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序章「デスゲーム・エンディング/独り狩猟大会…その後…」

初投稿です。

豆腐メンタルですがよろしくお願いします。

仕事の都合上で不定期更新となってしまいますが、

楽しんでいただければ幸いです。


※Caution! 場面の切り替わりが激しいです。展開の混乱にご注意ください。


 VR‐MMORPG「グランドトライブアドヴェント(GrTrAd)」が

サイバーテロリストの手によってデスゲームと化してから一年と七ヶ月…。


犠牲者となった累計二百万人以上の死者の屍の上に立つPC(プレイヤーキャラ)パーティ

「C†B†E」…「クロス†ビギンズ†エトランゼ」を筆頭にした

デスゲーム解放軍の手によって、そのデスゲームに、今、終止符が打たれようとしていた。


<<フィールド名:『天空機動要塞アールヴヘイム』 現在地:『世界の皇の闘技場』>>


「何故だ!? 何故私のPK(プレイヤーキル)特化の殺戮モンスター軍団が来ないぃぃぃい?!」


 極彩色の鎧を着たロボット騎士風の男性キャラクター【電界皇】が

他の「C†B†E」メンバーのPC達に囲まれての集中攻撃を受けながらも、

激しく地団駄を踏みながら所構わず喚き散らす。


「やっぱり、こいつ、そんな事しようとしてた」


 【電界皇】から最も離れた位置でゲーム内での必殺攻撃…バーストアタック(BA)の一つである

『極大魔法』の詠唱をしながら、相当な高ランクと思われる装備に身を包んだ

魔術師風の女性キャラクター【(Hundred)】(ハンドレッド)が呟く。


「ハッ…ブシドー(武士道)カザカミ(風 上)にも置けぬヤツ…

Pas intelligent(スマートじゃない)…いや、Zenn()にもならぬヤツ!」


 敵に防御貫通ダメージを与える侍系職業の『サムライスキル』で猛攻を仕掛けながらも

【百】の呟きを聞き逃さずに答える褐色の侍風の男性キャラクター【厳蔵(Gonzou)】。


「1000レベルにも満たない雑魚キャラなんぞにぃぃいぃぃいぃ!」


 集中攻撃にもほとんどノックバックすることなく【電界皇】は無属性『精霊術』の波状攻撃を仕掛ける。


「要するに当んなきゃ良い~訳よ。いやまあ当ったらほぼ即死なんだろうケドね~

…ゲームって最高よね~♪ "当り判定"ってものがあるからさあ~♪」


 ひらひらと蝶々のように回避しながら、それは本当に人間に扱えるのか

疑問に思えるほどの大弓を使って【電界皇】にカウンター攻撃を決めていくのは、

「どう見ても乳当てですありがとうございます」なプレートアーマーを身にまとった

シーフ風の女性キャラクターにして「C†B†E」のサブリーダー【しえりゃん】。


「―ったくこの弾幕厨! けどアンタの回避テクの凄さは否定しないわよッ!」


 【しえりゃん】とは対照的に、これまた対照的な色合いの馬鹿でかい二本の大剣を

二刀流で振り回して攻防一体の連続攻撃を【電界皇】にブチかます

勇者風の女性キャラクター【アリカ】。


「おのれメスガキ共がぁあああああああ!」


 【電界皇】が振り下ろした巨大な槍の一撃を片手剣で受け流し、

もう片方の手に握る大型拳銃で反撃するのは「C†B†E」のリーダーにして

セミロングが良く似合う可愛らしい顔立ちをしたアサシン風の女性キャラ―


「いい加減に声で分かれ馬鹿! ボクは男だッ!!」


 ―ではなく男性キャラクター【スイゲツ】はさらにBAを発動。

画面上部に『ツーハンドレッドホリゾンタル』と表示されたかと思いきや、

【スイゲツ】の身体が分身と共に【電界皇】を滅多斬りにしていく。

 この攻撃で【電界皇】のHPゲージはついに残り半分を割った。


「クソがぁァッツ! 何ぁんで自動完全回復オート・レストレイションが機能しねえんだよォォオオォォオ!?」


 連続でチート魔術攻撃を連発しながら【電界皇】は自分に搭載したチートステータスが

発動しないことに苛立ちと焦りが入り混じった咆哮を上げる。


<あー…それ奪取した運営者権限の一部で内部データ"だけ"を完全削除したからwww>

「?!」(電界皇)

「KATUMIさん!!」(スイゲツ)

「やっとかよ~カッつん!」(しえりゃん)

「ヴァルタースキルヒェン氏め、やりおるわ」(厳蔵)

「運営仕事した」(百)

「また眠りこけてんのかと心配したじゃんか大木ッ!」(アリカ)

<おい、似非ザムライにちっぱい勇者! 本名で呼ぶなと何回言えば分かるんだ!>


 この場全員にダイレクト(ハッキング)メールで受け答えをするのは

デスゲームに巻き込まれた唯一の運営側プレイヤー【KATUMI】


「誰が似非だ! 俺はフランスの小麦色のサムライじゃボケぇ!」

「後で覚えてろよ大木! リアルに帰ったら住所解明してフルボッコしてやる!」

<そういうのはそこの【電界皇】(バ カ)をぬっコロしてからな。

もうすぐそいつのチートステータス壊せるやつ全部ぶっ壊れるから。>

「ぐぬぁあああぁあぁあぁあぁああぁあああ!!」


 【電界皇】がBAを発動する。画面上部には『虚空真空波』と表示され、

【電界皇】を起点とした周辺に超ノックバック効果と

グッドステータス全てを解除する効果を持ち、

あまつさえダメージ有の真空波が発生する。


「ッ!? くそ…!」

「……うぅ」

「ぬわ?! 防御して残HP2割以下かよ!?」

「あの野朗の事だろうから敢えて即死レベルにしなかったな…!

 まあ今となっちゃ無駄な足掻きだろうがッ…!」

「げげ~! みんな! 皆死んじゃったよ~! ふざけんなよ~ッ!!」


 先ほどの五人は咄嗟に緊急防御を取れたが、

他のメンバーは直撃を受け、殆どが即死か行動不能に陥ってしまう。


「こンな所でェエエエ! 私が貴様らなンゾに殺られルモのかァアアァアァアアァアア!」


 【電界皇】はアイテムストレージからウイスキーボトルに似た瓶を取り出す。


「あの野朗! 完全回復薬(エリクシル)を持ってやがったッ!」


 【厳蔵】が叫ぶ前に【スイゲツ】が脅威的な速度で【電界皇】との距離を詰める。


「ちょ、ゲツきゅん間に合わないんじゃ~ないの?」

「間に合う間に合わない云々よりもアタシらも走らなきゃ駄目だろうが!」

「…大丈夫、私の【極大魔法】のほうが、早かった」


 最初の一言よりコメントの無かった【百】がBAを発動させる。

画面上に『【極大魔法】永遠にして大いなる冬(フィムブルヴェト)』の文字が現れ、

部屋全体が一瞬で氷漬けになる………無論【電界皇】ごと。


「な…ん…だと…? 私の属性防御が…突破…!?」


 【電界皇】は当然エリクシルの使用を強制キャンセルされる。


「残念、フィムブルヴェト、万能属性。属性防御とか、無意味。

でも、直接ダメージが無い…無念」

「十分だ! 後はボクらに任せろ!」


 【スイゲツ】達はついに【電界皇】の近距離に辿り着く。


「うおおおおおおおお?! 動け! 動けえええええええ!!」

「よっしゃあTatamize…じゃねえ畳み掛けてやるぜ!」


 まず最初に技を発動させたのは【厳蔵】。技名は『サムライスキル』の最高位剣技で

スキルポイント…SPが続く限り何度も連続攻撃できる『精神尽力斬鉄剣』

この攻撃で【電界皇】のHPゲージが残り4割になる。


「あいつ等の無念…ここで晴らす!」


 次に技を発動させたのは【アリカ】。

技名は『魔法剣術』最高位の連続攻撃『ジューダスペイン』

…これは相手が属性防御を高めれば高めるほど威力が増すある意味チートな技だ。


「さ~て、私は後詰に徹させてもらうね~副長だけに~♪」


 【アリカ】の技が終了する手前で技を発動させたのは【しえりゃん】。

技名は『大弓術』最高ダメージを叩き出せると謳われる連射攻撃

『ショック・マシーネ・バリスタ』…この技のえげつない所は

発射された全ての矢に全行動不能バステが付与されていることだ。


「…おのれッ! この私がその程度のバステ如き遅れを取るとでもッ…!!

…漸く溶けッ…?!」


 【電界皇】が束縛から解けて距離を取ろうとした寸前で至近距離に現れ、

最後に技を発動させたのは【スイゲツ】。


「ゲームオーバーだっ!」

「き、貴様まだBA値が残ってたのかッ!?」

<いや、BAゲージって創世級(ジェネシス)レアアイテムとかで上限普通に増やせるからな>

「何だとオオオオオオオオオオオッ!?」


【KATUMI】の横槍を余所に【スイゲツ】が発動させたのは、技は技でもBA…

画面上部に『クロスハンドレッドスラッシュ』と表示される頃には

【スイゲツ】が何百もの分身と共に【電界皇】をズタズタに斬りまくっていく。


「うげぇあああああ!? 痛覚遮断がッ…痛覚遮断が…!」

<お、丁度そのデータも無効化出来たかw

良かった良かったwwようこそデスゲームの世界へwww>

「グェエ…きんきゅ…緊急ログ…ログアウト…緊急ログアウ…」


 HPゲージがほぼ真っ赤に染まった【電界皇】は、

震えながらも力を振り絞ってステータス画面を開くが、


「どこまでもふざけた真似を…死を以って償え外道ッ!」


 眉間に当てられた【スイゲツ】の大型拳銃のゼロ距離射撃で無駄に終った。



<<フィールド名:転移回廊ヴィフレスト 現在地:天空要塞への〔裏〕最終関門>>


 先程の最終決戦から少しだけ時が遡る…。


 ここは天空要塞アールヴヘイムへと続く転送ポイント…の裏口である。

 此処こそが【電界皇】が目論んだPK特化殺戮モンスター軍団の突入口…

となるはずだったのだが…


「さて、残り…何だ、もう1000体居ないのか」


 辺り一帯にはそのモンスター軍団の死骸ばかりが転がっていた。


「さあ、お前らには恐怖なんて感情は設定されていないはずだ。さっさと俺を殺しに来い」


 数多の死骸の中央よりモンスター軍団にたった独りで挑発をする…闇色と言っていい

紫色の装備に身を包み、貫禄ある巨大な変形機構式銃剣ディフォマテオンバヨネットを構える男性キャラがいる。


「ちなみに俺は動かんぞ? 一応、向こう側には行かせる心算つもりは無いんでな」


 モンスターの視点からでは男性キャラクターの名前が【????】としか表示されない。

 この仕様はこのゲームでのレベル差が大きすぎる場合のみ見られるもので、

通常のプレイヤーであれば、名前が表示されない時点で

真っ先に逃亡するのが正解ではあるが、


「GYUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!」


 如何せん「ゲートを突破する」という最優先事項を優先するAIであるが故に

警戒→威嚇による様子観察程度の行動しか取れないのだ。


「損壊率が高くなるが遠距離集中砲火も已む無し…か」


 【????】は巨大銃剣をモンスター軍団に向け、無愛想に一言。


「…マルドゥーク・シェル」


 【????】が呟くや否や巨大銃剣は瞬きとも思える速度で変形し、

固定式巨大レールガン型に変形したと同時にモンスター軍団に

巨大な光弾を発射。その一撃だけで十数体のモンスターが消し飛ぶ。


「「「?!?!?!」」」


殆どのモンスターが明らかに動揺しているような素振りを見せる。


「エラーが消えなければAIでも慌てるのか? …悪意散弾プロンドマルヴェヨン


 次に【????】が呟いた技名に反応した銃剣は散弾銃ショットガン型に変形して夥しい数の散弾を発射する。

無論普通の弾丸ではない。その弾丸一つ一つに小さな口のようなものが付いており、

どう考えてもそれは此方に噛み付くとしか思えない形状と動きを見せるのだ。

弾丸一つ一つがモンスターの身体を食いちぎりながら潜り込んだ後に

えげつないほど凄まじく大爆発したのは言うまでも無い。


「GYOOOOOOOOOOOOOOOO!!」


 最早選択の余地は無いと判断したのか、モンスター軍団は残り数百体で

たった独りの【????】に特攻とも思える全速前進を開始する。


「うむ。そうでなくては"剥ぎ取り"の楽しみが無くなる…レベル4000程度ならば

神話級ミソロジー以上のレア素材が期待できるだろうしな」


 独り故に独り言を呟く【????】は銃剣から、これまた貫禄がある黒金の大斧に装備を換えた。


「一度きりでは死なん筈だ…ディストラクトルネード!」


 遠巻きに見た転移ゲートのすぐ傍でドス黒い竜巻が発生したが、

乱戦中にそれを気にする余裕のある者は恐らく今は何処にも居ない。



<<フィールド名:『天空機動要塞アールヴヘイム』 現在地:『世界の皇の闘技場』>>


 頭部が弾け飛んだ【電界皇】の遺体の傍で【KATUMI】と交信をする【スイゲツ】達。


「やはり…【電界皇】死亡以前に死んでしまったプレイヤー達は…」

<こればっかりはどうしようもない。ゲーム上死亡と同時に遠隔でリアル感電死だからな>


 【スイゲツ】の質問に間を置くことなく答える【KATUMI】


「……みんな…帰ってこない」


 【百】は涙をボロボロと零す。


「モモちゃん…」


 【百】の肩に手を置いてやるくらいしか出来ないことに【厳蔵】は悔しさを隠せない。


「………で、大…KATUMI…全員のログアウト復旧は大丈夫なの?」

<【電界皇】も緊急ログアウトを残していただけあるからな、一時間も掛からんよ。

何ならフレンドリストでも見てみたらどうだ? ってことでとりあえず俺ちょっと寝るわ>

「は~…カッつんマイペース過ぎ」


 ゲーマーの性なのか【しえりゃん】はエリクシルを全員に振舞っていた。


「アンタもね。もう戦う必要も無いのに全回復してどうすんのよ」

「あちゃ~。9500MYDメガエンドルの損~…ま~いっか別に~♪」


 今さらだがYDはこのゲームにおける通貨のことである。やってはいけないが

RMTリアルマネートレードでの相場は1YDにつき約150円である。


「ハンドレッド…フレンドリスト…見るかい?」

「…うん」


 どうやって【百】を宥めようかと悩む【厳蔵】を尻目に【スイゲツ】は【百】と一緒に

フレンドリストを閲覧する。フレンドリストに登録されたPC名は、対象のPCが死亡なら

[DEATH]マーク付きで赤色表示されるが、ログアウトした場合は名前の部分が灰色になるだけである。


「…! ゲツくん…!」

「!! …皆! 各々のフレンドリストを見るんだ!」


 【スイゲツ】の鶴の声に「C†B†E」メンバーはそれぞれのフレンドリストを表示させる。


「…っしゃあッ!! アントンの野朗ちゃんと生きてやがった!!」

「…マナミ…ユウヤ…みんな…よかった…!!」

「お~! サークルの生き残りが見る見るログアウトなう~!!」


 他のメンバー達も同様に歓喜の声を上げていく。



<<フィールド名:転移回廊ヴィフレスト 現在地:天空要塞への〔裏〕最終関門>>


 一方その頃…裏門では途轍もない激戦が繰り広げられていた。


「ふむ…ダメージが1000万を突破か…流石に遊びすぎたな」


 【????】の目の前には先程のモンスター軍団とは見た目からして明らかに強そうな…

というかどう見てもボスとしか言いようの無い巨大モンスターの群れがひしめいていた。


「遠距離攻撃では碌にダメージが通らないか。まあ良い」


 【????】はアイテムストレージから邪悪な風貌の巨大な槍を取り出して装備。

そのまま大車輪が如く振り回す。


悪竜殺しヴリトラハン


 【????】がそう呟いた時。振り回された槍から泡状のエネルギー弾が

巨大モンスターの群れに勢い良く打ち放たれる。

 エネルギー弾はモンスターに着弾すると共に泡とは思えない大爆発を起こす。


「…グラビティ・ホールド」


 【????】は一切の詠唱をすることなく魔法を発動。

 エネルギー弾の難を辛うじて逃れられた哀れなモンスター達を超重圧で押し潰す。


「…ん? 二、三体死んだか」


 【????】は足止めのつもりだったようだが、

食らわされるモンスター達には堪ったものではない。


「そうだ、それで良い」


 尚も立ち上がろうと必死にもがくモンスター達に微笑を向ける【????】

 本人は単純に嬉しいだけなのだろうが、

この情況でその表情は正直言って嗜虐的にしか見えない。

 気のせいかも知れないがモンスター達が怯えているように見える。


「そろそろ終わらせるか…」


 モンスターの様子に飽きたかのように【????】はBAを発動させる。

 画面上部に『【極大魔法】コキュートス・ジュデッカ』と表示され、

【????】を起点に超広範囲を暗黒空間に飲み込み、息つく暇も無く瞬間凍結させる。


「「「「「Gyapyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyy!?!!?!」」」」」


 この無情な魔法攻撃で、生き残っていたモンスター達は全て絶命した。


「…さて、素材を頂こうか」


 軽やかな足取りで氷漬けのモンスターの遺骸に歩み寄る【????】の表情を見た者が居るとすれば、十中八九の人々が

「どう好意的に見ても猟奇的です」と、言いたくなる悪魔の笑顔だった。



<<フィールド名:『天空機動要塞アールヴヘイム』 現在地:『世界の皇の闘技場』>>


 それぞれの親しい人物達のログアウトを確認し終える「C†B†E」メンバー達。


「KATUMIさんはまだログアウトしてないな…」

「運営まだ寝てる」

「彼奴が最後にログアウトで決まりだろうよ」

「厳蔵はちょくちょく素と侍キャラが入り乱れるよね」

「おkおk~。じゃあみんなはお先にログアウトなう~」


 「C†B†E」のメンバー達も筆頭である【スイゲツ】達五人を除いてポツポツと

帰るべき現実世界リアルへのログアウトを始めていく。


「さて…それじゃあ生還記念のOFF会をしたいと俺、厳蔵は思うんだが。どう思う?」


 アイテムの煙草を吹かしながら【厳蔵】は【スイゲツ】達にそんな提案をする。


「いきなりだなフランス侍。

アバターの顔がリアルとほぼ一緒なのにOFF会とかそれ何時の平成だよ?」


 空気読めと言いたげな表情で【アリカ】は腕を組む。

 残念ながら両手から零れるほどの胸は無…ごめんなさい。


「悪かったなフランス生まれの平成っ子だよどうせ俺は!」


「そんなことよりもまず、退院が優先」

「ハンドレッドの言う通りだね。ニュースだとリアルの僕らは全員病院のベッドの上だし」


「………」

「がんばれ~オッサン~♪」


 落ち込む【厳蔵】の肩をポンポンする【しえりゃん】

 ちなみに彼女は【厳蔵】の次に年長者だが…ごめんなさい何でもありません睨まないで。


「Arrêter blague!(ふざけんな!)俺はまだ29だぞ!」

「どの道来年で三十路のオッサンだろうが」

「…ゴフッ」


 【アリカ】に突きつけられた事実(?)に嘗て無いダメージを受けて膝をつく【厳蔵】


「俺は若い…俺はまだ若いんだ…」


「ま、まあ…OFF会はOFF会で良いんじゃないかな――」


 【スイゲツ】が言葉を続けようとしたその時、全体が異様に揺れる…。


「Pardon? あぁ?! なんだこりゃあ!?」

「変…!」

「およよよよ~?」

「おいKATUMIィ! アタシの画面が凄く揺れてんだけどぉ?!」

「KATUMIさん?! ちょっと起きてくださいよKATUMIさん?!」



<フィールド名:転移回廊ヴィフレスト 現在地:天空要塞への〔裏〕最終関門>


 ほぼ同時刻…【????】は少し満足げな表情を浮かべていた。


「なるほど…亜種モンスターがベースで…創世級か…RMTでどれ程捌けるかな…?」


 モンスターから剥ぎ取った素材を眺めていた【????】も

全体の異様な揺れを感じ取る。


「? …【電界皇】とやらが何かしたのか…?」



<フィールド名:天空機動要塞アールヴヘイム 現在地:『世界の皇の闘技場』>


 全体の激しい揺れは訓練を受けた人間ですら酔ってしまうほどに酷くなっていた。


「うぷ…」


 例に漏れなかった【百】はその場に蹲ってしまう。


「ハンドレッド…苦しいだろうケド立たなきゃダメだ」


 【スイゲツ】は何とか踏ん張ってはいるが、その表情はよろしくない。


「武士は吐かねど高楊枝…おうっぷ!!」


 耐え切れなくなった【厳蔵】は口を押さえる。


「これは…最低~…」

「大木ぃ…! 起きろぉ…この野朗ォ…!」


 座り込んだ【しえりゃん】と【アリカ】は喋るので手一杯のようだ。



<フィールド名:転移回廊ヴィフレスト 現在地:天空要塞への〔裏〕最終関門>


 事態の異様ぶりにこんな情況でも平然と立っている

異様なPCの【????】は、ふと、空を仰ぎ見る。


「!! …空が…!」



<フィールド名:天空機動要塞アールヴヘイム 現在地:『世界の皇の闘技場』>


 「C†B†E」メンバーたちも空に起こった異変に気が付く。


「な…!? 空が…!」

「裂け、た…?」

「ぐもぉぉおおぉおぉぉ?!(※口を押さえているので喋れない)」

「何なんだよコレはぁ…!」

「わけわかんね~…」


 彼らが言うように、空であるはずの空間が裂けたのだ。

 そしてその裂け目から「黒い光」としか言いようの無い光が放たれ…


 空を眺めていた、全てのPC達を、飲み下すように包み込んだ…

一万文字くらいが丁度いいかと勝手に思ったのですが

プロローグから飛ばしすぎても

こっちのメンタルが持たないことに気付いたのでこのくらいにしました。

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