ホルンの町へⅡ
八話目です。リベリアは20歳、ルークは16歳です。なので、リベリアは「さん」付けです。追加でメイサは16歳です。
夜になって、俺たちは歩くのをやめ、寝ることにした。明日は近くの村があるからそこで休めるらしいが、今日は近くにないので野宿になった。
「危ないので交代交代で見張りを置こう。先に私たちが見張りをするから君たちは休んでいてくれ。何かあったときにすぐ戦えるように武器はちゃんと持っていてくれ」
ゲームの世界ならこれはフラグだな。なんか強いやつが襲ってくるとかそんな感じで。いつでも動けるように寝ないでおこう。
「分かりました。ありがとうございます」
明日の朝…
「結局何も襲って来なかった…。フラグじゃなかったのかよ…」
眠い目をこすり、あくびをしながら、俺は歩いていた。結局一睡もできなかった。もうゲームの世界の常識とか関係ないのかな?変なところはゲーム使用なんだよなー。序盤で仲間ができるとかその辺。
「まあ、明日はしっかりとした場所で寝られるから、熟睡できるだろう。一日の辛抱だ」
「夜中は何が襲ってくるのかわかりませんからね。怖くてうまく寝られないのも仕方ないです。慣れれば大丈夫ですよ」
リベリアさんとルークが励ましてくれる。優しいなあ。それに引き替え、
「シュウトさん。速く行きますよ~。速くしないと置いて行きますよ?」
優しさのかけらもない。こんなのが仲間なのか…。
そんな状態の俺だったから途中に出てきたゴブリンは全部、リベリアさんと、ルーク、ついでにメイサが倒してくれた。リベリアさんは両手剣でゴブリンを一撃で葬っている。あとの二人は魔法でサポートだ。てゆーか最初から今までゴブリンしか出てきてないな。そのことを疑問に思い、リベリアに聞いてみたところ、
「ここは周辺の村や町の人にゴブリンの森と言われている。ここにいる魔物はほぼゴブリンだ。ごくたまにオークというゴブリンより大きいやつが出てくるくらいだな」
そーなのか。ゴブリンは序盤の敵として有名だからな。しかし何もゴブリンしか出てこないはやりすぎじゃないのか?
「そうか。そろそろ眠気もなくなったからこれからは俺も戦うよ」
次に出てきたゴブリンの三人組をメイサの魔法のサポートと一緒に倒した。
その後も同じように三回ほどゴブリンの集団との戦闘を無事に終わらせて、リベリアさんのもとに戻ると、何か考え事をしていた。
「どうしましたか?なにか俺の戦いで悪いところでもありました?」
「いやいや、そうじゃないんだ。ただちょっとゴブリンが集団でいたのが気になってな。今まで倒してきたゴブリンは必ず二匹以上だった。普通は群れでなんて行動しないからちょっと不思議に思ってな。それに、歩けば歩くほどゴブリンとの戦闘が増しているようにも思えるんだ」
確かに、俺が戦闘を始めてからもう四回も戦っている。ゴブリンは弱いからあまり気にしていなかったから、リベリアさんに言われるまで気づかなかった。
「ほんとにどうしたんでしょうかね?」
ルークも話に加わってくる。
「考えてばかりいても仕方ない。戦闘が多いから予定より結構遅れている。速くしないと夜までに村につかないぞ。村に行けばもしかしたらゴブリンの情報もあるかも知れないしな。これからもしゴブリンに会ったら私が速攻で倒す。倒さずに通れるなら倒さず進むぞ」
そう言って、装備していた両手剣をカードにし、代わりに片手剣を出した。そして近くにいたゴブリン二体に一瞬で肉薄し、斬り倒した。SPが減っているからどうやらスキルを使ったんだろう。
それにしてもリベリアさんは強いな。剣の使い方にすごく慣れている感じだ。それに引き替え俺はただ振っているだけだ。
まあゲームだからそんな型とかは必要なく、ただ強ければいいんだろうけど。
出てくるゴブリンは全部リベリアさんが倒してくれた。速くたくさん敵を倒して強くなりたい俺は複雑な気分だった。
そのまま、歩き続けると、なんとか暗くなる前には目的の村につくことができた。
「何とか予定通り着いたな。ご苦労様」
「リベリアさんのおかげですよ。ありがとうございます」
「とりあえず、宿までもうすぐだ。さあ行こう」
宿についてすぐに俺は疲れ+昨日寝てないからすぐに深い眠りについた。