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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

「ざまあ」のために、私は

作者: FATMAN

初投稿です。 粗だらけですがどうか生温い目で見てやってくださいまし。

※決して特定の作品を揶揄するものではありません。 あくまでブラックジョーク(のようなもの)です。

「ぐはっ……な、何をするマリー! 気でもふれたか!?」

「うふっ……いいえユリウス様、私はいたってまともでございますわ」


 バタッ!


 大きな音を立てて倒れ込むユリウス様。 ようやく毒が回ってきたのね。



 私、マリア・アーベントロートには前世の記憶がある。

 陰キャだった私の唯一の趣味、それはインターネットの小説投稿サイト『小説家になれるとでも?w』の恋愛小説を読む事だった。

 それも所謂『ざまあ』タグのつく小説が大のお気に入りだった。


 そんな私は、アーベントロート伯爵家の一人娘として転生した。

 伯爵家当主であった母は、私が7歳の時に病死。 その後父の浮気相手だった平民出身の女が後添いとして我が家にやって来た。


それ以来、私はとことん苛め抜かれた。 所謂ドアマットヒロインとして。


実の父と継母、その連れ子である妹のイライザは、母と私の存在を無視するかのように屋敷で振舞った。

母の形見も1つ残らず売り払われ、あの3人の遊興費と化した。


 だが、そんな我が家も経済的に危機に瀕した。 貴族としての務めも果たさず遊び惚けていたのだから当然だろう。


 そんな中、18歳となった私に縁談の話が舞い込んだ。


 お相手は20歳年上のユリウス・ヘルツフェルト公爵。 支度金は全て相手持ちで、私はこの身ひとつで来ればいい――という好条件に、父と継母は1も2もなく飛びついた。

 私は、彼らのために売られたのだ。



 盛大な結婚式を挙げたその夜。 私はユリウス様の酒杯に毒を盛った。

 こんな男に抱かれてやる気はない。 すべてはあいつらへの復讐のため、全てを犠牲にしてきたのだ。

 この男が死ねば、公爵家は私のものだ。 そうすればたかだか伯爵家など叩き潰せる。

 あぁ、ドアマットヒロインとして耐え忍んだ甲斐があったわ。 これこそ『ざまあ』の醍醐味というものよ。

すべてはこの日のために――


「……君は、馬鹿だったのか?」


 あら? この期に及んでまだ息があるの? 見苦しいわ、とっとと死になさいよ。


「そもそも……ごほっ! さ、最初から、君は……間違っている……」

「あら、どういう意味かしら?」

「ごほっ……き、君の父上は……彼はあくまで、分家である、し、子爵家の、第、2子だ……」

「……えぇ、確かにそうですわね。 それが?」

「まだわ、からない、のか……? 伯爵位はき、君の亡き母上に与えられたもの、だ……その夫に、伯爵位を継ぐ、け、権利は、な、ない……」


 ……え? ど、どういう事?

 だって……だって、あの小説のヒロインは、そうやって父親と継母と連れ後の妹に――!


「貴族の血、を、な、何だと思っている……? そのような継承が、認められる、は、筈が、ない……。 伯爵位のせ、()()()()()()()……き、()()、ぞ……?」

「なんですって!?」


 そんな――そんな馬鹿な! だってネット小説ではそれが普通だったもの!

 そうやって家を追い出されて、もっと高位の貴族の家に嫁いで、実家に復讐するのが『ざまあ』のカタルシスだったんだもの!


「だ、だとす、れば……そ、その話を書いた、者が、馬鹿な、のだ……貴族は、なにより血を重んじる、もの、だ、ぞ……?」

「じゃ、じゃあ……へ、平民出身の継母が、お家乗っ取りなんて事は……」

「で、できる筈が、ない、だろう……? 平民は、平民、だ。 貴族では、ない……」


 そんな……そんなそんなそんなそんなソンナソンナソンナソンナソンナ……っ!


「それが、み、認められ、るの、なら……か、仮に、へ、陛下の、奥方が、平民なら……陛下が、ほ、崩御、なさったば、場合……平民の、女が……お、王とな、なるで、は、ないか……? そ、そんな、ば、馬鹿げた、話、が……ある、と、おも、う……の、か……?」

「そ、それは……」

「貴族、を……なん、だと、思っ、て……いる……? 馬鹿も、休みや、すみ、言え……」


 あぁ……私は馬鹿だ。

 前世の記憶を持って転生した事。 そしてネット小説を読み漁った経験があった事。

 その程度の事を頼りにして――全てを、失った。


「……ふぅ、ようやく理解できたようだな? 愚か者が」

「え……?」


 ど、どういう事? どうしてユリウス様が、ふ、普通に立ち上がっておられるの?


「貴族たるもの、毒の耐性はつけて当然だ。 なかなかにきつかったが、この程度ならすぐに治まる。 ……君は貴族令嬢なのに、そんな事も知らなかったんだな」

「……教えてくれる人は、誰もいませんでしたから」

「そうか。 つくづく愚かな女だ――物語と現実をないまぜにするとは」


 ぺっ! と口から血を吐き出すユリウス様。

 あら、毒の耐性をつけたとしても、やはり身体へのダメージはありますのね。


「さて――もう理解できたな? 私を殺したところで、君は公爵位を継げない。 父親らに復讐したければ、単に継承権を主張し、父親らを屋敷から追放するだけで事足りたのだ。 実に無駄な遠回りをしたものだな」

「まったく……返す言葉もございませんわね」

「まぁ、それでも最期に理解できただけマシというべきか。 ……おい! 誰ぞある! この者を捕らえよ!」

「「「「「「はっ!」」」」」」


 ユリウス様の合図とともに、多くの護衛騎士が部屋になだれ込みます。

 あら、随分と手際のよろしい事で。

 ……貴族ともなれば、これくらいの手筈は当然なのね。 勉強になったわ。



 その後私は地下牢へと繋がれる事になりました。

 おそらくもう二度と陽の光を浴びる事もないでしょう。 それどころか明日を迎える事も。

 愚か者の末路――『ざまあ』される側の、テンプレですわね。


「……次に転生する時は、もっと上手く立ち回るわ」


 だって私には、ネット小説を読み漁った経験に――『ざまあ』された実績が加わったのだから。

お時間を頂いてお読みいただき、誠にありがとうございました。

そしてクオリティーが低すぎて申し訳ございませんでした m(_ _)m


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