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村を追放された最弱召喚士がチート級モンスターたちを召喚して、いつの間にか最強になってました。  作者: 遥風 かずら
第四章:迷宮の先で待つもの

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90.ロザック旧市街・攻戦編 前編


「ふぅ……っ。今度こそ着いた……かな?」


 ◇◇


 土精霊マリム、風精霊シルフの力を使い、イビルは植物の根を地中に張り巡らした。

 彼女はフィアフルといた時の記憶を頼りに、無数の空洞部屋を発見する。


「あら~? ここではないみたい~」

「ライゼル。このマンドレイクは大丈夫なのか~? 何ならボクがアンデッドを作って辿らせてやっても……」

「い、いや、ここはイビルに任せるしか……」


 精霊の力を借りたイビルは、村から少し離れた所で勘を頼りに地面に穴を開け続けている。

 そこからはひたすら地中を進みまくり、迷宮都市につながる空間をしばらく彷徨い続けた。


 先の見えない地中をいくつか進むと、ようやく人間が住んでいた形跡のある街に辿り着く。

 精霊の力を使ったとはいえ、イビルも力を消耗したせいなのか、すっかり大人しくなっていた。


「つ、着いた……今度こそ、人がいる場所だよね」

「……ライゼルちゃん、頑張って進んでね」

「あ、うん……」

「疲れた、疲れた! ボクも疲れた!!」

「ノワは何かしたっけ?」

「たくさん歩いた! だから休む!」

「そ、それなら仕方が無いかな。イビルも消耗してるし、ノワもゆっくり歩いていいから」


 ペースの遅い二人をゆっくり歩かせ、俺一人だけで先へ進むと、明らかに人工の建造物らしき光景が視界に広がっている。


 ここがリエンガン……か?


 目に見えるのはアーチ状の門がそびえていて、古くからそこにあるかのような雰囲気を醸し出していた。

 門の前には人の気配は無く、守る兵の姿も見当たらない。


 イビルとノワはまだ追い付いて来ていないし、どうするべきかと一瞬迷ったが兵の姿も無く、人の気配も無かったので、とりあえず門の前まで行ってみることにした。

 

 門に着くと石造りの門には、人が住まなくなってしばらく経つのか、枯れたつたが幾重にも連なりを見せていて、触れたらすぐにでもちぎれてしまいそうな感じだ。


 薄く汚れた石板には、ロザック市街地と書かれている様にも見えていて、どこかで見たことのある紋様が刻まれている。


「ライゼルちゃん、お待たせ~」

「待たせた? 待った? ライゼル、どうしたの?」

「あぁ、うん。ここには人が住んでいないみたいなんだけど、どうしようかなと」

「……奥に進めばいるのかも~?」

「そうだね、そうしよう――っ!? 危ないっ!!」


 追いついて来たイビルたちと合流し、門をくぐって人のいない市街地に進もうとした時だった。

  

 イビルたちが歩いて来た道の奥から何かが飛んで来たかと思えば、門の上部に向かって切っ先の鋭い槍が突き刺さっていることに気付く。


『ようやくの到着ってやつか? なぁ、召喚士』


 何でこんな所で攻撃を受けるんだ。

 進んできた地中の穴は埋め戻していなかったが、その後を追いかけて来たのか。


「お前は……あの時の魔剣士か?」


 襲って来た男はルムデスを拘束していた魔剣士の男のようで、一人しか見当たらない。

 他にいるようには見えないが、男はじりじりと距離を詰めて来ている。


 黒褐色の鎧では無く、身軽な黒衣に身を包んでいる男は、他に武器を隠し持っているようには見えない。


「エルフは近くにいないのか? まぁ、そんなことはどうでもいいけどな! 見ない間に仲間を引き連れていやがるとは、てめえも随分と用意周到じゃねえかよ?」

「お前は一人なのか? 何故ここにいる?」

「言ったはずだ。リエンガンで待つってな! だが俺にとっちゃあ、待って戦うのは我慢がならねえ。俺はミゼラとは違うからな。旧市街で張ってれば、来ると思ってたわけだ」

「旧市街?」

「見て分からねえのか? ここはすでに廃れた市街地だ」


 迷宮都市は一体どこまで広がりを見せているんだ。


 それにしても魔剣士がただ一人で来るとは、この男もそれなりの実力があるということか。


「あの時はエルフを捕まえていただけだったが、てめえごとき召喚士は今すぐこの俺が――」

「単独行動をしたのは失敗だった……そう思わせてやる!」

「――ちぃっ! 精霊魔法か!」


 徒党を組んだ魔剣士は、油断があった時には厄介なものだったが、今はそう思わない。

 あの時の洞窟では、限られた空間の中で戦うことを余儀なくされた。


 今はルムデスではなく、イビルとノワが離れた所にいる。

 空間の広い洞穴、それも旧市街地と呼ばれる所にいる以上は、同じ油断をするわけにはいかない。


「水精霊エンテ! 望むは我が契り、イビルとノワールを守れ!」


 召喚の言と違い、精霊の彼女たちはイビルを完全召喚した直後から、俺の意思ですぐに魔法を展開するようになった。


 これでルムデスのような人質を取られるようなことにならないのは、戦いにおいては大きくなりそうだ。


「くそっ!! 化け物じみた召喚士だと思っていたが、小癪こしゃくな真似もしやがる」

「魔剣士、俺と戦うのか?」

「……召喚士なんざ、武器も持てねえ能無しだろうが! 召喚しなければ戦えねえ奴に、俺が負けるかよ!」


 召喚をしないで魔剣士に勝つ……通常なら、何の約束にも値しない言葉になるが、この男の実力を確かめてから決めてみるか。

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