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最終章 序 10 選択

今更ながらで申し訳ございませんが、「誤字報告」というおうもく項目のチェックがバツになっておりました。

どうぞ、どんどんガンガンバシバシと作者が辛くて無くほど誤字報告をくださいませ。


 舞台上には、9人の美しき魔物(一部天使)が居並び、観客達を限界まで魅了している。

 この中から、オーディエンスに選ばれた人気ベスト3が最終審査まで残り、そして、俺により、一人の優勝者が選ばれるのだ。

 その優勝者はつまり、未来の俺の花嫁さん! となるらしい。

 驚くべきは、このステージ上の美の闘者達の誰もが、俺と結ばれる事を「是」と考えているらしいんだと。

 これはアレか? 俺が例の神夢起現書記ものがたりの主人公になったから、本の中の人(?)が、俺の理想を具現化してくれたって事なの?


 うん、やっぱそうだよ。


 でないと、アメリアスやベルーア、それにレフトニアさんやライトニウスさん、そしてみんなが、俺なんぞと結婚したいなんて望む訳無いもんな。


 それとも、だ。

 いっそのこと、この全員を、お嫁さんにする! なんて事はダメなのか!?

 タイチ・ハーレムワールドの輝ける初期メンバー(第七部隊のチビ達は第二期要員)として、皆でキャッキャウフフしようよ!


 などと考えつつ、目の前の笑顔と健康美溢れる美魔物びじょ達に、俺は審査員としてのエロい視……もとい、チェックの視線をガンガンと送っていたのだった。


 ――と。

 なにやら、ライトニウスさんが小さく肩を震わせている事に気が付いた。

 どうやらそれは、「クスクス」と笑っている様子だ。


「ん? どうした、盟友」


 俺以外にも、ソレに気付いた者がいる。

 ステージ上で、共に美の選抜を受ける、彼女の「盟友」レフトニアさんだ。

 「笑う」事自体珍しい幽鬼にあって、ライトニウスさんが方を小刻みに振るわせて笑っている事に、すっごく興味が湧くのは……まぁ、無理も無い話だろう。


「……いや、なに……一番の障壁たるライバルが……こうも容易く失脚するとは……そう思ってな」

「容易く失脚? シンシアの事か」

「……否」

「では、カレビューテか」

「……否」


 ライトニウスさんは、うっすらと笑みを浮かべ、いずれの名も違うとばかりに首を横に振る。


「はて? では、誰が既に落ちたというのだ」

「……ここ一番の勝負所で……凡手を繰り出す愚を見せた者……かな」


 ニヤリ。と、ライトニウスさんが笑って言う。

 その言葉に、含むところがあるのは、俺にも分かった。

 で、その含まれた当の魔物レフトニアさんは、眉間に皺を寄せ、いぶかしげに言うのだった。


「歯がゆいな。貴公、言いたい事があるならはっきりと申せ」 

「……では、申そう……失態だな、盟友」

「なっ! 失態だと? 何を言うか!?」

「……三強の一角が……何の手も打たず……自滅とはな……地位に驕ったか? 師団長殿」

「フン! 吾輩はな、そのような姑息な手段を用いずとも、自信があるのだ」

「……自信?」

「言ってしまえば、このような茶番で、かの者の心を奪えるとは思っておらん」

「ま、それはレフティの言う通りかもね」


 レフトニアさん(エントリーナンバー・1番)とライトニウスさん(エントリーナンバー・3番)の間に挟まれる形で居並ぶアメリアスが、この小さな口論に割って入る……のだが。

 またぞろ、いらん事言わなけりゃいいけど。


「……フ。我はな、盟友よ……図画読本にて……ソッチの方面の勉強を欠かさず行ってきたのだぞ」


 ライトニウスさんは、鼻高々にそう宣う。

 だが、レフトニアさんにとって、ソレ(・・)は論ずるに及ばないという意気を、鼻息荒く返すのだった。


「いいか、盟友。吾輩はな、かの者に……その……『カワイイ』と、言われた事があるのだぞ」

「……ッ!?」

「それはつまり、かの者の恋愛の対象になる。という事」

「わ……我はそのような事……言われた事なし……」


 なんだか、ライトニウスさん。悔しそうに俯いてるけど……やがて、また「ククク」と肩を震わせ、不敵な笑みを浮かべるのだった。


「フフ……だが、盟友よ……我は……貴奴と……せ……接吻をした事があるのだぞ」

「な、何ッ!?」


 これにはレフトニアさん、驚きを隠せない!

 つーか、俺も驚きを隠せないっすよ!

 ライトニウスさん! あんた、みんなの前で何ツー事言い出すんだ!?


「ふふん、ライトニウス殿。そんな事なら、私もあるわよ」


 そしてどうやら、俺の不安と心配は、見事に的中。アメリアスのヤツが、自慢げに、アホな事を言いやがり始めましたよ?


「アメリー! き、きさま」

「あ、それならボクもあるよー!」


 そんなプチ修羅場に、更なる火種を投げ込む声がした!


「……なッ!?」

「ウソ、サイヴァールもあるの?」


 そう。サイヴァールの奴も、この無益な言い争いに参戦決定!

 つーか、あんたら! そのチッスは、いずれも俺から求めたもんじゃないでしょーが!!


「うふふ。それなら、私もあります。し・か・も! 私なんか、太一さんと一緒に、一つのお部屋で、朝まで寝たことありますよ」


 と、のたまうのは、何やら勝ち誇った表情のベルーアさん!

 ただ、俺を木馬に縛り付けて、身動き取れないようにして。だけどな!


「そ、そんなの、私だってあるわよベルーア! ってゆーか、私なんて、一つのベッドで、二人して寝たことあるんだから!」


 な、何も無かったけどな!

 つーかそん時、ツングースカさんからもらった怪我ゲンコの手当てもせず、寝こけてただけだろうがよ!!


「うわ~ん、皆さん不純です~! エロエロです~! 薄汚れたビッチ野郎ですぅ~!」


 そして、皆の自慢話(?)にショックを受けたセンセリーテが、いつもの如く泣き出した……んだけど。なんか、どさくさ紛れにヒデェ事言ってねぇか?


「泣くな、センセリーテ。栄えある近衛師団に、涙など無用のハズ」


 そんなオトコマエな叱咤を繰り出したのは、近衛師団の歩く規律・堅物ギュミリーズだ。

 が、いつもの彼女なら、ここで終わる筈なんだろうけど……なんか水着着て、テンション上がっちゃったのかな?


「しかもなんだ? 偽乳にせちちで詐欺まがいのインチキとは」


 ちょ、ちょっとギュミリーズさん。ソレ言っちゃったらダメでしょ!?


「……あ? んだとぉ」

「貴様、近衛師団として恥ずかしくないのか? と聞いているのだ」

「……テメェ、余程死にたいらしいな」


 あぁ、センセリーテの目に、明らかな殺意が!


「テメェこそ、パレオなんつー偽水着着こんでるくせによぉ!」


 うん、そこは同意する……って、言ってる場合じゃねぇ!


「まぁまぁ、双方およしなさい」


 と、そんな二人を止めに入る紗雪の、おしとやかな声。

 けど。彼女の、言葉のうちに隠したトゲは、今回も健在だった!


「なんぼ、負けるのが確定してるからと言うて、そない八つ当たりしたらあきません」

「あぁ!?」

「なんだと?」

「じゃあ何? サユキは三強の一角に入る自信があるっての?」


 そんな赤鬼さんへと、今、この場では問うちゃいけない質問を投げかけるのは――キューメリーだ。


「そないなこと、言えまへんなぁ。あんさんら、悲しまはるやろ」

「悲しむ? えらい自信ね」

「「そのフンドシとサラシでか?」」


 今度は、偽おっぱいと偽水着のコンビが、タッグを組んで紗雪を責める!

 勿論、言われた鬼ちゃんは、その肌の色より更に赤い表情となり、



「なんなら、力づくで分からしてあげましょか?」


 凄みを帯びた低く小さな声で、偽チームを牽制。


「ほう、面白い。サユキの言、もっともであるな」


 そんなバカげた道理に賛同しちゃったのは……誰あろう、近衛師団の長・レフトニアさんだ!

 あんた、そんな無茶な道理を鎮めるのが役目でしょ!?


「……おもしろい……ならば盟友……ここで先の果たし得なかった双雄対決……ケリをつけようか」

「ハハ、望むところッ!」


 望んじゃダメでしょ、レフトニア師団長閣下さん!


「フフン。ルールの無い戦いなら」


 と、意気込むキューメリー。

 いや、お前は洒落にならないからダメだって!

 中で寝てる人が起きちゃって、ついついハッスルしちゃったらどうすんだよ!?


「と、とにかく落ち着いてください皆様方! 水着審査においては、ただの一審査に過ぎませんから」


 司会進行役の、内部監察局のおっさん。必死になって、この炎上を鎮火しようとしてるなぁ。

 って言うかさ。なんだかこの展開、俺の良く知る「第七部隊とそのなかまたち」の、お笑い的なオチに向かってないか?

 そう。この後俺が、一人やり玉に挙がってさ――


「タイチッ!」

「は、はい」


 そら来た。

 きっとアニキからの、無茶振り要求だよ。


「元はと言えば、アナタが煮え切らない態度をとってるからでしょ!?」

「お、俺っすか?」


 ほらな。

 んで、この後は皆が俺を責め立てて、俺をボコってぎゃふん。で、ちゃんちゃん――と。

 

 んー、でもまぁ。楽しいからそんでもいいかな?

 所詮俺は、そんなギャグ展開が似合う男なんだから。


「「「さぁ。誰がいいか、ハッキリ決めてッ!」」」

 

 皆が、一斉にハモって俺に問う。


「い、いやそれは……」



「 「 「 さ ぁ ッ !! 」 」 」



 舞台上から、9人の問い掛けが、俺を襲う。

 ちゅーかさ。俺ん中では、答えはイッコしかないんだよな。


『みんなで仲良く、キャッキャウフフしようぜ』


 でも。んな事言えば、この場で半殺しの目に遭うだろうな、俺。


 う~ん……逃げっちまうか?



 ――と。



 そんな困り果てた俺の服の胸辺りで、何かが輝く気配がした。

 それは、俺の軍服の胸ポケットの辺り。ピカピカとせわしなく輝いている。

 これは――


「あれ? これって……あっ! そうだ。こいつは以前、オスカルドからもらったエンブレムバッチ」


 そうだ。こいつは第三師団救援活動の折、オスカルドから「友の証」として譲り受けた代物だ。

 そしてこいつには、ある特殊な機能が備わっている。


 実にありがたくない、生涯一度たりとも発動してほしくない機能が。


「……おい……おいっ! って事はなんだ? オスカルドの野郎、なんかスゲェ大ピンチに見舞われてるという事……なのか!?」


 一瞬、俺の鼓動がヤバいくらいに弾けた。

 友人オスカルドのピンチだと? あのアホ、どこでそんなピンチ喰らってやがるってんだ!?


「ちょ、ちょっと待ってくれ、みんなッ!」

「何、タイチ。上手い事言って逃げようっての?」

「いや、違うってアメリアス。これ、このバッチ! 光ってんだろ?」

「あっ! それって……ぺイルモンド家に伝わる、忠義の証ですぅ!」

「なんだい? アレって何か知っているの、センセリーテ殿」

「ええ知ってます、サイヴァールさん。あれは、ぺイルモンド家に仕える忠義の者や真の友に、その危機を伝えるエンブレム……ま、まさか、オスカルドの身に何か!?」


 いつもの大人しい方の魔物格じんかくへと戻ったセンセリーテが、俺の懸念する事柄を、皆へと代弁してくれた。


「コイツは一体……はっ! そ、そうだ。おい、おっさん!!」


 俺は、思い付いた仮説を、内部監察局・局長へと、時間惜しげに早口で問い詰めたのだった。


「あんた、まだ隠し事があるっつってたよな」

「う……は、はい」

「コレの事なんだろ?」

「え、ええ……まぁ」

「一体何が起こってる!? 答えろ!」


 俺は「言わなきゃ殺す!」とばかりの殺気をまとって、おっさんへと詰め寄った。

 すると、この魔物紳士は、俺の恫喝に屈するのではなく、


「いくらでも、この取るに足らない魂などくれてやりましょう。ですから、落ち着いてください」

「う……す、すまない。どうか教えてくれないか、局長。友の命が掛かってるんだ」

「分かりました、良いでしょう。これは大魔王様、そしてツングースカ閣下から、固く口留めされていた事なのですが」


 俺の、「友を思いやる俺の心」に答えるという形で、そう前置きし、訥々と語り出したのだった。


「タイチ様、実は……邪神・ルシファーが……ロキシアの国・ワダンダールへと……降り立ちました」

「な……何ッ!!」


 あまりにも唐突な言葉に、俺は一瞬我を忘れてしまった。


「降り立ったって……いつだよッ!」


 おっさんへとダッシュで駆け、胸ぐらを掴み、ブンブンと揺り動かす。

 そんな俺を、優しく「落ち着きなさい」と、おっさんは諭すのだった。


「時は、アスタロスを封印した直後。場所は、ワダンダールのお城だと、聞き及んでいます」

「な……なんだとぉ!? なんで早く教えてくんねかったんだよ!」

「これは、大魔王様のお考えなのです」

「はぁ? だ、大魔王様の考え……だって?」

「左様。タイチ様には、決して口外するな、と」

「な、なんでさ」

「貴方様を、この場に留め置きたかったから……です」

「留め置くって……んなワケいかねーだろ! あそこには――あそこには……」


 そう言いかけて、俺の脳裏に、特大の、クッソ超特大の「嫌な予感」が、ズドンッ! と大爆発を起こした。

 大地や美奈の身に、何かが起きた?

 いや。それなら現実世界でそう言ってくれるだろうし、何より、神憑きランキングに大地の名がしっかりと一位にある。

 ……って事は。



 まさか……エリオデッタの命が!?



 しかしながら、局長は黙って、俺の目を見続けた。

 その瞳の中は、無言ながら、とある出来事を雄弁に物語っている。


 「もっと、最悪な事が起こっている」と。


「気を確かに持ってお聞きください。かの国の女王は……ルシファーによって、身体を乗っ取られてしまいました。言わば、神憑きを起こしたと言えましょう」

「エリオデッタに……取り憑いた……だと?」


 膝から崩れ落ちそうになるのを、どうにか気合いだけで食い止める。

 それ程に、この衝撃の事実は、俺にとって苦痛以外の何物でも無かった。


第六じょうほう部隊の活動により、その事実を知ったツングースカ様は、密かに有志を募り、ロキシアの国へ援……いえ、邪神退治に向かわれました」

「その中に、オスカルドのアホもいるって訳か」

「ご明察。その他に、三頭団、レベトニーケ辺境伯婦人、ドライワイズ卿、そして、ベミシュラオ様、ルシフォエル様もおられます」


 俺は、その面々の名前を聞いて、胸が熱くなるのを感じた。

 俺・サトウタイチの「本当の想い人」が、邪神に身体を奪われてしまった。

 その事を、俺へと知らせない。知らせてはいけない。という配慮。

 そして大魔王様は、そんな俺のために、美人コンテストを介して、許嫁を与えようとしてくださった。

 全て、俺の、俺なんぞのために。


 そんな配慮を知って、大人しく、その行為に甘えるか?

 何も知らなかったフリをして、嫁さん探しに現を抜かすのか?

 その結果。友の、そして、大事な仲間のピンチを見過ごすのか?



 ア ホ か っ ! ん な 事 出 来 る 訳 ね ー だ ろ !!



 そんな馬鹿な二者択一を突き付けられて、どっちかよく考えて選べってか?

 無理無理。気付けば俺は、考えるよりまず先に、行動に出ていたのだった!


「チーベル、一緒に来い!」

「は、はい。タイチさん」


 俺は大急ぎで、テレポートの詠唱に掛かった。

 が、そんな俺を、叱咤にも似た声が留まらせる。


「……待たれよ、隊長殿! 何かお忘れでは」


 ライトニウスさんだ。

 お忘れでは? って。こんな時に、誰をお嫁さんに選ぶかだなんて、決めれっこないでしょ!?


「何を言うてはりますのんや。ちがいますやろ」

「違う?」

「そうだよ、隊長クン。忘れ物はソレじゃないよ」

「そうですよぉ隊長殿ぉ。忘れ物はぁ――」

「「「我々への命令!」」」

「め、命令?」

「ええ、太一さん。『第七部隊、ついて来い!』って命令、忘れてますよ」

「そ、それは……」


 俺は一瞬戸惑った。

 この、大魔王様の好意をブッチする行動に、第七部隊を動かしていいのか?


 だが、そんな俺の迷いを、俺を一番よく理解しているであろう「彼女」が、奮起のグーパンチで蹴散らしてくれた!


「だーもう! 男でしょ、うだうだ言わないの」

「いちち……ア、アメリアス」

「あと、ついでに! レフティに『閣下、援軍を要請いたします』って言いなさい」

「え、援軍?」


 そう零して、俺はレフトニアさんをチラリと見遣った。

 すると、師団長閣下は、一つ、大きく頷いてくれたのだった。


「レ、レフトニア師団長殿! 第七部隊は全戦力を以って、これより邪神・ルシファー討伐に向かいます。つきましては、援軍の要請を行いたく……えっと…… お ね が い し ま す っ ! 」


 俺は、深々と頭を下げた。

 そんな俺の耳に、冷徹な少女の、熱い言葉が駆け込んできたのだった。


「閣下。近衛師団・第一部隊。出動準備、完了です」


 それは、一時行方不明(笑)になっていた、カレビューテだ。


「ガルル! 閣下。第二部隊、いつでも行けますぞ!」


 そして、メルボアも、部隊を率いて駆けつけている。


「魔物部隊、超・臨戦対戦でっす」


 更には、第三部隊と、その部隊長であるシンシアも!


「うん。よし! 近衛師団・師団長として命ずる。これより近衛師団は、兵力の半数を以って、第七部隊を掩護する!」



「「「 お う ッ ! 」」」



 可憐ながらも、凛々しい声が、コロッセオを駆け抜けた。


「ギュミリーズ! 悪いが留守を頼んだぞ」

「ハハッ! お任せを」

「レフトニアさん、アメリアス、キューメリー、ギュミリーズ、カレビューテ、メルボア、シンシア……み、みんな……すまない」


 居並ぶ見知った顔達に、俺は精一杯の感謝の「礼」を送った。


 そして俺は、「俺の仲間達」へと向かい合い、改めて過酷な命令を、敢えて笑顔で繰り出すのだった!



「近衛師団・第七部隊! これより友の救援、そして何より、邪神・ルシファーの討伐ぶっとばしに向かう。 つ い て こ い っ ! 」 



「「「 応 ッ ! 」」」



 いつもの、いや、いつもより気合の入った返事が、俺に新たな力をくれた。

 それは、「愛しい人が敵になった」という最悪のシナリオを打ち消してくれる「パワー」だ。

 ソイツは、全てを払拭してくれるわけじゃない。

 けれども、これから俺が向かうであろう結末が、「最悪のバッドエンディング」となるのだけは、確実に阻止してくれる。

 俺は、そう信じて疑わなかった。


 あ、それとみんな……服、着てね。


最後まで目を通していただき、誠にありがとうございました!


次週から「最終章・破」が始まります。

これは、少し時間が巻き戻り、そして佐藤大地視点でお送りいたします。

どうかどうかお付き合いくださいますよう、心よりお願い申し上げます。

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