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第9話「夜の失態と朝の笑い」

少し旅に慣れてきた三人に、ちょっとしたハプニングが訪れます。今回は少しコミカルな展開で、読者に息抜きしてもらえるお話です!

夜は深まり、三人は森の外れにある小さな村に泊まることになった。

村人たちは親切で、旅人用の古い納屋を貸してくれた。そこに藁を敷き、毛布を分け合って眠ることになったのだ。


「ふぅ……。今日はやっと落ち着けるね」

アリスはほっとしたように毛布を胸元に抱え、タクトの隣で腰を下ろした。

リクはその反対側で、すでに目をこすりながら船を漕ぎ始めている。


だがタクトは落ち着けなかった。

(この村も、魔物の影響を受けているのか……? 何か違和感がある)

そう考えて周囲に気を張っていたが、やがて疲労に負け、眠りに落ちていった。


――夜更け。

静かな納屋の中で、ポタ……ポタ……と水音が響く。

「……?!」

タクトが目を覚ますと、隣で寝ていたリクが寝ぼけた顔で体をもぞもぞと動かしていた。

「……う、うぅ……」

次の瞬間、リクの足元の藁がじわりと濡れていく。


「ちょ、ちょっと待てリク!?」

慌てて飛び起きたタクト。

だが隣で寝ていたアリスもまた、むにゃむにゃと寝返りを打ちながらその濡れた部分に近づいていく――。


「ア、アリス姫!! そこはダメぇぇ!!」

タクトは半ば転がるようにアリスを抱き寄せ、ギリギリのところで濡れた藁から救出する。

目を覚ましたアリスは、寝ぼけまなこのままタクトに抱きかかえられていることに気づき、顔を真っ赤にした。

「な、なななにをしているの!?」

「ち、違う! 誤解だ! リクが……その……っ」


翌朝。

リクは青ざめた顔で頭を下げた。

「ごめんなさい……。ぼく、夜になると……つい……」

タクトはため息をつきつつも頭をぽんと撫でた。

「仕方ないさ。気をつけろって言っても、寝てる間のことだからな」

アリスも笑顔で言う。

「大丈夫よ、リク。女の子は秘密を守るものだから。ね、タクト?」

「……いや、姫、それを公然と宣言するのは秘密にならないからな!?」


リクはますますしょんぼりしたが、やがて笑い声が三人の間に広がった。

そんなやりとりのあと、タクトはふと気づいた。

(……この笑い合える時間が、いつまで続くんだろうな)


彼の胸の奥に、旅の先に待つ試練の影がひそかに差し込んでいた。

コメディ要素を入れつつも、最後に「平和な時間の儚さ」を感じさせるようにしました。リクの存在は物語の緊張を和らげる役割も担っていますね。

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