第18話「大パン祭り・決戦開始」
パンと炎の街・アーラで、紅炎の試練が幕を開ける!
タクトの拳パン、リクの奇行、炎の熱……香ばしい勝負の行方は!?
砂の都アーラ――大パン祭りの広場は、熱気と香ばしい匂いで満ちていた。
祭りの中央には巨大な石の炉がそびえ、赤々と燃える炎が天を焦がしている。
「ここが、紅炎の試練か……」
タクトは拳パンを握りしめ、目を輝かせる。
「最も香ばしいパンを焼いた者に、炎の王から祝福が授かる……」
アリスが小声でつぶやいた。
「よし、俺が優勝する!秘宝も手に入れる!」
タクトの決意に、リクも気を引き締めた。
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審判の合図と共に、参加者たちは次々と生地をこね始める。
タクトも自慢の拳パンで粉をふるい、水を加え、丁寧にこねていく。
生地が手にまとわりつく感触を確かめながら、何度も叩きつける。
「よし、ここはもう少し水を……でも入れすぎるとベタつくな」
タクトは集中しながら、生地の硬さや弾力を何度も確認する。
リクは横で粉をまぶしつつ、タクトの手元を見て小声でつぶやいた。
「タクト、ちょっと混ぜすぎじゃない?」
「大丈夫だ、リク!パンは叩くほど香ばしくなるんだ!」
周囲の観客や参加者も、その手際に目を見張った。
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生地がまとまると、タクトは炎の炉にパンを投入する。
炎の熱が生地を包み込み、香ばしい匂いが一気に広場に広がる。
タクトは次々と小さなパンを作り、香ばしく焼き上げていった。
「いいぞ、俺の拳パン……!」
タクトの表情は真剣そのものだった。
しかしその瞬間、リクが緊張のあまり反射的に――
「うわっ!?」
黄金色の液体が祭りの中心に飛び、パンの一部にかかってしまう。
「ぎゃああ!俺のナンがぁぁぁ!!」
屋台の親父が絶叫する中、タクトは慌てず生地を救い出す。
「大丈夫、リク!まだ間に合う!」
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ついに焼き上がったパンは、炎の王の代理である審判によって試食される。
香ばしさ、ふんわり感、味のバランス――すべてが完璧。
「これだ……!紅炎の祝福に相応しいパンだ!」
審判の声に、タクトは拳パンを高く掲げた。
リクは恥ずかしさで顔を赤くしながらも、タクトと喜びを分かち合う。
アリスも微笑み、周囲の観衆は拍手喝采。
砂の都アーラ――炎とパンに包まれた街で、タクトたちは新たな伝説を刻したのだった。
リクのドタバタも、逆に場を盛り上げるスパイスになった。
戦いではなく、パンで勝負する異色の試練。
タクトのパン、リクのハプニング、そして炎の祝福。
次回、祝福を得たタクトたちに新たな冒険が待ち受ける――!




