第15話 「俺のパンにかけろっ!」
“酒乱歌姫”めぐるとの戦いは、最終局面へ。
タクトは最後の賭けに出る。「俺のパンにかけろ!」――その一言が、仲間たちの運命を大きく狂わせる。
リクの放尿が、奇跡を呼ぶのか、悲劇を呼ぶのか。
涙と笑いとパンと尿が交錯する、衝撃の決着編。
めぐるの歌声はさらに狂気を帯び、広場全体が酔ったように揺らめく。酒と怒りに支配された彼女の足取りは重く、しかし止まらない。
タクトは荒れ狂う旋律の中で、ただひとつパンを握りしめて立ち向かっていた。
「……アリス、リク。俺が前に出る!」
「タクト……でもあの声、正面からは危険よ!」
「分かってる。だけど俺には……これしかないんだ!」
タクトは一歩前へ踏み出し、めぐるの叫びと対峙する。
「めぐるッ! お前の怒りは全部、俺のパンにぶつけろ!」
そう言ってパンを高々と掲げるタクト。
その瞬間、リクが顔を真っ赤にしながら叫んだ。
「タクト兄ちゃん……その言葉、俺には刺激が強すぎるッ!」
バシャァァッ‼️
リクの放尿が、タクトの掲げたパンに盛大に降り注いだ。
アリスが顔を覆い、めぐるさえ一瞬歌を止める。
「な……なにやってんだお前ぇぇぇッ!」
「ご、ごめんっ! 『俺のパンにかけろ!』って……そういう意味かと思って……!」
だが奇跡は起きた。
放尿でずぶ濡れになったパンから、逆に清らかな光が立ち上ったのだ。
「えっ……これって……」アリスが目を見開く。
「リクの放った……純粋すぎる力……?」
その光はめぐるの荒れ狂う歌声を包み込み、酒の怒りと憎しみを浄化していった。
めぐるは膝をつき、涙をこぼす。
「……わたし……ただ、寂しかっただけなのに……」
タクトは静かに彼女へ歩み寄り、光るパンを差し出した。
「もういい。お前の歌は、怒りじゃなくて……誰かを救うためにあるはずだ」
めぐるは震える手でパンを受け取り、小さく頷いた。
「……ありがとう。タクト……」
こうして“酒乱歌姫・めぐる”との戦いは、パンと放尿と歌が織りなす奇跡の力で終結したのだった。
戦いは終わった。
めぐるは酒瓶を手放し、歌声にも宿っていた怒りを解き放った。
タクトのパンは仲間を守り抜き、リクの放尿は――なぜか決着の鍵となった。
荒唐無稽でふざけた戦いだったが、それでも彼らは確かに一歩、前へ進んだのだ。
そして、新たな旅路が始まろうとしていた。




