第五章 8 戦利品
一日一話書いて即出しのため、誤字脱字意味不明文章になりがちです。
それでもよろしければ、どうか生ぬるい目でご一読お願いいたします。
ダンジョンを制圧した俺達は、師団長殿の命の下、まずはこのホールの隠し部屋等の有無を含めた構造の把握、機密書簡や戦利品の回収のため、とりあえず手分けして探索を始める事にした。
何かめぼしいものは無いかな? と、俺もうろうろ周囲を調べる事に。
ほどなくして、さっきヒロタロウが光の結晶と化した場所でふと足が止まる。
「どうしたんですか? 太一さん」
チーベルが、物憂げな俺の顔を見て、気遣いの言葉をくれた。
「いや……アイツ、ヒロタロウだっけ? たとえ仮の身体でも、あんな死に方だけはやだなぁって思ってさ」
「そうですね。きっと元の世界に戻っても、廃人になっているか、精神を病んでしまっていることでしょう」
「そ、そうなのか?」
「はい。あんな目に合わされたのですもの。しかも気を失うほどにですからね。まともな神経で戻れるとは思えません」
痛みに上限があるとはいえ、あんな恐怖体験をしたんだ。無理も無いだろうな。
どこの誰かは知らんが、こんな事に足を突っ込ませてしまって真にすまん!
「ですが、仕方ありませんよ。それだけの悪行をここでやらかしちゃってるんですから」
そう言えば、なんとか団の幹部の一人だって言ってたな。
勿論、力にあかせて悪い事しまくってたんだろう。
まぁ、悪人に相応しい最期を迎えて、それはそれで良し! ってコトか。
「それよりもです。太一さん、何かお気づきになりませんか?」
「うぇ? なんだよ」
「身体ですよ、か・ら・だ」
「うん、身体がどうしてたって……あっ!」
言われてはたと気が付いた。
なんだか身体が以前よりも調子いい! 疲れが取れてる! MP回復してる! って事はつまり、俺自身のレベルが上がっているんだ!
さっき倒した雑魚の皆さんの分の経験値もさる事ながら、今トドメを刺したヒロタロウの経験値がどっさり入ったんだろう。
なにせ相手はレベル120だもんな。
という訳で――俺、レベル20到達! おめでとう、俺!
「どれどれ、新しい魔法やブロウを何か覚えたかな? ……おお、二つ覚えているぞ? 一つは氷の鷲MP15で、敵に35~40の氷系ダメージ。もう一つは暴風雪、MP20を使用して敵全体に20から25の氷系ダメージか。氷系のダメージって、やっぱ相手は凍っちゃったりするのか?」
「はい、氷系が苦手な相手には倍ほどの大ダメージで、通常の敵にも、フリージングの効果が期待できます。かなりいい攻撃魔法ですよ」
「しかしながらだな……電気に爆発に氷とは、なんだか節操がないっつーか纏まりがないっつーか、何でもアリだな?」
ふと感じた疑問を、チーベルに尋ねる。
「そういえばそうですね……きっと太一さんに節操が無いからですよ」
「ああそうか、納得――出来ると思うか?」
「まぁ、要は気の持ち様ですよ! ドンマイ」
いや、ドンマイってお前……それって完全に俺が節操無しって事前提で言ってるだろ?
「なぁチーベル、お前の上司の、なんつったか……大天使? そいつに直接繋がる電話番号とかメールアドレスとか教えてくれねぇか?」
「それはまたどうしてですか?」
「案内人を変えろって、直接文句言ってやる」
「もう、太一さん冗談ばっかり」
「ドアホ! これが冗談に――」
と、俺とチーベルがミニコントを繰り広げている最中、「どがしっ!」と言う音と共に、突然俺のケツに激痛が!
「何チンタラサボってんのよ! キビキビ働け、このうすのろ茶色! ケツ蹴り上げるわよ!」
アメリアスの蹴りが、俺のでん部に炸裂した衝撃だった。
蹴ってから「蹴り上げるわよ!」と言う所が、なかなかユニークだよな。
……つか、ケツ蹴り上げる意味がワカンネェよ?
「あなたがボーっと突っ立てるからでしょ? 何か見つけたの? ……なんだ、あるじゃない、何それ?」
その言葉につられて、彼女が指差す方向へと目を向ける。
そこには小さく光る、何か金属の棒のようなものが。
「カギですね。やけに綺麗な装飾が施されているようですが……どこに使うカギでしょう?」
そんなもの、決まってるじゃないか!
敵ボスの隠し財宝がある部屋への鍵じゃないか。もしくは秘密の通路への鍵とかだな。
つーか、こんなビックアイテムを見つけて、俺ケツを蹴られた意味はあるのか?
「うっさいわね、いつまでもくだらない事覚えてると、脳みそが腐るわよ……って、もう手遅れだけど」
にゃろう、人の事を小バカにしやがって。いつかお前よりレベルが上になったら、ぜってーレ○プしてやるからな。
「ん? なんか今、変な事考えたでしょ。因みにだけど、私に手を出したら……魔界のヴァンパイア族全てが黙っちゃいないからね」
「お、おう……お前をどうこうしてやろうってのは、ヴァンパイア族全員相手に出来るレベルになってから考えるわ」
そんな事はさておいて、だ。この鍵は何に使うための物だろう? とりあえず上司に報告だ。「ホウレンソウ」は大事だもんな。
「師団長殿、奇妙な鍵を発見いたしました。ご指示を……って、ツングースカさん?」
何か物思いに耽っているツングースカさん。
が、暫しの間を置いて俺の声に気付き、考えを払拭させるように頭を振ってから、また毅然とした態度を取り直した。
「す、すまん。で、何だ?」
「はい、先程敵ボスがが消滅した跡を探索した結果、一つの鍵を拾いました。どこぞの部屋のものか、もしくは宝箱の……」
「そうだな。この部屋には隠し通路が無いようだし、どこか他の場所で使う物なのかも知れんな。すまんが持っていてくれ」
「あ、はい。了解しました」
「もうこの部屋の探索はこれくらいでいいだろう。ではそろそろ種を植えるか」
種を植える。
その一言の後に、コートのポケットから取り出したもの。それは小さな植物の種だった。
「それは?」
好奇心に駆られ、尋ねてみる。
「こいつは魔物を生み出すマザーシードだ。こいつが発芽して大きくなれば、やがて植物系のモンスターをどんどん排出してくれる。そうなれば、ここは魔物の巣窟となるだろう……なに、一日もかからんさ」
俺への解説を言い終えると、ツングースカさんが「ドゴッ!」と言う音と共に、地面へと拳骨を見舞った。
そこには縦に深い穴が開き、その中へさっきのマザーシードなるものを投入し終えると、今度はその周辺を「げしっ!」と蹴り崩し、種蒔きの完了と相成った。
まったく豪快な種蒔きだ。田舎で畑仕事やってる俺のじいちゃんがこんな農作業を見たら、きっと「農作業なめんな!」とか言って、入れ歯を飛ばしながら怒るだろうなぁ。
ボスの間を後にした俺達は、出口へと向かいながら、順を追って一つ一つの部屋をチェックしていく事にした。
キッチン、食堂、武器や衣装などの倉庫、雑魚の詰め所……順に見てきたが、ろくな部屋が無い。
「何も無い、とはおかしいな。はてさて、どこかで部屋を見落としたか……な?」
なんとなく意味ありげに、ツングースカさんが零す。
しかしその目は、明らかにベミシュラオさんへと向けられていた。
「あ、ああーっと……そういえばまだ一ヶ所、見ていない部屋がありました」
ベミシュラオさんが言う。
「それを早く言わんか。で、どこだ?」
「はぁ、ですが……とらわれたロキシア共を放り込んでおく場所でして……別に放って置いてもよいのでは? プラントモンスターの餌になるでしょうし」
バツが悪そうに、頭を掻きながら言う。
「かまわん、案内しろ」
ツングースカさんの一声で、俺達はそのロキシアが捉えられているという部屋へと向かう。
そこは、少し戻った岐路の一番奥。一度は通り過ぎた場所だ。
扉は岩肌とよく似た作りになっており、上手くカモフラージュされているあたり、皆が気付けなかったのかもしれない。
しかしなんなんだ? ロキシア同士で捕らえられてるって……戦争の捕虜か何かか?
「この部屋ですが、どうやら頑丈な作りでして……おまけに鍵がかかっているようで――」
「あ、じゃあこの鍵じゃないっすか?」
そう、あのボスのドロップアイテム。装飾の美しい鍵だ。
俺はそいつを取り出し、鍵穴に入れてみた。
――が、まったく合わない。どうやらここじゃないらしい。
「じれったいな、どけ」
言って俺を押しのけ、扉の前に立つツングースカさん。
「ぬあああああっ!」
そして扉に手をかけ、渾身の気合で、ドアを引き剥がした!
「うわ、すげぇ……」
どんがらっがっしゃん! っと、ドアを放り投げ、またしてもズンズンと中へ入って行く。
が、その足がピタリと止まった。
「やはり、か」
「ん、どうしたんです? ツングースカさん……」
なんだ? と思ってひょいっと顔を覗かせる。
と、その時。俺の目に入ってきたもの……それはまさしく、俺がこの二日間、理想として追い求めていた光景だった!
「ぐ、ぐおおおおおおお!! こ、これは! び、美少女達のハーレムじゃないっすか!」
そこはまさしく、俺達青少年が夢にまで見た世界! エロゲなんかで定番のワンシーン! 全裸姿で鎖に繋がれ、鉄格子の中に閉じ込められている、うら若き乙女達!
陵辱スキーにはたまらない絶景だ!
……いや、俺は陵辱はあまり好きじゃないけどな。
とにかくヒロタロウの野郎!
こんな一大ハーレムで毎夜毎夜楽しんでいやがったとは……うらやましい……
も と い 、 す っ ご く う ら や ま し い !
最後まで目を通していただき、まことにありがとうございました!