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第九章 4 男なんてぇ~!

一日一話書いて即出しのため、誤字脱字意味不明文章になりがちです。

それでもよろしければ、どうか生ぬるい目でご一読お願いいたします。


「えー、みなさん。ツングースカ邸への入館の前に、知っておいていただきたい重要機密がございます」


 ツングースカ邸を目前にした道すがら。

 俺はチーム「ビッチガールズ」さん達を前に、一つの懸念を解決しておきたいと考え、それを述べる事にした。


「当お屋敷には、現在三名のロキシアがおります。しかし! それはあくまで人質として、その身を確保していると言う状況なのです」

「あら、ほんと? 男? ねぇ男!?」

「ヒ、ヒィ! か、勘弁して!」


 勝手な想像で一喜一憂するサキュバスさん達。


「たしか、女の人ですよね? ロキシアの三人って」


 アルテミアが言う。

 幼い身でありながら、この子が一番しっかりしていると感じるのは如何なもんだ?


「なぁんだ、女なの? ならどーだっていいわ」

「お……女なのね? よかった……脅かさないでよね、このう○こ色男!」


 キューメリーが安堵して、俺を責める。

 その言葉からは、どうやら同性愛趣向者じゃない事が伺えるが――人の事を指してうん○色男はないだろ。

 まったく、アメリアスといいコイツといい、人の事を色で呼ぶ奴はろくな奴がいねぇな。


「で、あのロキシアたちは、なんでツングースカさまのおうちにいるの?」


 アルテミアの幼い口調が俺に問う。


「う~ん……成り行き上なんだけどさ。ワダンダールって小国のお姫様と、そしてその従者二人を攫って来ちまったんだ」

「まぁ、ボクが? いいわねぇ~、奥手に見えてけっこうやるじゃないの」


 また変なところに食いつくレベトニーケさん。


「で? で? もうさんざっぱらやっちゃった? どんなコトやった? おねえさん聞きたいなぁ」

「 ひ ど い ! 不 潔 ! 変 態 ! やはり男は汚らわしいわ!」

「い、いや……まだ何も……」

「なぁに? まだヤっちゃってないっての? 何それ! しっかりしなさいよ!」


 レベトニーケさんの仰る事はごもっとも、魔族の男子としてお恥ずかしい限りです。


「で、ですが――くだんの姫はレネオ殺盗団に人質として捧げられ、そこで口にするのも憚られる酷い仕打ちを、既に受けているんです! ツングースカさんはそんな彼女を――」


 おっと、また余計な事を言っちゃったよ!


「ふぅん……ロキシアにも情をかけるなんて、ツィンギーらしいわねぇ」


 笑いながらに言う。

 でも、どこかその表情は、友人の変わらなさに「安心」を浮かべているような……そんな気が伺える。


「あの……その……情と言うか、一応人質で――彼女を奪い返しにくる殺盗団を期待しての事なんですけど……なかなか来てはくんない様子でして」

「はいはい、いいわよ別に。私はそんな事まぁ~ったく興味ないもの」


 レベトニーケさんがメンドクサそうに言う、これは彼女なりに気を遣ってくれているのだろうか? それとも本当に興味がないから?

 いやま、どっちだっていいや。この件に関して「我関せず」の意思表明をしてくださったんだ。

 この話はこれにて終了――


「ば、バカ男……本当にその姫とかに手ェ出してないの?」


 終了しなかった。キューメリーのやつが、おっかなびっくりと俺に問う。


「あ、ああ……まぁ、残念ながらこの先もないと思うぜ?」

「な、何でよ? あなた男でしょ? 魔族でしょ? ホモなの? それともゲイ? ショタ? BBA好み? ま、まさかロリ! アルテミアに手を出したら承知しないからね!」

「ア、アホ! そんな後ろに手が回るような趣向者じゃネェよ!」

「じゃあなんで……?」


 こいつバカなの? それとも不能なの? とでも言いたげな表情で俺を見るキューメリー。


 そんなもん、決まってんじゃねぇか。


「だ、だってさ……か……かわいそう……だろ?」

「……はぁ?」

「かわいそうだろ! 一国の姫様が、まるで性奴隷のような仕打ちを受けたんだ! 彼女の心の傷が癒えるまで――いや、そんなモン生涯癒えねぇだろう。だから、手は出さないし――彼女達の周りからは、そういったモノは排除してやりたいじゃないか!」


 う~ん、また熱く語っちまった。

 しかも今度は、恋愛や色恋沙汰に夢見る少年度満点な百パーチェリーボーイ発言!

 ホラ見ろよ、レベトニーケさんが呆れてるぜ?


 だけど――キューメリーは、そんな俺をマジマジと見て、一言――


「そ、そう……なんだ」

「あ……あー、うん……」


 顔をまっかっかにして押し黙る以外無かった。

 うわぁ、くっそ! また黒歴史語録が増えちまったじゃねぇかよ!

 中二感性溢れさせるような質問とか、議論とか、あんまり俺のその辺を突付かないでくれ!


「……かわってるね?」


 キューメリーが俺を上目遣いで見る。


「お、お前が言うな!」


 レベトニーケさんがやれやれと首を振っている。

 大人の女性からしたら、俺のこう言ったダイナマイト中二病発言は青臭いだけなんだろうなぁ……。


「まったく~、類は友を呼ぶ……か。ボクちゃんはツングースカ師団長にはお似合いの部下だわね」

「は……はぁ」


 笑顔で言うレベトニーケさん。

 それは俺の都合のいい解釈かもしれないけれど、バカにしたり青臭いと笑ったりと言った侮蔑を込めた言葉ではなく、心からそう思うと言った「おもいやり」が伺える気がした。


「ねぇねぇ、ところでさぁ……『せいどれい』ってなぁに?」



「 ブ ッ ! 」



 アルテミアの一言に……は、鼻水でたわ……。


「あ、アミーにはまだ早すぎるの! そんな事知らなくったっていいわ! ……まったく、アンタのせいでまだ純粋なアミーがエロエロビッチになっちゃったらどーしてくれんのよ!」

「し、しらねぇよ! どのみちもうちょっとしたらソッチ系のお友達御用達のジュニアアイドルになるんじゃねーのかよ?」

「アホッ! なるワケないでしょ!」


 と、必死の抗議を申し立ててくるキューメリーの横で、レベトニーケさんがアルテミアに「性奴隷」の概念を懇切丁寧に教えてるんですけど?



「 お 、 お ね え さ ま ! 」



「や~ねぇ、冗談よ」

「ほぇ~、つまりはえっちなこと専門のドレイなんですね」


 しっかり教えといて冗談も何もないでしょうに……。





「ただいま、姫」

「おかえりなさいませ、タイチ様」


 ツングースカ邸へと帰ってきた俺達を、エリオデッタ姫が笑顔で出迎える。

 もちろん緑のばーちゃんや、そのお孫さんであるミラルダの姿もある……何人か? は分からないけれど、分裂してお屋敷内の自分達が開けたであろう穴ぼこを補修している様子だ。

 邪魔しちゃ悪いので、自分でできる事は自分でとばかりに、姫もできる事を率先してやってくれているといった感じだな。


「この子が姫? ふうん、綺麗なロキシアね」


 キューメリーが、まるで品定めでもするかのように、エリオデッタ姫をじろじろと見る。まったく失礼なやつだ。


「あなたの境遇は聞いたわ……さぞかし男が憎いでしょうね?」

「……い、いえ……勿論ちょっとは怖いですが……タイチ様のようなお優しい方もいらっしゃる事を私は知っておりますので」


 キッパリと言い切る姫の言葉に、なんだか赤面してしまう俺。


「そう……あの男がねぇ」

「はい、素敵な方ですよ」


 ニッコリと笑って返す姫の言葉に、なんだか肩透かしを食らったような顔をするキューメリー。

 これはアレだな、姫と一緒に「男なんか大嫌い団」でも作ろうとしていたのか?


「あなた様はタイチ様がお嫌いですか?」


 逆に尋ねる姫の言葉に、キューメリーが一瞬身をピクリと反応させた。


「や、奴は……と言うか、男は皆死ねばいいのよ! ロキシアも、魔物も!」


 一瞬で場が重くなった。余程の事があったように見受けられるけれど……今――ましてや俺が聞く事ではないだろう。


「じゃ、じゃあ姫。悪いけど、この方々をお部屋に案内してあげてくれないか? 俺はセフィーアの容態を見てくるよ」

「はい、セフィーアさんは北館の二階のお部屋でいまだお休みになられています……デオランスが看病しておりますので、お声をかければ現れるかと……」

「そうか、ありがとう。じゃあちょっくら見てくるわ!」


 俺はこの重苦しい空気から逃げるように、セフィーアが眠る北館へと急いだ。

 無論、キューメリーの事は気になるが――きっと男には聞かれたくない事もあるだろう。

 俺がオカマさんだったり、ち○こがアタッチメントで取り外し可能だったなら、話を聞いて相談にも乗ってやれるのにな……。





「侍女ちゃん、いるか~?」


 北館二階で、デオランスを呼ぶ。

 暫くして中央付近のドアがカチャリと開き、侍女ちゃんの人懐っこい笑顔がひょっこりと見えた。


「あ、タイチ様。おかえりなさいませ」


 足早に廊下へと出て、深々としたお辞儀を見せ、如才のない笑顔で俺を迎え入れた。

「どうだい? セフィーアは」

「はい、一度お目覚めになられましたが、うわ言を仰ってから、また昏睡なされましたご様子です」

「うわ言?」

「はい、なんでも『現実世界に戻らなきゃ……学校が……』と」


 あちゃ~、そういえば、俺達だってそろそろ……まぁ、まだ時間はある。それよりパレーステナ村へ行って、薬をもらってこなきゃだな……そう言えば、今何時頃だろう?


「はい、朝の九時頃かと思われます」

「そっか、じゃあ村の連中、もう起きてるだろう」


 ハキハキと答える侍女ちゃんに、とりあえず薬の事を教え、すぐ持ってくるよと、笑顔で伝えた。


「パレーステナ!」




 

「よぉ! みんな生きてるかー?」

「おお、よぉお帰りになられたベロベロウルフさん!」

「あっ! ベロベロのおっちゃんだ!」

「おう、糞ガキ共! 今戻ったぞ! 村長のじーさまはどうだ?」


 そんな俺の声を聞いて、村長が医者の爺様に連れられやって来た。


「よぉお帰りになられました、魔物さん」

「おいおい、寝てなきゃだめだろ!」

「ほいほい、わしは寝てろと言うたんじゃよ? じゃがの、このじいさまは行くと言って聞かんでな」

「魔物さんがお越しになったんじゃ、そう寝ておれるかよ」

「ばかだな、傷に障ったらどーすんだよ! ささ、家に戻ろうぜ? それに俺は薬をもらったら、すぐさままた戻らなきゃいけねぇんだわ……」

「左様ですか……ではまた落ち着いたら、必ず来てくださいよ」

「ああ、わかってるさ! だからほら、とっとと戻った」


 俺はこのとき、村に微かな違和感を覚えていた。


 それが何なのか? 多分どうだって良い事だと思うんだけど……俺の嫌な予感ってのはスキル並みによく働くからなぁ……。


最後まで目を通していただき、まことにありがとうございました!

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