第17話 砂の都アーラのパン祭り
紅炎の街・アーラへ向かうタクトたち。そこは炎とパンが共存する特別な街だった。果たして彼らは“紅炎の試練”を乗り越えられるのか――。
砂漠を越えた先に広がる街――アーラ。
巨大な石造りの門をくぐると、熱気と香ばしい匂いが一行を包み込んだ。
「す、すごい……!どこもかしこもパンだらけだ!」
タクトの目が輝く。屋台には香ばしいナン、蜂蜜をかけた揚げパン、香辛料の効いた平焼き……異国のパンが通りを埋め尽くしていた。
「……パンの都か」
リクは腕を組むが、喉を鳴らしているのをユイに見抜かれて赤面する。
「ちょうど良いときに来たね!今日は年に一度の“大パン祭り”さ!」
地元の少年が声をかけてきた。
説明によれば、砂の都アーラでは「最も香ばしいパンを焼いた者」が “炎の王” から祝福を授かるという。
勝者には莫大な名誉と……そして、“炎を操る秘宝”が与えられる。
「……炎を操る秘宝……」
仲間たちは顔を見合わせる。どう考えても、これが次なる因縁のカギだ。
「よし……俺が出る!」
タクトは迷いなく言った。
「タクト、本気なの?」
ユイが心配そうに覗き込む。
「当たり前だ!俺の拳パンこそ、世界一香ばしいんだからな!」
タクトの目は真剣そのものだった。
リクも渋い顔をしつつ、「……どうせ止めても出るんだろ」とぼやいた。
その時だった――。
「ふん、田舎者のパンが炎の王に届くと思うな!」
声を上げたのは、全身を黄金の布で包んだ大男。
背には真っ赤に灼ける巨大なオーブンを背負っている。
「俺の名はカリム=フレア。“炎の王”に選ばれるのはこの俺だ!」
熱風が吹き抜け、周囲のパンが一瞬で焦げる。
人々がざわめき立つ。
タクトが負けじと拳を握ると、リクが耳を塞いだ。
「まさかまた言う気か……」
タクトの口が開いた。
「――俺のパンにかけろ!」
「!?!?汗」
リクは反射的に反応してしまう。
次の瞬間、祭りの中心で――屋台のナンに黄金の水が降り注いだ。
「ぎゃあああ!俺のナンがぁぁぁぁ!!」
屋台の親父が絶叫する。
人々が騒然とする中、タクトとリクは顔を見合わせ、
「「……やっちまった」」
だがカリムは笑った。
「くだらん茶番だ。だがいい……貴様らを叩き潰し、炎の秘宝を手に入れる!」
祭りの鐘が鳴る。
砂の都アーラ――大パン祭り決戦の幕が、ついに開け放たれた!
いよいよ物語は新章・アーラ編に突入!
炎とパン、そして試練。タクトの握るパンが、再び伝説を刻む!




