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4話

柊side

「さて、とりあえずこれからの事を今から決めよう。」


 綾崎はそう言いながら俺達の顔を見始める。

おそらくは全員の今の状況を把握しようとしているのだろう。

まあ殆どの人物は怯えているか不安になっているのは見なくてもわかるが、あえて見ているのは全員を仲間意識を高めて協力体制を築こうとしているのか、あるいは…。

俺にはどうでもいいかな。


「それなら一番状況を知ってるかもしれないこいつ等に聞いたほうが早いんじゃねぇ?」


 そう言いながら俺と武井を指さしてくる荒船。

人を指すときに指だけで指すなんて非常識なやつだな…。

そんなことを思っていると武井は俺の前に立ちまるで庇うように話し始めた。


「さっきも言ったが俺達も起きたばかりだから知らねぇよ。それにもし知っていたらどうだってんだ?」

「ふざけるなよ!お前達が話している内容的に此処での状況がわかっていたような感じだったじゃねぇか!!さっさと話せ!」

「知らねぇものは知らねぇよ。さっきも言ったが俺達はお前らが起きる少し前に一度目を醒ましただけだ。その時に何かわかるわけ無いだろ。それにもしわかっていてもそれで一体何になるんだ?」

「はぁ!?何言って…「どういう意味かな?」……ッ綾崎!?」


 武井の言葉に荒船を遮りながら綾崎は聞いてきた。

まあ疑問に思うのも無理ないか、今の状況的にも武井の言葉は普通は出てこない言葉だからな。


「どうもこうもねぇだろ。例えばの話だがお前らは此処の今どうなっているのかを知ってその後どうするんだ?」

「それは一刻も早く皆と一緒に家に帰る事かな。」

「それはどうやって?」

「それがわからねぇから今の状況が一番わかる奴から情報を聞き出そうとしたんだろうが!」

「なら尚更俺達に聞いても意味がないだろ。」


 そう俺と武井の二人が知る事なんてたかが知れている。

こんな状況で帰る方法などの会話なんて意味が無いに決まってる。

本当に状況を知りたいのであればここで話をしたところで意味が無い事などわかるだろう。

それに…。


「それに今更動こうとして作戦を考えるなんて無理に決まっているだろ。此処が何処かわかっていたとしても此処から先は誰がわかるんだ?」

「それは…。」

「………誰もわからねぇだろ。なら今は無駄な話し合いをするんじゃなくて此処で待っている方が自然じゃないか?」


 武井の言葉に俺以外の全員が顔を俯き、泣きそうな顔をするものも出てきている。

まあ実際問題不安を感じないといえば嘘にはなるが、それでも今は無駄に議論しても意味が無い。

なら状況を一番わかっている人物が来たときに此処が何処かそしてこれからどうするかを調べることは遅くないだろうしな。

俺はそう思いながら自分が寝ていたベットの上に腰を掛ける。

ここでの話し合いはこれで終わるだろうからな。


「………いや、そんな今だからこそ話し合わなきゃいけないんだ。」


 そう言いながら綾崎は立ち上がり顔を前に向ける。

顔には不安などといったものは感じられず、この状況でも前向きに進める様な真っ直ぐな感情が見えるが果たして大丈夫かが疑問だな。


「自分達がどうするかどうすればいいのかを明確に決めることでこの先に希望を見出すことが出来るかもしれない。それにここで諦めるようなことをしてしまったらきっとこの先も何もできなくなってしまう…!そんなことになっちゃいけないんだ!」

「綾崎……。そうだよな!俺達は諦めちゃいけないよな!!」


 荒船が同意し、二人の周りにいる殆どが賛成の意を示しているがどう考えても現実逃避にしか見えない。

先を見据えるために今の状況を確認するのは良いことかもしれないが、何もわからない状態で憶測で物事を判断することは自殺行為に等しいのに……。

此処で話し合うのは意味が無いということは、状況をある程度把握してから話し合うべきと考えに至らないのだろうか?


 俺はそう考えていると武井と何人かが俺の所に集まり始める。

その顔は綾崎の周りにいる奴等とは違い明確に不安の表情が見て取れた。

まあ明確なビジョンが無くただこれからの目的を話し合うだけの会議なんて不安を抱くのに理由は十分か。


「柊どう思う?」

「どうとは?」

「このままで良いのかってこと。彼奴等物事を楽観的に解釈しようとしてるようにしか思えない。現に家に帰る方法の話をせず今だって此処から出て何をするかの話し合いしかしてない。」


 確かに武井の言う通り聞こえてくる会話はどれも楽観的すぎる。

もう帰れるものだと思いこんでいるようにしか思えないほど何も考えていないようにしか思えないな。


「……好きにさせとけば良いんじゃないか。どうせ俺達が言った所で彼奴等の考えは変わらんだろ。それに変わっていたらお前が言った時に否定の言葉が出てくることは無いんじゃないか?」

「それは……そうだな。だがそれで何かあったらと思うとな…。」

「お前……、案外優しいんだな。」

「な、何言ってやがる!!俺は別に…。」

「ううん、武井君は凄く優しいと思うよ。」


 俺の言葉に同意するように武井と一緒に俺のところまで来た女子がそう笑いながら言った。

他の三人も笑顔で同意するように頷き、その様子に武井は少し顔を赤くしながらそっぽを向く。

からかい過ぎたか?


「あれ〜武井照れてるの〜。」

「うるせぇ夏目!からかうな!」

「にっしし。赤くなってるアンタが悪いのよ〜。」

「テンめぇ!」


 武井は今もからかい続けている夏目と呼ばれた女子に向かって怒鳴るように詰め寄るが、夏目はのらりくらりと交わしからかうように煽り始める。

その様子に思わず笑いが込み上げてきたが今はなんとか我慢しないとな。


「それ以上はやめてやれ。武井が可愛そうだ。」

「いや、柊から始めた気がするけど……まあいいか。今回はここ迄にしますよ〜。」


 そう夏目が言うと同時にノック音が響きそのまま開ける音が聞こえた。

俺達全員がドアがある場所に顔を向けると其処には他の奴等が眠っている時に部屋に入って来たミラージュさんが立っていた。


「皆様無事お目覚めになられましたようですね。」

「あの、貴女は?」

「申し遅れました。私皆様を大広間にご案内させていただくミラージュと申します。よろしくお願い致します。」


 ミラージュさんはそう言いながらスカートの端をつまみ広げながら笑顔で俺達に頭を下げ始める。

自然な感じの挨拶の仕方と美しさに俺は目を離すことができなかった。




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