1・序章
腕おりました。全治一カ月です。この第一章は片手で書きました。しかし、まだ全然かけていないので、腕が治るまでは更新できません。すみませんorz
「栞~」
「何、純?」
「まだ買うのか~?」
只今の時刻は午後七時。夏とはいえ、つい先程とっぷりと日が沈み、夜空では星が瞬いている。今日は新月だから、星が良く見える。
この日、涼と純は栞に連れられて、電車を乗り継ぎ、商店街に買い物をしに来ている。栞の欲しいCDが近所に無かったらしく、それを捜すついでに、色々と買い物をしている間に、こんな時間になったのだ。
とは言っても、買い物をしたのは実質的には女性の栞一人で、男性陣二人は荷物持ちになっている。既に二人の両手には、大量の荷物が入った紙袋がある。
「そうね~、もうあらかた買ったから、今日はそろそろ引き揚げようか?」
「ホッ・・・」
その言葉を聞いて、純と栞の後方3メートルほどに居る涼は安堵のため息を吐いた。見た目も高校二年生に見えないが、実際の力も高校生のそれとはほど遠い涼の力では、両手にある荷物を持って歩くのはかなりしんどく、歩みも二人より幾分か遅い。
「おーい、涼。駅に向かうぞー」
「了解・・・」
純の言葉で、三人は方向を変え、未だ明るい大通りから、駅の方に歩を進める。栞は両手でCDの入った袋を持ち、それを嬉しそうに眺めている。それとは対照的に疲れきった顔をした涼と純。純のせっかくの目鼻立ちの整った端正な顔も、不機嫌さと疲れが表れていて台無しだ。
しばらく歩くと、純達は電気店の前を通り過ぎた。その店頭に並んでいるなかなかに大きいテレビでは、ある一つの殺人事件のニュースをやっていた。
そのニュースの内容は、F県X市に住んでいた、その筋じゃ有名な乗っ取り屋の社長が昨日自宅にてコーヒーに入っていた青酸カリで毒殺された、というもの。更には、殺される直前に自宅に雪だるまを象った置物と、ボイスレコーダーが届いており、そこには変声器を使い“雪月花”と名乗る人物からの犯行予告という怪奇性、異常性から世間では“雪月花殺人事件”と名付けられ大騒ぎになっている。また、雪だるまの置物とボイスレコーダーの内容などから、あと“月”と“花”の2つの殺人が行われると考えられている。
この事件のことは三人も知っていたが、今日こそが“月”の殺人の日で、その現場がこの商店街の近くのボロアパートだという事は、明日のニュースを見るまでは思いもしていなかった・・・。
短い・・・
まさか僕の腕がサッカーボールごときに負けるとは・・・