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1 頭のおかしい彼女との出会い
それは日常のはずだった。
茹だるような暑い夏の日、俺は部活で使うポスターの作成をしていた。ブルーライトでしょぼつく目を擦り、傍に置いたスポドリをぐいと飲む。先ほどコンビニで買ってきたそれは結露で汗をかいて俺の手を少し湿らせた。
湧き出る汗をぬぐいながら、部屋の隅に取り付けられたエアコンを睨む。今朝、唐突に使えなくなってしまったのだ。修復作業にやってくる業者は三日後になると言っていた。
ーさっさと終わらせてどこかに出かけてしまおう。
そう思いながらパソコンを再度見据えたその時だった。ピンポン。チャイムの音が聞こえた。
ネット通販もなにも頼んでいなかったはず。
俺は首を捻りながら階段を降り、扉を開けそして息を呑んだ。
天使だと思った。つやつやな髪の毛、白く透き通るような肌。大きくてころんとした丸い瞳。赤くふっくらとした唇。
衝撃を受けて固まる俺に彼女はこう言ったのだ。
「このまま外にいては死んでしまうと思ったので。入れてくれませんか。」
この世のものではないような可愛い顔から発せられた言葉が俺の耳に通り過ぎていった。