表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

お試し

作者: 浅川太郎
掲載日:2011/12/02

この作品も、最後の文章を味わっていただければ幸いです。

『鍵のない店』のミカさんはその後、鍵の掛かる店に移ったが、今度はしつこい客に言い寄られ、断り、客は逆上し、店の前の看板(ネオンディスプレイ)を蹴って破損させ、訴訟問題となり、またまた金欠となり、店を替わった。

僕の退社時間と、彼女の出勤時間がほぼ重なってたため、何回かは通りで偶然出会うこともあった。いつも子供の手を引いていた。

結局、当時の店が最後になったのだが、仕舞いには店内に子供を寝かせることも多くなってきた。

バーのカウンターの女性には、僕は常に夢を売ってほしいと思う。恋をする可能性も皆無じゃないと期待したいのだ。皆無であることが解りきっているのなら、今の言葉で言う「家飲み」する。

いよいよ資金繰りに困った話をミカさんに聞いた新村は、「おい、タロさん。ミカさんと契約してみるか」と、突然に切り出す。


少しだけは悩んだ。

さすがの、伝説の『ディスコ・クイーン』、身体の線も崩れ、子持ち、若かった頃を想像しても、美人ではあったのだろうが、僕にとってのストライクではなかった。

そのことをそのまま新村に伝えるのも、どこか気が引けた。

で、このように言ってみた。

「お試しで、2、3回を十万なら、考えてもいいでぇ。それから後は、ミカさんと決めるし」

2、3回なら、僕としても可能かもしれない。

翌週、新村からの返事。

「ミカさん、悩んだらしいけど、タロさん、変態プレイやりそうで嫌だ、言うとった」

確かにアマの漫才『シンちゃん・タロちゃん』のネタには、変態に関する話も多い。



それから1年が経った。

ミカさんは、めでたく(?)引退したと聞いた。

中年の客の一人が、自分の奥さんと離婚し、ミカさんと所帯をもったという。


結婚して判ったことだが、その中年、飛んでもないくらい嫉妬深く、外出は禁止で、携帯も常に監視され、昔の仲間にごく普通のメールを打つことすらも禁止された、と。

セックスも執拗で、いささか変態であるらしい。

ある期間、六甲山牧場が無料開放となり、気は進まなかったが配偶者と同行し、入り口付近で巡回の順序を考えていた。

ふと周囲を見渡してみたら、偶然、ミカさんが、いた。

変態の中年おっさんと、二人の子供がいた。

どうしても声をかけることができなかった。


昼間、二人の変態(おっさんと僕)の視線が、どのようにからまっていくのか、僕には、それを知る勇気はなかった。

夜の街には、いろんなストーリーが隠れています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ