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村を追放された最弱召喚士がチート級モンスターたちを召喚して、いつの間にか最強になってました。  作者: 遥風 かずら
第四章:迷宮の先で待つもの

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95.煉獄への結末と決別 後編


「フィアフル……アサレアはどこだ?」

「くくく、あの女がそんなに気になるか。ライゼルの幼馴染……それだけでそこまでムキになるもんか?」

「お前に関係ない。どこにいるのかだけを言え」

「随分な物言いだな……あんなに弱々しかったライゼルが、こうも変わるとはな。召喚士を目指していた時とはてんで別人じゃねえかよ」

「それはお前もだろ」


 変わったのは俺だけじゃなく、フィアフル……俺が知る友もだ。

 何のためにアサレアに近づき、そして俺の前に姿を現したのか。


「……まぁいい。同じ村出身の情けをかけてやった。あの女は多分、無事だろうぜ。リエンガンで観光でもしているだろうよ!」

「リエンガンに彼女だけでいるというのか? 多分とはどういう意味だ?」

「そこまでは知らねえな。あの女を知るっていう女に居場所を知らせただけだ。ロランナ村の冒険者なんじゃねえのか? 安心したか?」

「アサレアを知る女? 冒険者……? あり得ない……くそ」


 彼女を知る人間は限られているし、ロランナ村では合成薬を作ってばかりで人と関わって来ていない。

 リエンガンで待つのは魔剣士たちだ……考えたくないが、連中が接触していてもおかしくない。


「……気にしなくてよくなったんなら、決着けりを付けられるだろう? なぁ?」

「お前は闇黒世界で悪魔……トルエノに消されたはず。何故またここにいるんだ? アンデッドになってまで、どうして俺の前に現れた?」

「くっくく……そう陰気な顔をしてんじゃねえよ。別に不思議なことじゃねえだろう? アンデッドすら召喚出来るお前がそれを言うのは、筋違いってもんだろうが!」

「――まさか……」

「お前にその気が無かろうと、俺を召喚したのはお前ってわけだ! ルジェク、イゴル、オリアンだったか? 奴等を冥界送りにするのに、どれだけの死者を生み出した? あ?」


 く、くそ……トルエノたちを率いていた時の闇黒で、そういうことになっていたというのか。

 

「アンデッドなら、無用な流血が無くて済むだろう? それも避けたいほど、お前は弱すぎたからな」

「……もういい。ここで完全に消す。顕現せよ、ハシュマリム!! 彼の者を息絶えさせろ!」

「へっ、やっとその気になりやがったか。土精霊で現わしたところで、俺には効かねえけどな」


 地神ハシュマリムが姿を見せると同時に、ロザック旧市街の朽ちた建物全てを崩し、土と岩にその身を変えてフィアフルを覆い隠す。


『く、くくく、はははははっ!! アンデッドが土属性に弱ぇわけがねえだろうが!!』

 

 地底から召喚されたアンデッドに、土属性の攻撃が効き辛いことは知っている。

 それを知りながらもマリムを出したのは、油断を誘う為だ。


『弱ぇ野郎の精霊ごと、俺が取り込んでやる!! ハハハハ!!』


 狂喜の叫びを放ち続けるフィアフルだったが、土砂をもがき続ければ続けるほど、土気色の顔から余裕が奪われていっている。


 アンデッドに吸収されない土や石は、次第にフィアフルの形成を崩し始めて行く。


『クソが……グゥゥ……グゴォァァァァァ!!!』人の姿を崩し、アンデッドとしての姿と化し始めたフィアフルからは、もはや人間の言葉ではないうめき声しか発せられなくなっている。


「フィアフル……旧友としてせめて、その罪の償いを果すための世界に送ってやる……お前がこれから信じられる地は、苦しみの状態を続ける煉獄だ」

「……」


 骸の骨と果てたフィアフルは土砂の勢いに呑まれ、骨のきしむ音を響かせ、顔として成り立たせていた偽の頭蓋ずがいが砕かれ、その身はすでに形を崩している。


 普通の土属性であれば、確かにアンデッドに効きもしなかっただろう。

 しかし四精霊を降し、神聖の氷姫龍すらも召喚した俺には、属性相関による劣勢は意味の無いものだった。


『我が願いと望み、乱れりの心、彷徨いし骸を此処よりも煉獄、浄罪なる地へといざなえ!! クリュメノス!』


「……冥府の神まで呼びやが……ライゼル――せいぜい俺の罪を楽しめ……弱虫め――」


 差があったとはいえ、初めから俺に消されたかったとでもいうのか、フィアフルは塵と化し消えていった。


 罪を楽しむ……か。

 神聖の光を得られてもなお、闇黒の力が俺の中にはおびただしく備わっている。


 これに屈してはいけないのに、何とも言いようのない決別となってしまった。

 アサレアをどうにもしなかったのは、フィアフルの情けだったとでもいうのだろうか。

 

「ラ、ライ……ゼルちゃん」

「――っ! イビル! 大、大丈夫?」

「闇黒召喚を続けてしまえば、また奪われてしまうの……だから、罪は罪として抱えては駄目なの」

「奪われる……? それはトルエノに?」

「うふふ……そ……れよりも、疲れたから眠らせてね……」

「う、うん。ごめん、ごめん……イビル」


 無理をさせてしまったし、一度ならず二度も痛めつけさせてしまった。

 イビル母さんにはやはり、力を使わせてはならない。


「ボクが近付いても、もう大丈夫?」

「ノワか。もう安全だよ。因縁に巻き込んでごめん」

「召喚士も何だか大変そう……」

「い、いやぁ、俺だけだと思うよ。はは……」

「リ、リエンガンに行くなら、ボクがライゼルを助けるから、休んでいいから」

「うん、ありが……うぅ……っ」

「ま、守るから、眠ってて」


 闇黒召喚とは違ったものだったとはいえ、フィアフルを消した召喚によって俺はまたしても、意識を落とした。


 闇の力を使い過ぎたのか、それともこれは俺への罪によるものなのか。

 心配そうにのぞき込むノワと、すでに眠ってしまったイビルの横で深い眠りに沈んだ。


 ◇


「……冥府の神か。化け物め」

「ふ、ミゼラは引き続き、ロランナ村の女を見張れ」

「は。すぐに……」

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