異見聞録「廃人プレイヤー、南方にて黒金大鯨の主となる」
やあやあお気に入り登録をしていただいた皆さん!
大変長らくお待んたせ致しましたッ!
今回の更新は本編のようで本編じゃないが
幕間のようで幕間でもない謎の
「異見聞録」としか言いようのない話です。
この話の特徴は、サドラスの視点がちょくちょく間に入ってきます。
サドラスが普段何を考えているのかが少し分かるかもしれません。
それでは長々としてしまいましたが、第十話の更新まで
箸休め感覚でお楽しみいただければ幸いです。
―サドラスの視点―
<205X年5月26日>
この世界に飛ばされて(?)きてから一ヶ月経った。
意外と時間が進んでいなかったことに俺は存外驚いていた。
先のアペリウス壊滅の褒賞として、帝国から大侯爵の位、元・法王の豪邸、
俸禄1200TYD、そして疾風怒濤魔女団、アペリウス人の投降者から編成した
魔改造鎧機兵"六道式"(Made in KATUMI)士団という事実上の私兵団まで得て、
ルーンテール神帝国貴族の仲間入りを果たす。
黙っていても金が貰えるニート垂涎の生活に数日間はボケ―ッと過ごしていたのだが…
「飽きた…ネr」
「やめろサドラス! それを言ったら
黄色いポニテのアンドロイド姉弟に殺られんぞ?!」
「というか影薄い薄い言いすぎですよね…僕は結構気に入ってるんですけど。
まあ確かにもう片方の黄色い双子風の二人組ばっかり有名ですが」
市街を散策しようにも顔が割れているため、情報を聞きつけた下位貴族やら冒険者達が
是非ともお近づきになりたい云々とヤッサイモッサイ集まってくるので、
オチオチ外にも出歩けない。仕方ないので野朗三人で俄かボ☆ロ談義をしたり
アイテムストレージにぶち込んだままのボードゲーム(主に麻雀)やカードゲームで
暇つぶしをしていたのだが、とうとう俺の我慢が限界に達してきていた。
「せめて女子連中が麻雀できるなら東風戦とか…脱衣❤麻雀とか出来るんだがよ…」
「三人麻雀は二役縛りでも後半が微妙になってくるからな…」
「やると八連荘狙いづらくなりますからね…」
「っていうかスイゲツの早アガりは汚ぇって。喰らった時興ざめするんだぜアレは」
「何言ってるんですか。八回も連続でアガるのは至難の技なんですよ?
二役縛りはどう考えても八連荘を封印したいが為のルールとしか思えませんよ!」
「スイゲツ、男なら一アガりに満貫以上を狙え…」
「うぐ…!? 男なら…くそ…そのセリフはずるいですよ先輩…!」
何だかんだでロジカルシンキング派のネトゲーマーな俺達は当時
外で戦闘訓練をしまくるという発想が存外湧いてこなかった。実際アクティビティ派な
アリカやしえりゃんは外で俺の私兵団相手に戦闘訓練を行っているというのに…
「ふむ…しえりゃんは俺の魔女団相手に恐ろしい回避術を披露してくれているな」
「アリカはアリカで先輩みたいに重戦車が如く突っ込んで行ってますね」
「魔女ちゃん達も六道式士団も良い経験になるだろうよ」
俺が特訓に付き合ってやれば良いのだろうが、魔女団筆頭のジル=ルミル以外の魔女は
全員レベル200程度しかないし、六道式士団連中は鎧機兵なのでうっかり壊したら
流石に笑えないレベルの修理代をKATUMIから請求される…あれは度肝を抜かれた。
「そういやサドラス。お前さんが前に言ってた
"タイトル:外海の底がどえらいことになってんだが"を
ギルド帝国支部のポータルで見たぜ? ご丁寧に画像とかあったから
お前さんがやらかした深淵魚介族の神殿の惨状が分かりやすかったわ」
そう言って俺とスイゲツに画像添付されたチャットメールを送る厳蔵。
チェックしてみれば、とても懐かしい深海底クレーターの画像があった。
「え…? 何ですかコレ…厳蔵さん、まさか…」
「まさかのルーリエ海底神殿・推奨パーティ平均レベル280の成れの果て」
「あのゲームバランス崩壊神殿の成れの果てって…」
あの時の俺はちょっと頭に血が上っていた。水中で本領を発揮するメドラの
レベルアップのため、また潜水術のスキルレベル三桁達成のために躍起にもなっていた。
なるべくメドラにトドメを刺させようと頑張っていたのだが、
如何せんレベル400クラスの敵200体前後に囲まれてしまい、危うくメドラを
死なせてしまうところだったからな。
頭にきて【禁断兵器55式『準惑星破壊弾』】を三発ほど炸裂させたのが失敗だった。
悉く敵は壊滅したうえにまだ見ぬレアアイテムが眠るであろう
ルーリエ海底神殿が跡形も無く消滅してしまった…。
「うむ…これもプチ黒歴史入りにしておくか」
「いやコレプチってレベルじゃねーよ。立派な黒歴史だよ。
お前さん運営によく怒られなかったな?」
「あのダンジョンは近々バグやバランス問題で一旦削除する予定だったらしいから
俺はお咎め無しだったよ」
「先輩。ゲームバランスといえば、GrTrAd時代から運営には
善と悪の陣営がいるんじゃないかってよく噂になってましたけど、
その点はどうなんでしょうか?」
「うむ…俺は別に歯応えがある程度にしか感じなかったからな」
「スイゲツ。サドラスに聞くこと自体間違いだぜ?」
失礼な。俺とて運営がイカれていると思うことがあるんだぞ?
例えばGrTrAd時代に2010年代上半期に火が点いた艦隊☆れくしょんや
アル☆ジオなどと言った艦隊戦闘モノに触発された何処かの馬鹿スタッフPCが
同類の廃人数人を仲間に引き入れGrTrAd世界に現実世界の艦隊を再現しようとして
ご自慢の艦隊をアドミニストレータ騎士団に壊滅させられたマヌケな話とかな。
確かそんな話がポータルにあったな…タイトルは…
「馬鹿スタッフPCがやらかしたマヌケ話のタイトル…」
「お? 何かあるのか?」
「…………すまん。忘れた」
「えー…先輩が酷いと思うくらいですから凄いのを期待してたのに…」
「…ちょっとギルドのポータルをチェックしてくるか」
言質は取らねば…俺は断じて究極レベルの変人では無いと証明するために。
<20X5年5月26日・その2>
早速冒険者ギルドにてポータルを見せろと受付に示談。何故か受付の女性に驚かれた。
ガヤガヤして来た頃に血相を変えたギルマスが飛んできて俺はポータルまで案内された。
「大侯爵さま…頼みますから事前に連絡くらい入れて下さいよ…」
帝国支部の現ギルマスは古人の先代から
その座を引き継いだ新人ギルマスで、
俺の事は帝国の新進気鋭の大侯爵であることしか知らなかったそうだ。
よくよく考えてみれば大侯爵は王族と血縁を持たない者が成り上がれる最高位の
爵位だった事をそこで思い出す。大侯爵の上には王族縁の大公と公爵しかいないのだから
軍閥なんかでは基本トップにいるような爵位もちの人間がアポ無しで来たら
そりゃあ驚くものだろう。多分。
「ああ、すまなかったな。どうしても気になることがあったのでな」
「しかしポータルですか…アレは基本我々各支部のギルマスや古人しか
見たり触ったりする事は…古の冒険者以外では
それこそ伝説のアドミニストレータ騎士団や神々の化身マネジアズしか
できなかったはずですよね…?」
何だ、こいつ先代から俺の事を引き継いでいなかったのか?
面倒くさかったがこいつに俺の事をさっくりと説明する。
……。
…。
おい、気絶するな。起こすのが面倒なんだぞ?
…チッ…完全生命薬を喉に流し込んでやるか。
「す、すみません…大侯爵さま…」
「その呼び方は他人行儀過ぎるからサドラスで良い、で、ポータルは見れるのか?」
「その点は問題ありません」
さて、久しぶりにBBSでも見させてもらおうか
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【震撼】空中要塞からのレーザー攻撃!【まさに外道】A.D 205X.3.21
【朗報】解放軍の戦況報告その231【破竹の勢い】A.D 205X.3.29
デスゲームどうなるか分からないから結婚しました。男同士で。A.D 205X.4.1
【号外】解放軍の戦況報告その232【C†B†Ektkr】A.D 205X.4.10
【悲報】解放軍の戦況報告その最終話【もうdmp】A.D 205X.4.16
!"$#デ&ゲームh開gtfr! #$.%# &%$"4.26
>Wanted accident each Guild Master as soon as possible contact #$.%# &%$".4.26
Arofnes branch status report #$.%# &%$".4.30
Rune tail branch status report #$.%# &%$".5.7
High-level skill mass loss #$.%# &%$".7.4
Administrator Knights, missing Manejiazu incarnation of gods $.%# &%$".11.13
Raid monster revival report 1 #$.%# &%$".12.1
Raid monster revival report 2 #$.%# &%$".12.8
Raid monster revival report 3 #$.%# &%&".1.17
I'd like to soup kitchens in various places: from church #$.%# &%&".1.25
Raid monster revival report 4 #$.%# &%&".2.22
Raid monster revival report 5 #$.%# &%&".3.5
Raid monster revival report 6 #$.%# &%&".4.13
Corresponding report to Shirudoranto kingdom established #$.%# &%&".5.1
New calendar(N.C) established reporting #$.%# &%&".5.9
May 14 year N.C.1 "city-state function Progress Report" #$.%# &%&".5.14
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ふむ…やはり現実世界の時間では一ヶ月前に異変が起きていたのか、
…以降は似たり寄ったり…スレッド立ち上げの時間差が酷くなってきたな。
にしても人族は英語の書き込みなのか。翻訳ソフトが古いから内容が微妙に理解できん。
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>April 20 N.C.689 "Contact report with the person
looked like Stranger of old"#a.T# $#"'.4.20
April 26 N.C.689 "No.689 country situation
regular debriefing session"#a.T# $#"'.4.26
April 26 N.C.690 "No.690 country situation
regular debriefing session"#a.T# %&#".4.26
August 6 N.C.691 "Contact report two of the person
looked like Stranger of old"#a.T# %&#".8.6
April 26 N.C.691 "No.691 country situation
regular debriefing session"#a.T# $#&".4.26
December 24 N.C.691 "Actual world Occasion
Christmas Festival completion report"#a.T# $#&".12.24
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ユウの他にももう一人タイムラグ転移者が居たようだな。
…この報告は内容がスラングっぽい文章だらけだ、さっぱり読めん。
む? たまに日本語で注釈が入っている…これは有り難いな。
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April 26 N.C.700 "No.700 country situation
regular debriefing session"#a.T# &%&".4.26
May 9 N.C.700 "N.C.700 Anniversary Festival Final Report"#a.T# &%&".5.9
July 2 N.C.700 "Aperius territorial encroachment problem"#a.T# &%&".7.2
October 11 N.C.700 "Arofnes Empire & Rune tail Empire
joint military exercises reported"#a.T# &%&".10.11
>April 26 N.C.701 "No.701 country situation
regular debriefing session"#a.T# &%)!.4.26
May 18 N.C.701 "For martial arts tournament by dragon empire "#a.T# &%)!.5.18
========================================
武術大会…ちょっと気になるな…南方…ニブルヘイム地方か。
ここからだと定期船に乗っていくのか…値段は流石に現地で確かめるしか無いな。
というか聞いたほうが言葉が通じるぶん早いな。
…そう言えばBBS以外は看板も文書も日本語で読めたな…つまり外では
ゲーム時代の自動翻訳機能が生きているってことか? …まあいい次だ。
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>【暴走】頼む、助けてくれ【色々とピンチ】#a.T# &%)!.5.26
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「あぁ?」
丁度今日の日付だな。しかも全編日本語だ。どれどれ…
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スピリバ#Adv.Rol:大変な事になった。俺は今、自作戦艦の暴走に巻き込まれている。
SBGM Zwell :"ヒノモト"神語の書き込みとは珍しい。どうかしたのか?
スピリバ#Adv.Rol:アンタ日本語分かるのか!? NPCでも何でも良い!
頼む! 助けてくれ!
SBGM Zwell :落ち着け。おぬしがワシをNPCと呼ぶ時点で
サドラスと同じ境遇の人間だということもよう分かった。まずは情況を説明せんか。
スピリバ#Adv.Rol:南方で噂になってる「黒金大鯨」は知ってるか!?
SBGM Zwell :「黒金大鯨」…? "ヒノモト"神語の象形文字の造語では分からん。
スピリバ#Adv.Rol:南方の海域で目撃sれているるデカくて黒い戦艦だよ!
っていうか戦艦って最初に書いtるじゃん!! ちゃんとy読めよ!!
SBGM Zwell :落ち着け落ち着け。それなら分かるぞい。
あときちんと読まんかった事は謝る。
スピリバ#Adv.Rol:頼むよマジで死活問題なんだよ!
SBGM Zwell :で、あの近付くモノを問答無用で攻撃する
ハイパーレイドモンスターじみた「黒金大鯨」とやらで何が起こったのだ?
スピリバ#Adv.Rol:俺と一緒に戦艦を作ってくれた人族メンバーが
「これほど素晴らしいものを使わないなんて勿体ない!
これで我々の帝国を作りましょう!」とか言って
まだ未完成な「オールデストロイシステム」起動させちゃったんだよ!
SBGM Zwell :…名前からして物騒な魔導機構を何故搭載したんじゃ?
スピリバ#Adv.Rol:それは俺が戦艦を愛しているからだ!
どうせなら最強戦艦作りたかったんだよ!
SBGM Zwell :おぬしも廃人か…
スピリバ#Adv.Rol:そうだよ悪いか!? デスゲームが終ったかと思ったら
この世界に飛ばされて十二年だぞ?! 他に如何すりゃいいかも分からなかったし
もうここに骨を埋める覚悟も決めたんだ! 嫁さんはまだいないけど…
とにかく人族の仲間も出来て交易も軌道に乗ってきて俺の最強戦艦も
ほぼ完成したってのにこの有様! 神様は俺が相当嫌いみたいだな!!
SBGM Zwell :だから落ち着けって。おぬしの現状をもっと詳しく聞かんと
こっちも動くに動けん。
スピリバ#Adv.Rol:すまん。熱くなりすぎた。もうそんな年でも無いのにな…
現在は陸地から200海里ほど離れた距離を自動航行している。
竜帝国の船団と出くわしたらガチで洒落にならない事態に陥る自身がある。
SBGM Zwell :どんだけ恐ろしい武装をしたんじゃおぬしは…
スピリバ#Adv.Rol:帝国の戦艦なら空飛んでても瞬殺できるレベル。っていうか
何機か撃ち落してるっぽい。アペリウス壊滅云々が無かったらやばかった。
SBGM Zwell :…内部からは止められんのじゃな?
スピリバ#Adv.Rol:だからBBSにカキコしてんじゃん!!
SBGM Zwell :ううむ…ワシでは力になれん可能性が高いぞい。
スピリバ#Adv.Rol:オワタ…オワタ…もうdmpサーセン生まれてきてサーセン
くぁwせdrftgyふじこlpアヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!
SBGM Zwell :これはひどいのう…
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これは…何と面白そうなイベントだろうか!
良いだろうスピリバとやら、俺がお前を救ってやろう…クックック…
========================================
スピリバ#Adv.Rol:なあ、ここに遺書的なメッセージ残しても良い?
SBGM Zwell :早まるな! まだ駄目だと確定してはおらん!
スピリバ#Adv.Rol:いいんですいいんです。慰めなんかいらんのですよ。
SBGM Zwell :こりゃ参ったのう…
サドラス#RX/zzkt:おい、スピリバとやら。もう一度お前の戦艦の航行海域を教えろ。
スピリバ#Adv.Rol:!? え、ちょ…あんたトリップ機能使ってる…!?
SBGM Zwell :おお! サドラス! 『珍しく』良いタイミングで現れおったな!
サドラス#RX/zzkt:『珍しく』とは何だ珍しくとは。
ルーンテール神帝国大侯爵に出世した俺に対して聞く口とは思えんな?
SBGM Zwell :ちょいと目を放した間にまたおぬしはどえらい事になっておるのう…
スピリバ#Adv.Rol:ちょ?! 誰だよマジで?!
サドラス#RX/zzkt:お前とよく似た情況のPCだよ。俺はここに来てまだ一ヶ月だがな。
それは兎も角助けが欲しいんだろう? お前の戦艦の航行海域をさっさと教えろ。
スピリバ#Adv.Rol:ニブルヘイム地方(?)外海・南方海域(?)だよ。
サドラス#RX/zzkt:ポータルは更新していないのか…まあいい二、三日耐えろ。
それまでにお前を救ってやる。では、また会おう。
スピリバ#Adv.Rol:は? いや待て待てルーンテールからここ来るまで
最低でも一週間は掛かるんだぞ?
SBGM Zwell :いや、あやつのAGLなら陸路は一日で行けるぞい。
何せあやつのAGLは530000を越えておるからのう。
スピリバ#Adv.Rol:何処のフリ☆ザ様だよ?!
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飛行戦艦があるのならば海上戦艦もあって良いじゃないか…ククク
…幾らで買収できるだろうかな?
さて、目的は出来た。後はどうやってここから抜け出そうかな…?
<<フィールド:ヴァナヘイム地方 現在地:ルーンテール神帝国・法衣貴族区画>>
法衣貴族区画では大騒ぎが起こっていた。何と新進気鋭の大侯爵サドラスから
「邸宅の雑用係求む、年俸1.2MYD(約1200万円):規定人数は十五名」
というお触れが出たのだ。それまで頑なにそういった関係どころか
接触すらまともにしてくれなかった大侯爵からかなりの破格条件で雇用をするというのだ。
これに冒険者達が群がらないわけが無い。そして近所はおろか遠方の領地持ちの
低爵位貴族たちもこの好機を逃すまいと押し寄せてくる。
「サドラスさんってばぁ!! どうして私たちに応対とか任せるんですかぁ?!」
「ん。人多すぎ。部屋に篭りたい…」
「ほうほう、シュウの名前に寄って来るわ来るわの食い詰め者ホイホイじゃの」
「何だかんだでお前らは居候だろう? ならば俺の邸宅運営の一部を任せて、
ある程度は管理してもらいたいと思ったのでな」
「しょうがねえよロティちゃん。居候は事実だからな…
俺の商社マンのノウハウが生かせれば良いんだけどよ…」
「はいはーい! 受付はコチラですよ~! あ、ここに判子で~!
無い人は拇印でおkおk~」
「ったく…10TYDもバイト代弾まされたが…
この人数だと、まだ割に合わない気がするだろうが…」
「ちょ! 僕は男だって何回言わせれば…!
は?! だが、それがいい?! もう帰れよぅ!!」
「ちなみに予選で私に負ける程度の連中は門前払いしたりける」
「……エ? 教団再興とは関係ないですヨ?」
「大侯爵権限で呼び出されたと思ったら、
何故自分が受付の総責任者を任されているのだ…?」
色々と意見を言いたいサドラスのパーティ面子たちを余所に人の波が押し寄せてくる。
痺れを切らしたララリリルが腕に覚えがあると嘯く冒険者十数人を
直接戦闘テストで弾き始め、更に魔女団や鎧機兵士団が面白がって参加する始末である。
「さて、この位で丁度いいか…」
サドラスはてんやわんやの情況を確認した後、
忍術スキル「光学迷彩+527」で姿を消した。
<<フィールド:ニブルヘイム地方 現在地:荒涼魔界平原>>
GrTrAd時代においても高レベルモンスターが跋扈する南方一帯に広がる平原。
南方にも係わらずこの平原は肌寒く、水や氷に耐性のあるモンスターが多い。
何より恐ろしいのは基本爬虫類であるが故にその属性に弱いはずのリザードマンや
翼竜捕食怪獣の亜種と大量にエンカウントすることである。
「ちくしょう! これじゃあジリ貧だ!」
「折角レベルが150越えたってのに!」
「引き返そうにも後ろはふざがってんぞ!?」
「万事休す…!?」
そんなモンスターに囲まれた哀れな冒険者達が居たとしても何ら不思議ではない。
ちなみに遥前方から音速衝撃波+砂煙を巻き起こしながら
我等がサドラスが走ってきているのだが、そんなものに気付いていられるほど
彼らは余裕じゃない。故に
「ぬおぉぉぉぉ?!」
「どしぇええええ!?」
「おあああああ!?」
「うひゃああああ?!」
超音速でその近くを駆け抜けていくサドラスにモンスターごと弾き飛ばされるのだ。
「ん? 人にもぶつかったか…? まあいい完全回復薬でも置いていってやろう」
ちなみに大型モンスターだけはサドラスに鎧袖一触で斬殺されているが、
やはりそのことを知れるほど絶賛弾かれ中の冒険者達が気付く由も無い。
「な、んだったんだ今の紫色の物体?!」
「死ぬかと思ったぜ」
「おい、デカいのはみんな死んでるぞ?」
「え…ちょ、コレ完全回復薬…! しかも人数分!?」
後にこの出来事が荒涼魔界平原を行き交う冒険者たちの間で
「大型モンスターを駆逐し、冒険者に完全回復薬をもたらす紫色大烈風神」として
後世に語り継がれていくことになるのだが、そんなことはサドラスが知るわけが無い。
<<フィールド:ニブルヘイム地方 現在地:自由貿易都市クィチクルァンス>>
天地聖魔大戦中期に興ったといわれる自由貿易都市クィチクルァンス。
そもそもの始まりはデスゲームに参加を断固拒否した
「自由騎士」を気取る廃人PCとその賛同者たちによって作られた街であった。
だが、その廃人PCが何をトチ狂ったか鬼畜外道の行い(主にエロ)を
傍若無人に行い、結局追い出され、後にその廃人PCから自由を勝ち取ったと言う意味で
そのPCの名前を捩って自由貿易都市クィチクルァンスと名づけられたのだそうだ。
「ほう…ここは殆ど変わっていないな」
香辛料をふんだんに使用した串モノを頬張りながらサドラスは都市をうろついていた。
行き交う人族は人間族が多めなのは恐らく件の鬼畜外道ローラーの廃人PCが
はべらせようと各所から拉致…連れて来た人族の子孫達が多いからなのだろう。
ケモ耳成分が足りない! ソフト人外っ娘をもっと出せコノヤロウ!
と思ったような思わなかったような顔をしたサドラスはそうこうしているうちに
自由都市の海港に到着する。
「さて…スピリバが言っていたのはここから外海に出てからの南方海域だったな」
サドラスは周りの視線などお構い無しに滞空術を使って海面をスタスタと歩いていく。
また余計な伝説が生まれそうな気がするが、サドラスはそんなものを気にしない。
っていうか、たまには気にしろ。
<<フィールド:外海 現在位置:南方海域>>
轟々と音を立てて波を掻き分けて自動航行する黒光りの戦艦。
通称「黒金大鯨」と呼ばれる「機神艦ヴェノゲリオス」は、
通りがかった海龍やクラーケンといった大型水棲レイドモンスターを
情け容赦問答無用の大連続波動属性艦砲射撃で次々と沈めていく。
「どうしてこうなった♪ どうしてこうなった♪」
甲板でもうヤケクソに笑いながら歌って踊っている機甲人族の男ことスピリバ。
「ごめんなさい先生! もうこんな事しませんから正気に戻ってください!」
「どうしてこうなった♪ どうしてこうなった♪」
「うわああああん先生ええええええ! 元に戻ってよおおおおお!」
妖精族の金髪っ娘や人族の銀髪幼女に泣きつかれてもスピリバに変化は無い。
言うまでも無いことかもしれないが、彼女達はスピリバの戦艦のクルーだ。
「どうしてこうなった♪ どうしてこうなった♪」
「どーすんだよ! お前らのせーで先生おかしくなっちゃったじゃんか!!」
「……反省してます」
ケモ耳のショタっ子に説教される半竜人族のお姉さんという光景にも
まったく動じること無く歌い踊るスピリバ。
「どうしてこうなった♪ どうしてこうなった♪」
「すまねぇ先生! 頼む! この通りだ! その歌と踊りを止めてくれ!」
一見さんが見たら間違いなく叫び声を上げたくなるガチムチ赤ツナギを着た
虎人族のオッサンが土下座してもなおスピリバの狂乱舞は止まらない。
「どうしてこうなった♪ どうしてこうなった♪ どうしてこうなった♪
……ああああああああああああああああ誰かこの戦艦を止めてくれえええええええ!!」
鳴り止まない艦砲射撃。
付近に通りがかるモノ全てを撃沈しながら航行を止めない機神艦ヴェノゲリオス。
ここ数日陸地に行くことすら出来ないため、ロクなものも飲み食いできない。
新鮮な食物を摂らないでいると病気にもなる。現にスピリバの戦艦のクルーの大多数は
ステータス異常:壊血病(病気Ⅶ)に陥って動けなくなっている。
「陸路一日とか言ってたけどよ~? そんなフリ☆ザ様も真っ青な速度で
これるPCなんて廃人にもいませんから~? 残念!!」
吐き捨てるように一言喋ってその場に座り込むスピリバ。
先程スピリバを説得云々しようとしていた面子はようやく一息つく。
「あれからオレの戦艦に設置したポータルでBBS見てるけどよ~…?
ツヴェルとかいうシルドラントのギルマスからも殆どカキコねえし…
実は何気に俺ら見捨てられた? ヒャッハー傑作だぁ!! どうしてこうなった♪
どうしてこうなった♪ どうしてこうなった♪ どうしてこうなった♪
どうしてこうなった♪ どうしてこうなった♪ どうしてこうなった♪」
「うわまた始まった?!」
「もうやめてよぉ先生ぇ!」
「先生休もーよー? ぼく先生の戦艦のお話一杯聞くからさー!」
「うええええんごめんなざあああああい!!
もう二度と魔導機構を弄ったりしませんからやめてくだしあああああああああああい!!」
「反省してますから!! 心の底から反省してますからぁ!!
だからその変な歌と踊りを止めてください先生!!」
「勘弁してくれ先生! もう土下寝しかできねえんだ!!」
ワヤワヤが収まるのはヴェノゲリオスが初めてサイレンを鳴らすまで続いた。
―サドラスの視点―
<205X年 5月27日>
思ったより黒金大鯨ことスピリバの戦艦が遠くまで自動航行していて驚いたのだが、
此方が目視できる範囲に近付くや否や喧しいサイレンを鳴らし、
あまつさえレーザー砲をぶっ放してきたので思わず防御結界を張ってしまった。
どうやら定石どおりの光属性だったようで、俺の防御結界は突破できなかったらしい。
すると今度は物理艦砲射撃に切り替えてくる…ふむ、これは避けられるな。
何時も自分がぶっ放している紫電改40㎜機関銃+2550にも見劣りしない弾丸速度だ。
とはいえ流石に連続でかわし続けるのも限界があり、途中からは急所以外にちらほらと
弾丸が命中するようになった。時折地味に痛いのでHPを見てみると、クリティカル時に
万単位でダメージが通っていることが発覚。これは存外笑えない。俺の防御を突破、
あるいは貫通する特性を持っていると見える。
と言うことでお遊びはこの辺にして、真面目に極大魔法等の
BA込みの戦闘スキルラッシュで畳み掛けなければ流石に俺も死ぬだろう。
「モンスター扱いじゃないからどの程度にHPを削ればいいのか分からんな」
仮にモンスター扱いならそれはそれでテイムを試みても良いのかも知れんが…
まあいい、馬鹿デカい鎧機兵とでも思って対処するか。
「”#%&%#%&…!」
あの戦艦、何か発声したような…まさか、スピリバめ…超AIでも搭載したのか?
ともかく妙な電子音を出したかと思えばやけに太い船頭上部がパージしたかと思えば
どこかで見たことのあるような巨大砲を出現させる。
「重力砲か波動砲か…個人的には闇属性の前者であると嬉しいのだが」
一応光と闇属性はダメージ80%カットをしているので、もし前者なら
発生した擬似ブラックホールに引き込まれないようにだけ注意すれば良い。
だが波動属性ともなると、あの規模は流石に俺も百万単位でダメージを受けかねない。
下手を打てば連続クリティカル+部位欠損と流石にキレる情況に陥るだろうな。
「”#%&%#%&…!」
仕方ない、召喚術を使おう。あくまで陽動役としてな。
<<フィールド:外海 現在位置:南方海域>>
サドラスの視点から少しだけ時間を遡る…。
テスト以外では初めて聞いたサイレンに、スピリバはヴェノゲリオスが緊急旋回して
艦砲を向けた方向を見る。
「え? 人? 海面に?」
「先生ぇ…あの紫の人型…名前が見えないよぅ…?」
「なー先生…? あの紫…すごいぞ…?」
「あん? 何が凄いってん…マジだ! 先生あの人型よく見てみろよ!?」
虎人族のオッサンに言われるがままスピリバは双眼鏡をアイテムストレージから出して
例の人型をよく見る。
「ぶっ!?」
ヴェノゲリオス自慢の皇国や帝国の戦艦を一発で沈めたレーザー攻撃を
軽く防御結界で無効化したのだ。光属性防御突破も搭載したはずなのに。
ということはあの人型は此方の防御突破を以ってしても
まだ破れない防御を誇るということか…これは強化をやり直さねばと思いかけたとき、
「びゃあああああ!? 全然当ってないぃぃぃいぃぃい!」
妖精族の金髪ちゃんの叫びを皮切りに再び目を疑う光景が展開された。
ヴェノゲリオスはシステムの判断で
物理艦砲攻撃に切り替えたところまでは良かったのだが、人型はそれを暫く回避し続けた。
どこの戦闘機だといいたくなるレベルで滑空までしたもんだから
スピリバは自分の常識を疑いたくなった。
「ええ…? 先生?! 今度は物理艦砲射撃をものともせずに突っ込んできますよ!?」
「はあ!?!?!?」
確かに人型に命中しているのだが、急所は殆ど目に捉えきれない動きでガードし、
ほかの場所は間違いなく命中しているにも関わらず、ろくに傷ついていない。
一番驚いたのは生身の部分の怪我の再生速度が尋常じゃないことだ。
自己再生スキルは仮にⅩ取得しても一時間に三割の回復だ。自己再生スキルの真価は
取得者の最大HPの高さで発揮される。
つまりあの人型はそれほどのHPを保有しているということになる。
「?! …先生ぇ! 波動バスターキャノンが起動したよ!?」
「何だと?!」
ヴェノゲリオスが切り札を展開せざるを得ないほどの反応を示したことは
色々な意味でスピリバにショックを与えた。すわ武装強化の道はまだまだ遠いな…
などとスピリバは思わず考え込みそうになったとき、人型も大きな動きを見せる。
「アレは…召喚?! オイオイ何を呼ぶ気だ!?」
「魔法陣が展開された…! んだありゃあ?! 金属製の翼付ゴーレムにドラゴン、
それは良いんだが、あの三角形の飛行物体は何だ!?」
「ステルス、爆撃機…!?」
どこかで見たことあるスーパーロボットっぽいのや、どう見てもラスボスなドラゴン
そしてまさかの現実世界からの怪物召喚。たった三体だが、その全てが???表記である。
そしてその三体…いや四体のバケモノ達の猛攻で、
ヴェノゲリオスは動きを止めることとなる。
というのも切り札の波動バスターキャノンをマトモに喰らって
四体とも軽く煤こけただけなのだ。やがて人型が三体のバケモノに押さえ込まれた
ヴェノゲリオスのAIコア部分だけをスパッとくり抜くように切り裂いて、
あっさりチェックメイトとなった。
―サドラス視点―
いやいや…中々に楽しかった。さて剥ぎ取り…っとイカンイカン。これは
鹵獲…いや買収…じゃない停止させることが目的だ。ということで
役目を終えた時空神機人と絶空覇邪竜皇に爆撃翼魔神機には帰ってもらおう。
ん? そんなに残念そうな顔をするんじゃない。そのうちまたどこぞの国家間戦争に
加担するようなことがあれば…あるいはもう一度アルフメルトアルトに潜った時にでも
思い切り暴れさせてやる。よし、納得したならそれぞれの玉座がある異界に帰れ。
「さて…スピリバは…奴か」
俺はそのまま甲板に降り立つ。呆けているスピリバと
俺を見て小刻みに震える取り巻きたち。
「おい、スピリバ」
「うおッ?!」
「約束どおり助けてやったぞ。戦艦はAI部分をくり抜いただけだから心配するな」
「え? あ。そりゃどうも……………………………………………………じぇねえよ!?」
俺に手渡されたヴェノゲリオスのAIコアをアイテムストレージにしまいこんで
丁寧に礼を言ったかと思ったら突っ込まれた。
「どうした」
「どうしたじゃねえし!? 何なんだよお前はぁ!?
俺のヴェノゲリオスたんがまるでゴミのようだったぞ!?」
「そう見えるならば貴様の戦艦に対する愛情もその程度と言うことか」
「違うわ! お前がデタラメ過ぎんだよ!! 何だよアレは?! 下手すりゃ都市国家の
一つや二つ吹き飛ばせるレベルに強化した波動バスターキャノンをマトモに喰らって
なんでロクに傷ついていないんだよ!?」
「ああ、俺は一応波動属性は半減できるレベルまで強化してあるからな
あの三柱のしもべ達はそうでもないが…まあ属性耐性無しでも
一発たかだか500万ダメージ程度だろう? 連発が出来ないのならば俺の敵じゃない」
「れ、連発…!? たかだか500万ダメージ…?! 有り得ない…!!」
スピリバのヤツはさっきからパクパクと魚みたいだな。
「おっとそうだった。自己紹介をしていなかったな。俺はサドラス、本名は佐渡終だ」
「あ、それはどうも。スピリバこと早川徹です…ってお前がサドラス!?」
「そうだ。俺がサドラスだ」
「シルドラ支店ギルマスのツヴェルからちょこちょこ話は聞いていたが…」
「とりあえずパーティ登録なり同盟登録をして俺のステータスでも見ておけ」
例によってというか、今度は俺のステータスを見てスピリバが気絶した。
……。
…。
「まあ、とにかくヴェノゲリオスの暴走を止めてくれてありがとうよ」
「礼は要らない。俺も楽しかった」
とりあえずスピリバの執務室(本人曰く船長室)に通された俺はビクビクしながら
俺を見やる取り巻きどもをかばうように正面に座るスピリバと改めて話をすることに。
「じゃあ約束どおりこの戦艦ヴェノゲリオスのオーナーは俺と言うことで」
「待て待て待て待てなんかいきなり飛ばしてんぞ!?」
「チッ…」
「だいたいお前にヴェノたんの維持費が如何こうできるとは思え――」
とりあえず俺はアイテムストレージからジャンジャンバリバリ1TYD金貨を出した。
とりあえず5、6000枚ほどで良いだろう。
「で、維持費は幾らだ?」
「っは!? 大見得を切るなよ?! ざっと見積もって軽く1Eだぞ?」
ということで相手のレイズに俺はコールすることにした。
では再びジャンジャンバリバリ出してみようか。6、7000枚追加で良いか?
スピリバの顔が凄いことになった。よし、イケる。ヴェノゲリオスは貰った!
「ということでこの戦艦を俺の移動要塞として使わせろ。何なら年俸で給料も出すぞ」
「うぐぉおぉぉぉお…!? ぬぐぐぐぐぐぅぅぅぅうう…!」
「維持費は1EYDで釣りが来るんだな? ならば3EYD払おう」
「ぬあああああああああああああ…?!」
「先生ぇ! 悪魔の誘惑に負けないでぇ!!」
「先生は俺らに小さなことからコツコツ積み立てていくことの
大事さと素晴らしさを教えてくれたじゃねえかよ!?」
「うぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぅ…!!」
「…チッ…強情だな。ならば5EYDくれてやる」
「はうああああああああああああ…?!」
「先生ー! 負けるなーッ!」
「悪魔の囁きに乗っちゃ駄目だ先生!!」
「うおおおおおおおおおおおおお…!!」
「…年俸、7EYD…欲しくないか?」
取り巻きの援護射撃を完封するべく、俺はジャンジャンバリバリと
1TYD金貨をアイテムストレージから吐き出させる。全部で7万枚か。寝転がれるな。
「ハイおk!! 今直ぐ契約するお!!!」
「「「先生ぇえええええええええええええ?!?!?!」」」
「うむ。では此処にサインと拇印な。おっと、本名も忘れるなよ?
それからこれは控えだ、ココに拇印で割り印を頼む」
「おkおk! 俺やっぱ戦艦最強にしたいお!!」
「そんな、先生が…」
「堕ちた…悪魔の誘惑に負けた…」
こうして俺は機神艦ヴェノゲリオスを年間7EYDで買い叩くことが出来た。
ちなみにスピリバが年俸に「残業代は出ない」という落とし穴の存在を知るのは別の話だ。
だが俺は、大事なことを忘れていたのだ…あの新規雇用の渦に
放り出した面子(主に女子メンバー)がどれほどのフラストレイションを
その内に溜めていたかも予想せずに…。
意気揚々と帰った俺はその時初めて意識を失うかもしれないレベルの防御無視極大魔法に
晒されるなど思ってもいなかった…アレは精神的ダメージが半端じゃないんだ…。
異見聞録・とりあえず、おしまい
第10話に続く
相変わらず長かった…頑張って一万文字前後にまとめたい…
しかし自分の構成力がまだまだ至らない…
歯がゆいですねぇ…。




