日本維新の会 藤田共同代表の「還流疑惑」の全貌
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
今回は、自民党と事実上連立した維新の会の共同代表である藤田文武氏の「資金還流問題」とその周辺の論点について個人的な意見を述べていこうと思います。
質問者:
その一件はニュースでも見ましたが、いったい何が問題なのかよく分からないんですけど……。
筆者:
共産党の機関紙「しんぶん赤旗」の11月2日付の記事で、維新の会の藤田氏側が、2017年から2024年まで公設第1秘書が代表を務める会社「株式会社リ・コネクト」に対して「ビラ印刷」などの名目であわせて約2000万円分を発注していたと報じました。
政治家の公設秘書というのは身内でもなることができるわけです。
これを許してしまえば身内への直接的な仕事斡旋、資金還流になるわけです。
更に政治団体というのは税優遇を受けており、党に所属していれば政党交付金(原資は税金)の配分も受けます。
つまりこれを認めてしまうと、
税金 ⇒ 政党への交付金 ⇒ 政治家個人 ⇒ 政治家の家族
といった構図をも認めることにも繋がりかねないのです(今回の藤田氏のケースは上ほど酷い状況には該当しない可能性はあります)。
質問者:
なるほど……税金が政治家の家族に流れる構図は、大きな問題になりますね……。
ただ、藤田さんは「法律上は問題ない」という主張を続けられていますけど、
これについてはどうなんでしょうか?
筆者:
これも事実ではあります。
政治資金規正法(第12条・第19条など) では、
1 支出の相手先 2 支出の目的(印刷代など) 3 金額
この3点を記載していれば「適正な報告」とみなされます。
藤田氏は2017年以降、政治資金収支報告書に 毎年「株式会社リ・コネクト」への支出を正しく記載しており、その点は違法性は無いということです。
質問者:
えー、そうなんですか? これが許される範囲だなんて……。
筆者:
ただ、これは「法律がザル」であることに尽きると思います。
そもそも、日本維新の会がこれまで「身を切る改革」を掲げてきたことからこの程度の身を切ることも出来ないのは問題でしょう。
更に藤田氏は党の共同代表ですからね。建前と実情が大きく乖離していると言わざるを得ないでしょう。
そのために藤田氏側は11月4日には「今回から当該会社への発注を行わない」と発表していますからね。
質問者:
政治資金規正法って本当にザルなんですね……。
それに全く後ろめたくなければ、これからも同じように秘書の会社に対して発注を続けるでしょうからね……。
筆者:
このタイミングで発注をやめるのは薄々は「問題だろうなぁ」と思いながら作為的に続けていたことがほぼ明らかだと思います。
質問者:
藤田さんが報じた赤旗の取材個人名を公開したことも話題になっていますがそれについてはどうなんでしょうか?
通常の新聞記事であれば、執筆者名が書いてあることが多いと思うのですが……。
筆者:
まず「しんぶん赤旗」というのは「共産党の機関紙」であることから、ほとんど身内のみでしか購買されていません。そのために一般的に広く普及した新聞紙であるかと言われますと微妙であるようにも思います。
そのためにその取材者の氏名を公表する程度であれば「グレー」にとどまると思います。
執拗な取材に対して辟易したのも一定程度理解できます。
質問者:
ふむふむ。
筆者:
今回藤田氏が「度が過ぎた」と指摘されているのは、
X(旧ツイッター)で公開してしまった情報は氏名だけでなく、
電話番号、FAX番号、メールアドレスの一部が記載されており、「記者の個人情報」と言っていい内容があることから、
記者側にも「嫌がらせ電話やメール」などが殺到しているようです。
記者側も別に「嘘八百」を書いたわけではないですし、藤田氏の行動は法律的には有効かもしれませんが、倫理的には問題であることは間違いないですからね。
伏せられていた名前をわざわざ公開して嫌がらせを誘発させることは「間接的な言論弾圧」と捉えられても仕方ないと思います。
質問者:
そういうことで問題になっていたんですね……。
筆者:
ただ、「しんぶん赤旗」は自らを「報道機関」としていますからね。
そのために個人の言論の自由とはまた違った観点があると思います。
「報道機関」であるとするのなら、記者として一定の責任を持って発信するべきかなと思います。
ある意味今までの発言からの「しっぺ返し」を受けているのかもしれませんね。
「党機関紙」を強調して「身内同士」を強調していたなら認められていた主張かもしれませんね。
現状は追及するときは「報道機関」と主張し、弱い立場になれば「機関紙」と名乗る立場をコロコロと都合よく変えている。そういった印象も受けますね。
◇これまで記載し続けていたにも関わらず問題にならなかった理由
質問者:
「しんぶん赤旗」は報道機関として特殊ですからね……。
ところで一つ気になったことがあるんですが、
この問題は2017年から政治資金収支報告書に記載されていることから、
その時から発生し続けていると思うんですけど、
どうして今まで問題にならなかったんでしょうか?
その点が不思議でならないんですが……。
筆者:
政治資金収支報告書は総務省が公開しているのですが、
その情報公開方法が「不親切」なんです。
なんと総務省が公開しているデータは文字検索がすることができず、
「目視」で確認しなくてはいけません。
そのために「有名な政治家」しか注目されてこなかったのです。
藤田氏は25年8月から共同代表に就任し、最近連立入りしたために、知名度がようやく全国的に上がってきたという感じですからね。
もともとは関西の方以外からの知名度は低いのではないかと思われます。
質問者:
なんと、そんな事情が……。
総務省も政府の機関ですから「身内には甘い」ということなんでしょうか……。
筆者:
それはあると思います。
23年冬頃からNGOや民間団体が全国の収支報告書を収集してOCR化・検索できるシステムを作る取り組みを構築しており、以前より発見が容易になっています。
しかし、ボランティアでやっているのでその情報が「信頼性が100%」とは言い難いですからね。
公開義務がある公式情報を持つ総務省が「検索できない画像で公開されていること」が露見しにくい大きな原因の1つであると言えると思います。
質問者:
民間に政治家に足らないところを改善させるだなんて本当にどうかしています……。
筆者:
ちなみに高市氏はその総務省のトップである総務大臣を歴代最長期間務められた方です。
それでもその間に改革をしなかったということは、「お互い脛に傷がある者同士」ということなんじゃないかと思いますね。
質問者:
お互いに「持ちつ持たれつ」という感じなんですね……。
筆者:
「裏金」は法的にも問題があるので問題外ですが、
「倫理的に問題な政治資金」を含めたらほとんどの政治家の方が該当しちゃうんじゃないかと思いますね。
安倍元総理の「桜の会」の問題だったり、岸田元総理の地元団体が開催したということで自らの政治収支報告書に記載していない「脱泡パーティー」だったりとメチャクチャですからね。
今言われているもの以外では、近年クラウドファンディングなども浸透しましたからそのタイプの「新しい寄付」についても規制するべきでしょう(現状選挙区以外ならOKではないかと言われている)。
質問者:
本当に政治家の方々って色々な方法を使ってお金を懐に入れようとしますよね……。
筆者:
「倫理的に問題な政治資金」が「自制できるかどうか」にかかっている現状が極めて問題だと思いますね。
ルールを作る側がルールをしょぼくして「守ったことにしている」というのは社会の模範になりません。
ザル状況をどうやったら改善できるのか? これを国民側から追及していく必要はあると思います。
ということで、これからも政治・経済について個人的な意見を述べていこうと思いますのでどうぞご覧ください。




