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怪談遊戯  作者: 雪鳴月彦
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第三話:中にいたのは?

 これはあたしが小学生の時に体験した話で、未だに謎が解けてない出来事なんだけど。


 その日はお盆で、家族皆が家にいたの。


 あたしと両親、お爺ちゃんとお婆ちゃん。あと、二つ年下の弟。


 それで、確か……夜の九時半くらいだったと思う。


 あたし、確か部屋で本読んでたんだっけかな。


 トイレに行きたくなって、まぁ、普通に行ったんだけど、電気を点けて中に入ろうとドアノブ回したら、鍵掛かってて開かないの。


 それであたし、あ、先に誰か入ってたって一瞬思いかけたんだけど、すぐにおかしいなって気づいて。


 だってさ、あたし今自分でトイレの電気点けたんだよ?


 夜だから、普通中に入るなら電気点けて入ってなきゃおかしいのに、あたしが来た時点で中は真っ暗だったんだよね。


 もちろん中には電気のスイッチはないし、鍵は内側からしかロックできないから、誰かが電気も点けないで中に入って鍵かけてるってことしかありえない状況でさ。


 え? 誰? 何で電気も点けないでトイレ入ってんの? ってなるでしょ?


 それであたし、半信半疑な気持ちのまま、そっとドアをノックしたんだけど……全然反応がないの。


 試しにと思ってもう一回ドアノブ回してみても、やっぱり鍵は掛かってるし。


 それであたし、これ誰かの悪戯(いたずら)なんじゃないかって考えて、一度トイレから離れてリビングに移動したの。


 家族全員チェックすれば誰がいないか一発だし、犯人もすぐわかるでしょ。


 それで確かめてみたんだけど、リビングにさ、皆いたのよ。


 両親も弟も、お爺ちゃんもお婆ちゃんも。全員で何か特番観てて、揃ってるの。


 トイレから先回りして戻るなんて、家の構造的に絶対不可能だし、何がどうなってるのかわかんなくなってさ。


 皆いるのに、じゃあ何でトイレ鍵掛かってるのって。


 それであたし、一人じゃ恐いから弟呼んで一緒にトイレに戻ってさ、ちょっとドア開けてみてって頼んでドアノブ回させたら……今度は簡単にドア開いて、当たり前って言うか、中には誰もいなかったんだよね。


 うちの家のトイレ、窓はあるけどめっちゃ小さくて、大人じゃ絶対通り抜けできないサイズなの。


 入れるとしたら、せいぜい幼稚園に通うくらいの身体が小さい子供くらいだけど、そんな夜にさ、他人の家のトイレに忍び込む子なんていないじゃん。


 まして、外からじゃ窓に手だって届かないだろうし。


 それでも、ひょっとしたらあたしがトイレから離れた隙に中にいた誰かが出てきてどこかに隠れた可能性もあるから、念のため二人でビクビクしながら家の中探してみたけど、結局誰も隠れたりもしてなくて。


 未だに、何でトイレに入れなかったのか謎のままなんだよね。


 弟は勘違いだろなんて言ってたけど、あたしちゃんとドアが開かないこと確認したし、絶対そんなことはなかった。


 でも、ひょっとしたらだけど……お盆って先祖の霊が帰ってくるとか言うじゃん?


 だからあれって、あたしの先祖の誰かが中に入ってたのかなーとか、ちょっと思うことはあるんだよね。



 ……ま、それだけの話です。

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