出会い
こんにちは! 高美と申します!
今回の作品は、運命の赤い糸が二つもある女の子の恋物語です♪
本当の運命の人は誰なのか。誰とくっつくのか。楽しみにして頂けたらと思います♪
この世界には、運命同士だけが見える赤い糸が小指に巻きついている。運命の相手を見つけると、赤い糸が伸び二人を繋ぎ合わせるのだ。
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黒髪のボブの女の子ーー前田凛が登校してきて早々、喜びに腕を上げ目を輝かせて私達の元へとやってきた。
「ついに! 私にも運命の人見つけましたー!!」
「本当に!? おめでとう! どこで出会ったの?」
私と向かい合わせで雑談していた橋田美月も、凛の言葉に控えめの拍手しながら一緒に喜んでいる。
「バイト先のお客さん! 小指の赤い糸が繋がったの!」
「羨ましい! 美月も早く運命の人見つけたい」
美月も、毛先をクルクルと巻いた茶色い長い髪を弄りながら、いつか出会う運命の人を思い浮かべて目をうっとりするが、私佐々木小夏は無言で両手を見つめる。
「どうしたの? 小夏。両手なんか見つめて」
凛に不思議そうに見つめられ、私は思い切って二人に聞いてみた。
「ーーねぇ、運命の赤い糸って一つだよね?」
「当たり前じゃん! 運命の人は一人しかいないんだから! ーーてか、小夏は入学初日に運命の人見つけたじゃん!」
「イケメンで、文武両道で、生徒会長! 完璧な彼氏だよね」
二人は『ねー』と顔を合わせて共感し合った。私は苦笑いしながら頷く。
「まぁーーそうなんだけどね」
「不満でもあるのかしら!?」
美月の圧に大きく首を振り、全力で否定する。
「いやいやいや! 滅相もございませんよ〜」
それは本当だ。完璧な人が私の運命の人なのに、不満を言うなんて恐れ多いぐらいだ。
その先輩と出会ったのは、入学初日に体育館へ行こうとしていた時だった。
♢
立派な校舎に入学した私は体育館の方へと向かっていたが、この学校は広すぎて迷ってしまった。周りには誰も居ず場所を聞くことさえできなかった。
右に曲がろうとした時、制服を着た男の人とぶつかった。
「ーーうわっ!」
「ごめん! 大丈夫?」
突然の衝撃によろけると、男の人に慌てた声で謝られ、私も打った鼻を右手でおさえながら急いで謝る。
「大丈夫です。こちらこそすみません!」
謝ったついでに男の人の顔を見ると、可愛さとかっこよさを兼ね備えている中性的な男だった。
すると、男の人は私の右手をジッと見つめゆっくりと指を差す。
「ーーあれ? ねぇ、この小指」
鼻を抑えていた手を離して見ると、小指の赤い糸が伸び男の人の右手の小指と繋がっていた。
「え?ーーえ!? 繋がってる!」
小指を交互に見つめ驚いている私に、柔らかい目で見つめてきた。
「おれは三年の前堂純也。君の名前は?」
イケメンの相手がこんな私で良いのかと疑問に思うが、前堂純也は優しく受け入れてくれた。
「一年の佐々木小夏です」
「小夏って呼んでもいいかな? おれの事は、好きに呼んでいいよ」
人見知りの私は、急に距離感を詰められたことで戸惑ってしまうが、精一杯私なりに応えた。
「は、はい! えっと、慣れるまでは純也先輩と呼ばせてください」
「分かった。これからよろしくね。小夏」
眩しい笑顔に軽く目がくらみながら深々と頭を下げた。
「よ、よろしくお願いします!」
私にもついに、運命の人に出会ってしまったと頬が火照り胸が弾んだ。
♢
学校一モテる三年の前堂純也は、誰と運命の赤い糸で繋がっているんだろうと、みんなが気になっていた存在だった。それが私とだなんて今でも信じられない。
「まぁ赤い糸って絶対的なものだし逆らえないから、嫉妬してイジメとかもないとは思うけど」
凛は私を慰めると、美月と一緒に自分の席へと戻っていった。
そういうことを心配してるんじゃない。もっと他に重大なことがある。
それは、もう一つの小指にもう一本赤い糸が巻き付いていることだ。
おでこを机にくっつけながら、誰にも言えない悩みを頭の中でグルグルと駆け巡らせた。
第一話なのでまだまだこれからですが、皆さんが楽しんで頂けるよう頑張って作っていきますので、
これからもよろしくお願い致します!
感想、評価、お待ちしております♪