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村を追放された最弱召喚士がチート級モンスターたちを召喚して、いつの間にか最強になってました。  作者: 遥風 かずら
第四章:迷宮の先で待つもの

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94.煉獄への結末と決別 前編


 イビルの強さはある程度分かっていた。それだけにフィアフル相手には苦戦すると思っていたのだが、目に飛び込んで来たのは全く異なる光景だった。


 まばたきする間もない程に絶え間なく繰り出されているいばらは、フィアフルの動きを完全に封じ、苦しめている。


「――くそが!! マンドレイクごときに、ガ……ハッ、グゥウ……」

「あらあら……そんな程度でライゼルちゃんに挑発をしに来たのかしら~?」

「う、動けねええええ!! くそっくぞおおおおおお!!」


 いくら俺と完全に契ったからといって、ここまで差が出てしまうものなのだろうか。


「ライゼルは何者なの?」

「え、俺? 俺は召喚士だよ」

「死霊術師じゃないのにアンデッドを召喚するし、強そうに見えないのにどうなってるの……」

「……う、ご、ごめん」

「イビル……ううん、召喚されている存在は、召喚した主の強さに依存しているって聞いたことある……ロードテアを凍らせたのも、やっぱり……」

「あ、いや……」


 ノワの言うことはもっともなことだ。

 俺自身も驚くくらいの強さと光景が目の前で繰り広げられていることに、ついていけないのだろう。


 フィアフルの姿は俺と戦った時と同様に、ロランナ村で出会ったままの姿でイビルに対している。

 ノワの言うようにアンデッドなのだとしたら、異形の姿になったとしても驚かないのだが……。


 そうしてしばらく優勢な光景を眺めていたが――


「ぴぎぃぃぃ――!!」

「……へっ、人間の真似ごとをやめてまで、俺を締め上げたいか……くくく、所詮植物妖精だよなぁ?」


 人の姿を保ったまま劣勢になっていたフィアフルに対し、マンドレイクの姿を露わにし、妖精の声を張り上げているイビルは、徐々に力が失われているように見える。


「ノワ、行く。ボクがあのアンデッドを地に還さないと、イビル、きっともたない」

「イビルが優勢だったのに、何で……」

「アンデッドは普通に攻撃しても痛めつけてもすでに死者。だから……強くてもやられちゃうの……」

「そ、そうか」


 回復したとはいえ、イビルは俺を癒すために直前まで眠っていた。

 フィアフルよりも強い彼女を目の当たりにしたが、強いだけではアンデッドは倒せないということのようだ。


 イビルが繰り出していた茨は次第に緩まり、苦しんでいたフィアフルの両眼がぎらつくと同時に、召喚装備に見えていた灰黒色かいこくしょくの胴体が、形を崩して茨からすり抜けようとしている。


 そう遠くない範囲に見えるイビルの姿は、すでに狼狽ろうばいを激しくさせているようにも見える。


「……ノワール。ここで待っててくれないか? 俺があいつを消して来るから」

「でもアンデッドは……」

「大丈夫……跡形もなく、送る……」


 光の世界に送るでなく、闇黒に送り還すでもない。

 かつての旧友には、相応の状態を繰り返してもらわなければ終わることは無いだろう。


「ギィ……ィ――」

「やっとくたばりやがったか。へっ、俺に敵うとでも思っていたかよ? 植物なんぞにやられるわけねえだろうが!!」


 イビルの力尽きにより締め上げられていたフィアフルは、すでに元の姿に戻っている。

 そんな状態にありながら、貴族出だったとは思えない所業が、目の前で繰り返されていた。


『フィアフル・レブル……それ以上、彼女を痛めつけるのなら――お前を煉獄に送ってやる』


『ライゼルか? くくくっ、やっぱりそう来るよなぁ? 弱虫で庶民出の最弱野郎は、お仲間想いってやつだもんなぁ? 反吐が出る……最弱野郎が、俺を闇送りにしやがって!! この俺の苦しみも分からず、てめえは、てめえはぁぁぁー!!』


『全て終わらせる……旧友フィアフル……』


 俺の召喚暴走から彼を苦しめたことは、忘れようのない出来事。

 アンデッドになってまで復讐を遂げたかったのか、それは分からない……ここまでしてきたフィアフルは、俺が全て終わらせる。


「グルルルアアア……!!」

「――!?」

「ロランナ村の奴等と共に、くたばりやがれ! 雑魚が!!」


 初動は様子を見るつもりで対峙していたが、フィアフルはフェイントを一切使うことなく、全身を捻らせ、人ではない異常な動きで俺を壁際に吹き飛ばす。


 骨の無い骸とでもいうのか、半身を大袈裟に捻る動きはもはや、人間だった自分を忘れているかのようだった。


「どうした、あぁ? 召喚しないと所詮はこんな程度だろうがよ! それを悪魔ぁ? マンドレイクぅ? どいつもこいつも、最弱野郎に捧げやがって……ざけんじゃねえぞくそが!!」


「……全てを還すよ、フィアフル。それが旧友として、友としての別れだ」


 すでに正気が無く、人だった頃の心ですらも失くしたフィアフルの姿は、我を忘れた骸と化している。


 甘えと情けがそうさせてしまったのかそれは分からないが、迷宮の先に進まなければならない以上、ここで旧友と決別することにした。


 イビルへの仕打ち、そしてアサレアの行方、彼とは全てここでつけなければならない。

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