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怪談遊戯  作者: 雪鳴月彦
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第十五話:顔

 今年の春にな、おれ心霊スポットって言われてるトンネルに肝試しへ行ったんだ。


 おれと彼女。友達とそいつの彼女。まぁ、要は男女二人ずつの四人グループで。


 で、やっぱそういう場所に行くんならムードが大事かなって思って、夜中の零時半くらいにそこに行ってさ。


 当たり前だけど外はすげぇ真っ暗でさ、外灯もないから足元すら見えねー状態で、それぞれ持ってきてた懐中電灯を点けたんだ。


 そのトンネル、廃道にあるから電気も通ってなくて、ジッと眺めながら、吸い込まれるような闇ってこういうやつを言うんだなって思ったりしたよ。


 心霊スポットって言っても、よくネットとかで話題になってるようなメジャーな場所じゃないから、おれら以外に人はいないし、貸し切り状態でラッキーなんて、友達も内心ビビってるくせに強がり言ったりしてたんだ。


 それで、取りあえずカップル同士二人組になって、順番に向こう側まで歩いたら最後は皆でこっちに戻るかって、そう話がまとまって、まずは友達が彼女と一緒にトンネルへ入っていったんだよ。


 で、十分くらいしてからだったかな。


 無事に反対側まで辿り着いたからってメールがきて、そんじゃ次はおれたちの番だってことでトンネルに入っていったんだ。


 懐中電灯で照らしだす壁があっちこっち黒ずんでて、雨が降ってるわけでもないのに、天井からはピチャピチャピチャピチャ水滴が落ちてきてたりもして、その音がすげぇ不気味に響いててさ。


 こりゃ、思った以上に雰囲気あるななんて思いながら歩いてたら、突然彼女が「あれ見て」って右側の壁を指差したんだよ。


 右側の、天井付近。そこ指差して立ち止まるから、おれも何だって思ってそっち見たんだ。


 そしたらさ、そこに女の顔が浮かび上がってるように見える染みがあってよ。


 思いっきりこっち見下ろしながら、裂けるくらい大きく口開いてる感じで。


 輪郭とか、髪の毛とか、誰かが悪戯してそれっぽく見えるように細工したんじゃねぇかってくらいはっきり見えたんだよ。


 で、その後も頭に雫落ちてきたとか彼女と馬鹿みたいに騒ぎながら先に進んで、まぁ特に何も起きることなく反対側まで到着したんだ。


 そこから今度は、四人で一緒に車まで戻ろうってことになって、またすぐにトンネル入ったんだけど……その時、おれ偶然ライトでトンネルの天井照らしちまったんだよ。


 そしたらさ、そこにあったんだ。顔が。


 彼女とトンネル入った時に見つけた顔の形した染み。それと瓜二つの顔が睨むようにこっち見てて、しかもその顔……何か喋ってるようにはっきり口が動いてたんだ。


 声は聞こえなかったけど、口だけが本当に生きてるみてぇにさ、すげぇ滑らかに開閉してて、おれ思いっきり悲鳴上げたら、他の三人もその顔に気づいてもう完全パニック状態になって、もう全員ダッシュで車まで逃げてそのままエンジンかけて……。


 車乗ってる間、女二人はひたすら騒ぎっぱなしでさ。


 おれだけが見たなら勘違いとか言われて終われるけど、四人全員が同じもん見ちまったからな。


 何だったのかな、あれ。


 やっぱ出るって噂ある場所には出るもんなのかな。


 もし良かったら場所教えてやるから、お前も今度行って確かめてみるか?

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