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村で

 空が完全に真っ暗になったとき、俺たちは村に着いた。

「私の家は村の中心のちょっと左側にあるんです。この村は私の両親が魔物から守っているのでいろいろと優遇されているんですよ。でも、お母さんが病気になってしまったので、今は別の冒険者が来ています。が、もういらないでしょうね。明日あたりにはもう帰るんじゃないですか?」

「帰るってどこに?」

「ここから一番近い町のギルドから依頼を受けて来てますから、ホルンの町じゃないですか?」

 この世界では冒険者ギルドに登録をしないと、依頼も受けられないし、ダンジョンにも入ることができない。そして、冒険者ギルドがあるのは大きな町だけなので、俺も町に行かないといけない。ここに来るときにメイサには俺は冒険者になろうとしていると言うことを話しておいた。

 ちなみに、この世界には大きな町が五つ、そして、その近くに大きなダンジョンが一つずつある。町以外はいろいろなところに村が散らばっている。これ常識。

「着きましたよ。ここが私の家です。どうぞお上がりください」

 家を見ると俺の世界の一軒家より結構大きかった。なんか村長レベルの人じゃないの?村でこんなところに住むのなんて。冒険者がこんなところに住むなんてすごいなあ。

 玄関に入るとすぐにエルフの男の人が走ってきた。

「メイサ!どこに行ってたんだい!?心配したんだよ!?」

「すいません…。お母さんの病気に効く薬草を取ってきたんです」

 そして、取ってきた薬草をカードからもとに戻した。

「そうだったのか…ところでこちらの方は?」

「私が森でゴブリンに襲われていたところを助けていただいたんです。そしてそのお礼に今日泊めてさしあげようとしたんです」

「そうか。娘を助けていただき感謝します。今日はゆっくりとしていってください」

 そして、深々と頭を下げた。

「いえ、こちらこそ助けていただいたんで」

俺も下げ返した。

「部屋はこちらを使ってください」

そう言われ連れて行かれたのは、ホテルのような部屋だった。

「夕食はすぐに持ってきます」

そう言って、メイサのお父さんは出て行った。


そして俺以外誰もいなくなった部屋で俺はレベルアップで得たTPを振り分けるために、ベッドで寝転がりながら、ステータスと心の中で唱えた。

この世界でのスキルのレベルアップは熟練度で決まる。熟練度が高ければ、レベルアップ時に同時に上がる。熟練度は、目に見えないのでとにかく使い続けるしかない。しかし、俺は違う。俺はTPテクニックポイントを振り分けてスキルのレベルを上げる。熟練度なんて関係ない。しかし、一見よさそうに見えるが、これにも欠点がある。使い続ければいつか上がる熟練度とは違う。ポイントが足りなければもちろん上がらない。そして、得られるポイントは決まっているから、いくら頑張ってもポイント以上のスキルはとれない。はたしてどちらのほうがいいのだろうか?

「そんなことはいくら考えても結論なんて出るわけがない。とりあえず、TPを振り分けることにするか」

いま、俺は20TP持っている。スキルは現在のレベル×10TPを使って上げることができる。

つまり、Lv2には10TP、Lv3には20TPが必要だ。なのでいま俺ができるのは、二つのスキルをLv2にするか、一つLv2に上げてあとは取っておくか、そのままどれも上げずに取っておくかだ。さすがに何もしないっていうのはこれからの戦闘がきついだろうから、どれかは必ずあげておきたい。

「とりあえず、片手剣はこれからも使うから、レベルをあげておきたいな。あとは隠れるより回避のほうが上げといたほうがいいな」

そう思い、片手剣と回避にTPを使った。

《片手剣使いLv1→Lv2》

《回避Lv1→Lv2》

《片手剣使いLv2スキル技、スラッシュを覚えた!》

《回避Lv2スキル技、クイック・ステップを覚えた!》

「おっ、スキル技も手に入れたか」

スキル技はSPを消費して使う技であり、スキル名を言うだけですぐに発動できる。この世界での戦闘には欠かせない物だ。さらに覚えたスキル技はレベルアップでちゃんと強くなるからこの先ずっと使うことになるだろう。

「ふう。こんなものか」

そして、振り分けが終わり、一息ついていると、ドアがノックされた。

「すいません。夕食を持ってきたので、ドアを開けてくださいませんか?」

この声はメイサだ。俺はベッドから立ち上がってドアを開けた。そして両手に夕食を持ったメイサが入ってきた。

「ありがとうございます。私の分も持ってきたので一緒に食べてもいいですか?」

「分かった。すぐに食べよう」

机に夕食をおいて二人で向かい合って座った。夕食のにおいをかぐととてもいい匂いがした。そういえば俺は夕食を食べる前にこの世界に送られたから、結構な時間なにも食べていないんだな。

そして俺はいただきますを言ってすぐに食べ物をほおばった。


「ふう。おいしかった。ごちそうさまでした」

「それはよかったです。お父さんにシュウトさんのことを話したら、明日お母さんの代わりに来ていた冒険者の方たちがホルンの町に戻られるので、一緒に町に行ってはどうかと言っていました。普通に歩いていくと三日くらいかかるので一人で行くのはすごく危ないです」

「確かにそんなにかかるんなら夜に魔物に襲われたりしたら危ないしな。わかったよ。一緒について行かせます。って伝えてくれる?」

「はい。わかりました。あと、一つお願いがあるんですが…」

「何?俺にできること?」

「はい。もちろんです」

「じゃあなんでも言ってよ」

「ありがとうございます。では…私をシュウトさんの仲間にしてください!」

「…はい!?本気で言ってる!?」

「はい。私はお母さんのような強い魔法使いになるために冒険者になって、強くなりたいんです!でも一人だと危険だからってお父さんに言われて今まではなれなかったんです。シュウトさんについていけばそんなこと言われないですから。」

「えーそんな理由?」

「はい。それ以外に何か理由が必要ですか?シュウトさんはさっき約束してくれたのでこれからよろしくお願いします。じゃあまた明日の朝会いましょう。おやすみなさい」

そう言って俺に有無を言わせずすぐにメイサは出て行った。ちゃんと夕食のかたずけも忘れずにして。

スキル技説明。

スラッシュ…普通に斬るより大きなダメージを与える。相手が攻撃中の場合にダメージを与えたとき、その攻撃を中断させる。


クイック・ステップ…自分のスピードを二倍にする。一瞬のみ。

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