初戦闘&初接触
とりあえず、自分のステータスを見てみることにした。心の中で念じると出てくるらしい。
念じてみると、すぐに出てきた。
シュウト ヒューマン Lv1
所有スキル
《片手剣使いLv1》
スペシャルスキル
《短剣使いLv1》
スペシャルスキルとは、ある種族だけが持っているものだったり、ごくたまに現れるもので非常に珍しいのだが…
「弱っ!何この雑魚さ!」
なにこれ…。弱すぎじゃない?片手剣と短剣が使えるだけ?こんなんでやっていけるのかな?あーあもっと強い能力がほしかったな~。
「さて、ステータスなんか見なかったことにして、これからどうしようかな?」
そんなことを考えていると、近くの森から女の子のものと思われる悲鳴が聞こえてきた。
すると、目の前に、
《女の子を救え!》
森で女の子が魔物に襲われている。助けに行こう!
という、ミッションが。
「仕方ない。いろいろわからないことがあるしステータスも貧弱だが、とりあえず、助けに行くか!」
そして俺は森に入っていった。
森に入って少ししたら、逃げている女の子を見つけた。女の子がおびえた目で見ている先には一体のゴブリンがいた。そしてゴブリンのHPとSPとレベルが見えた。HPは全く減っていない。レベルは俺と同じ1だな。武器は片手剣か。いやいや、そんなゆっくり観察している暇はない!
そう思い、俺はゴブリンに斬りかかっていった。
そして、女の子を追っていたゴブリンを後ろから剣で攻撃した。今ので半分くらいは削ったようだ。しかし、一撃与えて喜んでいた俺はゴブリンが俺のほうを向き、剣を振ったことに気づくのが遅れた。攻撃されるのはすごくびっくりしたが体が勝手に反応して横に跳んで回避した。
「あぶなっ!現実に攻撃されるとあんな感じなのか…。とっさに回避できてよかったな」
ゴブリンはまた剣を振って攻撃してきた。
「さっきの攻撃でもう慣れた!」
そして、ゴブリンの剣を少しかがんでよけ、懐に入り、とどめを刺した。
少しするとゴブリンの体が光り、二枚のカードになった。
それを拾って、見てみると、『ゴブリンの肉』『ゴブリンの剣』と書かれていた。
そして、目の前にミッションクリアの文字が浮かんでいた。
《ミッションクリア!》
報酬…鉄の短剣×1
と書かれていて、目の前に鉄の短剣と書かれたカードが出てきた。
ちなみに、言っておくと、この世界では武器や素材、食べ物やお金もすべてのものをカード化して持ち運んだり、実体化して使用したりできるようになっている。
「これで短剣のスキルが使えるようになったな…」
そんなことを考えていると、ゴブリンに襲われていた女の子が話しかけてきた。
「あの…助けていただきありがとうございます」
そしてぺこりとお辞儀した。
「別にいいよ。君が無事で良かったよ」
女の子を見てみると、身長は俺よりちょっと低いくらいで、髪は腰まで長いブロンドで、顔はすごくかわいかった。耳が少しとがっている、つまりエルフだった。リアルで見たのは初めてだなあ。まあ俺の世界にいなかったんだからあたりまえだけど。
女の子のHPを確認してみると、ほとんど減っていなかった。しかし、MPが少し減っていた。つまり、この子は魔法を使ったのか…。まあゴブリンのHPを見た限り、外したんだろう。
「そういえば、君はなんでこんなところにいたの?」
見たところ防具も何も装備していない。そんなんでこの森にいるのは自殺行為だ。
「実は、お母さんが病気になって、それを治すには、森に生えている薬草が必要なんです」
よくある設定だな…まあゲームの世界だから仕方ないか。
「そうか。なら俺がその薬草を取ってきてあげるよ」
「いいんですか!?おねがいします!」
「ああ、任せてよ。森を出たところの草原で待っててくれる?」
「…はい!分かりました!」
「それじゃあね」
そういって、俺は歩き出した。
薬草って見ただけでわかるか?どんなのか聞いとけばよかったかも…。