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【書籍化】閃光の冒険者(web版)  作者: 田舎の青年@書籍発売中
第九章『帝龍祭編』
133/135

第133話:帝龍祭④

 ヴァレンティアが若干舞台を壊したので、現在再び修復作業中である。

でもまぁ五分くらいで終わると思う。

「そろそろ行くわ」

「お兄様頑張って!」

「アル、油断しちゃダメよ?」


「二日目で敗退したら許さないからね!」

「応援しているわ」

「暴れてこい!」


「アルテ様~ファイトです~」

「チュッ」

「ブルブル」

「おう」

応援してくれる人がいるってのは良いもんだな。


俺はダラダラしているエクスに歩み寄った。

「エクス、星斬りを持っててくれ」

「ブルルル」

ぽっちゃり馬にヤンデレソードを託し、俺は甲板から飛び降りた。


『何で私を置いていくのよ!この馬鹿!ゴミカス!激キモシスコン!後で絶対にピーーーーーして、ピーーーーーしてやるんだから!』(※自主規制)


なんかブチギレ怒号が聞こえるような気がするが、まぁ気のせいだろう。


無人島に上陸すると、帝国軍の兵士達が迎えてくれた。

「アルテ様、お疲れ様です。十分後に開始となりますので、それまで控室にて待機を」

「ジュースをどうぞ」

「肩を御揉み致します」


俺は今なぜか砂漠の国の王族みたいな接待を受けている。

「今回の敵は手強いので注意して下さいね」

「ああ」

「あれ?噂の魔剣はどうなされたんですか?」

「置いてきた」


と言うと、彼らの眼がキラキラ輝いた。

「さすが閃光様だ」

「アルテ様こそ帝国の星よ」

「世界的シスコンは一味違うなぁ」


「あまりヨイショするのはやめてくれ」

「「「はっ」」」


ヴァレンティアがステゴロで戦ったのだから、俺もそれに便乗するしかないだろう。

まぁ今まで星斬りに頼り過ぎていた節もあるので、今回は身体強化のみで戦おうと思っている。


というわけで、二日目の最終試合が始まった。


「二日目の四試合目を開始します!!!一人目の選手は森林王国代表、守護者ガブリエル!未だに多くの謎で包まれているエルフの統治国家!その国の英雄は一回戦目も我々を楽しませてくれました!」


森林王国はアレだ。世界樹がある国だな。

エルフらしく世界樹の周りに木造の家を建てて住んでいるのだろうか。

入国はかなり難しいらしいが、死ぬまでに一度は訪れてみたい。

一応俺ハーフエルフだしな。


「二人目の選手は我らがカナン大帝国代表のSSランク冒険者!世界最強と名高いアルテ様です!閃光の冒険者は今回どんな伝説を作ってくれるのか!?その一挙手一投足に世界中の人々が注目しております!」


まずはガブリエルがドアップで映された。

「最近だと魔人族や天使族、龍人族の戦闘力が噂になっているようだけど、エルフだって捨てたもんじゃないよ。特に魔法に関しては世界トップの種族だと自負している。今日はあの冒険者を倒して証明してみせるよ!見ていてくれ、森林王国の同胞たち!」


俺はこういう、自分の種族が~とか、地位が~とか自慢げに語る馬鹿が嫌いなんだ。

人間至上主義を掲げ、過去に亜人達を迫害したアルメリア連邦の上層部に似た、歪んだ何かを感じる。


次は俺が超ドアップで映された。

ボーっとして何もセリフなんて考えていない。

ヤバい、どうしよう。とりあえずピースでもしとくか。


俺はカメラ目線になり、無言でピースをした。

「……」


「おーっと!強者は無駄な事を語らないとはまさにこの事だ!そのピースには一体どんなメッセージが込められているのか!とっても気になるところであります!!!」


観客達もなぜかザワザワし始めた。

「なんか……すげぇな」

「しかもカメラ目線だ。最高にイカしてるぜ、閃光の兄貴!」

「恐らくわかる人にはわかる、深いメッセージが込められているのよね」

(※何のメッセージも込められていません)


リリーは溜息を吐いた。

「あれは何も考えていなかったやつね……」

「普通にボーっとしてたしね」

「でも逆にウケてるぞ!おもしれえな!」

「あちゃぁ。アル兄様ぁ」


「四試合目スタート!!!」


ガブリエルは早速魔法を発動した。

「出ておいで!僕のゴーレムたち!」


舞台の地面から大量のゴーレムが出てきた。

軽く百体は超えている。

あの一体一体がC~Bランク程度の戦闘力を持つ。

Bの魔物と言えばワイバーンなどが例に上がる。

ガブリエルは一番巨大なゴーレムに乗った。


そう。奴の固有魔法は《土人形》。

単独で一軍を作り上げられる、守護者という名にふさわしいゴーレム使いである。

嫌いだけど。


「全軍突撃!袋叩きにしろ!」


三メートル級のゴーレムが一斉に向かってきた。

皆が想像するゴーレムはノロノロと動くタイプのものだろう。

しかし奴等は違う。ガブリエルは長い年月をかけて研究に研究を重ねたらしく、ほぼ人間と同じフォルムに形成させている。さすがエルフだ。


ガブリエルはなぜか己の勝利を確信しているようで、巨大ゴーレムの上から高みの見物を決めている。


奴等はすぐに側まで接近してきた。

先頭のゴーレムがパンチを繰り出してきたので、バックステップで避ける。

バランスを崩すことに成功。

俺はジャンプしゴーレムの頭を蹴り飛ばした。

狙いはガブリエル。


「うぉっ!危ないじゃないか!」

「チッ」

狙いは良かったが、ガブリエルがギリギリ避けた。


この間にも次々と俺に襲い掛かってくる。

物量攻めは面倒くさいな。


殴打、蹴り、のしかかり。

三百六十度から仕掛けられる攻撃を全て躱し、カウンターを決めていく。

しかしゴーレムの頭を潰そうとも、胴体に風穴を開けようとも、一瞬で復活し再び蟻のように群がってくる。


「しぶといねぇ!!!じゃあこれならどうだい!?」

「ん?」


ゴーレムの目が赤く点滅した。

「まさか……」

「あっはっは!跡形も無く吹き飛ぶといいよ!」

ドドドドドドン!


俺の周りを囲んでいたゴーレム達が大爆発した。


「アルテ様を中心に大爆発が起こりました!!!煙が立ち込めており、舞台の様子がわかりません!もしやガブリエルが勝利を収めるのかー?」


「んなわけあるか、バカタレが」

俺の身体強化をあまり舐めない方がいい。

ちなみに光鎧は使ってないからな。


「なにっ。どうやって生き延びたんだ!貴様ァ!!!」

「口調がおかしくなってるぞ。もしかしてそれが本性か?」

「くっ……」


「もういい!切り札を使わせてもらう!」

ガブリエルは全魔力を注ぎ込み、超巨大ゴーレムを形成した。

ゴゴゴゴと大地が揺れる。


観客たちは大盛り上がりだ。

「何だよ、あれ!デカすぎだろ!」

「目算三十メートルは超えているわね」

「これが森林王国の守護者たる所以か……」


スクリーン越しで観戦している世界中の少年たちはきっと今頃発狂している。

巨大ゴーレムとか癖にドンピシャだろう。


「死ねぇぇぇ!!!」

大きな拳が俺に迫る。


「そんな少年たちにいいモノを見せてやろう」

ここで避けるのは二流。冒険者なら正面から叩き潰すべし。


両足に力を込め、思いっきり地を蹴った。クレーターができる程。

空中で身を捻り右腕を後ろに振りかぶる。

まるで槍投げの選手のように。


推進力がそのまま破壊力に変換される。

刹那、本気でぶん殴った。

バッコォン!!!


ゴーレムの拳が粉砕し、その余波で腕が根元から崩れ落ちた。

その瓦礫を踏み台にして電光石火のように空中を駆ける。


「よお」

「!?」


ガブリエルの腹を蹴り上げた。

「ごはぁッ!」

肺から空気が抜ける。


上空に放り出されたアイツは、一定の高さまで達した後、地面に落下してきた。

あのエルフ至上主義の馬鹿をホームランしても良いのだが、ここはスマートに決めさせてもらおう。


「や、やめ」


俺も空中に跳び、逆さになった。

そしてオーバヘッドの要領で、次は水平方向に蹴り飛ばす。


ガブリエルは舞台端の壁にめり込み、戦闘不能に陥った。


「ゴーーーーーール!!!!!!アルテ様の勝利です!!!」

ウォォォォォォォォ!!!


「ゴーレムを素手で粉砕するとは!」

「世界最強の名は伊達じゃないわね」

「なんで身体強化だけで勝てるんだ?やっぱSSランク冒険者ってヤバいよな。黒龍も閃光も」


「なんか途中からふざけ始めたわね、アイツ……」

「まぁ二日目だから多めに見てあげましょう」

「最後の逆さ蹴りとか完全に要らなかったよな!」


てな感じで普通に勝った。

あとまた舞台がめちゃくちゃになった。

主にあのサッカーボールのせいで。







「レイちゃんはああいうお馬鹿さんになっちゃダメよ?」

「うん!気を付ける!」





ゴール!

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