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村を追放された最弱召喚士がチート級モンスターたちを召喚して、いつの間にか最強になってました。  作者: 遥風 かずら
第四章:迷宮の先で待つもの

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88.迷宮都市リエンガン 6


 色鮮やかな青色の髪と優しい雰囲気を出し、安心を感じることが出来たイビルは今、畏怖を与える姿となって、目の前に立っている。


 不吉を感じさせる存在となって再会するなんて、これも俺への罪なのか。


「ふしゅぅぅ……」

「――う……毒?」


 イビルは毒舌な女性だったが、マンドレイクそのものとしてみれば、敵に対する毒の力は相当厄介なものだった。


 味方だった俺に殺すつもりの毒を放って来るなんて、彼女はもう俺の知るイビルじゃない。

 無力で最弱だった俺が召喚した彼女は、俺の手で土に還す。


『……我は大気の流れを支配する者、我が望むは荒ぶりの風、我を仇なす闇を払い、霧散せよ!』


 近接攻撃をせずに毒を放って来たのは、後に引くことが出来ない場所だからこその攻撃。それにフィアフルが召喚している時点で、俺には直接の攻撃が効かないことも分かってのことだろう。


 それなら俺は、容赦のない精霊を使って、イビルを元に戻すだけだ。


「何もかもを吹き飛ばし、今一度俺の元に!!」


 風精霊シルフィードが俺の声に応えた直後、風を唸らせ、毒を放つイビルを頭上の岩に叩きつけていた。


 マンドレイクとしての姿はすでに見る影もなく、植物の根が足下で無残に散らばっている。

 シルフの風によってフィアフルの邪念と、邪気は霧散された。

 

「大地に根付く、我が精霊……我が前に現わし、不変の真理をもって果てなき営みを尽くせ……」


 辛うじて植物の根だけが残ったところに、俺は間髪入れずに召喚の言を唱えた。

 今度こそイビルを完全に召喚して、邪念を持つ奴の元に行かないようにしなければならない。


 乾いた空気と焦燥な気持ちを歯噛みしながら、彼女の姿が再び現れるのを願うしかなかった。


『へぇ~~召喚士なんて珍しいっすね! 外套で隠してたのはそういうことっすか?』


「――!」


 イビルの姿を待っていたその時、ガルコット側から人が来ていたことに、全く気付きもしなかった。


 さっきまで戦っていたからとはいえ、気配に全く気づかないなんて……。


「誰だ……?」

「そう警戒しなくてもいいっすよ。俺はアインさんの部下のオルモっす。洞穴が揺れたから何かあったかと思って来たんすが、崩落してた上にさっきまで戦っていたなんて、大変でしたね~」


 そういえば、そんな人を呼んでくれと言われていたような。


「ふむ……なるほど、アインさんが一目置くだけのことはあるんすね」

「そ、それよりも、ここ以外でリエンガンに行く方法はありますか?」

「あぁ、それなら簡単っす! 殴ればいいんすよ」

「……へ?」

「いや~ここじゃまれにあることっすから、そういう時にだけ役に立つというか、立てるというか……武装修道士なんで楽勝っす! そんなわけで、殴って穴を開けるんで離れてもらってていいすか?」

「あ、はい……」


 その為だけにガルコットに待機させていた?


 そうだとすれば、油断は禁物だ。

 ロードテアに馴染みのある人というだけで安心していたけど、味方と思ってていいのだろうか。


『うぉぅりゃああああああああ!!』


 な、何だ……? 大気ごと揺らしている……?


 オルモが放った拳の風圧は、さっきまで阻んでいた岩壁を貫き、ものの見事に開通させていた。


 これだけの力を持つ人間を留守番させて、残りの二人を案内役にするなんて本当に味方なのか?


「こんなもんすね。これで先に進めるかと」

「あ、すみません、本当に」

「いやいや~、これも仕事のうちっすから!」


 あっさりと壁を砕いたオルモは、両手を擦り合わせて、手に付いた石の塵を払っている。

 こんな強さの人を留守番させておくとか、一体どういうことなんだ。


「あ、ありがとうございました。俺はそろそろ行きます」

「その方がいいっすね。ところで……」

「えっ?」

「外から追放された召喚士が何の用でここに?」

「うっ――!?」


 オルモは急激な変化を見せた。


 さっきまで穏やかな表情で隠すことのない笑顔を振りまいていたのに、見開いていた目をわずかに細め、俺をこの場から逃すまいとした気配を醸し出している。


 やはり油断しては行けなかった相手だった。

 ルムデスに苛ついていた男といい、この男も最初から気付いていたんだ。


「やはりそうだったんすね。いや、別に何もしないっすよ! ただ、さっきから俺をいばらで締め付けているのは、どういうことなのかと思いまして」

「え? 茨?」


 ただならぬ気配を見せるオルモは、てっきり俺に拳を振り上げて来るものとばかり思っていた。


 しかしよくよく見ると、彼の手首と足首には、吸盤のある植物のつたとげのある茨が、ギシギシと締め上げているのが見て取れる。


「うふふ~! ライゼルちゃんに何かしようものなら、どうしてしまおうかしら~」

「言葉を話す植物妖精まで召喚しているとか、そこまでの強さだったんすね。とりあえず、俺は敵じゃないんで、解放してもらえないすか?」

「あっ……」


 良かった、以前のように毒舌じゃないけど、穏やかなイビルだ。


「うふふっ……」


「追放されたのも理由があるんすよね? 不確かなことだったんすが、どうやら敵じゃないってことが分かったんで、先に進んじゃっていいっす!」

「ど、どうも……」

「どんなやり方でも、ロードテアを救ってくれた人に悪いことは出来ないっすから!」

「え、じゃ、じゃあ……?」

「俺もロードテアからの亡命者なんすよ。ガルコットに住む人間のほとんどは、そんなもんす」

「そ、それじゃあ、行きます」

「ノワをよろしくっす!」


 どうなることかと思っていたけどイビルが戻り、閉ざされていたリエンガンへの道も開けたことで、ようやく前に進むことが出来そうだ。


 イビルが戻って来てくれたのは、俺にとっては心強い。

 

 後はアサレアが無事でいてくれたら、俺はもっと力を取り戻せる気がする……。

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