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村を追放された最弱召喚士がチート級モンスターたちを召喚して、いつの間にか最強になってました。  作者: 遥風 かずら
第四章:迷宮の先で待つもの

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89.迷宮都市リエンガン 7


「そ、そっか、何も覚えていないんだね」

「ライゼルちゃんは記憶力が無いのだし、仕方ないと思うの~! うふふっ!」

「あ、あはは……」


 フィアフルが召喚したイビルを倒し、再召喚と完全な契りをしたことで、彼女は俺の元へと帰って来てくれた。

 毒舌なイビル母さんは健在である。


 敵かと思われたオルモのおかげで、ルムデスの後を追いかけることが出来るようになった俺たちは、崩落した場所からすぐの所にあった村に着いた。


 村と言ってもガルコットと同様な作りになっているものの、少し歩くとすぐに薄暗い洞穴に戻るほどの規模でしかなかった。


 アインによればこの村にノワがいるということらしいが、すでに彼らの姿は無く、数える程度の木造小屋が少し見える程度だ。


「あらぁ~? あらあら、ライゼルちゃん。誰の子を産んでしまったのかしらね。もしかしてアサレアちゃん? それともルムデス?」

「えっ?」

「それともどこかの馬の骨の子かしら? もしかして内緒の話なの~? 分かったわ、後でみんなに言っておくわね~! うふふ」

「ええええ!? ち、違うからね? というか……」


 イビルの足元にしがみついて離れない子供をよくよく見ると、寝起きなのか、髪がボサボサ状態のままで体当たりして来たようにも見える。


「ううーん……? ま、待ちくたびれたぞ! ボクをほったらかしておいてどこに……な、何だ、お前!!」

「あらあら~」

「ノワ……だよね? もしかしてずっと寝ていた?」

「わ、悪いのか? ボクはお前と一緒に行くって決めたんだ。だから待っていたのに、来ない、来ない!!」

「ご、ごめん」

「そ、それで、このデカ女は何なんだ? 人間じゃないことくらい、ボクにも分かるぞ!」


 その辺りはさすが、死霊術師といったところか。

 イビルを再召喚したとはいえ、蘇生のようなものだったし、その辺で分かるのかも。


「――そんなわけで、彼女はイビル・ムッター。俺が召喚したマンドレイクなんだよ」

「ふーん……? 強いのか? 弱いのか?」

「えーと……」

「うふふ……! 見た目通りのお子様なのかしら~? でもね、ライゼルちゃんの為に頑張らなくてもいいのよ?」

「ボ、ボクは別に」

「うふふ~どうせ役に立ってないのだし、立っているのだとしたら、それはライゼルちゃんだけなの~!」


 毒舌が強化されている?

 それともいつの間にか仲間が増えたことによる嫉妬とか、そういうことなのか。


「そ、それはそうと、ノワが寝ている間に何か無かったかな?」

「何かって何だ」

「だ、だから、アインに何か言われたとか」

「ボクはずっとそこの小屋で寝ていただけだぞ。アインとは会ってもいない」

「……え? 会ってない? 一回も?」

「うん。ライは会ったのか?」

「ノワがここにいるって聞いてたから、ここに来ればと思ってたんだけど……そ、そうなんだ」

「ふぅーん……? じゃあ行こう?」

「あ、ここはもういいのかな?」

「よく寝たから、ボクは役に立つ!」


 イビルに言われたことを気にしているのか。

 それにしても妙だ。アインの話では、ノワに面識があってロードテアの死霊術師ということも分かっていた。


 それなのに肝心のノワ本人は、アインにすら出会えていない。

 単なる思い過ごしなのか、それとも……。


「ライゼルちゃん、どこへ進むの~?」

「と、とりあえず、リエンガンって都市に行きたいんだけど……」

「うふふっ! そういうことなら、進んじゃっていいのね~?」

「へっ? 道を知ってるの?」

「微かに覚えているのだけれど、印象の薄い男と立っていた所は、こことは違う場所だったの~! きっと全然違う所に行けると思うの」

「そ、そうだね。それじゃあ……」


 フィアフルに召喚されていた時のことを覚えているとか、イビルはやはりただの植物妖精じゃない。


「むー……ライ……ライゼル」

「うん? どうかした、ノワ?」

「その植物女が好きなのか?」

「い、いや、そういうのじゃなくてね……」

「ライゼルが好きなら、ボクも好きになる……」


 ノワの感情は間違いなく、幼い恋心のようなものに近い気がする。

 死霊術師とはいえ素直な女の子に違いは無いし、イビルに懐いてくれればいいんだけど。


「あらあら~? どうしたの~?」

「ボ、ボクは……」

「うふふふ、緊張しなくていいのよ~? 誰もあなたのことは見ていないの~」


 イビル母さんの本領発揮なのか。

 それともノワの気配に警戒でもしているのだろうか。


「やっぱりいい! ライゼルだけでいい!!」

「あらら~?」


 毒舌はともかく、こんな落ち着いたやり取りなんていつ以来なんだろうか。


 イビル母さんの力も以前より上がっているとすれば、この先にいる魔剣士にも力を使ってくれそうだし、リエンガンにも一層近づける気がする。


「それじゃあ、イビル。先に進みたいんだけど、どこかな?」

「ライゼルちゃん、マリムちゃんを呼んでくれる~?」

「え? 土精霊を?」

「早くしてね~? 頼んでいるんじゃなくて、命令しているの~」

「は、はい……」


 とにかくこれで、迷宮都市に一歩近づけそうだ。

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