VSゴブリン
少し歩いて、改めてステータスの確認をしてみた。
「ゲームの最初に出てくる敵を倒して強くなるのはよくあることだ。もしかしたら、レベルが上がっていて強くなっているのかもしれない!」
そんな気持ちで見てみると、
シュウト ヒューマン Lv1
所有スキル
《片手剣使いLv1》
スペシャルスキル
《短剣使いLv1》
だった。つまり、何も変わっていない。
「あれ?普通こういうのって最初の戦闘でいろいろ強くなるんじゃないの?レベルアップしたりしてさ?おかしくない?絶対おかしいよ…あんまりだよ…」
そんな泣き言をブツブツ言いながらとぼとぼ歩いていると、何かに頭をぶつけた。
「イタッ!木にでもぶつかったかな?」
顔を上げてみると目の前にゴブリンが。
「あ」
ゴブリンの攻撃!持っていた片手剣でシュウトにダイレクトアタック!
シュウトは死んでしまった!シュウトの目の前が真っ暗になった!
「…いやいや、そんなのありえねーだろ!」
俺はすぐに腰から剣を抜き取り、何とか攻撃を防いだ。
「完全に油断してたな。危ない危ない。魔物のいるところでは、集中しないとな!」
すぐに攻撃に切り替え、さらに横から攻撃しようとしていたゴブリンより速く剣を振り、ゴブリンの剣に当て、ゴブリンの腕を剣ごと真上にはじく。そして、片手を上にあげた、体ががら空きの状態のゴブリンの胴体をぶった斬った。結構思いっきり斬ったので、ゴブリンは一撃で倒れた。
そしてゴブリンはカードになった。
「ふう。これで一安心か。しかし、まだレベル上がらないな…、もう考えないようにしよう」
カードを拾い、先へと歩いて行った。
少ししてまたゴブリンを見つけた。どうやら、二体いるらしい。俺は気づからないように茂みを移動して一体のゴブリンに近づき、背後から急に飛び出し、攻撃した。そして連続で二回攻撃すると、そのゴブリンはカードになった。二体目がこちらに気づき、迫ってきているのを見て、俺はカードを拾うのを後回しにして、二体目を倒すことにした。
二体目は正面から挑む形になった。不意打ちのほうがやりやすくていいんだけどな…。当たり前か。でももうゴブリンの動きには慣れたしな。
そしてゴブリンが剣を横に斬ってきた。俺はそれをさっきと同じようにしたから攻撃して剣を真上にはじき返そうとする。しかし、剣と剣が当たった時、前は相手の剣が跳ね返ったのに、今度はこっちの剣がはじかれてしまった。すると、必然的に、ゴブリンの攻撃は続き、そのまま俺の体を斬った。わき腹に強烈な痛みを感じて、すぐさま横に転がって距離を取り、HPを見てみる。見るとHPが四分の一くらい削れている。そして初めてのダメージをくらい、俺の思考は恐怖に染まっていた。
「なんで?ここはゲームの世界のはずだろ!?なんでこんなにリアルに痛いんだ!?」
そして、近くに気配を感じてみてみると、武器を掲げて今にも攻撃しそうなゴブリンが見えた。
今から武器を構えても弾き飛ばされてやられる!!避けようとしても恐怖で体がうまく動かない!どうすれば…
そして振り下ろされる剣。俺はこんなところでやられるのか…そんなことを考えていると、どこかで聞いたような声が聞こえてきた。