メイサ
「フレイム・シュート!」
それは、さっき森で助けたエルフの女の子の声だった。
そして、俺の前に立っていたゴブリンの頭に炎の塊が直撃した。そして、ゴブリンは攻撃を中断し、あたりを見回した。その隙を逃さず俺はゴブリンに攻撃をして、体制を立て直した。ゴブリンが女の子に気づいて攻撃をしないように、ゴブリンに攻撃を続けた。再びゴブリンが俺を狙って攻撃をしてきた。それを今度ははじき返そうとはせず、普通に回避する。そして、ゴブリンの体に攻撃を叩き込むが、ゴブリンはまだ死なない。
「今までのゴブリンとは違うな…あとHPは半分くらいか」
HPを見るとついでにゴブリンのレベルも見えた。
「レベルは2か。今までのより1レベルが違うだけでこんなにも差があるのか…だから俺のレベルがなかなか上がらなかったのか」
ゴブリンが再び剣を振って攻撃してくる。俺はそれを後ろに下がって回避した。そしてカードになっている短剣を実体化させ、空いている左手に構えた。ゴブリンの上からの攻撃を短剣で俺にあたらないように少し横に受け流し、右手の片手剣で全力で斬った。
そして、そのゴブリンはカードになった。
「ふう。何とか勝てた」
一息つくと、突然目の前にレベルアップの文字が。
あわててステータスを確認してみる。
シュウト ヒューマン Lv1→Lv2
所有スキル
《片手剣使いLv1》
new!《回避Lv1》
new!《隠密Lv1》
スペシャルスキル
《短剣使いLv1》
20TP獲得!
「やっと上がった!スキルも新しいのが2つも手に入れてるし!」
TPの振り分けはいつでもできるのでとりあえず後回しだ。
そしてカードを拾い、短剣を仕舞って、女の子を見つけ近寄った。
「さっきは助かったよ。どうもありがとう。君の名前は?」
「私はメイサといいます。あの、冒険者さんのお名前は?」
「俺はシュウトって言うんだ。よろしくな」
「はい。シュウトさんですね。わかりました」
「でも、どうして付いてきたの?」
「実は、両親が昔冒険者だったんで、冒険者がどんなものか見てみたかったんです。そしてシュウトさんのあとをつけて、シュウトさんの戦いをみてました。すごかったです!1人でゴブリンと闘って倒せるなんて!」
「でも、最後のは君の助けがなかったらやられてたよ」
「誰にでもミスの1つや2つはあります。それを助け合うのが仲間です。シュウトさんには仲間がいないんですか?」
「まあまだ冒険者になったばかりだからね」
「そうだったんですか…。あ!そういえばすぐそこに薬草があるんで速くとって森から出ましょう。話はまた後にしましょう」
「そうだね。またさっきのゴブリン見たいのが出てきたら危ないしね」
そして、俺たちは急ぎ足で森から出た。
森を出ると、もう空は暗くなりかけていた。
「あの、助けていただいたお礼もかねて、今日は私の家に泊まりませんか?」
「お母さん病気なのに泊まって怒られない?」
「大丈夫です。助けていただいたのに何もしないなんてそれこそお母さんに怒られます!」
「そ、そうか。ならお言葉に甘えて泊まらせてもらおうかな?」
泊まるとこなんて全く考えてなかったしね。ちょうどいいか。
「私の村はここから近いんです。さあ行きましょう」
そして、2人で村に向かって歩いて行った。