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2話

柊side

目が醒めると知らない天井だった。

何処の漫画のような台詞だよと思ったがそれしか表現できない事に苦笑するが、今はそんな事を考えてる暇は無いな。

何とか体を起こそうとするが頭が痛み始め余り動ける状態ではなかった。

右手を何とか自分の中の頭まで持っていくが気休め程度にしかならない為辛くなってしまう。


「一体……何がおきているんだ…。」


そう言葉を口に出すが誰も答えてはくれない。

まあ当たり前のことだ。

今目を醒ましているのは見える範囲で俺だけなのだろう。

俺の言葉に反応するものもいなければ動いている音も聞こえない。


「最悪な状態だな…。」


現象今自分達がどうして此処にいるのか此処が一体何処なのか全く分からないほど俺達の情報量が少なすぎる。

こんな状態で何が起こったとしても何も対処できない事が不安になる。

自分がこの後何をすればいいのか、どうすれば解決するのか全く思い浮かばない。

そんな事を思っていると遠くからノック音が聞こえた。

誰だ?

俺と武井が話していたアレックスとか言うこの国の代表か?

とりあえず現象は動かないことが一番だろう。

そう思い俺は目を閉じ寝たふりをした。


「失礼致します。」


そう聞こえた後ノックをしたであろう人物が入ってくる音が聞こえた。

声からして女性か?

一体何をしに?


「……まだお目覚めになられている方はいらっしゃらないようですね。とりあえず勇者様達の健康調査を始めますか。」


健康調査?

一体何故?

疑問に思ったが今動いたしまっても何もならないと思い動かないでいると、目を閉じていても分かる程の輝きが感じられた。

少しまぶしい程度だったが光っている時間はそんなに長く無く直ぐに収まった。

俺は少しだけ目を開け何をしていたのか確認しようとすると、目の前に女性の顔があり綺麗なスカイブルーの瞳が俺の目と合った。


「うぉ!」


俺は自分でも分かるような間抜けな声を出して勢いよく体を起こしたが反動が良かったのだろう、そのまま床に尻餅を着くように落ちてしまった。


「イッテ!」

「だ、大丈夫ですか!?」

「あ、ああ。」


思わず飛び退いてしまいベットから落ちてしまったが、彼女は直ぐに俺の元に駆け付け支えるように俺の肩に手を添えた。

彼女の方に目を向けると先程のスカイブルー瞳とミントグリーン色の髪をしており一瞬だが目を奪われた。


「…綺麗だ。」

「……………え?」

「あ、いやごめんなさい何でもないです。」


つい口から言葉が出てしまった。

いや凄く綺麗な人だと思ったけどいきなりそれはないだろう俺。

ナンパ氏か俺は?


「えっと、怪我はされませんでしたか?」

「だ、大丈夫です。ちょっと驚いてしまって、それより貴女は?何故あんなに顔を近づけてきたんですか?」


彼女の支えを貰いながら俺はベットに腰掛け自分の疑問を口にした。

目を開けると目の前に顔があったら驚くし若干恐怖を感じてしまう。

一体何をされるのか、と。

そんな俺の不安を感じ取ったのか彼女は俺に微笑みながらゆっくりと口を開いた。


「いきなり近づかれたら驚きますよね。私はミラージュ。あなた方勇者様の世話役を任せられた者です。」

「世話役?……あ、俺は柊巧です。世話役と言うのは?」

「その名の通りあなた方の身の回りをお世話させて頂く事にございます。」


両手の人差し指と親指を使ってスカート少し上げる動作をしながらお辞儀をするその姿は給仕を思わせる。

よくみると彼女の格好は俺の知っている給仕服に似ていた。

いや、考えてみると良くあるメイド喫茶とかの格好は派手さや可愛いさを重視したデザインなだけで本来はこんな感じの地味さが普通なのだろう。

歴史の本に写っていた給仕の格好は地味目が多かったし。


「後顔を覗いていたのは貴方は本当は起きていたのではないかと気になってしまいまして。」

「まあ、起きては今したけど何故わかったんです?」

「それはこれですね。」


ミラージュさんは顔を上げスカートを摘まんでいた手を戻しつつ右手を肩付近まで上げる。

するとミラージュさんの手の平から緑色の光が出ておりまるでフォンタジー世界の魔法のようだった。


「私の力を使って皆様の健康状態を検査させていただきその際に貴方が眠っているのではなく目を閉じているだけではないのかと疑問を持ってしまいまして。」


少し照れているような表情をしながら俺の質問に答えてくれるミラージュさん。

いやそれにしたってあんなに顔を近づける必要があるのか?


「あの、力とは?」

「そうですね。魔法と言えば伝わりますでしょうか?私の魔力を使い勇者様達の体の中にある魔力の流れを調べさせていただいたのです。」

「魔力の流れ?ってちょっと待って。俺達に魔力?」


魔力が俺達に流れている?

そんな非科学的な事がとつい考えてしまうが今の現状を考えるとあり得ない話では無いな。

そうでなければ俺達が勇者様と呼ばれることがあり得ないからな。


「ミラージュさん。」

「何でしょう?」

「貴女達は一体何なんだ?何で俺達を此処に連れてきたんだ?」


言っている意味が分かりにくくなっているのは自分でも分かっていた。

でも何とか表現しようとするとこれか出てこなかった。

そんな俺をミラージュさんは優しく微笑みながら右手で俺の左手に手を添えこう言った。


「それはいずれ分かるときが来ると思います。」

「え?」

「貴方方を此処にお呼びした方々は国の英雄を見つけるためなのだと思います。ですが貴方が此方にいらっしゃったのは貴方にとって大切な事がこれか始まると私は思います。ですので今は沢山悩んでください。悩んでそこから自分なりの答えを出してください。」


そう言って俺を寝かし付け最後に頭を撫でてくれた。

ミラージュさんの手はとても暖かくそれでいて優しかった。


「いきなりこのようなことを言って困ってしまうと思います。ですがもし大事な事が思い出せなくなった時、大事な物を見ることが出来なくなったときそっと思い出してみてください。それではお休みなさいませ。」


彼女のお休みなさいの言葉と共に俺の瞼は自然と閉じ始めた。

この時気付かなかった。

彼女と話していたときから頭の痛みは既に収まっていたことに。

そして彼女の言葉の意味に。




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