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第12話「古の民を訪ねて東方不毛地帯」

どうも、超お久しぶりの更新です。

<<フィールド:ヴァナヘイム地方 現在地:ルーンテール神帝国・サドラス邸>>


 押しかけがまた一人増え、色々とバタバタしてから数日後…外は雨が降っている。


「………」


 自室の窓の外を眺めている寝癖が酷いサドラス。というのも前回の押しかけ云々で

何気に疲れていたのだ。そして外が雨ゆえに久しぶりに殆ど眠って過ごしてやろうと

思い立って眠ってみたのはいいものの、昼過ぎには目が覚めてしまったのだ。


「雨の日だからと言って…雨の日限定モンスターなど居ないしな…」


 いくらゲーム世界に酷似しているとはいえ、雨の日に街の外でモンスターと

エンカウントする事は稀だ。エレメント系ですら会えない。

 その点を鑑みれば、やはり此処はリアルな異世界なのだと思わされる。


「全身がそこはかとなく痛いのは…気のせいじゃないな」


 押しかけが一人増えるたびに毎回毎回防御無視攻撃スキルの雨霰あめあられに遭うのかと考えると

良い気分はしないな…などと思いながら久しぶりに煙草を吸い始めたサドラスの部屋に


「先輩! 東方ですよ東方! まだ東方が残ってたんですよ!」

「………あぁ?」


 ノックも無しに部屋に凸ってくる目の下にクマなスイゲツ。

しっとり汗をかいてはぁはぁ肩で息をしているのが、何か無性にイラッとした。


「俺は弾幕は好きじゃないんだが」

「何の話ですか?!

東方すなわちアロフネスの西側領地こと『フェンリル地方』ですよ!?」


 とりあえず何か息巻くスイゲツをテーブル席に着かせてアイテムストレージから

冷えた抹茶オーレを出して振舞うサドラス。念のため粉砂糖入りの小瓶も添えたのは

単なる気まぐれだ。


「先輩! 元の世界への帰還方法は掴めましたか!?」

「暑苦しいな、それ(抹茶オーレ)飲んで落ち着け」

「…あ、これはどうもすみません」


 何口か飲んでから手元に砂糖があることを発見したスイゲツは大盛りニ、三杯ぶちこむ


「………」

「……僕はもう、色々と限界でしゅ」

「…何がだ」


 大体の想像は付くのだが、勘違いかもしれないので

スイゲツから内容を聞き出すことにしたサドラス。


「あの吸血鬼ソルベウル…僕が男だって本気で信じてないんですよ」

「……あぁ」

「細かい気遣いはまぁ、悪くは無いですよ。でも、事あるごとに同性から耳元で

『あなたの公爵はここですよ』だの『私の胸は何時でも空いている』だの

『君との一日は何時も素敵だ』だの言われまくるってのは……………

………全 身 を 掻 き 毟 り た く な り ま せ ん か ?

そ れ こ そ 血 が で る ほ ど に ?」

「………………あ、あぁ」


 割と深刻な情況だった。


「おーい。邪魔すんぞー?」

「邪魔するなら帰れ」

「いや待てよそういう意味じゃないだろこの場合?」

「何気にオッサン嫌われてるからじゃね~?www」

「ん。シュウは割と本気で拒否ってる」

「流石にそれは厳蔵にほんのり同情してしまうだろうが…いいぞもっとやれ」


 何気にメンバーから暴言のフルボッコを喰らっている厳蔵以下「C†B†E」の

他の面子が勢ぞろいでサドラスの部屋に尋ねてくる。よく見ると女子メンバーが

オヤツらしきものを入れた袋を手に持っているので、

とりあえず人数分の抹茶オーレを用意することにしたサドラス。

ついでに粉砂糖も補充してコーヒーメーカーを用意したのは、単なるおもてなし精神だ。


「英雄チームが雁首揃えてどうしたんだ?」

「あれから幾らか落ち着いただろ? んで外は雨だ。だから俺は暇だからよ、

ギルドで雨の日限定クエスト的なモンでも無いかとギルドへ遊びに行ったわけだ」

「ゲーム時代にDLした弾幕ゲーをついに遊びつくして

ガチでやること無くなったからオッサンに同伴の巻~♪」

「シュウの寝込みを襲…ポータルのアーカイブから面白いエrケフンケフン…

ユニークな漫画を見つけたから一緒に見てそのまま流れで既成事実を作ろうと思った」

「モモ…本音が隠しきれて無さ過ぎだろうが」

「んで俺はギルドでそのまま飲んでたら、耳寄りな情報を聞いたんだわ」

「そこで僕の話に戻るわけですよ先輩! フェンリル地方には

デスゲーム時代を知る古人アルトマたちの街があるらしいんです!!」

「ほう」

「相変わらず淡白な反応だなお前さんは…」

「行きたいのか、東方不毛地帯に」

「話が早くて助かります先輩!」

「おいおい詳細聞かなくて良いのか?」

「とりあえずスイゲツのSAN値がやばそうだからな…」



<<フィールド:フェンリル地方 現在地:アロフネス皇国西側領地・上空>>


 何となく分かってはいたが、飛行戦艦で航行中に詳細を聞いてみれば

「現実世界に帰る手がかりを求めて」デスゲーム時代を知る

古人達の街を探したいのだそうだ。


「フェンリル地方について聞きたいことがあれば俺の知る限りで答えてやるぞ」


 やがて自他共に認めるやり込み野朗サドラスが異世界メンバーに

フェンリル地方の予備知識をレクチャーすべく質疑応答会が始まる。


「噂しか聞いたことが無いのですが…天地聖魔大戦の超魔人王ディンケーオによる

大粛清爆撃でフェンリル地方の殆どが不毛地帯だと聞きましたが…

それは本当なのでしょうか?」

「間違いないな、その辺りはスイゲツ達のほうが詳しいかも知れん」

「そんなところに古人の方が街を作ってるんですかぁ…?」

「かの者達ならば、何かしらの高レベルスキルでしぶとく生き延びていると思いけり」

超人エトランゼクラスの高レベル生産スキルとかですネ」

「魔女のワタシからすれば作物の育たない地なんてソウゾウしたくないのよ…」

「その環境ゆえにそこに生息するモンスター達が不毛らしいと聞いた…要領を得ないが」

「正解だスピナ」

「えっ」

「どういうことですか、サドラスさん?」

「説明するより現地で戦ってみたほうが早いだろう」



<<フィールド:フェンリル地方 現在地:ヴァナルガンド大河近郊>>


 かつて天空要塞と化したアールヴヘイムより絨毯核爆撃を受けたこの地は、

そこを領土としていたアロフネス皇国も500年以上の間、

ステータス異常:高濃度放射能(環境汚染980)の影響で入植は愚か

開拓さえ不可能だった。それゆえにその環境に耐えきったモンスターたちは

その不毛な環境で生き延びたがゆえにその強さから得られるはずの…


「取得経験値がゴミのようだ!」


………サドラス、スイゲツ、ハンドレッド以外のへたばる面々の中から

一人頑張って起き上がった厳蔵はそう叫んだ。


「僕的には今更どうでもいい気がしますけど」

「あーあーレベル3000越えリア充の戯言なんざ聞きたかないねー!」

「私的にも今更どうでもいい」

「………モモちゃん…オッサンを置いていかないでくれ…!」

「しかしさ~、ここのモンスターの平均レベルもざっと400はあるってのにさ~

本来得られる見込み経験値の4割程度ってのはさ~

マ ジ で 電 界 皇 は 私 が 思 い つ く 限 り の 

最 低 な 方 法 そ れ 即 ち ×××××で ■■■■■■を ★★★★★し て

○○○○○を ▲▲▲▲▲し つ つ 嬲 っ た 後 で 奴 の ●●を

斬 り 落 と し て 直 接 食 わ せ て か ら ト ド メ を 

こ の 手 で 刺 し た か っ た と思っちゃうな~♪」

「(((((((( ;゜Д゜)))))))」(注:キュクル)

「大丈夫ですよキュクルさん。しえりゃんさんは本気じゃないですから、

眼 は 全 然 笑 っ て ま せ ん けど、

あれは多分本気じゃないですよぉ(((((((( ;゜Д゜)))))))」(注:ロティ)

「わ、我が君に匹敵する万死の気配をみ、みみ見てしまいけり…!」

「やはり超人エトランゼ…天地聖魔大戦を生き延びるわけだ…」


「取得経験値は確かにゴミだが、レアドロップはなかなか悪くないな。

見ろ、この牙は伝説レジェンド級だ。マシン系じゃないから魔導文明マギテック級には

追いつかんかもしれんがな」


とか言っているが、サドラスが剥ぎ取っているのはどう見てもレイドモンスターの死骸だ。


「サドラスさんよ…お前さんはしょっちゅうレイドモンスターに会うんだな」

「LUCの強化は主にそのためなんだが」

「先輩…エンカウント率はリアルラックですよ」

「……あぁ?」


そんな馬鹿な…俺の努力ヤリコミは一体…と珍しく人前で落ち込むサドラス。


「けどさ~不毛地帯って言うだけあるよね~

ここゴビ砂漠みたいでロクに木とか生えてないし~」

「食料大丈夫かな」

「………」


何気にアリカとしえりゃんがそんな会話をしたら、場が静まり返った。


「………あの、先輩」

「何だ」

「僕そういえばすぐ行きましょうって言いましたね?」

「あぁ」

「結構速く飛行戦艦に乗りましたよね?」

「あぁ」

「食料云々って…」

「ストレージ内に最低限のものしか持ってきていないぞ…で? それがどうしたんだ?」

「ちょ…」

「食い物なら今ここに転がっているだろう」


サドラスはどう見ても食うところが少なさそうな

外骨格と鱗だらけのレイドモンスターを指差した。



<<フィールド:フェンリル地方 現在地:ヴァナルガンド大河近郊・西部>>


かくして始まった不毛地帯でのサバイバルキャンプ。

とても正気の沙汰とは思えなかったが、サドラスを急かした自分が悪いのだと

スイゲツは反省した。


「でもまぁ…ワイルドなおとこなら…こういうところでも逞しくモンスターを

食らいながら生き延びるものらしいし…」


何気に嬉しそうにやっと見つけたモンスターを追いかける少年スイゲツ

その年には似合わぬほど純粋だ。

だから汚い世界を体感している下種サドラスの甘言に乗せられるのだ。

まぁ一番の被害者は朗らかな笑顔の少年に追わ…討たれたモンスターかもしれないが。


「へぇ…先輩の言うとおりに処置したら本当に希少レア級の骨付き肉が取れるや…」


やっぱり先輩は凄いなーとか思っているスイゲツだが、それは幻覚だ。

無理やりパワーレベリングに付き合わされて100万Fを超える超深ダンジョンで

生活を余儀なくされたせいで感覚がマヒしているだけなのだ。


「ひぃふぅみぃ…うん。不毛地帯にしては良く獲れた…そういうことにしておこう」


こういう時は量じゃない、質だ。

あのダンジョン生活でサドラスの戯言(?)を信じさせられたスイゲツは

心の隅で訴えてくる何かを抑え込みながら刈り取った食料をストレージにしまいこみ、

そろそろ集合地点ベースキャンプに戻ろうかと思ったのだが、

ふと、奇妙な揺れを感じて身構える。無理やり連れて行かれた超深層ダンジョンでの

地獄のような生活のお蔭だろうか、スイゲツの勘は当たった。


「魔法攻撃か…!」


スイゲツは素早くジグザグ移動をしながらその場を離れる。

するとスイゲツの居た場所に大量の岩石だったり火炎球だったり雷撃だったりといった

食らったら無事では済まない魔法攻撃が降り注いできたのだ。

攻撃の合間を縫ってスイゲツは愛用の大型拳銃を構えるのだが、


視界外アウトサイド!? レイド級なのか?!」


流石に超長射程距離では中距離戦闘型のスイゲツには荷が重い。

しかしスイゲツは冷静に次の攻撃を待ち、全ての視界に神経を集中させる。


「そこかッ!!」


スイゲツは拳銃スキルⅩの「メガデスキャノン」を

魔法攻撃の発射地点と思われる場所に向かって連続で撃ち込んだ。

撃ち込まれた弾丸は着弾と共に信じられないレベルの大爆発を起こす。

本来は単発使用の必殺系の拳銃スキルなのだが、サドラスのゲスなパワーレベリングに

付き合わされたお蔭で、STRとAGIが増えたことにより

発射後の大きなラグも無く連射が出来るようになったので、

スイゲツは多少得意げであり、実は何気に八つ当たりでもあるが如く魔法の発射地点に

これでもかと撃ち込んだ。


「…………死んだかな?」


接近はせず拳銃の望遠スコープで着弾地点を見るスイゲツ。

煙が晴れたところから白いフードらしきものを被った人型の姿が確認できる。


「そのまんまな魔法系…そして大したダメージも無い…

…うわ、凄く久しぶりの単独レイド遭遇…」


かつてスイゲツはデスゲームが始まって間もないころ、

レベルが低いにも関わらずレイドモンスターに出会ってしまったことがある。

無論逃げようとしたのだが、それを許してくれない状況だったのは今と同じだ。

あの時は「仲良しV4姉妹」を自称する廃人PC四人組がスイゲツを助けてくれたが、

今回は間違いなく彼一人だ。今の自分のレベルだけを見れば

あの四人組に匹敵するレベルだが、サドラスのように

レイドモンスター相手にホイホイさんが如く無双できるなら

先ほどの必殺クラスのスキル攻撃で既にカタがついている。

スイゲツは数分前に見たBAゲージの残量を思い出そうとしたが、

人型の頭上を見てそれをやめた。


「??=??????……これはダメだ」


ゆっくりと後ずさりながらも、スイゲツはチャットメールを起動した。


=================================

スイゲツ:やばいです。名称が?のモンスターに会いました。

 MAP座標はx223y126です。

=================================


スイゲツが後ずさったのを確認したのか、前方に居た人型が

今度は直進で飛んでくる魔法を連発してきた。

驚いてバランスを崩しそうになった時、人型と自分の間の中空に

英語表記で「Brasting Executioner」と表示されたのを確認。


「ちょ!? 極大魔法?!」


もはやチャットメールを見る余裕はない。??表記の敵の攻撃は

基本的に食らえば致命傷になりかねない。

それはデスゲーム時代を生き延びたPCの常識だ。

故にそんな敵がBAや極大魔法なんてブチかましてこようものなら、

最悪手足の一本失う覚悟で全力回避に努めなければいけないのだ。


「避けきれない…ッ?!」


人型が放った光線状の魔法攻撃を、右肩、左上腕、左足、左わき腹に命中する。

今までに味わったことの無い痛みが――


「…あれ?」


走ってこなかった。何と言うか、痛いといえば痛いが、軽く小突かれたレベルで、

簡易ステータスを見ればHPは5%削れた程度、問題なくリカバリーできるダメージだ。

状態異常も特に無かったのはもっと意外だった。


「そっか…あの人型、僕よりステータスは低いんだ」


ふぅ…ビックリして損した…とため息をつきながらも、

何気に人型に向かって「メガデスキャノン」を打ちまくるスイゲツ。

人型にも大したダメージはなかったが、

若干動揺しているような気がするのは気のせいだろうか。


「極大魔法でこのレベルなら…れる!」


スイゲツは愛用の魔刀を抜き、

拳銃での攻撃は波動属性の広範囲巻き込み系拳銃スキルⅩの

「マスドライバーキャノン」や「グラビティブレイクショット」に切り替えて

今度は定石通り人型に肉薄しようとする。


「Damno Crock ...! Si vulnus accepit experiri!」

「?!」


何かを喋った人型は空高く舞い上がって静止し、明らかに何かを詠唱している。


「高レベル飛行スキル…!? くそっ…!」


人型の魔法防御が高い事はわかっているだけに、どうにか肉薄して

魔刀の一撃を食らわせたかったが、敵はまだまだ切り札を持っている所が

レイド級モンスターらしくて腹立たしい。人型はスイゲツの高レベル拳銃スキルの攻撃を

今回は目に見えて判明したバリアかシールドで防いでいる。


「先輩の言うとおりに飛行スキルLvを上げておくべきだった…!」

「Caput perire!」


人型が叫んだ時、

中空に英語表示で「Infinite charged particle gun」と表示される。

すると人型を中心した上空からおびただしい数のワームホールのようなものが現れ、

そこから勢いよくプラズマレーザーのようなものが連射される。


「まずい!」


どう見ても避けきれないと判断したスイゲツは、自分が持つバリア系スキルでは

最高の硬さを誇る障壁スキルⅨの「マルチディストーションフィールド」を展開した。

スイゲツの体が極彩色のバリアに包まれると同時にスイゲツのバリアに

先ほどのプラズマレーザーが余すことなく叩き込まれる。


「…うぐッ!? …な…?! 貫通ダメージ付きなのかッ?!」


連発でバリアにレーザーが叩き込まれる中でじわじわとスイゲツの体に痛みが走るので

おかしいと思ってHPを見れば同様にじわじわとHPが減っていくのが確認できた。

だがバリアを解こうにも人型の極大魔法は終わる気配を見せない。


「くそッ…!」


どうせならレベルが低くても動くことができる

シールド系にすればよかったと思うスイゲツ。

しかし後の祭りだ。せめて銃で攻撃できるのが救いだったが、

人型には自分が食らっている以上のダメージを与えることはかなわなかった。


「……はは…こんな所で…僕は死ぬのか…?」


2800万近くにまで増やされ…増やしてもらったHPは半分を切っていた。


「すまない…みんな……すみません…先輩…」

「何を最終話手前で死ぬ主人公気取りしているんだ」

「えっ」


気づけば隣に見慣れた全身紫尽くしのバケモn…いやサドラスがおり、

あまつさえ彼は愛用の黒金大斧から繰り出すドス黒い竜巻こと

「ディストラクトルネード」で人型が連射するレーザー攻撃を

ただの一回で薙ぎ払った。


「ぶぎゅッ!?」


サドラスのスキル攻撃を弾かれたレーザー攻撃諸共に食らった人型は

背格好に似合うあざt…可愛らしい声で叫んだかと思ったら

そのまま地面に叩きつけられる。

HPゲージは不明だが、あの様子で逆にダメージを受けなかったら大したものだろう。

ちょっとピクピクしてる段階で絶対ノーダメージじゃないなとスイゲツは思ったが。


「せ、せんぱ――ぷあにゅぎにぁッ…!」

「やめろ、割とシャレにならん」


思わずサドラスに抱き着きそうになったスイゲツは

サドラスに存外本気な連続腹パンを食らった。

それで何気に500万以上のダメージを受けたのは全くもって笑えない。

そして何かを言おうとしたスイゲツの口に

「神泉のエリクシル(※レア度:神話ミソロジー級)」をこれまた遠慮なくぶち込んだ。


「中距離戦が可能だからと言って長距離戦特化の敵に単体で挑む心意気は素晴らしいが、

お前の場合今一つ魔法防御が足りないことをしっかり理解しておけ」

「ふぁい。ふぁんふぇいしてまふ」


HPを含めて状態が全快したスイゲツは瓶が口に入ったままだったので、それを

捨ててから、改めて愛用の銃と魔刀を構える。

それを確認したサドラスは自分もまた愛用の銃剣と大斧を構え、

地面に叩きつけられてピクピクしていた人型が立ち上がるのを待つ。


「しかしながらお前のリアルラックが羨ましいな。久しぶりに??=??????などと

言う名称不明モンスターとエンカウントできるとは………そのラック俺に分けてくれ」

「分けられるものなら是非とも差し上げたいですよ…(^_^;)」


サドラスこのひとにとっては僕の不運も幸運なのだろうな…と

改めてサドラスの異常s…特異性に妙な感心を覚えたスイゲツ。


「さて、やっこさんも起き上がったようd――」

「ですね。しかし相変らず距離が離れてて厄介なんじゃないかと思うんです……

だから僕は僕で速力アップのバフを全掛けしますから先輩は……って、先輩?」


サドラスは立ち上がった人型を目にしたまま固まっていた。

スイゲツも人型を見やる。人型はフードがボロボロになっていたかと思うと、

どうやらサドラスの必殺じみたスキル攻撃で損壊耐久度が0になってしまったようで、

サラサラと粒子状になって消え去り、フードの下から出てきたのは


「……古代エルフ…?!」

「違う…あれは始祖種…亜神人アールヴ…そして…そして…そして…!」


サドラスは歯をむき出しにしてわなわなと震えだす。どう見ても憤怒にしか見えない。


何処かで見たことのあるというか、

今も一緒に連れてきた仲間に良く似た顔立ちのアールヴもまた、

サドラスの顔と頭上の名前を凝視(しながら「アナライズ」らしきスキルを使用)した

かと思えば、そのアールヴもまた、


「よもや、よもやこの時この地にて会いまみえるとは思わなかったわ…!

会えて嬉しいぞ…殺したくなるほどに…!」

「ああ…俺もだよ…まさか俺もここで貴様に引導を渡せるなど思ってもみなかったぞ…!」

「え、ちょ、な――」


「「此処で会ったが七百年目ぇッ!!!」」


アールヴは今までの極大魔法は茶番だったとしか思えない無詠唱レベルで

数多くの魔方陣を上空に展開したかと思うと、そこからまたしても

名前が?表記のモンスターをヤッサイモッサイ召喚してきたのだ。


「貴様なんぞに一対一など愚の骨頂! 集い賜えや我が盟友! 亜神眷属霊獣アールヴキプファーたちよ!」

「クハハハッ…! 何だ、どいつもこいつもレベル2100程度の雑魚ではないか!」


サドラスはサドラスで地形がオカシクなるのもお構いなしで

スキル名こそ概知だが人知もクソもヘッタクレも無い凶悪な威力の技や魔法を

勘弁してほしいレベルで敵軍にブチかましたのだ。


「オワタ\(^д^)/…色々な意味で…」


開いた口が塞がらないスイゲツだったが、サドラスの背後から出たら

間違いなく巻き添えで五回は死ねると本能的に悟っていたので動かな…いや動けなかった。


……。


…。


シブヤ語とも2ch語ともつかない特殊若者言語満載な

彼らしからぬスイゲツのチャットメールの乱舞に間違いなく緊急事態だと察知した

『C☨B☨E』メンバーと異世界の女子面子たちが来たころには、

中々決着がつかないのにキレかけたサドラスが


時空神機人オッタルゥラヌステウスゥ! 絶空覇邪竜皇ゾイドラケンツァーリィ!

爆撃翼魔神機マグナステルスマキナァ! 今すぐ異界の己の玉座から

俺の元へ降臨しろォッ!!!」


と、間違いなくシャレにならないレベル6500越えの

三大サモンモンスターを呼びそうになったところを、


「離せぇ! 今日こそはあの紫外道ゲドゥルオウスをぶち殺せるんだぎゃ~!」

「何のつもりだタスクブレイクダウン! あのリコ・洗濯板アドミニストに引導を渡す機会を

また貴様らは止める気か!? 今度は運営もいない! もう容赦はせんぞ!?

…!? おのれ万能属性の拘束スキル7777の…! 分かっていれば回避できたものをッ!

だが今度は全ステータスをフルドライブして自力解除してくれるッ!」

「頼むから剣を収めてくれサドラス殿! リコもリコだ! 七百年ぶりの

再会を血で血を洗う血闘にするんじゃない!」

「先に手を出してきたのはあの紫だぎゃ~!」

「俺の仲間を殺そうとしたお前が言うんじゃねぇ!」


現れたGrTrAd古参プレイヤーなら誰もが知っているNPCメンバーに

取り押さえられつつもぎゃーぎゃー喧しく口喧嘩しているという

超RECモノな光景が広がっていた。


「おいサドラス。超展開過ぎてどこから突っ込んでいいのかわかんねぇよ」

「ん? 何だ、お前らか。後にしろ」

「ちょwwwサドラスさ~んwwwそりゃ~無理ってやつだから~www」

「開いた口が塞がらなくなるだろうが!?」

「シュウ…! 今、助ける!」

「わ、我が君が…普通に拘束されている…げに在り得無しにけり!?」

「オノレェ…アドミニストレータ天譴騎士団ロードオブロードスめェ…一度ならず二度までも

マスターを拘束するなどォ…万死に値するぞゴルァ!?!?!」

「あ、あの…ロティ殿…今、もの凄く凄い単語と光景が…」

「うわぁすごい…本当にキュクルさんに似てますねぇあの人…」

「な、な、な…何が…何が起きている…?」

「あるじ様…?! え、何コイツラ…!? 一体ナニモノなんだよ…?!」


随分と面子がカオスだなぁ、と何気に冷静さを取り戻したサドラスは

さてこれからどうしたもんかと考えることにした。


続く

前後編っぽくなった気がしますが…どうか…ご勘弁を…!

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