有スキル『インテルエボルトⅠ』を伝授していく。
伝授させてもらった面々は早速このスキルを試そうとしたのだが、
「待て待て…このスキルはレベルがⅩまでしか上がらないスキルだ。
しかもスキルを使用するたびにレベルが1上がるので実質十回しか使えない…
良く考えずに使っても取り消しは出来ないんだ、気を付けてくれ」
との一言を受け、途端に凄まじく悩み始める面々。
「使い勝手は良くないが高い威力がある狙撃銃にするか…
それとも正攻法で行くべきか…ぐぬぬ…僕のこれからを考えれば…ぬぐぐ…!」
「やっぱり愛着があるほうが…いやでも迂闊かも…」
「十回…意外とシビアかも~…」
「三刀流とかそういうレベルも脱却できるが…しかし破損のリスクを考えるとぉ…!」
「ふっ…」
なにやらすまし顔なサドラス。
「その様子だと心は決まっているようだな」
「あぁ…俺にはどうしても確かめたいことがあるんでな」
そう言ってサドラスは大烈風妖刀『瞬起弾指』+3854と
無間波動刀『爪弾刹那』+6527、
ついでに革新皇帝剣『イノセント』+3289を取り出した。すると
PCメンバーの眼前に古いシステムウィンドウが展開される。
<ちっくしょー! 何でいつもいつも良いところでオレの邪魔をするんだよ!>
「ほぅ…俺の刹那に何かよからぬことを企んでいたのだな?」
<いや、身の程は知ったからそういうんではなくだな…>
「何だ、オ☆ニー中だったのか。それは悪いことをしたな」
<人間風に言うんじゃねぇよこのクソバカヤロウ! …って刹那ちゃんの前で…!
ちっくしょー! お前なんか大嫌いだぁあああああああああああああああああああ!>
しかしながらイノスは逃げられない。逃げられるとも思えない。
「驚いたな…我々よりも高レベルなインテリジェンスウェポンを持っているのか…」
「イノスはついでだ。俺がどうしてもやってみたかったのはこの二振りの刀だ」
サドラスが手を放すと瞬起弾指は独りでに浮き上がる。
「?! …これは…!?」
「俺もイノスのお蔭で最近気づいたんだが、弾指と刹那は
インテリジェンスウェポンじみた状態になっている」
「…まさか…」
「あぁ」
サドラスは瞬起弾指と爪弾刹那に『インテルエボルト』を付与した。
すると、最初はシグンがショートソードに行ったようにバフ系のエフェクトが
掛かっただけかと思いきや
「「「「「「「「「?!」」」」」」」」」
二本の刀は半端じゃない輝きを放ち、辺り一帯を包み込んだ挙句大爆発したのだ。
…。
とっさに全員が何かしらの防御壁系のスキルを発動したのだが
どうやら単なるエフェクトとあまり変わらないモノだったらしく、
ダメージはおろか地形にも何の変化もない。
ただ煙が立ち込めて未だにあまり前が見えないのだが。
「おいサドラスさんよ。お前さんが何かをやるたびに最近碌な事が起きてねぇよな」
「何を今更。そろそろ慣れてくれてもいいだろう?」
「どれだけSAN値直葬すればいいのか分からなくなるだろうが!?」
「でも…あの二本の刀…大丈夫でしょうか…?」
「ん。シュウ、その辺りを考えていないっぽい」
「下手をすれば壊れたりとか…」
誰かが最後に言った一言にサドラスはハッとしてから
風魔法Ⅰ「エアブラスト」を発動させて煙を吹き飛ばした。
「だぁああ!?」
「うわぁ?!」
「ひゃぁッ!?」
「アンタが使ったらⅠレベルでもシャレにならないだろうが!?」
サドラスは爆心地(笑)に急ぐ。するとそこには…
「ようやく…ようやくお話しすることができるのですね…修様♪」
「姉さんってそんな声だったんだ…」
嫌味を感じさせない漆黒の振袖を身に纏い濃紫色の長髪を靡かせる
『超』が付きそうな和服の大和撫子と、
女性用軍服としか言えないデザインのガチ系な海兵隊服が似合う
ヒスイ色のセミロングヘアの女の子が立っていた。
サドラスは首を傾げる。
「………………………………………………………………………………………………………………………………どっちがどっちだ?」
「え?」
「おい…まさか…」
サドラス以外の面々はシグン達を見るが
「ありえ…ありえな…」
「クソ紫め…だから私はお前が嫌いなんだぎゃ…」
口をパクパクさせながら動揺を隠せないシグンと
忌々しげにサドラスを軽く睨むリコだった。
<な、え、ちょ、サドラスおま>
「お前の場合は如何なのだろうな」
<げ!? おいヤメr――>
もう一回さっきの爆光。
…。
ダメージは無いけど体に煤や砂などの汚れが付くので全員あんまり笑ってない。
「ちったぁ自重しろよぉぉおぉぉぉお!」
サドラスに食って掛かるのだが軽くいなされて関節技を決められる
いぶし銀な銀髪眼帯男が現れる。
「イノス。お前渋いな」
「しょうがねぇだろ! オレが何千年生きてると思ってん……ぬァ!?
っていうかオレの声いくらなんでもオッサン過ぎじゃね?!
色々とショックなんですけど?!」
「あらあら…イノセント…ふぅん…存外良い男ですのね」
和服大和撫子に声を掛けられたイノスは残像が見える速度でそっちを向く。
「その棘のある言い方…そうかぁ…やっぱり君が刹那ちゃんなんだね…うん。美人だ」
「やはりお前が刹那で良いのか」
「はい♪ 修様♪ 無間波動刀『爪弾刹那』ですの♪」
「オレとサドラスへの温度差ェ…」
「諦めなよ。姉さんは猪突猛s…一途なんだよ」
「誰だお前」
ヒスイ色の髪の女の子に殴られるイノス。
「大烈風妖刀『瞬起弾指』だ! 一回殴らないとわからないのか!」
「殴ってるじゃん! もう殴ってるじゃん!」
「弾指…お前、女だったのか」
「あ、はい…サドラス兄さんの言うとおり、女です。紛らわしい名前ですよね?」
落ち込みそうになった弾指の頭をポンポンして撫でるサドラス。
「それは開発スタッフのせいであってお前のせいじゃない。
第一お前が居なければ俺はデスゲームにすら参加できなかったかもしれないんだ」
「兄さん…ありがとうございます」
「修様♪ 修様♪ 私も撫でて撫でて♪」
ちなみに他の全員があんまり笑ってないのは色々と
超展開が過ぎるような気がしたせいだと思われる。
「もう何処から突っ込んでいいのかサッパリだぜ」
「いぶし銀の渋男~…ますますこのスキル『インテルエボルト』に
夢が広がりんぐですね~ゲヒヒィ♪」
「その顔面を自重っていつも言ってるだろうが…まぁ、夢は広がったのも事実だろうが」
いつの間にかアイテム画面を出して弄るサドラスはニヤリと微笑む。
「さて、後四回も決まったな」
「「「「「え?」」」」」
さっきの爆光が四連続。
……。
…。
「運営の連中も頭おかしいがサドラス! お前さんも大概だな!」
「失礼な奴だな。俺は自分の手足の一部である愛機は人化させてないぞ?」
「そーだ! そーだ! ご主人たまは頭いいんだぞー!」
「我等思考及ばざる行為成す、其れが我等が明主サドラス様也」
「いや…この場合はそこは重要なポイントじゃない気がするがね」
「そんなの今はどうでもいいじゃないか~
今は自由意思を与えてもらったことに感謝すべきだって~」
サドラスの後に続いた者たちはそれぞれ魔改造アリサカライフル『七天圧倒』+987
殺戮拳銃ヴァリアントSfzx+658、次元斬破鎌ルリエニエル+785、
魔王処刑剣アルシエル+1210だった元・武器たち。
「一気に女子率が上がりましたね、先輩…」
「何かムカつくよな」
「さて、残り三回は何に…」
「だぁああから自重しろって言わせんなよぉおおおおおお?!」
いぶし銀男ことイノスは再びサドラスに飛び掛かろうとするが、
今度は手足から武器状態の時と同じ刀身を無数に生やした刹那が立ちはだかった。
「おやめなさい♪ リアルな刃合わせしたいのですか?」
「ごめんなさい」
スライディング土下座するイノスは軽く無視しながら、
刹那の手足をまじまじと眺めるサドラスはふと何か気になったのか刹那に話しかける。
「なあ刹那。お前は今と武器の状態のときはどちらが強いんだ?」
手足に生やした無数の刀身を引っ込める刹那。
「もちろん武器状態で修様に振るわれているときが最強ですの♪」
「その点に関してはオレも刹那ちゃんと同意見だな。自分で動ける分
HPがあるし、防御力はかなり落ちてるからな」
「まぁ姉さんのは存外極論で、その場合はあくまで単体で考えた場合ですよ。
今回のように複数で人化を行えば兄さんと普段一心同体に近いことを
やってのけた私たちですから、方向を変えて単純に考えると戦力としては
大幅に上がったも同然でしょう」
顎を掻きながらサドラスはブツブツと呟き始めた。
「ヴィシュナヴァリ等も+効果が単純なレベルでみるとアレになる…
と言うことはこれ以上は今に限ってはスキルの無駄か…ふむふむ…」
サドラスは今一度刹那たちに話しかける。
「もとの武器状態に戻れたりもするのか?」
「ちょっと試してみますの………ていっ☆」
刹那は体が淡く輝いたかと思うと、元の刀に戻ってサドラスの体にくっついた。
「おい、イノス」
「はぁ……HPSPMPの三分の一を消耗したってよ」
「じゃあ私もちょっと…」
そう言ってイノス以下、弾指たちも次々と元の武器に戻ってサドラスの周囲に集まる。
<武器に戻るとオレを介しなきゃならんのはそのまんまみたいだな>
「ふむ…色々と退屈しのぎになりそうなネタの宝庫じゃないか」
「た、退屈しのぎですかぁ…サドラスさんったら、もう」
「サドラス殿と同じくらいに鍛えてから使うと人化する…とφ(..)」
「サンコウにすると痛い目を見そうな気がするよ」
「陛下、すごいな…武器を部下にしてしまうのか…いらない子扱いはされたくないな」
「ヒィ!? そんなの死んでも御免でありにけり!」
「これからは真面目に能力アップに励まなければダメみたいですネ」
「………どうせならマネジアズ様の一柱くらい現れても良い気がするみゃあ…」
そう呟いてからリコは濃いめに淹れたお茶を一気に呷った。
「………( ̄ー ̄)」
ニヤリと不気味に笑ったサドラスはチャットメールを起動した。
……。
…。
愛用の飛行戦艦「大空悪竜」から降り立ったKATUMIを待っていたのは、
彼にとっては馴染みあるはずの(しかしながら鬼気迫った)アドミニストレータ騎士団に
囲まれての四方八方からの聖徳太子スキルが必須な質問攻めだった。
「おいサドラス! お前彼らに何を吹き込んだのだ?!」
「お前がマネジアズについて知ってることが役立つかも…とな( ̄ー ̄)」
「おのれサドラスぅ…いつかきっと思い知らせてやるのだからな?!
ちょ、うわ待て待て凄まないで欲しいのだ! 知っている事は話すから落ち着くのだ!」
どうやらKATUMIは運営としての自分を隠し通そうとしているので、
これはそのうち聞きだしてやろうとジャイアニズムと言う名のゲスが
サドラスに湧いて出たのはどうしようもない。
第14話に続く
短い気がする…しかし長ければ良いわけでもなし…ぐぬぬ…!




